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2011年5月14日 (土)

八日目の蝉

★★★★

 自分は堕胎したため、子供の産めない体になってしまった希和子。そして捨てられた愛人の本妻には、可愛い女の子が産まれる。
 ある雨の日のことである。愛人の家に不法侵入した希和子は、赤ん坊を誘拐して自分の子供として育てながら、4年間の逃亡生活を送るのだった。

Youkame
 原作は直木賞作家の角田光代で、20年前、16年前、そして現代をパラレルに描く社会派ドラマである。私は原作も読んでいないし、TVドラマも観ていない。従って全く予備知識ゼロでこの映画を観たので、正確なレビューは出来ないかもしれない。
 なんといってもこの映画の焦点は、幼子の薫を連れた希和子の4年間の逃亡生活である。そして終盤の写真館での記念撮影と、逮捕時に「あの子はまだ食事をしていません」という言葉に、この物語の全てが凝縮していたのではないだろうか。
 希和子を演じた永作博美の凄いところは、薫に対する愛情の深さをそれとなく演じ切ったことだろう。そこにはわざとらしさが全くなく、自然に沸き出てくる本物の愛を感じてしまったからである。そうした彼女の演技を100%引き出したのは、とりもなおさず子役の女の子が素晴らしかったからに違いない。
 またいつもながら小池栄子の名助演ぶりにも感心してしまった。一体最近の彼女は、どうして演技派に変身してしまったのだろうか。大人になった薫を演じた井上真央が暗過ぎたので、小池の存在は一服の清涼剤になった感がある。
 なかなか完成度の高い映画だと思うのだが、原作を詰んでいないためか、次の3点が分かりづらかったことを付け加えておきたい。
1)タイトルの『八日目の蝉』という意味
2)希和子が他人の子供になぜあれだけの愛情が湧いたのか
3)薫がどうして16年間も実母とうまく行かなかったのか

 私の勝手な推測では、希和子が誘拐した赤ん坊のことを、自分が身ごもっていたときに考えていた「薫」という名で呼んでいたことから、彼女は自分自身にその子は自分が産んだ子だと「暗示」をかけていたのではないだろうか。
 また薫と実母がうまく行かなかったのは、希和子があれほど献身的だったのに対し、実母が余りにも自已中人間だったからだと思う。従って誘拐うんぬん以前の問題として、もともと実母のほうに問題があったのだと推測する。
 タイトルの真意だけは、全く分からなかった。こじつけ的にはいろいろ論じられてはいるのだが、もうひとつすっきりしないものばかりだ。こればかりは原作者に聞いてみなければ分からないだろうね。

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コメント

こんばんは。
そうですね、1の疑問に関しては劇中ちょっとだけ触れていましたけれど私も解らないです。ドラマや原作を見れば解るかもしれないですね。
2に関しては、自分はもう子供を産めない体になってしまった彼女とすれば、我が子の様に愛情を抱いたとしても不思議はないかと。他人の子ではなくて愛する人の子ですし。
3は、実母に問題がないとは言いませんが、生まれてから4年間というある意味もっとも重要な時期に母と娘として接することが出来なかったというのは大きいと思います。産んだだけでなく育てて始めて親になるものでしょうし。
NHKでやったドラマを観てみたいです。映画も凄く良かったのですが、時間をかけて語らえることでまた違った見え方もできそうですし。

投稿: KLY | 2011年5月14日 (土) 21時05分

KLYさんこんにちは
映画は映画で悪くないのですが、やはり本格的に楽しむには、原作やTVドラマのほうが向いているかもしれませんね。
このような長編ものは、どうしても映画では回想シーン中心になり、ある種の芸術点を獲得するような創り方になりますよね。そう『砂の器』もそんな感じでしたから。

投稿: ケント | 2011年5月16日 (月) 13時49分

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