エクレール お菓子放浪記
★★★★
お菓子の好きなパリ娘、ふたり揃えばいそいそと、角の菓子屋へポンジュール よる間もおそしエクレール 腰も掛けずにむしゃむしゃと 食べて口拭くパリ娘」という懐かしい歌が流れると、なぜかとどめなく涙が落ちてきた。
これは戦争中から終戦直後に亘って、施設などを転々としたある孤児のお話であり、原作者西村滋氏の自伝でもあるという。
弧児院で辛い思いをした少年が、里親(いしだあゆみ)にひきとられるところから始まる。ところがこの里親は、いつも孤児を引き取っては労働者としてこき使う、悪名高い守銭奴ばあさんだった。
それで少年も映画館のフィルム運び人として働かされることになる。だが弧児院で辛い日々を送っていた少年にとっては、充実して楽しい日々であった。ところが、少年のふとした不注意で、ケガを負ったことから、里親とケンカ別れしてしまう。
その後少年は、旅芸人一座で働きながら全国を行脚するのだが、戦争のためにこの一座が解散することになってしまう。行きどころをなくした少年が頼りにしていた人々は、みんな戦争の犠牲になってしまったようである。そして少年は・・・。
映画館や旅芸人一座でのストーリー展開は、『ニュー・シネマ・パラダイス』や『笑いの大学』などへのオマージュなのだろうか。実に良く似ていて微笑ましい。
さて孤独な少年の心の中には、いつも心に抱いていた忘れられない人々がいた。弧児院でたった一人だけ優しかった陽子先生である。そして彼女がよく歌っていた「お菓子と娘」という冒頭の歌が心の支えだった。
それから、万引をしたときに美味しい菓子パンをくれた遠山刑事。この人のくれた菓子パンの美味しさが、少年の未来を創ったといってもよいだろう。さらに映画館で一緒に働いていたおばさんや、旅芸人一座の親方や俳優たちも忘れられない。
なにせテアトルの配給だし、製作費がかなり少ないのは確かである。だがそんな貧困な製作状況の中で、なかなか無駄のないツボを掴んだ創り方をしていた感があった。また撮影場所には、震災前の石巻の美しい風景が選ばれている。
こういう話は暗くなりがちなのだが、戦争の理不尽さを訴えてはいるものの、敗戦にも負けずに、たくましく前向きに生きている人々の姿に心温まるものを感じた。なにか震災にも負けずに、たくましく生きてゆこうとする東北人たちの姿と重ってしまう。是非若い人たちにも、観てもらいたい一本でもある。
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コメント
KLYさんこんにちは
久し振りにみたいしだあゆみ。昔は大ファンだったのですが・・・。もうおばあちゃんですね、彼女は痩せ過ぎかも。同年代の女優に比べて老けているような気がしました。でも仰る通りなかなかの怪演でしたね。
それと坊やの清らかで澄んだ歌声は良かったですね。「お菓子の好きなパリ娘」が西條 八十の作詞だと始めて知りましたよ。
投稿: ケント | 2011年5月28日 (土) 17時35分
ちょっと展開が早すぎるかなぁとは思ったんですが、確かにギリギリ無駄のない作りとも言えると思います。
何よりあの歌声に魅せられちゃいました。いい声してます。
いしだあゆみさん、怪演でした。
投稿: KLY | 2011年5月27日 (金) 20時18分