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2011年8月の記事

2011年8月30日 (火)

神様のカルテ

★★★☆

 アパートになった古い旅館に住む主人公の医者(桜井翔)とカメラマンの妻(宮崎あおい)。どちらもヌーボーとしていて、余り世俗にまみれていないところが似た者夫婦である。

Kami
 この作品はこの一風変ったボロアパートに残った4人の住人のやりとりと、医学界の現状に悩む主人公を描きながら、人は何のために生きているのかを、こっそりとそれとなく問いかけているようだ。
 それにしても、最近の邦画は、TV局製作のものと原作がマンガのものばかりだ。本作は夏川草介の小説が原作であるものの、マンガ化もされているという。従って主人公の人間性やアパートの住人とのやりとりなどに、少し現実とのギャップを感じてしまうのかもしれない。
 終盤になって加賀まりこ紛する末期がん患者とのからみではかなり泣される。だがボロアパートでのシーンは、かなり眠気を感じる展開だし、全搬的に良い人たちしか登場しないパターンにも、なにかすっきりしない違和感を感じてしまった。
 ただ医療現場をテーマにした問題意識が高揚したことは確かである。設備限定・少人数の中で、地獄のような毎日を送る町病院の医師と看護師たち。そして最新設備・大人数で日々研究に励む大学病院の医局スタッフ。
 役割は異なるものの、その圧倒的な違いは凄まじく、これが同じ日本の医師なのかと疑ってしまう。一見大学病院の医師のほうを選択したくなリそうだが、実際には地獄の町病院を選ぶ医師もいる。
 この映画では町病院のよさを患者との人間的な触れ合いに絞っている。だが実際には、大学病院の医局における人間関係に嫌気を起こしたり、給料の高さに惹かれて町病院を選択する医師もいるだろう。
 アイドル桜井翔が主演ということもあり、観客はかなり若い女の子が多く、キャーキャーと騒がしかった。そしてその桜井翔だけが、全く医者らしくみえないのだ。いつもヌーボーとしていて、悩んでいるようにもみえない。
 ところがこの雰囲気が、後半になってだんだんこの作品の中に染ってゆくところが不思議で面白い。ただ宮崎あおいの存在感のなさがかなり気になった。あの役柄なら、彼女を使う必然性はないのではないか。全くもってもったいないキャスティングである。

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2011年8月27日 (土)

うさぎドロップ

★★★☆

 祖父が死んで6才の隠し子がいることが判明。親戚の誰もがこの子の存在を煩わしく思っている。それで正義感と行きがかり上の意地も手伝って、袒父と瓜二つの河地ダイキチが、芦田愛菜ちゃん紛するりんを引き取ることになってしまう。

Usagi_drop

そしてこの6才の女の子りんと、甥にあたる独身男性ダイキチとの奇妙なドタバタ共同生活が始まるのだった。
 原作がマンガということで、ストーリー的には、かなりの矛盾やあり得ないご都合主義が目立つものの、なかなか楽しめる映画に仕上っていたと思う。これはなんといっても、ダイキチ役の松山ケンイチと、りんを演じた愛菜ちゃんのコンビが絶妙のはまり役であったこと。そして二人の息がぴったし合っていたからにほかならないだろう。
 まあいずれにせよ、こうしたタッチの映画は珍しい。また知らず知らずのうちに、なんとなく熱いものがこみあげてくるのである。ほのぼのとした癒しのヒューマンドラマとでも言っておこうかね…。
 さて、「うさぎ」はりんの持っていたぬいぐるみだと思うけど、「ドロップ」ってどういう意味か知っている人いる?

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2011年8月15日 (月)

ヒマラヤ 運命の山

★★★★

 ドイツの登山映画はいつ観ても素晴らしい。数年前に観た『アイガー北壁』も名作映画として記憶に新しい。本作はストーリーではアイガー北壁に一歩ゆずるものの、大自然の織りなす壮大なるドラマとしてはリードしたかもしれない。

Scan10554
 この大作品は、登山家ラインホルト・メスナーの実体験を映画化したものだが、大自然の映像、カメラワーク、音楽の全てが息を飲む大迫力で迫ってくる。従って絶対にDVDではなく、映画館の大スクリーンと大音響で味わうべきであろう。
 この映画はヒマラヤ登頂中に起ったラインホルト兄弟の無謀な挑戦とその真相、そして命を掛けて大自然を克服するという二通りの切り口が用意されている。だがあえて余りドロドロとしない方向で丸く納めたという感がある。その辺がこの映画を製作するうえでの妥協点だったのかもしれないね。

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2011年8月12日 (金)

蜂蜜

★★★☆

 トルコの映画だという。欧州系映画はなんとなくミステリアスで暗い雰囲気が漂うものが多いね。
 本作のハイライトは、オープニングにある。蜂蜜箱を設置するため、高い木にロープを絡ませて、男がよじ登るのだが、枝が折れそうになり男は墜落寸前になってしまう。

Hachimitsu

  そのあと、時間が過去に遡り、男が墜落するまでの家庭の様子が描かれてゆく。そして主役は男の息子に替わるのであった。
 この少年は失語症で人前でうまく喋れない。だから小学校でもいつも孤独なのだが、父親のことが大好きのようだ。

 少年の父親は蜂蜜をとることを職業としているが、最近思うように蜂蜜が採取出来ない。それで危険を承知で、新しい場所を見つけるため、遠出をすることになるのだった。だが数日経っても父親は帰ってこない。
 毎日少年は不安でたまらない。その不安な感情が、観客にもヒシヒシと伝ってくるところが実にうまい。はじめは冷静を保っていた母親もだんだん不安になり、とうとう警察に行くことを決心する。
 ストーリーは全搬的に、ゆっくりとそして淡々と流れてゆく。そして山奥の田舎風景が絵画のように美しい。果して父親は無事なのか否か。少年の不安と観客の不安が同調しながら、この静かな映画は決末を探しながら進んでゆく。

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2011年8月 8日 (月)

最近、観たい映画が少なくなってしまった

 シネコンがブームになったとき、これからいろいろな映画が観られるようになり、映画ファンにとってはきっと毎日が楽しくなると思った。ところが最近はどこのシネコンでも同じ映画しか上映していない。また立地が郊外ということもあり、お子様番組ばかりずらっと顔を揃えている。その上3D上映が増えて、2D、3Dそれぞれ字幕と吹き替版を作るから同じ番組で4つのスクリーンを独占することになる。

Sexandthecity2

 「ケントの絵手紙小屋」~映画の絵手紙~

 なぜこんな状況になってしまったのだろうか。たぶん映画ファンの掘り起こしと、お子様+親の動員による収益向上を狙っているのであろう。まあそれはそれで良いのだが、現実の映画収益の大部分は、我々ヘビーな映画ファンによって支えられているというその上得意先様を無視してはいけない

 従ってお子様番組や3Dに使用するスクリーンはもう少し縮小して、本当に映画を愛しているヘビーユーザーにも提供してもらいたいのだ。さらにはシネコン各社は、横並び上映をやめて、シネコンごとに特徴をもった上映スケジュールを立てて貰いたいものである。

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2011年8月 6日 (土)

ゴッドファーザー

★★★★☆

 今ごろになってこの名作を観たのだが、とにかく唸るほど凄い映画であった。まさに一大叙事詩といえよう。
 オープニングの結婚式シーンは、なんと延々と30分間位続く。だがこのシーンによって、ゴッドファーザーのドン・ヴィトー・コルレオーネの人柄・権力・過去などが、自然とあぶり出されてゆくという見事な手法である。

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 とにかく前半は、マーロン・ブランドの圧倒的な存在感が光り輝くのであるが、終盤になって今度は末息子のマイケルを演じたアル・パチーノが、突如として鳶から鷹に変身してしまう。そして同時にマーロン・ブランドが老いてゆくのである。世代交代の流れが、実に巧みに演じられているのだ。
 またマイケルがレストランのトイレに隠した拳銃を持って、敵の二人を暗殺するときの緊張感が、鋭いカメラワークによって実現されているから堪らない。さらには、コルレオーネ・ファミリーや他のファミリーたちも全員がはまり役で、その迫力満点の演技も見ものであった。上映時間175分という大長編だが、全く退屈しないところが怪物映画たるゆえんであろう。

 とにかく脚本・俳優・演技・演出・音楽・カメラワークと、どれをとっても完璧で文句のつけようがない。素晴らしく完成度の高い映画であった。さすが巨匠コッポラの代表作だ!と唸って拍手喝采するしかないね。またゴッドファーザーpart2では、若かりし頃のヴィトー・コルレオーネと、新しくドンとなったマイケルの苦悩と戦いを交互に描き、上映時間は200分という凄まじさであった。続編とは思えない素晴らしい完成度であり、こちらのほうもお奨めである。
 

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2011年8月 3日 (水)

アイ・アム・ナンバー4

★★★☆

 超能力を有する9人の選ばれし若者たち。だがすでに3人が敵に倒されて命を失っている。その敵とは地球外生物のようであり、その魔手は転々と居住地を変更しているナンバー4にも及んでいた。

No4
 ナンバー4ことジョンは、仲間の死と引き換えたかのように、その超能力が覚醒しはじめる。本来は敵の目から逃れるために、余り表に出てはいけないのだが、孤独な逃亡生活に我慢出来なくなったジョンは、保護者へンリーの反対を押し切って無理やり高校に編入してしまう。そこで貴重な学園生活や友人たちを得るのであるが、ある日とうとう敵に見つかってしまうのであった。

 何人もの超能力者たちの集団という構成は、XーMENとそっくりであるが、敵が地球外生物という点はちょっと異っている。またこの映画では2人の仲間しか登場していないし、彼等の超能力の全貌も明かされてはいないし、敵の正体や目的もはっきりしていない。たぶん今後シリーズ化してかなり長く続いてゆくものと思われる。

 それほど製作費もかけていないようだし、登場人物が少しずつ増える気配もする。また長いシリーズになりそうなことを考えると、なんとなくTVドラマのような匂いが漂ってくるよね。でも女の子は可愛いし、キャストがみな若いのが魅力的である。是非続編も観てみたいな。

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2011年8月 1日 (月)

GTFトーキョーシネマショー2011

 7月29日~30日に日比谷の東商ホールで行われた試写祭である。30日は試写会3本が中心であるが、私が参加した29日のほうは、次の3つのイべントで構成されていた。
2011年筑紫賞:ゴールデンタイトル・アワードを受賞した『木洩れ日の家で』の表彰式
シンポジウム「映画界の今とこれから~外国映画をもっと元気にするには~」
予告編大会(約70本)という構成であった。

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 表彰式では故・筑紫哲也氏に代わって美人令嬢が審査と表彰を行い、なかなか華やかな雰囲気に包まれていた。
 シンポジウムのほうは映画評論家の大高宏雄氏が進行役を勤め、ソニーピクチャー、アスミック・エース、TOHOシネマズの各社社長の4人というメンバーで、外国映画の現状を語っていたが、参考になった反面やや物足りない感もあった。
 予告編大会は途中一回の休憩をはさんで、一挙に70作を上映という太っ腹な企画である。このうち約半分は既に劇場などで鑑賞済みだったが、意外に飽きることもなく最後まで観ることが出来た。

 途中2回の休憩を挟み、午後1時から5時までの約4時間のロングランであったが、それなりに楽しく有意義な一日だったと思う。ただ館内の冷房が効き過ぎて、寒くてどうしようもなかった。それで休憩時間に係員に冷房温度を下げるよう頼んだ。係員は「ビルの管理人に依頼しておきます」と即答してくれたのだが、その後も一向に温度は下らないのである。原発事故以降に国をあげて節電対策に取り組んでいるという現状なのに、商工会議所というお役所のビルで、こんな無神経な運営を行っていてもよいのだろうか。お役所のやることは、いつもピントがズレているし、なんだかすっきりしないよね。

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