アレックス
★★★
主演女優モニカ・べルッチの妖艶なジャケットにつられて衝動的にレンタルしてしまったが、娘に言われて始めてR18指定であることに気付いた。
予備知識ゼロでこの作品を観るとひどい目に合うので要注意!
そもそも前半の45分は全く意味不明であり、手ぶれや大回転カメラワークのほか、不鮮明な照明と狂ったような騒音が延々と続くのだからたまったものではない。映画館で上映されたときは途中でかなりの退場者が出たようだが、当然だと思った。幸い僕が観たのはビデオだったので、これら前半のシーンは全て早送りしながら観てしまった。
普通に再生して観る気になったのが、45分すぎにやっと主役のアレックスが登場してからである。このあと信号待ちを嫌ったアレックスが『赤い地下道』の中でホモの男性に強姦されたうえ顔面を破壊されるシーンが10分以上も続くのである。
このシーンが最大のハイライトであり、気分も最悪になること必死である。本当にイヤ~ナ映画だ!
だが悲しいことに、前半の退屈さとはうって変わって、画面の中に吸い込まれてゆく自分を感じてしまうのである。そしてこのあたりから、この作品が『メメント』のように各シーンごとに時間を逆行して作っていることに気付き始めるのだ。ただ『メメント』と違うのは、完全に逆行しているのではなく、パズルを意識したのか、ある程度ランダムに組合わされていることである。
従ってエンディングを観たあとに、何度もテープを巻戻して確認する羽目になってしまった。
この監督は『キューブリック崇拝者』で時計仕掛のオレンジを気取っている風でもあるが、芸術家ぶるのもいい加減にしろといいたい。
だからといって単なるクソ映画で捨ててしまうのも惜しい映画でもある。とにかく『芸術家ぶる』ところが一番いけない。まずもう少し真面目に映像を撮れといいたい。また観る側の気分をひどく害するようなシーンをしつこく繰り返すなとも言いたい。また時間をテーマにするのに、暴力とレイプとゲイしか登場しないのは、いかにも淋しい発想としかいいようがない。いつまでも僕の心に引っ掛かったのは、スタートとラストの『謎』のシーンと、時間をバラした『ジグゾーパズル』の組合せだった。
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