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2012年7月14日 (土)

アンチクライスト

★★★★

 メガホンをとったのは、『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ドッグヴィル』のラース・フォン・トリアー監督。主演はウィレム・デフォーとシャルロット・ゲンズブールなのだが、死んだ赤ちゃんを除けば彼等二人しか登場しない二人芝居でもある。

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 激しいSEXの最中に、息子がマンションの窓から転落し、深い悲しみと自責の念から、葬儀中に気絶して以来一ヶ月入院し、精神が病んで行く妻。しかし薬漬けの妻を見たセラピストの夫は、自らの手で妻を治療するため自宅に連れ帰る。そして催眠療法を施しながら、妻の恐怖の原因となっている『エデンの森』へ二人で向かうのだった。

 ジャンルとしては「エロチックスリラー」などと分類されている。確かに女の狂気は恐ろしいのだが、どうもそんな単純な分類では納得できない。とりあえずは、幻想と狂気の混在する宗教感が漂い、独特の世界観を包括する異様な作品と呼んでおこう。
 だからという訳ではないが、シャルロット・ゲンズブールの全裸や本番さながらのSEXシーンなどには、エロチックさをほとんど感じなかった。余りの過激さに、いくつかのショットにボカシが入っていたが、もしボカシなしであのハサミのシーンを観たら、逆にかなりの不快感を催したかもしれない。

 とにかく観る人を選ぶ難解な作品であり、ことに終盤になって妻が言った「三匹の乞食が現れると人が死ぬ」の意味がなかなか分かり辛い。三匹の乞食とは「悲嘆」「苦しみ」「絶望」のことで、プロローグの「三つの人形」とエピローグでの「鹿とカラスとキツネ」が、その象徴として表現されていたのではないだろうか。
 いずれにせよ超過激で、グロテスクな問題作であることは誰も否定できない。またシャルロット・ゲンズブールの鬼気迫る病的かつ大胆演技には圧倒されっぱなしだった。ちなみに彼女はこの作品で、カンヌ国際映画祭をはじめとする各映画賞で主演女優賞を総なめしている。

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受信: 2012年7月14日 (土) 20時03分

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