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2010年7月の記事

2010年7月31日 (土)

雨月物語

★★★★☆

 さすが巨匠・溝口健二監督の代表作である。始めから終わりまで、ずっと気を抜くこともなく、あっという間に鑑賞してしまった。
 そして57年前の映画だというのに、モノクロの映像にも、ストーリー展開にも全く古さを感じない。黒澤明監督のモノクロ作品と、どこか相い通じる感性が漂っている。

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 原作は上田秋成の「浅茅ヶ宿」と「蛇性の婬」だが、怪奇的なシーンは京マチ子とのからみの部分にほぼ限定されていた。どちらかといえば、戦国時代の農民たちの悲哀と葛藤を、現代社会のプロレタリズムと混合し、社会派ヒューマン作品というタッチで描かれている。
 また本作に登場する三人の女性が、なかなか個性的である。怪しい「京マチ子」、たくましい「水戸光子」、そして貞淑な「田中絹代」である。それにしてもそれぞれがハマリ役で、三人とも甲乙をつけ難い。私が彼女たちを知ったときは、すでに三人ともおばあちゃんであったが、さすがに若い時はみな美しく魅力的である。
 男性のほうは、森雅之と小沢栄太郎扮する兄弟二人が主役であるが、それぞれ形は違っても已の欲望で、現実が見えなくなっている。どちらも情けない男で、金儲けと立身出世ばかり夢見ている。だがそれは、それぞれ妻を愛しているがゆえの欲望であった。
 一方妻たちのほうは、危険を犯して金や出世を得るより、平穏な生活を望んでいるのだが、男たちにはその切実な願いが聞こえない。そして皮肉な結末を迎えることになるのだった。時代背景こそ戦国時代であるが、現代風の感性に置き換え、男性二人と女性三人の葛藤と怨念を見事に演出している。まさに名作といえよう。
 

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2010年7月28日 (水)

借りぐらしのアリエッティ

★★★★

 2年振りにスタジオジブリが放ったアニメで、ファンタジー小説『床下の小人たち』を題材に宮崎駿が企画立案し、米林宏昌がメガホンをとった作品である。
 原作の舞台は1950年代の英国であるが、本作では現代の日本を舞台に移し、肺病の少年翔と小人のアリエッティの偶然の出会いから始まる。借りぐらしとは、床下に住む小人たちが、生活必需品を人間から借りてくることをいうらしい。またある意味「狩り」とも繋がる意味合いもある。

Karigurashi
 そして彼等は非常に用心深く、決して人間に見つからないよう、つつましくひっそりと暮していた。だが少年翔が、肺病の療養でこの屋敷に移ってきたとき、若くて好奇心の強いアリエッティは、思わぬ出来事から自分の姿を彼に見つけられてしまうのである。
 小人たちの敵は人間だけではない。カラスやネズミやネコなども、彼等にとっては危険極まりない巨大生物なのだ。これらの危険を乗り越えて、現在まで生き抜いているのはアリエッティと彼女の父母の三人だけなのだろうか・・・。
 我々人間には何でもない草むらは、彼等にとってはジャングルだし、棚やテーブルの上に登るのも至難の技である。こんな冒険を毎日行っている父親は偉大な存在である。いまは人間には存在しない、かつての力強い父親がそこには生きているのだ。
 そして美麗で完成度の高い映像に、心地よい素敵な音楽がマッチして思わずうっとりとしてしまう。ジブリ作品の中でもベスト5に入るのではないだろうか。

今朝近くの森の中を散策したが、もしかしたらアリエッティが潜んでいないかと、思わずじっと草むらを覗き込んでしまった。

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2010年7月26日 (月)

忍びの者

★★★★

 1962年に上映され、市川雷蔵のヒットシリーズの一つとなったが、この映画の大ヒットを受け、品川隆二・主演の同名TVドラマも放映された。白土三平の『忍者武芸帳』と並んで、当時大忍者ブームを巻き起こしたのものである。
 なぜそれほどのブームが起ったのかと言うと、それ以前の忍者映画とは異なり、理論的かつ現実的な忍術を見せたからである。それ以前は、巻物をくわえて指で印を組み、ドロンドロンと消えたり、大ガマに変身したりと荒唐無稽だったので、大人の鑑賞に耐えられなかったのだ。

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 さて本作は織田信長の野望と、それに反感を持つ伊賀忍者との確執を背景に描きながら、権力の道具として利用される下忍の反逆を描き出している。伊賀・百地砦と藤林砦の忍者を競わせて、それぞれが結束を固めたという展開は、白土三平の少年マンガ『ワタリ』に引き継がれた。

 伊賀の上忍・百地三太夫と藤林長門守は同一人物だったという説も残っている。本作においては、その説に従ってストーリーが展開するのだが、伊藤雄之助がその両役を見事に演じ分けている。彼の個性ある怪演ぶりは、間違いなく本作の愁眉であろう。
 市川雷蔵扮する主人公の石川五右衙門は、百地三太夫の部下であるが、下忍の宿命に耐えられず、伊賀の掟を破ってしまう。この映画の中では、全てが百地三太夫の陰謀のように描かれているが、本当の真実は藪の中であろう。

 戦国時代を背景にした社会派感覚、リアルな忍術描写やクライマックスのスペクタクルシーンなど、山本薩夫監督の力量が発揮された名作に仕上がっている。また前述の伊藤雄之助を始め、若山富三郎(城健三朗)、西村晃、岸田今日子、加藤嘉など、現代では殆ど見当たらない個性的な脇役の存在が凄いのだ。そして若かりし日の藤村志保のなんと可愛いことか…。

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2010年7月24日 (土)

プレデターズ

★★☆

 プレデターものはこれまで何作か創られたが、やはりA・シュワルッネッガー主演の初回作が抜群に面白い。本作はその初回作を意識して作られたという。従って劇中の会話の中で、シュワちやんの活躍の話がでたときは、凄く懐かしい気分になってしまった。

Predetors
 ただし本作は、余りにも単純なストーリー展開に、莫大な制作費をかけたB級映画という印象が否めない。それに世界最強の人類たちというふれ込みにも疑問符がつく。もっとそれぞれの得意技を発揮させてもよかったのではないだろうか。ことにマトリックスでモーフィアス役を演じたローレンス・フィシュバーンが、あのざまでは実に情けないしもったいない。
 また主役のエイドリアン・ブロディは、こわもてするメーキャップを施していたものの、もともと彼にまとわりついている「ひ弱なイメージ」を払拭することは出来なかった。紅一点のアリシー・ブラガにいたっては、エイリアンのリプリーを狙ったのかもしれないが、どうみてもマイケル・ジャクソンにしかみえない。
 そもそもプレデターは、カニ顔を除けばほぼ人間と似た外見なので、エイリアンのようなおぞましさがない。したがって彼等よりも彼等の狩猟犬のほうが迫力があった。どきどきしたのは、前半の狩猟犬登場シーンまでである。あとは逃亡一直線で、見せ場は日本人ヤクザの刃での戦闘シーンだけという寂しさだった。
 ラストシーンも、続編を示唆するな中途半端な終わり方で、全くカタルシスを得られない。残念だが、続編が出ても映画館では観ないだろう。

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2010年7月23日 (金)

アイ・アム I am.

★★★

 最近珍しくなった邦画の近未来SF映画である。人間そっくりに創られた看護師ロボットが、心を持ち葛藤する姿を描く。『空気人形』とほぼ同時にDVDをレンタルしたため、どうしても比較したくなってしまう。

Iam
 『空気人形』のほうは切ないラブファンタジーであるが、こちらは背景が近未来であり、ファンタジー的な要素はあるものの、SF映画に分類してよいだろう。心を持つかどうかは別にして、人型ロボットの実用形はまさに介護から始まるに違いない。そう考えると、このようなロボットが近い未来に登場するのは間違いないであろう。

 ロボットのデザインに難があり、いまひとつ捻りが不足していたためか、余り評価の高くない作品ではあるが、私はこのような邦画の登場を評価したいね。どうも邦画では低調な大人向けSFであるが、少しづつ勉強を続けながら、これから少しづつ前進していって欲しいものである。

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2010年7月21日 (水)

必死剣 鳥刺し

★★★★

 必殺剣ではなく必死剣、この技を使うときは、使い手はほとんど死んでいる」という。またやき鳥じゃあるまいし、「鳥刺し」というのも妙な名前である。もしかすると長刃で自分を貫きながら、同時に串焼きのように、2~3人まとめて刺し貫く剣技なのかもしれない。などと勝手に想像していた。
 だがその予想は、見事に外れてしまった。中盤に子供たちが、とりもちを使って鳥を捕獲しようとするシーンがあり、それを見た主人公が、とりもち竿を使った素早い動作で鳥を捕る。この素早い瞬時のタイミングが、この秘剣を完成させたヒントになったのだろう。

Torisashi
 それにしても久々に本格的な時代劇を観た気がする。藤沢周平シリーズは、少々食傷ぎみになっていたが、本作は「たそがれ清兵衛」と並ぶ名作として記憶に残るだろう。
 藤沢周平シリーズのお約束である、東北の小藩と美しい四季の風景に加え、時代考証や武士と武家の女たちの立ち振る舞いにも細かく気を使っている。

 藤沢周平シリーズの主人公たちは、無口で野心もなく、淡々とした人生を送っている。ただし剣の達人なのである。本作においても、この条件は全てクリアしている。
 この条件を現代サラリーマンにあてはめると、出世欲はないが仕事の出来るプロビジネスマンということになる。ただそうした人物が、社会の中では不遇なことも事実であろう。だからこそ好感を持てるのであり、自分も常にそうありたいと祈り続けている。

 また本作のオープニングがなかなか洒落ている。格調高い能舞台が終了し、それが終って奥向きに戻る藩主の妾を、主人公の兼見三左ェ門が、あっさり刺し殺すところから始まるからである。
 だがそれだけの大罪を犯しても、打ち首にもならず、禄高半減とたった1年間の閉門蟄居で済んでしまうのだ。いきなり謎が謎を呼ぶような展開である。そして蟄居しながらの回想シーンで、謎のひとつが解明されるというなかなか洒落た手法。
 さらに2年後に禄高が戻り、藩主のボディガードという出世コースに抜擢されるのだ。ここでさらに謎は深まり、同時に「必死剣鳥刺し」の正体という謎が追加されることになる。
 武家のしきたりとその生き方、淡い恋、ミステリアスな展開、そしてラストの身震いするような殺陣。まさに邦画でしか製作不可能な、最近稀にみる凄い時代劇だ。これなら、きっと海外での評価も高いことだろう。
 ただ残念なことは、主役が時代劇に慣れていない豊悦だということ。そしてヒロインの池脇干鶴に、凛とした哀愁が漂わないし、心底のめり込むほどの魅力を感じなかったことだろう。もっとも現代は時代劇専任の俳優が不在なので、仕方がないといえば仕方がないのだが…。ただそんなもの足りないキャストの中で、唯一吉川晃司の迫力と存在感だけが光っていた。

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2010年7月18日 (日)

空気人形

★★★★

 原作は業田良家のマンガである。業田のマンガはもともと四コマギャグの出身であるが、社会風刺的な作風を特長としている。先に映画化された『自虐の詩』も彼の原作であるといえば、なんとなく感じがつかめるだろう。

Kuuki_ningyo

 空気人形とは、言いかえれば「ダッチワイフ」のことで、もてない男性のための性欲処理人形である。ある日この人形が命を得て、人間の心を持ってしまったら…。
 この映画は、ファンタジックなアイデアとペ・ドゥナの熱演が全てといってよい。全裸を晒して、一生懸命日本語で演技している彼女を観たら、なんだか悲しくなって熱いものがこみあげてきた。
 そこまで彼女を駆り立てた動機は一体何だったのだろうか。まさに彼女こそが切ない空気人形そのもののようであった。

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2010年7月16日 (金)

イエスマン

★★★★

 人生の中で常にNOを連発し、何をやってもうまくゆかず、妻にも逃げられ、とうとうひきこもり状態に陥ってしまったカール(ジム・キャリー)。ある日「イエス教」の会合に誘われて、そこの教租と「何事もイエスを連発する」という奇妙な約束をかわしてしまう。

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 だがイエスを連発し始めると、たちまち良いことばかりが起きてくるのだ。それでカールはますますイエスマンになってゆく。そして彼の人生は幅広いものとなり、変人だが気の合う美女アリソンと知り合うことになるのだった。
 それにしても、こうした荒唐無稽なコメディーをやらせたら、ジム・キャリーの右に出るものはないだろう。そして彼の演技力の凄いところは、ばかばかしいことを大真面目で演じるため、ただ笑えるだけではなく、喜怒哀楽の全てを総動員出来るのである。
 またアリソン役のゾーイ・デシャネルの可愛いこと。こんな娘と知り合ったら、誰でも悩み事なんてぶっ飛んじゃうよね。とにかく元気の出る映画だった。

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2010年7月13日 (火)

参議院選と消費税

 やっと真夏の選挙が終り、自民党が復活して民主党が敗れた。民主党の敗因は、菅首相自らが語ったように、消費税問題で右往左往したことだ。消費税そのものではなく右往左往に問題があったのである。
 一部のマスコミ報道には誤解もあるが、良識ある有権者は、決して消費税率アップそのものに反対しているわけではない。欧州に比べて日本の消費税率が低いのは、万人の知るところだし、財政の立て直しのためには、抜本的な税法改正の必要性も承知しているはずである。それに何と言っても先に消費税率10%を提示した自民党が大勝したのだから。
 それをマスコミはこぞって、あたかも首相が消費税率のアップを掲げたからだという。認識不足も甚だしいし、天下のNHKまでが消費税を悪者にしているのだから、情なくて涙が出てしまう。それから少し前までは、大新聞たちは、こぞって消費税率アップを促していたじやないか。そんなことは知らぬ顔の半兵衛よろしく、全く首相を擁護しようとしないのはどうしたことだ。

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     「ケントの絵手紙小屋より」

 そもそもはじめ首相は、「財政の立直しには、税制の抜本改正が不可欠だ」と言ったはずである。当然税制の中には消費税も含まれるわけだが、いつの間に消費税率のアップだけに焦点が当てられてしまった。
 またいつの間にか、明日にでも消費税が増税になるような報道がなされているが、これも首相は3年後に民意を問うてからといっているではないか。ただ議論だけは超党派で早目にやろうと言っただけなのだ。
 これは首相が世襲政治家のようなボンボンではなく、実務的な人間だからこそ発言したのだと思う。なぜなら歴史的な税制大改革などは、1年や2年では構築出来ないからである。またそれだけ大きな税制改革なら、当然1年以上前にその全体像を公表しなければ、企業の経理部門や会計ソフトウェアの製作会社は、全く事前準備が出来ないではないか。従って3年前に議論を始めても遅いくらいなのである。
 何十年も経理実務を担当しているので判るのだが、今まで法律の公表が後手後手に回わり続け、どれほど現場が泣かされてきたことか。だから首相が、税制大改革の議論を急いでいる気持ちは十分に伝ってくるのだ。

 平成10年度に大幅な減税が先行して行れたが、このときその減税の財源は、1~2年先に増税を目論んでいた消費税と、法人・個人の所得増だったはずである。それを自民党の歴代首相が、人気とりのためズルズルと放置してしまった。さらに世界同時大不況が起こり、法人・個人の所得も低迷してしまった訳である。そのつけが今日に至っているに過ぎない。こんなことは多少でも経済に興味がある者なら、誰でも知っている常識であろう。

 ただし菅首相が迂闊だったことも否めない。「税法大改革をする」までは良かったのだが、マスコミや野党に挑発されて、いまだ十分に論議しないまま、成り行きで具体的な手法や数字を喋るから反撃されるのである。まさに彼等の罠にかかってしまったのだ。
 ことに鳩山前首相の思いつき発言に翻弄されたマスコミや有権者たちは、「菅さんお前もか!」という怒りを再燃させてしまったのだ。少なくとも菅首相の失敗はその一点だけであり、「消費税率アップ発言」で民主党が敗北したわけではないと言いたい。念のためひとこと申し添えておくが、私は決して菅さんのファンでもなければ民主党支持者でもない。マスコミの報道こそ「ねじれ」ていると訴えたいだけである。

 そもそも鳩山前首相の決断力のなさから宙に浮いてしまった普天間問題と、小沢前幹事長の不正献金問題の二つが最大原因であり、さらには小沢派と反小沢派の確執による内部崩壊が命取りになっているのだ。もしあのまま鳩山さんが首相を降りなかったら、44議席どころか30議席にも届かなかったのではないだろうか。44議席も確保出来たのは、むしろ勝利といってもいい。

 ここへきて、野党はこぞって解散総選挙の雄叫びをあげているが、こんなときに総選挙どころではない。それよりじっくりと、国民のために政策を練って欲しいよね。また敵は身内にありで、小沢派が虎視眈々と巻き返しを狙っているという。
 冗談じゃない。政治家どもは、どいつもこいつも自已利益ばかりで、国民のことを考えている者は誰もいないのか!。ねじれ国会で結構。参議院の本来の役割が発揮出来るのだから、これは決して悪いことではない。ただ心ない政治家どもが利権だけに溺れたり、お互いに意地を張ってきちっと議論をしないから「ねじれ」が起るのだ。

 日本の行く末を本気で心配する「心ある真の政治家」はいないのか。これ以上足のひっぱり合いに終始していたら、日本丸は完全に沈没するだろう。
 マスコミさん、野党さん、小沢派さん、お願いだから、目先の視聴率稼ぎや猿山ボス争いは暫く棚上げして欲しい。このままでは10年後には、日本全体が消滅してしまうぞ。そして、有権者さんも含め、もっとビジョンを持って、未来ある住み良い日本を日本人全員で創ってゆこうよ。

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2010年7月11日 (日)

Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼

★★★★

 ケヴィン・コスナーは、年老いても二枚目役にこだわり続けた結果、最近はヒット作にめぐまれなかったようである。ところが本作では、普段は優秀なビジネスマンだが、実は殺人衝動を抑えられない殺人鬼という今までにない役柄に挑戦している。

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 このジギルとハイドのような狂気的展開が、意外とケヴィンのハマリ役となり、なかなか見応えがあった。メガネがなかなか似合っていて、最初ケヴィンであることに気付かなかったくらいである。
 またデミ・ムーアが、この殺人鬼を執拗に追いかける女刑事を演じ、なかなかこれもハマリ役であったが、ラストの電話以外は、全くケヴィンとのからみがない。これが少しもの足りないのだが、続編を意識してそのように創られたのだろうか。
 そしてブルックスの分身マーシャルを演じた名優ウィリアム・ハートの存在も欠かせない。この分身がブルックスのエゴと嫌味な内面を見事に表現したお陰で、この映画のサイコ度合がさらにアップしたと言えよう。
 ただ続編を意識する余りラストを夢落ちにしてしまったのが惜しい。あそこはあのまま終わったほうがより狂気を発散出来たと思うのだが・・・。

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2010年7月 9日 (金)

ザ・ウォーカー

★★★★

 ネットでの評判が思ったより良くなかったので、今まで見送っていたのだが、終映間近になってやはり観ておこうと思い直した。
 終末戦争後の荒れ果てた世界で、この世に一冊だけ残った「ある本」を届けようとする旅人が、ひたすら西に向って歩き続ける。そしてある町を支配する男と、その本を巡って争うことになる。

Thewalker
 その本とは、一体どんな本なのか、そして誰に届けようとしているのか。その本は『あらゆる人を支配出来る武器のようなものだ』という、そして終末戦争もその本によって引き起こされたという。

 サングラスが良く似合うデンゼル・ワシントン。そして54歳になる彼の、超人的ハイスピードアクションが見所である。荒涼とした廃墟が延々と続き、ところどころに死骸が転がっている。さらには、旅人たちを無差別に襲う暴徒たち。
 黒人が主人公であり、やはり終末の世界を描いた『アイ・アム・レジェンド』と酷似していると思っていた。ところがそれは序盤だけ、『アイ・アム・レジェンド』では、動物やゾンビたちに悩まされたが、本作の敵は人間である。またその敵たちが、なんとなく西部劇に登場する悪人一家のようであり、これも座頭市と通じる部分だね。

 結局この悪人たちとの戦いは、だんだんエスカレートし、とうとう装甲車やロケットランチャーまで飛び出す始末。おいおいそんなもの、一体どこにあったんだ。
 本の正体は、後半になると大体見当がつく。だがラストのドンデン返しは、全く予想外だったので少なからず感動した。そして、話は一変してだんだん宗教臭くなってくる。やはりプロデューサーが同じという『マトリックス』の世界観とも相通ずるところがあるね。
 途中から話の軸がズレた感があり、それが不評の原因かもしれない。だがデンゼルの神がかりな超スピードアクションと、この作品全体に流れる寂莫とした世界観は好きだなあ。

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2010年7月 7日 (水)

湯西川温泉と日光キスゲ

 まず宇都宮ICで降りて、宇都宮餃子館インター店』で、噂の宇都宮餃子を食ベる。本来は宇都宮駅周辺密集している餃子店を覗いて歩きたいのだが、車での途中下車のため、大駐車場があり、インターのまん前にあるこの店で我慢することにした。

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 餃子セット1000円は、焼餃子、スープ餃子、蒸し餃子、揚げ餃子などいろな種類の餃子がついてくる。また焼餃子セットもシソ餃子、椎茸餃子、チーズ餃子、海老餃子、激辛餃子など10種類以上の餃子が顔を並べるのだ。全く餃子好きにはたまらないね。

 さて餃子で早めの昼食をとった後は、再び宇都宮ICへ戻り、日光宇都宮道路で今市ICへ行き、国道121沿いにある鬼怒川温泉や川治温泉を通り抜けて、目的地の湯西川温泉に向かう。

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 途中、龍王峡という鬼怒川の景勝スポットがあるので立寄ってみた。さして期待もせずなにげに立寄ったのであるが、虹見の滝や虹見橋からの眺めは、まさに自然の芸術品という趣きがあり、かなり得をした気分になることは間違いないだろう。

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 龍王峡をあとにして、鬼怒川治いに121をさらに上流に走ってゆくと、五十里湖の手前にある会津鬼怒川線湯西川温泉駅に到着する。目的地の湯西川温泉郷は、ここからさらに車で25分ほど山奥に入ったところにあるが、とりあえずここで休憩して駅前にある足湯に入ってみた。なかなか良い湯であり、俄然今夜の宿の温泉が楽しみになる。

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 本日の宿泊場所の『花と華』に到着したのは、午後4時ちょいと前であり、なんと自宅の神奈川から約7時間も経過していた。この旅館は、温泉街から少し離れた湯西川沿にひっそりと建っているので、閑静でなかなか趣がある。

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 このあたりの料理は、囲炉裏で川魚や野菜などを患焼きにする「平家お狩場焼」が定番であり、懐石料理のような繊細さはないが、豪快に野趣たっぷりの雰囲気が味わえる。食事のほうはそんな田舎料理であるが、部屋や風呂から眺める渓流は、疲れた心にはとても美味であった。

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 梅雨時の旅行なので雨に降られるのは覚悟していたが、湯西川温泉駅までは晴れていたのが嬉しい。明日は日光キスゲを見るために霧降高原経由で帰るつもりだが、雨がやんでくれることを祈りたい。

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 私の祈りが天に通じたのか、翌朝は快晴であった。さっそく近くにある『平家の里』という観光スポットに向かった。ここは平家の落人たちが、源氏の厳しい追手から逃れて、この秘境・湯西川に身を隠して生活していた生きざまや生活様式を復元した施設である。見どころは藁ぶき屋根の旧家と、当時の古い家具などの展示品だろう。
 さて、ここで時間をつぶしているうちに、少し雲行きが怪しくなってきたので、さっそくメインの霧降高原に車を飛ばすことにした。途中、川治ダムを眺めながら山道をさらに登ってゆくと、雨がパラパラと降り出してしまった。

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 とりあえず大笹牧場で休憩していると、大雨になりあたり一面に霧が舞い降りてきた。まさに霧降高原である。これでは日光キスゲは諦めるしかないか・・・。そう思っていたら、運良くだいぶ小雨になってきた。

Img_3436
 それで急いで大笹牧場を出発して霧降高原キスゲ平へ向かった。小雨になったとはいえ、やはり高地なので霧が晴れることはない。

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 それでも、キスゲ平のリフト乗り場に着くと、日光キスゲ目当ての観光客で賑わっているではないか。リフト乗り場の周辺は、薄っすらとたちこめている霧の中、一面が日光キスゲの黄色に覆われている。晴れていれば申し分ないが、霧の中に群生する日光キスゲの姿も実に幻想的であった。

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2010年7月 6日 (火)

春との旅

★★★★

 足の悪い元漁師の老人と失職した孫娘が、親族を頼って渡り歩く旅を描いたヒューマンドラマであり、まさに大人の味が一杯詰まった映画であった。
 キャストは元漁師の老人に仲代達也、孫娘に徳永えり、その他大滝秀治、菅井きん、小林薫、田中裕子、淡島干景、柄本明、香川照之といった芸達者なべテラン陣が脇を固めている。とにかくこんな豪華な脇役キャスト陣は、最近観たことがないよね。だから地味ではあるが、大人の匂いプンプン漂ってくるのだ。

Haru
 この映画のメインテーマは、老後の生き方と、過ちと責任の問題であろう。それがこの話の主人公である老人と孫娘の、それぞれが抱える葛藤となっているのである。
 自分のことは自分が一番よく判っている。また死期が近づいてきて、自分のこれまでの生き様を否定してもどうにもならない。
 せめて親族だけには甘えてみたいが、いい年をして相手の家庭を破壊するわけにはゆかない。みじめな旅になるのは判っているが、もう一度だけでも確認したい。

 きっと彼はそう思って苦しい旅に出たのであろう。孫娘もそれを承知で一緒についてゆく。そして彼は自分の思いを遂げ、孫娘の愛情を確認し、満足して「次の旅」に向かったに違いない。
 名優・仲代達也を相手にして、純朴で垢抜けない孫娘を演じた徳永えりが、なんともいえない良い味を出していたよね。また愁眉は閉店後の蕎麦屋での会話である。ここでは二人の表情とセリフだけが勝負だ。それを見事クリアして、しみじみと家族の絆の重さを感じさせてくれた、二人の演技力に拍手・拍手。

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2010年7月 4日 (日)

ACACIA アカシア

★★★

 アントニオ猪木が主演する映画ということで全く期待していなかったのだが、これが意外に良い話であった。あの「1、2、3ダァー」の猪木にしては、憂いある元プロレスラーの老人という雰囲気は十分漂っていた。ただ無理もないが、猪木の単調なセリフ回しはいまひとつ…。

Acasia
 暗く寂しく、淡々とストーリーは進んでゆき、なにか深くえぐり出すようなものが足りないのだ。またストーリーの繋ぎ方にもチグハグ感があり、あっさりとし過ぎている。救いといえば、子役の演技力と、父親役の北村一輝の腹話術かな。またその少年と父親との微妙に揺れる心情の描き方も良かったね。

 それにしても、なぜ猪木なのだろうか。確かに元プロレスラーの中では、彼をおいてこの役をこなせる者は少ないだろう。しかしながら、とくに本物のプロレスラーを起用する必要もなく、演技力のある大柄な俳優のほうがよかったような気もする。また演技力うんぬんではなく、陰りある老人役を見事にこなしてはいても、やはり猪木からはアントニオ猪木という強烈なオーラが発散されてしまうからである。

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2010年7月 1日 (木)

ブラインドネス

★★

 これがあの『シティ・オブ・ゴッド』のフェルナンド・メイレレス監督作品なのかと、全く信じられないほどの駄作であった…。
 渋滞する交差点で視野が真っ白になり、突然失明した日本人(伊勢谷友介)が、第一犠牲者だった。そしてこの失明は感染するため、彼の周囲にいた人々が次々と感染し、彼等は隔離病棟に強制収容されてしまう。

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販売元:角川エンタテインメント
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 だが次々と感染者が増加し、ついには全世界が失明者で溢れかえってしまうのだ。ところが、ジュリアン・ムーア扮する眼科医の妻だけが、なぜか感染しないのである。
 アイデアは面白いし、終盤の荒れ果てた街の映像も見事である。だが誉められるのはそこまでで、あとは何もない映画であった。
 病棟における独裁者の存在が嘘っぽく、まるでB級作品並の発想である。そもそも警察に強制収容された人間が銃を持っているのか、そして拳銃の弾丸が無限につきないのか。
 さらにその独裁者が、女を差し出せといったとき、やっぱり低俗な展開にしちゃったな、とがっくりしたものだ。また唯一目の見える女主人公が、そのバカげた要求を簡単に赦してしまったのも解せない。どうせ反抗するのだから、レイプされる前にするべきだろう。それがこの監督の感性だとしたら、悪趣味で嫌味である。
 この後味の悪いレイプシーンは不要ではなかったか。またサービスのつもりかもしれないが、ラストのシャワーシーンも余り必然性がない。木村佳乃だけが脱がないと批判もあるが、こんな映画で安易に脱がなかった彼女が正解かもしれない。
 またテンポが悪くて、上映時間が長過ぎる。その割には、この失明の原因がなにも解決されないまま、急にほのぼのハッピーというのも不満である。この監督は一体何を言いたかったのか、こちらも全くのところ不明だね。

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