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2011年11月21日 (月)

ラビット・ホール

★★★★

 息子の事故死を、なかなか受入れられない母親べッカに、ニコール・キッドマン、その夫ハウィーにアーロン・エッカートというキャスト陣。ニコール・キッドマン主演の映画を観るのは、『オーストラリア』以来、約3年振りである。相変わらず若くて美しい彼女であるが、いつも女王様のような派手な役回りばかりで、本作のように普通の主婦を演じるのは珍しいよね。

 夫役を演じたアーロン・エッカートは、真面目で優しい雰囲気が漂い、まさにピッタシカンカンの当たり役だったのではないだろうか。実際、神経質で気まぐれな妻に対しては、こうした大らかで優しい旦那が必要なんだね。

 ストーリーは、すでに息子を失って数ヶ月後から始まり、母親のべッカが内面で苦悩し続け、夫婦の危機を乗り越えて、次第に自己を取り戻してゆくまでを描いている。
 べッカは、表向きはひたすら苦悩を隠し続けるのだが、どうしても不愉快な態度を抑え込めず、夫・母・妹や近所の人々ともうまく付き合えない。夫はこれを堪えていろいろと努力するのだが、ある出来事が発覚したときに、かなり動揺して他の女性のもとへ走る。

 ある出来事とは、息子を事故死させてしまった少年とべッカが逢瀬を重ねていたという事実であった。べッカは少年を許容することによって、息子の死を受け入れようと思ったのかもしれない。
 またタイトルのラビット・ホールとは、この少年が描くSFマンガに登場するブラック・ホールのようなもので、パラレルワールドへの扉である。このパラレルワールドの存在こそが、ベッカの心の扉と重なって、生きてゆく活力を生み出すことになるのかもしれない。

 そして終盤に、同じ体験をしているベッカの母親が語る言葉が、かなり印象的で含蓄があった。
「大きな岩のような悲しみは、決して忘れはしないが、やがてポケットの中の小石に変わってゆく」

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コメント

KLYさんこんにちは

本当に母親の言葉はよかったですよね。
私も若い頃に両親を亡くしましたが、まさに「大きな岩のような悲しみは、決して忘れはしないが、やがてポケットの中の小石に変わってゆく」の通りであります。

投稿: ケント | 2011年11月22日 (火) 10時23分

なんと言ってもお母さんの言葉ですよね。
決して説教がましくなく、自らの辛い経験から紡ぎだした自分自身の言葉。でもあの言葉は私たち全員に通じるとても大切な言葉になったと思います。

投稿: KLY | 2011年11月22日 (火) 00時33分

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