リターン
★★★☆
日本では余り知られていないコリアンシネマだ。それもそのはず、日本では劇場未公開作品だからである。
麻酔をかけたのに、手術中に意識が残ったままの状態を「術中覚醒」と言うようである。この状態で手術をされたら堪ったものではないだろう。
この映画のオープニングでは、「術中覚醒」状態で少年が手術を受け、内臓をメスや電動ノコで切り刻まれる。「ギャーッ、痛い、痛い、痛い、痛い」と少年は泣き叫ぶが、全身麻酔で声も出ないし、体も動かせないのだ。ただじっと手術が終わるのを堪えるより方法がない。
リターン [DVD] 販売元:タキ・コーポレーション |
このオープニングでは、これでもかと恐怖感を煽りたてる。そしてこの「術中覚醒」は、現実にも発生しているという。もし自分が手術するときに、「術中覚醒」になったらどうしょう。誰もがそう感じて鳥肌が立つに違いない。
少年は無事退院するが、手術をした医師の娘で、自分と同じ小学校に通う少女をトイレ突き落として殺害する。その少女の糞まみれの顔が実に恐ろしいのだ。この事件が発覚し、少年は精神病棟に隔離される。
このオープニングが終了すると、スクリーンはすぐに25年後の世界へ跳んでゆく。そして精神病棟を出た少年が、自分の手術をした医者とその家族たちに復讐するのである。
ここまではホラー映画のような展開なのだが、観客は少年の成人した姿を知らないので、登場人物の誰がその少年なのか判らないのだ。
主な登場人物は、ある病院の外科医、麻酔医、催眠医、アメリカ帰りの風来坊といったところである。この中の一人が、あの少年のような気がするのだが、犯人は二転三転してゆく。このあたりでは、ホラータッチから、だんだんミステリータッチに変換してゆく。
なかなかしっかりした脚本と映像なのだが、なにか物足りない気分を感じた。その原因は、女性がほとんど登場しないこと、テーマが残酷で後味が余りよくないことだろうか。
それにしても、「術中覚醒」という言葉さえ知らなかったので、医学的な知識を得たという成果は残る。だが逆に言えばそんな事実は知らなかったほうが良かったのかもしれない。いつか外科手術を受けざるを得ないときがきたら、一体冷静に手術を受ける気になれるのだろうか。
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