穴
★★★
複数の証言が皆全く違っているという、黒沢明の『羅生門』的味付けを施したイギリスの心理劇風ミステリー映画です。
ストーリーは、1人の少女がボロボロになった服を着たまま、命からがらどこからか逃げ出して来るシーンからスタートします。そして助かった少女も精神状況がおかしくなり、暫くして退院した後に、自宅でカウンセラーに恐怖の体験を話し始めるのです。
この辺は、ホラー映画によくある手法だと思いながら、少しずつ話に惹きこまれてゆきました。
彼女の話では、男女4人の高校生が、ある山奥の穴の下にある廃墟のような場所に一週間以上閉じ込められてしまい、自分だけが助かったということでした。
一体誰が穴の入ロのカギを閉めて4人を閉じ込めたのか。また閉鎖された穴の中で起こる4人の性的欲望、病気、飢えなどの葛藤がどのような形で展開されるのかと湧々しながら見守っていました。
ところが途中からほぼ犯人が見えてしまい、ラストのどんでん返しもないまま、エンディングとなってしまったのには少しがっかりしました。
また4人の葛藤の中心が、SEXのことに終始し過ぎて、十分な心理展開が描かれていなかったことも、この作品をもう一段上に引上げられなかった要因ではないでしょうか。
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