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2011年2月の記事

2011年2月27日 (日)

RED/レッド

★★★☆

 とうの昔に引退した元CIAの爺さまたちを、次々と殺害する謎の集団。なんとその正体はCIAそのものであった。なぜCIAがいまさら引退した元隊員を狙うのか?これがこの映画のメインテーマである。

Red

 次々と爺さまたちが殺される中、生き残ったのは、超腕利きでまだ比較的若いフランク・モーゼス(ブルース・ウィリス)ほか数人だけであった。ある日の深夜にフランクはマスクをした謎の集団に襲われる、そして彼等はフランクの家ごとマシンガンで蜂の巣にしてしまうのだ。
 まさに恐ろしい殺人集団である。だがフランクは平然として敵にたちむかう。そして次に狙われそうな彼女?を助け出し、僅かに生き残っている昔の仲間を探し出すのだった。
 このあたりから、ストーリー展開がややコミカルになるのだが、それはそれで面白い。というより爺さまたちが主人公ということ自体が、荒唐無稽でコミカルなのだから仕方ないのである。
 とにかくど派手でスピード感に溢れた展開にはおったまげてしまった。それにブルース・ウィリスをはじめとして、モーガン・フリーマンやジョン・マルコヴィッチ、へレン・ミレンなどの大物俳優がズラッと並ぶ。この中でも、さすがブルース・ウィリスのアクションは群を抜いている。まさにエンタメを絵に描いたような映画だったね。
 ただモーガン・フリーマンがあっけなく死んでしまうのは残念だ。どうせ半分コメディーなのだから、ラストで実は生きていたということにしても問題なかったはず。いずれにせよ余り難しいことを言わずに、お気楽な気分で観ることをお勧めしたい。

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2011年2月23日 (水)

上意討ち 拝領妻始末

★★★★☆
 
 老人の会津藩主が、無理やり藩士の娘いちを妾とし、男子を誕生させる。そして今度は不要になったいちを、藩士笹原伊三郎の長男与五郎に無理やり払い下げる。最初は渋っていた笹原家であったが、藩主の命令に逆らうことは出来ずに、仕方なくこの嫁を迎え入れることになった。

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 それでも与五郎といちは仲むつまじく、二人の間に女児が誕生する。やっと平和で幸福な日々が訪れたかと思ったのだが、またまた問題が起ってしまった。藩主の嫡男が突然死亡してしまったのである。
 そのために、以前にいちと藩主の間に生まれた子供がお世継ぎ候補となり、いちはそのご生母様になるため、再び大奥に戻れという命令が下されるのだ。一度無理矢理払い下げ、幸せにに暮らしている女を再び差し出せというのである。いくら藩主といえども理不尽このうえない。
 さすがに今度ばかりは、笹原伊三郎も与五郎夫婦も納得出来ず、やんわりとお断りするのだが、その願いも叶わず、いちを差し出さねば一族郎党全てが処罰を受けるという。そのため伊三郎の悪妻と次男、そして親戚全員が伊三郎と与五郎夫婦を説得することになる。
 だが三人の頑固者は、どうしても首を縦にふらない。そして意地でも、たった三人で藩全体を敵に回して戦うことを決意するのだった・・・。
 それにしても、この意地の張り方は生半可ではない。そして終盤に藩主の側用人自らが、折衷案を持って笹原家を訪れるのだが、もはや鉄壁の武士の意地は崩れない。
 だから当然ハッピーエンドになるはずがないのだ。監督は小林正樹であるが、このあたりの描き方はなんとなく黒沢明監督を髣髴させる。ただ三船プロ作品のためか、三船敏郎自身の描き方にかなり雑な感が残った。
 どうも三船が登場すると、思い切りエンタメになってしまうのだ。このようなシリアスな作品では、むしろ敵方の仲代達矢、そして悪役の神山繁などの奥深い演技力にのほうに魅せられてしまうのである。なかなか素晴らしい作品ではあるが、同じ小林正樹監督の『切腹』には及ばない。やはり主演俳優の違いが大きいのだろうな。

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2011年2月20日 (日)

届かぬ想い

 イケメンパパの小早川は、美しい妻と可愛い娘に恵まれ、平和で幸福な日々を送っていた。ところがある日、娘が何者かに誘拐され、そのまま生死も確認出来ないまま行方不明となる。さらにそれを苦にした妻が自殺をし、彼はさらに苦境に追い込まれるのだった。

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 その後にひょんなことから、彼は再婚することになるのだが、生まれてきた二人目の娘は、不治の病に侵されてしまう。度重なる悲劇に、彼は絶望の淵にたたされる。
 だが娘を難病から救う方法がひとつだけあるという。それは、何と秘密のタイムマシンに乗って未来へ行き、そこですでに完成している難病の薬を手に入れるという荒唐無稽な話だった。
 タイムトラべルにからむパラドックスが盛り沢山なのだが、広瀬正やハインラインなどの臭いが強烈にする。また人間として絶対にやってはいけないことを平然と描いているのも気になった。
 だから何となくキワモノの感があるのだが、タイムトラべルファンなら夢中になってあっという間に読破してしまうことだろう。

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2011年2月18日 (金)

ウォール・ストリート

★★★

 あの『ウォール街』から23年、時の経つのは早いものだが、マイケル・ダグラスも年を取ってしまったな・・・。本作はまさに前作『ウォール街』の続編であり、前作で逮捕されたゴードン・ゲッコーが、8年間の刑期を終えて淋しく出所するところから始まる。

Wall_street
 まさに『網走番外地』であるが、出所後の彼はまるで人間が変わったように、書物やセミナーで投機の残酷さと不要論を解く。だが実は密かに、自分を売ったある男への復讐心をメラメラと燃やしていたのである。それに利用されたのが、娘のウィニーと彼女の婚約者であるジェイコブであった。
 ここまで書くと、前作同様ドロドロとした展開になると思ってしまうのだが、あくまでもドラマの中心になっているのはゴードンではなく、若手のジェイコブとウィニーなのである。そして今回のゴードンはどこか憎めない。結局悪役はゴードンが復讐を誓ったブレトンであり、最後は全てが丸く納まりハッピーエンドとなってしまう。
 不動産バブルがはじけ、サブプライム問題からリーマンショックに至るまでのドラマは実に興味深かった。だがとどのつまりは、ウォール街をバックにしたホームドラマだったような気がするのは、決して私一人ではないだろう。

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2011年2月16日 (水)

太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男-

★★★☆

 太平洋戦争の末期、サイパン島で実に500日に亘って、米軍にゲリラ戦を仕掛けていた大場栄大尉たちの実話を映画化したものである。大場大尉は僅か47人の兵士を引き連れ、4万人以上の米軍を翻弄し続けたという。そのために彼は、米軍からフォックスと恐れられたらしい。復員後は丸栄産業の代表取締役を務めたあと、愛知県蒲郡市議会議員を歴任し、1992年に79年間の生涯を閉じている。

Taiheiyou
 大場大尉を演じたのは竹野内豊。はじめモデル出身の竹野内では、線が細過ぎて逞しい軍人役は不向きかと感じたが、中盤以降はだんだん精悍な顔つきに変貌していき、見事この大役を演じ切ったと思う。
 邦画としてはなかなか迫力ある戦闘シーンが表現できたと思うが、もうひとつ物足りない感がしないでもない。なぜ大場隊があれほど低坑したのか、その理由がほとんど描かれていないからだ。それに米兵達がいやに優しく描かれているじゃないの。
 実際には米軍は二万人の民間人を含む5万人の日本人を殺戮したのである。また米兵達は日本人を、イエローモンキーとしてしか扱わず、かなり酷いことをしたようである。

 この戦いで生き残った田中徳祐氏の「我ら降伏せず」によると・・・
 米兵達は民間の婦女子を捕えると、全員素っ裸にして無理やりトラックの荷台に積み込んだという。その際に婦女子全負が、トラックの荷台から「殺して!」「殺して!」と絶叫していたという。
 それから子供や老人たちにガソリンをまき、火だるまにしてケラケラと笑っていたという。さらには草むらで泣いている赤児をみつけ、両足を持って真二つに引き裂いて火中に投げ込んだらしい。
 これが戦争というものの正体なのかもしれないが、余りにもむごいむご過ぎるではないか!。そうした背景があって大場隊の必死のゲリラ戦があったのであろう。
 東宝と日本テレビというメジャーメディアの製作であり、米国の協力も得ているため、真実を描くことは難しかったのだろう。全体的にストーリーの流れが悪く、あきらかに所々カットされていることが明白である。そのあたりが非常に残念なのだが、まあ現実にはこの限界点は超えられないだろうね。

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2011年2月15日 (火)

新しくブログをもうひとつ立ち上げました

 珍しく首都圏でも大雪が舞い降りましたね。私が住んでいるのは神奈川県ですが、どちらかというと山寄りなので、大変な大雪で10センチ以上積もりました。天気予報では雨の予報だったので、傘は持っていましたが、あんな大雪が降るとは夢にも思いませんでした。

 昨日は夕刻から映画を観ていたのですが、シネコンを出ると大雪が降っているのでびっくり。激しい雪で前方の見通しが悪く、車で家まで帰るのも大変でした。久々に盛岡時代を思い出しましたよ。

 さてこのたび、もうひとつ別のブログを立ちあげました。ブログの名称は『明るい未来を創るための提言 』です。最近、暗いニュースばかりなので、夢と希望が持てる日本を取り戻すため、微力ながら頑張りたいという気持ちの表現であります。URLは下記の通りです。よろしくお願い致します。

http://blogs.yahoo.co.jp/kurakentpart2

なお『ケントのたそがれ劇場』は、映画・本・旅行を中心に今まで通り頑張りますので、引き続きご愛顧のほど宜しくお願い致します。

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2011年2月11日 (金)

毎日かあさん

★★★★

 他に観たい映画がなかったので、たまたま時間潰しに観た映画だったのだが、期待しなかった裏返しなのか見事大当りであった。前半はほのぼのギャグの連発に苦笑していたのだが、これが後半への布石となって終盤は涙が止まらない。何度も鼻をかむほど顔面ぐちゃぐちゃ状態になってしまった。

Kaasan
 ご存知下手絵ナンバーワンのマンガ家、西原理恵子の実話マンガの実写版である。飲んだくれでアルコール依存症、おまけに胃ガンを患う夫との葛藤と、子供たちとの日常を過激に楽しく描いている。
 夫の鴨志田氏がアルコール依存症に陥った原因は、カメラマンとして戦場で目にした残酷な状況が原因のようだ。それ以来彼は働かず、酒に溺れて暴力を振るい吐血するの繰り返し。よくある話だが、それをマンガにしてしまうところに、西原理恵子のたくましさを感じるね。
 それでも全く暗さを感じさせないところが、西原マンガの本領発揮なのだろうか。それにしてもべストキャストだった。小泉今日子と永瀬正敏は、まさにハマリ役なのは間違いないところだが、二人の子役が絶品なのである。決してパパ・ママと言わないこの子役達の存在によって、この映画が成立していると言っても過言ではないだろう。
 そしてエンディングクレジットで流れるモノクロ写真と主題歌のケ・サラが胸を打つ。実に切なく感動的なラストじゃあないか。いゃ~あ、映画って本当に良いですなあ。

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2011年2月 8日 (火)

冷たい熱帯魚

 新宿テアトルは平日の昼だというのに超満員。先週封切られて以来、毎日が満員御礼という異常事態が続いている。そしてヤフー掲示板のレビューもかなりの高得点なのだ。
 一体どんな映画なのか、そんなに何が凄いのかを確認するためにチケットを買った。相変わらず館内超満員で、熱気ムンムン。観客は老若男女にカップルと、あらゆる種類の人々が集まっている。

Tume
 そしていよいよ、テンポのよいリズムに乗って映画が始まった。投げやりな妻とデタラメに生きる娘。だが父親は何も言わずに黙々とタ食を食べている。
 やがて食事中に娘の彼氏から電話があり、食事の途中で黙って家を出る娘。それからしばらくして、娘が万引したとスーパーから連絡が入る。そしてこれが超異常で非常識な悪夢のきっかけとなるのだった。
 とにかく長い、熱い、しつこい、グロい、エロい、そして暴力的でかなり精神異常だ。観ているのが辛い。あそこまでべタな映像が必要なのだろうか。こんな何でもありが許されるのかしら。R18程度でお茶を濁していいのか。確かに度肝を抜かれ、余りの迫力と壮絶な展開にへトへトである。
 だが不謹慎ではあるが、なぜか面白いのである。これは一種の麻薬なのかもしれない。この面白さの源泉は、ひたすら日常仮面の下に潜む悪魔の素顔を持つ村田夫婦のギャップと存在感であろう。そして前半はでんでんの明かるい殺人鬼であり、後半は黒沢あすかの色情狂ぶりに絶句する。

 これは芸術かブラックジョークなのか、はたまたある種の実験なのだろうか。そんなことはどうでもいいけど、少なくともお年寄りや心臓の弱い人は観ないほうがよい。大昔のことだが、プロレスのTV中継で力道山がブラッシーに噛みつかれて血だるまになったのを観た老人達がシヨック死したのを思い出してしまった。だからR18指定だけではなく、そのあたりの配慮もしたほうがよいのではないだろうか。
 ということで、あえてこの映画に評点を付けるのはやめることにした。それにしてもだ、この作品の良し悪しを語るより、このような狂った映画が連日超満員になっている異様な現実こそが、怖くて怖くてたまらないのである。

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2011年2月 6日 (日)

大相撲八百長事件にもの申す

 連日この話題でマスコミが盛り上がっている。そしておそらく春場所は中止になるという。まさに日本相撲協会と大相撲ファンにとっては非常事態が勃発してしまった。もしこのままこの問題をマスコミがこぞって叩き続けると、日本相撲協会どころか大相撲そのものが消滅してしまう可能性が高い。
 長年大相撲を愛し続けてきた相撲ファンとしては、それが非常に残念で悔しいのだ。相撲ファンならば片八百長も含めて、昔から多少星のやりとりがあったのことは了解済みのはずである。だから、なにをいまさら大騒ぎするのか疑問である。

Scan10540

 例えばもし、相撲協会が音頭をとって八百長をさせていたのなら大問題であるが、あくまでも極めてたまに行なわれる力土同士の行為じゃないの。そして片八百長は人情がらみ。それがプロレスとは本質的に異なることなのだ。それを一色たんにして全ての取り組みが、八百長であるかのように報道するマスコミ連中の無知と悪意には腹が立つ。たぶん以前に八百長裁判で、マスコミが敗訴したことへの復讐なのだろう。
 また悲しいことに、今回マスコミに登場して大騒ぎしている連中は、ほとんど相撲なんぞに興味のない輩ばかりである。本当に相撲が好きで楽しみにしている相撲ファンが、さほど気にしていないのに、観てもいない連中が妙な正義づらをして大相撲を消滅させようとしているのだ。結果として消滅するだけではなく、昔からの記録も伝統も全てが雪崩をうってインチキ扱いされて崩壊してしまうのである。

 決して八百長が良いとは思わないが、一体今回の八百長で誰が被害を被ったというのだろうか。今回非難しているマスコミの言い分は、「真剣勝負を信じていたファンに対する詐欺行為」だの「日本相撲協会が公益法人であること」を理由にあげている。だが先にも述べた通り、昔からの相撲ファンはある程度の人情的な八百長は了解の上で相撲を楽しんでいるのだ。そしてそのその人情こそ、日本の古き良き文化の一端でもあったのである。それを相撲にほとんど興味を持たない連中が、無責任な批判だけに終始するのは非常に矛盾しているし不愉快極まりない。

 また公益法人の職員が不正を行ったからどうこういうなら、教師にしろ、医師にしろ、はたまた警察官にも八百長どころか犯罪を働いている輩が沢山いるではないか。だがみんな示し合わせたように、校長や院長や警視庁長官などが深々と頭を下げ、犯罪を犯した当事者を懲戒免職にしておしまいである。個人が犯した罪によって、学校や病院や警察が消滅したなんてことは聞いた事がない。なぜ大相撲ばかりがいじめられて、日本が大切にしてきた伝統とともに消滅しなくてはならないのだ。

 もちろん日本相撲協会に全く罪がないわけではない。大昔から延々と続いている古いしきたりを、「伝統」という大義名分に胡坐をかいて、時代にマッチしなくなった諸問題を放置してきた罪は大きい。たまたま今回八百長問題でやっと本格的な危機感を抱いているようだが、少なくとも日本人力士の低迷が始まった頃に危機感を感じて、大相撲界の大改革を行うべきであった。なぜなら、日本人青少年の相撲人口が激減している証だからであり、それはとりもなおさず現代の青少年やその親達にとって、あらゆる面で魅力のない世界に映るからである。それをこぞって貧しい国の外人達に頼るしか能のなかった相撲界全体の責任とも言えよう。今の大相撲ファンのほとんどは年配の人々である。いずれにせよ、このままでは相撲が消滅するのは時間の問題だったのだ。

 従って日本相撲協会は今回の問題を天の声と考え、未来永劫に亘って日本から相撲が消滅しないよう、体を張って本気で大相撲の大改革を実行しなくてはならないのである。もちろん大相撲は野球やサッカー等とは異なり、単に欧米流の理論に基づいたスポーツライクなスポーツにしてもつまらない。やはり日本古来の伝統を守りながら、現代の環境を考慮した運営を行わなくてはならないだろう。従って日本相撲協会を公益法人から外して、株式会社制度にするのは反対である。

 ただ力士上がりの理事が大半を占める日本相撲協会の幹部だけでは、未来永劫を目指すような大改革を行うのは難しい。だからマスコミはただやみくもに批判して日本文化や歴史を破壊するのではなく、これから「何をどうしたらよいのか」をきちっと整理して報道して欲しいのである。

 最後に大相撲を愛している私からの提案を述べておきたい。

1)まず力士の給与格差を是正すべきである。

 大相撲の世界では、十両以上を関取と呼び、関取とそれ以外の力士とは全ての面に関して天と地ほどの差がある。関取は最低でも約100万円の給与が支給され、さらに個室と付き人が獲得出来る。だが十両未満の力士たちにはその全てがなく、関取の付人にならなくてはいけない。
 彼等はどんなに働いても無給である。いまどきボランティアじゃあるまいし、無給で働くお人好しがどこにいる。そのうえ、稽古と称してどつかれたり、いじめられるのでは青少年は誰も寄り付かないだろう。ましてや最近の日本人は、ほとんど高卒か大卒なのだから、有力な学生相撲経験者を呼び込むためにも、十両以上の給与をもっと下げて、少なくとも序の口あたりから給与を支給すべきである。

2)付き人は言ってみれば会社の秘書のようなもの。まだ世の中を良く理解できていない若者には不要である。少なくとも会社で言えば役員クラスである「三役以上の力士」に限定してもよいのではないだろうか。

3)日本相撲協会の理事は、少なくとも半数は外部の人間にすべきである。相撲しか知らない力士上がりの理事ばかりでは、まともな経営が出来ないばかりか、時代に応じた運営や改革をタイミングよく即座に行うことは無理だからだ。

 そのほかにも年寄り株制度などのいろいろな問題はあるが、少なくとも第一段階として上記の三点だけでも改革してもらいたいものである。

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2011年2月 3日 (木)

白夜行

★★★☆

 東野圭吾の原作も読んでないし、TVドラマも観ていない。全くの白紙の状態で観たため、それらとの比較は出来ないが、長編にもかかわらず最後まで飽きずに楽しむことが出来たのは嬉しい。

Byakuyako
 また主役の堀北真希ちゃんと高良健吾くんはなかなかの好演。ただ船越英一郎の刑事というのが、なんとなく土曜ワイド劇場という臭いがして映画らしくなかったな。
 決して彼の演技がマズイわけではないが、暗くて重いテーマに相応しい配役を選択して欲しかったのだ。申し訳けないのだが、なんとなく彼が登場するたびに、テンションが下がってしまうんだね。

 相対的には可もなく不可もなく、それなりに楽しめたという感覚だ。ただもう少し人物描写に力を注げば、松本清張の名作に近づけたかな、と思うとかなり残念である。いずれにせよ、一度原作を読んでみなくてはなるまい。

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2011年2月 1日 (火)

ヤコブへの手紙

★★★★

 登場人物は盲目の牧師ヤコブと、終身刑を恩赦され、ヤコブの家で働くことになったレイラと、たまに来る郵便配達の三人だけ。そしてほとんど会話もなく、舞台はヤコブの家と教会だけというかなり地味なフィンランド映画なのである。

Jaakob
 そのうえ上映時間は僅か70分という短さだ。フィンランドアカデミー受賞作とのこと。確かに心を打つ感動作品ではあるが、果して興行的に耐えられるかどうかは難しいところである。

 田舎での淡々とした不便で退屈な生活。善良なヤコブ牧師の生き甲斐は、毎日届けられる悩み事の手紙と、その返事を書くことだった。実はそれによって、彼は己の存在価値を確認していたのである。
 ところがある日突然、ヤコブ宛の手紙が来なくなり、彼は生き甲斐をなくし、病に伏せってしまうのだった。手紙が来ないということは、悩み事のある人がいなくなったということだ。ある意味良いことなのだが、ヤコブにとっては苦痛以外の何者でもない。そこに大きな矛盾が生じている事にヤコブは気付き、さらに深く心を痛めることになるのである。

 牧師という職業は、他人のためにあるのか、それとも偽善による自已満足のためにあるのか…。実に大きなテーマであるが、真実は藪の中だろう。それは他人がとやかく言うことではなく、自分自身が決める事なのだから…。
 感動的なのは、最後にレイラが読む二通の手紙である。一つは自分の身の上を語った架空の手紙であり、今ひとつはレイラが唯一愛していた人物からの手紙だ。このシーンでは、誰もが胸に熱いものがこみあげてくるはずである。
 そして醜悪で意地の悪い顔付をしていたレイラが、だんだん優しく明るい顔に変化してゆくのを決して見逃してはなるまい。ラストはあっけなく終るが、レイラの希望に満ちた顔が実に印象的であった。

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