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2010年12月13日 (月)

武士の家計簿

★★★★

 幕末の加賀藩で、刃ではなく「そろばんと筆」で戦う武士の物語である。主演が堺雅人ということで、かなりコミカルなお話かと思っていたのだが、これが意外と深刻なドラマだったのだ。
 御算用者とは藩の帳簿を記録する武士で、どちらかと言えば下級武士が多いという。現在ならさしずめ会社の経理部といったところであろう。

Bushikake
 彼等は一般的に、ただパチパチとそろばんをはじき、黙々と帳簿を記録しているだけの存在であったようである。堺雅人扮するところの猪山直之は、六歳のころから難しい鶴亀算を解き、御算用者としても抜群の才覚を発揮していた。
 さらには言われるままに計算と記録をするだけでは飽き足らず、奉行たちの不正を指摘したため、能登に転勤を言い渡たされてしまう。ところが上司たちの不正が明るみに出て、直之はいきなり藩主の目に止まって出世をすることになる。

 だが武士とは、身分が高くなればなるほど、見栄を張らねばならず、出費も増えるという構造的な問題があった。そのため猪山家には、父母が作った借金が山程残っていたのである。
 直之は渋る父母を説得し、自からも武士の面子を捨て、猪山家の借金返済に本格的に取り組むことにした。いわば不用資産の売却と経費削減を行うのである。また同じく財政に苦しむ加賀藩の経費削減にも尽力するのだ。現代流に言えば、彼はかなり有能な経理マンだったのである。
 ただ余りにも仕事に没頭し過ぎて、父親の通夜にさえ自室に閉じ込もってそろばんをはじく姿は、ちょっとやり過ぎではないか。またたった四文のために、嫡男に怪我をさせたり、夜中の河川敷や雨中に放り出すのはいかがなものか。
 直之のこれらの行動は、たぶん現代の若者たちには理解されないだろう。だが昔の父親というものは、皆それ以上に厳しかったのも事実である。実は長男だった私も、子供のときに父によく叱られ殴られたものだ…。一瞬、直之の姿が亡父の姿と重ってしまい、あとは次から次へと涙が落ちてくるではないか。
 主人公の猪山直之は実在した人物だが、脚本のセンスが素晴らしいし、時代考証もなかなかしっかりしている。また幕末という武士にとっては厳しい時代背景。そして単なる倹約ではなく、工夫を凝らした倹約や、必要ならば小さな贅沢は残しておくなど、不透明な現代社会にも通ずる生きざまが面白いのだ。
 若い人には理解出来ない感性かもしれない。だが少なくとも、中年以上の方には是非お勧めしたい一本である。

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コメント

たまたま幕末でしたが、今にも通じる日本の古きよき家族の物語でした。
弁当箱が無くなって、貸すといわれても、毅然として我が道をいけるあの姿勢が武士ならではだなぁって思いましたよ。現代に通じる内容だけに、それを武士であったらどうするのかみたいな。
それにしても松坂慶子さんの「いやじゃいやじゃ~」は必殺シリーズの中村家を思い出して面白かったです。(笑)

投稿: KLY | 2010年12月13日 (月) 23時26分

ご無沙汰です。
コメントありがとうございました。
ちょんまげをつけていようが、スーツを着ていようが、中身は同じく生活に追われる人間です。
猪山家の皆さんには、いろいろなことを現代の私したちに教えてくれましたね。
今年も残すところ半月です。
年をとると、1年はあっという間に過ぎ去って行くような気がします。
来年はうさぎ年、ぴょんぴょん飛び跳ねないように亀さんになって、ゆっくり年を越したいな~ぁ、なんて思ってます。

投稿: パピのママ | 2010年12月15日 (水) 17時13分

KLYさんこんにちは
仰る通り、たまたま幕末ですが、現代人に対するメッセージでもありますね。
「いやじゃいやじゃ」ですか「鯛じゃ鯛じゃ」もよかったですよ。(笑)

投稿: ケント | 2010年12月18日 (土) 12時52分

パピママさんこんにちは
ホントに最近は時間の経過が早く感じます。
どうか良いお年をお迎えください。

投稿: ケント | 2010年12月18日 (土) 12時54分

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