母なる証明
★★★
今頃になってこの作品を映画館で観た。『殺人の追憶』と『グエムル』のポン・ジュノ監督・最新作だし、ネットではかなり評価が高いからである。
母の偉大な愛を称えるような邦題、そしてそれを追従するようなコピー文。「殺人事件の容疑者となった息子を救うため、真犯人を迫う母親の姿を極限まで描く、ヒューマン・ミステリー」ときた。
そしてカンヌ国際映画祭で絶賛の嵐!韓国では、公開10日で200万人を超える今年最高の大ヒットスタートを記録!と続くのだ。
確かに母親役のキム・へジャの鬼気迫る演技力と存在感は大賞賛に価するだろう。そして他のキャスト達の演技ぶりもなかなか捨て難いものがある。
だが私が期待していたものとは、何かが違っているのだ。年を取るにつれ、韓国のキムチパワーには、だんだんついてゆけなくなってきたのかもしれない。毎度のことだが、せっかくシリアスな作品なのに、序盤の場違いな「おバカなスペック」や、警察の無能ぶりと、雑な取り調べには興ざめしてしまった。昔の香港映画同様、そうした無神経さが気に入らない。
ただラスト近くのドンデン返しには、「また韓国映画にやられた」という愕然とした思いで一杯だった。この映画は、このドンデン返しのために存在する映画なのだ。
というより、このドンデン返しがなかったら、「母子愛を描いたヒューマンドラマ」にはなり得ず、頭の弱い美形の息子を狂愛する老女の、枯れた官能ミステリー作品で終わっていただろう。
ところで、あの「放火シーン」のときから気になっていた「針箱」の行方だが、ラストにきちっと落とし前をつけたところで、ポン・ジュノ監督の力量が確認出来た。それから、人いない野原でキム・へジャが腰を振るオープニングと、バスの中で踊りだすエンディングは奇妙だが実に印象的だった。
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» 母なる証明 [佐藤秀の徒然幻視録]
公式サイト。ポン・ジュノ監督、キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン。「やられたらやり返す」。知的障害気味の息子トジュン(ウォンビン)の愚直なまでの行動が実は真相を正直に語っていた。... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 13時43分
» 母なる証明 [迷宮映画館]
人のもつ闇を、ここまであぶり出されたら、ぐうの音も出ない。 [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 13時45分
» 【母なる証明】 [日々のつぶやき]
監督:ポン・ジュノ
出演:ウォンビン、キム・ヘジャ、チョン・ミソン
永遠に失われることのない母と子の絆。
すべての謎の先に人間の真実が明かされる。
「小さな街で漢方の仕事をする母は二人暮しの息子トジュンを溺愛していた。
ある日、トジュンが女子... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 14時27分
» 『母なる証明』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「母なる証明」□監督・脚本 ポン・ジュノ □脚本 パク・ウンキョ □キャスト キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン■鑑賞日 10月31日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> ウォンビンが帰って来た。 おそらく彼をスクリーンで観たのは『マイ・ブラザー』以来だろうか・・・。 彼自身が選んだ復帰第一弾のこの作品、『ブラザー・フッド』もそうだったと記憶するが、 兄弟愛であ... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 17時29分
» 狂気は回る〜『母なる証明』 [真紅のthinkingdays]
MOTHER
韓国の田舎町で小さな漢方薬局を営む母(キム・ヘジャ)は、殺人事件の容疑
者となった最愛の一人息子・トジュン(ウォンビ... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 20時02分
» 母なる証明/마더 [LOVE Cinemas 調布]
『殺人の追憶』、『グエムル -漢江の怪物-』のポン・ジュノ監督が送るサスペンスミステリー。主演は“韓国の母”と呼ばれる国民的女優キム・ヘジャ。そして共演に5年ぶりに兵役から復帰したウォンビンが出演。殺人の罪を着せられた知的障害を持つ息子を助けるために、狂気ともとれる母の愛で真犯人を捜す姿を鋭く描いた作品だ。原案・脚本もポン・ジュノ監督が務めている。... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 20時30分
» 母なる証明 [映画的・絵画的・音楽的]
「母なる証明」を渋谷のシネマライズで見てきました。
韓国映画については敬遠気味で、今年は「悲夢」に次いで2作目にすぎません。とはいえ、評判がかなりいいので、これぐらいは見ておこうと思ったわけです。
映画の冒頭は、草原に年配の女性が遠くから歩いてやってきて、手を振りかざしながらゆっくりと回りながら踊る場面、次いで、その女性が漢方薬を作っている店の前で息子トジュンが車にはねられる場面となり、繋がりがよくわからないながら韓国映画特有のどぎつい内容になっているな、とは思ったものの、次第に映画の中に... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 21時10分
» 母なる証明 / Mother [我想一個人映画美的女人blog]
「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」 でも高い評価&注目を浴びるポン・ジュノ監督の最新作。
ある罪を問われた息子を守ろうとする母親を描いたミステリーサスペンス!
ってことでかなり楽しみにしてました★
NY国際映画祭やカンヌ映画祭でも上映済み!
女子高生殺人事件の謎を解いていくミステリーものではあるけど、
映画の焦点、一番のみどころとなっているのは
一心に息子を思う母親の常軌を逸した心理と行動
5年振りの復帰となるウォンビン。
子供そのまんまのような、純粋さを持つ、知的障害の青年を見事に演じて... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 21時19分
» 母なる証明(2009)◆MOTHER [銅版画制作の日々]
永遠に失われることのない母と子の絆。すべての“謎”の先に“人間の真実”が明かされる。
母の子供への無償の愛
殺人事件の容疑者となった息子を救うため、真犯人を追う母親の姿を極限まで描く、ヒューマン・ミステリー
11月6日、京都シネマにて鑑賞。頭をどつかれたような凄い衝撃を受けた。「チェイサー」といい勝負じゃないかな・・・・?!
冒頭から驚き!というより不思議な光景なのだ。母(キム・ヘジャ)が晩秋のすすき野原で突然踊りだすシーンである。何で踊るの?一体これは何を意味するの?唐突なシーンには監督の... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 22時28分
» 母なる証明 [そーれりぽーと]
ポン・ジュノ監督最新作は、兵役帰りのウォン・ビンを迎えて母子の愛をサスペンス仕立てで描く。
今度はどんな風に唸らせてくれるのかすげー楽しみなんですけど!
『母なる証明』を観てきました。
★★★★★
漢方店を営む母と、知的障害を持つその息子の話。
母親が店から外を観ていると、息子が警察の車で連行されようとしている。
半狂乱で店から飛び出し、走って車を追う母。
母が拘置所で息子と面会した時、彼は近所の女子高生を殺害した容疑に関して、理由も理解できないまま警察の作成した供述書に拇印を押してしまっていた... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 23時18分
» 母なる証明 [映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子公式HP]
母なる証明 スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]母と子の関係はすべての人間関係の基本だ。本作は、とりわけ母親であることの原初的な力強さを感じる、すさまじい映画である。だが俊英ポン・ジュノ監督は、ありがちな親子愛ではなく、複雑な魅力を持つ、ミステリアスな人....... [続きを読む]
受信: 2010年3月15日 (月) 23時56分
» 母なる証明 [だらだら無気力ブログ]
『殺人の追憶』や『グエムル』のポン・ジュノ監督が殺人事件の容疑者に された息子の無実を証明するために真犯人探しに奔走する母親の姿を描いた サスペンスミステリー。漢方薬店で働く母親は知的障害のある息子・トジュンと二人暮らし。 母親にとってはトジュンの存在が全..... [続きを読む]
受信: 2010年3月16日 (火) 01時31分
» 「母なる証明」 ミステリーとして、人間ドラマとして第一級 [はらやんの映画徒然草]
ミステリーとして、そして人間ドラマとして第一級の作品として仕上がっています。 ミ [続きを読む]
受信: 2010年3月16日 (火) 06時35分
» 母なる証明・・・・・評価額1750円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
凄みのある映画だ。
デビュー以来、一作ごとに全く異なったジャンルの作品に挑み続けている、ポン・ジュノ監督の長編第四作はナント「母物」... [続きを読む]
受信: 2010年3月18日 (木) 00時38分
» 母なる証明 [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
「殺人の追憶」「グエムル 漢江の怪物」で世界の注目を浴びたポン・ジュノ監督が、殺人の罪を着せられた息子を救うため奔走する母親の姿を通じて、母と子の究極の愛を描く。
TV「宮/Love in palace」のキム・ヘジャと、5年ぶりに俳優業に復帰した「マイ・ブラザー」....... [続きを読む]
受信: 2010年4月 8日 (木) 17時27分
» mini review 10453「母なる証明」★★★★★★★★☆☆ [サーカスな日々]
凄惨な女子高生殺人事件を皮切りに、事件の容疑者となった息子と、息子の無実を信じて真犯人を追う母の姿を追ったサスペンス。監督は『殺人の追憶』などで国際的に評価される名匠ポン・ジュノ。主人公の母を“韓国の母”と称される国民的人気女優キム・ヘジャが演じ、その息子を『ブラザーフッド』のウォンビンが演じている。カンヌ国際映画祭でも絶賛されたポン・ジュノ監督の卓越した演出と、兵役後の復帰第1作となるウォンビンの熱演に注目だ。[もっと詳しく]
<病>を背負った「一卵性母子」の哀しさと狂気。
『母なる証明』で... [続きを読む]
受信: 2010年4月30日 (金) 01時15分
» 【映画】母なる証明 [★紅茶屋ロンド★]
<母なる証明 を観ました>
原題:Mother
製作:2009年韓国
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「グエムル」の監督、ポン・ジュノが手がけるサスペンス。
韓国の国民的人気女優のキム・ヘジャとウォンビンが親子を演じることでも話題となった作品。
ある女子高生が殺害された。その容疑に、貧しく暮らす母子家庭の息子が警察に犯人として拘束されてしまう。息子の無実を信じる母親は、たった一人で事件の真相の探り出すのだが…
予告を見た限りだと、サスペンスとは感じにくく、ちょっと暗い雰囲気の映画だなぁという印象を持っ... [続きを読む]
受信: 2010年9月10日 (金) 20時43分
コメント
亮さん
仰るとおり「息子と同じようなしょう害がある青年が犯人ではないことをしっているにもかかわらず、息子を助けるために、全てに眼をつむった部分に衝撃を受けました。」は同感であります。誤逮捕とあの面会シーンはなかなか味かありましたね。
ただ誤逮捕の理由がはっきりしない。韓国の警察は本当にあんなに無能なのか?この監督が警察嫌いなのか?そこのところがモヤモヤしています。
投稿: ケント | 2010年3月19日 (金) 09時57分
いやぁ、自分の場合は、そのドンデン返しも効きましたが、息子と同じようなしょう害がある青年が犯人ではないことをしっているにもかかわらず、息子を助けるために、全てに眼をつむった部分に衝撃を受けました。
あれを母性というのか・・・ 男には分からない部分を感じました。
全てを忘れるツボをついて、最後にバスの中で踊っている姿。
今も、強烈な印象です。
投稿: 亮 | 2010年3月18日 (木) 23時13分
亮さんしばらく振りです。
やはり皆さんラストのドンデン返しには参ったようですね。ただ良く考えると途中の映像で、石を投げられそのまま恐れて帰ってしまう映像があったような気がします。ですから、ドンデン返しになるわけですが、ある意味嘘の映像を流したということになりませんかね。
はっきり覚えていないので確信出来ませんが、もしそうだとすると、かなり問題です。亮さんはどう思いますか?
投稿: ケント | 2010年3月17日 (水) 21時52分
KLYさんこんにちは
韓国映画は昔よく観ましたが、最近は久し振りに観ました。昔観て良かったのはなんといっても『八月のクリスマス』、『ラブストーリー』、『猟奇的な彼女』などですね。
時間テーマものの『イル・マーレ』や『リメンバー・ミー』にも感動しました。
何と言っても韓国映画の良さは、思い切ったアイデアと過激な表現なのですが、年とともに過激な部分には耐えられなくなってしまったのです。
投稿: ケント | 2010年3月17日 (水) 21時41分
こんにちは。
最後のどんでん返しには、やられました・・・
男の自分には分からないあまりにもの母性に、驚きを隠せませんでした。
しばらく、自分の心が揺れ動いてましたから。
韓国映画をたくさんご覧になっているようですね。
自分は、まだまだ・・・
いろいろ観たいと思います。
投稿: 亮 | 2010年3月16日 (火) 23時01分
こんにちは。
うーん、多くの韓国作品をご覧になっているからこそ感じられる感想にさすがだなぁと思いました。
私などのように昨年初めて韓流映画(ドラマはいまだにないです。)なるものを観始めた者にとっては、リアルタイムでポン・ジュノ作品を観たこと自体が初めてで、この作品も痛く心に響いています。
何しろ、韓流作品にも結構当たり外れがあるんだなと、最近ようやく気付き始めたぐらいですから。(笑)
投稿: KLY | 2010年3月15日 (月) 20時33分
sakuraiさんこんにちは
「凡百の韓国キムチパワーとは、一線を画していたような。。」
もちろん私もそれは同感です。そしてこの作品も良く出来ていることは否めません。ただ年を取ってくると、韓国流の過激さと極端な展開などに付いて行けなくなりました。
若い頃は「オアシス」とか「魚と寝る女」とか、「オールド・ボーイ」など過激な作品に感動したのですが・・・。
あと序盤のおバカなシーン(ゴルフ場と警察の取調べ)など、私的にはちっとも笑えなく、どちらかといえば「真面目にやれ!」という感覚なんですね。
ただおっしゃる通り、キム・へジャの演技力と、ラストのドンデン返しは絶賛に値しますね。
投稿: ケント | 2010年3月15日 (月) 16時30分
TBありがとうございました。
何か期待していたものと違う・・というのは、なんとなくわかります。
でも、あたしがこの映画から感じられたのは、凡百の韓国キムチパワーとは、一線を画していたような。。
見てすっきり・・・とは程遠かったですが、見た甲斐のある映画でした。
ああいう女優さんは、日本にはまず、いないタイプですよね。きれいにこじんまりまとまってて。
投稿: sakurai | 2010年3月15日 (月) 16時02分