通勤地獄 優先席の定義
この席が始めて登場したときは、『シルバーシート』と呼んでいた。多分お年寄りの白髪をイメージして名付けたのだろう。だからお年寄りに席を譲るということが、一番の目的だったのだろう。
ところがいつの間にか、『優先席』とか、『おもいやりシート』という呼称に変わってしまったよね。もはやこのシートの存在意義は、お年寄りというよりも、体の不自由な方や、妊婦さんへの配慮に変りつつあるのだ。
言ってみれば誰だって年をとるのだし、昨今は若者よりもお年寄りのほうが元気がありそうだ。また誰もが了解するお年寄りって、一体何歳位からなのだろうか。
昔は60歳を過ぎればお年寄りに間違いなかったが、今は皆若造りなので、60歳位では年寄りに見えない。90歳以上になって腰が曲がり、杖でもつかなくては、誰もお年寄りとは認めないだろう。だがそうなれば、もうめったに電車になんか乗っていられないよね。
だからここは『優先席』なんだぞと威張っても、誰も「中途半端な年寄り」には席を譲らないのだ。ましてやすでに、団塊の世代が大量にお年寄りの仲間入りをしているのである。
そして、少子化で若者の数が減り、年金生活を送る年寄りが激増してゆく。だから逆に、若くてよく働く者をいたわらねばならぬのだ。きっと我々年寄りは鼻つまみ者になる。そしてやがては、『優先席』からお年寄りの名が削られる日がやってくるのだろう。
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