« 世界侵略:ロサンゼルス決戦 | トップページ | モテキ »

2011年9月28日 (水)

一枚のハガキ

★★★☆

 99才になった新藤兼人監督が久々にメガホンを取った作品であり、本人が言っている通り、これが彼の最後の作品になるかもしれない。生きているだけでも大変なのに、100才間近になって、しんどい映画作りに挑戦した精神力は賞賛したいね。

Hagaki
 最近の邦画は、TV局製作のものと、小説やマンガを原作をするものばかり。その中でこの映画のように、昔ながらの監督オリジナルの手作り作品は珍しくなってしまった。
 戦争というものは、多くの人々が傷付き亡くなるという不幸を山のように築き上げたが、生き残った人々にも苦汁の選択を虐げたようである。戦死した長男の嫁と次男が結婚するしきたりがある地域があったり、金持ちの妾になったり、売春婦に成り下った女性たちもいた。また夫は戦死したと勘違いした嫁が、義父と出来てしまい愕然とする復員兵もいたらしい。
 本作でもそれらの話を取り上げているが、脚本は新藤監督自身の経験から練りあげたというから、実際にそうした事態が多かったのであろう。いずれにせよ戦争が産み落した悲惨な事実である。

 この映画は、戦死した戦友宛てに届いた妻からの一枚のハガキを、戦地に届いていたことを知らせるため、終戦後にその妻に届け返しに行った復員兵と戦友の妻との話である。
 主役は豊川悦司と大竹しのぶで、大杉蓮・柄本明・津川雅彦などの芸達者が脇を固めている。その中でも、昔なら乙羽信子が演じたであろう役柄を、大竹しのぶが実に見事に演じ切っていたのが印象的であった。
 ただ終盤になって、トヨエツとしのぶが急に親しくなったり、ご都合主義のハッピーエンドというところが、なんとなくしっくりとこないと思ったのは私だけであろうか。

最後にクリックしてランキングを確認してくれると嬉しいな↓↓↓

人気blogランキングへ

人気ブログランキングへ

↓ブログ村とクル天↓もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

| |

« 世界侵略:ロサンゼルス決戦 | トップページ | モテキ »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

KLYさんこんにちは
そうですね。戦争直後の寒村での出来事ということでは、私も『キャタピラー』に似ていると思いましたが、こちらのほうが映画らしさと優しさのある作品でした。

投稿: ケント | 2011年9月30日 (金) 10時49分

多分エンディングそのものよりも、こういう銃後の戦争もあるのだという、若松監督の『キャタピラー』にも似た想いがあるのかもしれません。重要なのは実際に戦争時代を生き抜いてこられた方がドンドン減っていって、ケントさんも書かれているように経験から物語を紡ぎだせる人が少なくなっていくことなのだろうと思いました。最後などと言わず、もっと伝えて欲しいです。

投稿: KLY | 2011年9月28日 (水) 16時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 一枚のハガキ:

» 一枚のハガキ [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
日本最高齢(99歳)の巨匠・新藤兼人監督自ら、「映画人生最後の作品にする」と宣言した本作。太平洋戦争末期に徴集された100人の兵士のうち、94人が戦死し6人だけが生きて帰った。 ... [続きを読む]

受信: 2011年9月28日 (水) 17時23分

» 『一枚のハガキ』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「一枚のハガキ」□監督・脚本・原作 新藤兼人 □キャスト 豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政、大杉 漣、柄本 明、倍賞美津子、       津川雅彦、川上麻衣子、絵沢萠子、大地泰仁、渡辺 大、麿 赤兒■鑑賞日 8月14日(日)■劇場 1...... [続きを読む]

受信: 2011年10月24日 (月) 22時23分

» 一枚のハガキ [映画とライトノベルな日常自販機]
“監督自身の体験と熟練の技が、戦争の非情さと絶望からの再生を丁寧に描きます” この作品は戦場で命を落とした人の視点ではなく、。“お国のため”と家族を奪われた人々の視点で描かれています。 定造の出征のシーンで定造や友子達家族などが行進して画面からアウトしていったその直後に、空の骨箱を首から下げて戻ってきます。銃声も爆発もないのに戦争があっけなく愛する人を奪ってしまうことを強烈に観る人に刻みつけるように感じます。 友子は夫の戦死から連鎖する家族の死を運が悪かったと言い聞かせながら、水道も電気も引けない貧... [続きを読む]

受信: 2011年11月24日 (木) 09時31分

« 世界侵略:ロサンゼルス決戦 | トップページ | モテキ »