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2010年6月17日 (木)

孤高のメス

★★★★☆

 いきなり葬式シーンから始まり、喪主である息子が、看護師だった亡母(夏川結衣)の日記を読み、回想シーンに突入してゆく。

 そこでは、手付きの悪い医者が、内臓にメスを入れているのだが、どうやらメスの入れ方が間違ったようで、患者の血しぶきが医者の目に飛んでくる。そして手術室は医者の怒号でバタバタになる。

Kokouno
 ここは地方の市民病院なくだが、難しい手術は全て大学病院へたらい回し。その大学病院から腰かけ気分で出向してきた医者がこの下手クソ外科医で医長なのだ。彼等は出向期間だけ大過無く、お気楽に過ごすことだけが目的なので、医師本来の役割など全く考えてもいない。またそうした自分達にとって、風当たりが悪くなる原因となる邪魔な存在は、徹底的に排除する。

 ドラマだからこうしたとんでもない医師が存在するのか、それともそれが現実なのか。原作者が医師であることを考えると、たぶん後者のほうが実態なのだろう。
 ある日のこと、心ある市長の意見で、この荒れ果てた市民病院に、ズバ抜けたメスさばきと、医療に対する真摯な考えを持つ医師が赴任してくる。彼こそが、この物語の主人公となる当麻鉄彦(堤真一)なのだ。
 各地を転々とし、ちょっと変わり者の当麻医師だが、彼の仕事ぶりは素晴らしく、まるでブラックジャックのようであった。そして次第に若い医師やナースも、彼の見事な仕事ぶりに心酔してゆく。

 どこかで見たようなストーリーかもしれないが、手術中の映像はかなり生々しく、まるで本物の臓器を切り開いているようだった。また堤真一の手の動きも素早く正確であり、かなり練習したのではないかと思われる。さらに手術中の彼の鋭い目付きがなんとも言えない。おもわず往年の田宮二郎が演じた『白い巨塔』を思い出してしまった。
 いまさらであるが、この作品を観て、医療制度のあり方、医師とは一体何をする仕事なのかを改めて考えさせられた。そして金のかかる医学部への入学が仇になり、医者の子供ばかりが医者になっている現状を憂う気持ちが強くなった。

 この医学界の現状は、やはり金のかかる政治家とどこか似ているじゃないか。医者や政治家は、国民にとって重要な職務である。だからこそ、本来はその職務に適した人物がやるべきであり、決して金や親の七光でなるべき職業ではないはずである。
 話は少しそれるが、そうした意味で親がサラリーマンで、大きな資産も有していない菅直人が、首相になったという意義は大きいのだ。私自身は決して彼や民主党を支持する者ではないが、日本がやっと本来の方向へ旅立とうとしている姿には拍手を送りたい。

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コメント

是非原作をおススメしますよ~。
原作では医療を取り巻く様々な問題点を幅広く網羅しています。映画では脳死肝移植に絞ったのが正解で、短い時間内にきっちり訴求できていたのではないかと思いました。
あの手術シーンはかなり練習したんだそうです。本当に手術できるかもしれないとか思っちゃったそうですよ。^^;

投稿: KLY | 2010年6月17日 (木) 23時55分

とても素直に感動させられました。
ひねくれもんなので、もっと裏の裏やら、ドロドロネバネバの話かと思っていたもんで、ちょっと物足りなかったのですが、KLYさんのお勧めで、今度本を読もう!!と思ってます。

投稿: sakurai | 2010年6月18日 (金) 08時08分

KLYさんこんにちは
それにしても映画だけでなく原作までよく読んでいますね。もちろん仕事もしているわけでしょうから、一体KLYさんの毎日はどのようになっているのか不思議ですね。まさかサイボーグKLYではありませんか?
さて、おすすめの原作も是非読んでみようかと思っています。

投稿: ケント | 2010年6月18日 (金) 20時42分

sakuraiさんこんにちは、裏のドロドロネバネバを描いちゃうと、まさに「白い巨塔」になっちゃいますから、これはこれでそれなりにオリジナリティーがあって良かったと思いました。
原作を読んだら是非感想を教えてください。

投稿: ケント | 2010年6月18日 (金) 20時44分

こんにちは。
医者という命を預かる仕事について、今一度、考えることができた作品でした。
まっすぐな良い映画だと思います。

政治家一家でない人が総理大臣になるのは久しぶりですね。
あんな状態の民主党なのに、支持率が高い理由は、そういった部分ではないかと自分も感じていました。

投稿: | 2010年6月19日 (土) 06時46分

亮さんこんにちは
今更ではありますが、本当に医者の仕事の大切さを痛感しましたね。金がなくても医者の資質があれば誰でも入学出来るシステムが必要ですよね。もし入学後に不適切な人物と判明したら卒業させなければいいわけですから。政治家もインターネットと政権放送以外は選挙運動が出来なくし、投票もインターネットで行えば誰でも立候補出来るのでは。ただ有名というだけで投票する単純な人は、だんだん少なくなると思います。国民はそれほどバカではありません。

投稿: ケント | 2010年6月20日 (日) 18時19分

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