あの日、欲望の大地で
★★★★
試写会場のよみうりホールは超満員。開場30分前から階段に大行列が出来る仕末。この映画に対する期待感と熱気がムンムンと漂っているようだった。
この映画は、『21g』や『バベル』の脚本を手がけたギジェル・アリアガが、初監督を飾った親子三代に亘る愛の物語である。自分が高校生のとき、家族を騙して不倫を重ねていた母ジーナ(キム・べイシンガー)を許せないシルヴィア(シャーリーズ・セロン)。そして彼女は、その母の血が流れている自分をも信じられず、次々とゆきずりの男達と肉体関係を繰り返すのだった。
回想の少女時代と現在を、行ったり来たりする頻度が激しいので、最初はストーリーの流れがよく掴めない。また12歳の娘マリアが登場している時代が、現在なのか過去なのかもよく判らなかった。
だが後半になると、この判り難いストーリーが少しずつ見え始め、母ジーナが不倫に走った理由も解明されてくる。恋愛映画なのだが、何となくミステリアスな雰囲気が漂う。そして最初から最後まで、連続して暗いムードが率先してゆく。なんともやり切れない。そしてラストシ一ンでも、単純なハッピーエンドや感動シーンは切り捨てられ、明るくなりそうな末来を示唆した瞬間に、エンディングクレジットが流れ出すのである。
シャーリーズ・セロンの演技力はなかなかのものだが、シルヴィアの心情と行動には全く共感出来ない。それは僕が男性だからであろうか。だが一緒に観た妻も同意見だという。「これがゲイジュツなんだよ君」、と諭されるかも知れないが、今だに腑に落ちないままである。
それならば、キム・べイシンガーの演じた母ジーナの心情と悲哀のほうが、まだまだ判り易かったと思う。また三代の女達の中では、一番年少のマリアが一番しっかりしていてまっとうだったという皮肉には苦笑…。
それはそれとして、脚本、映像、演技など、全く隙のないりっぱな映画であることは間違いないだろう。ただ脚本家出身の監督が張り切り過ぎ、懲り過ぎたような気がしてならない。
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» 『あの日、欲望の大地で』 [ラムの大通り]
(原題:The Burning Plain)
----これはまた古めかしいタイトルだニャあ。
アフリカあたりを舞台にした一大叙事詩ってこと?
「いや、主たる舞台はアメリカだね。
もっとも一部分はメキシコの国境近くだけど…」
----ふうん。どういうお話ニャの?
「それを一言で説明するのは、
かなり難しいな。
なんと言っても、この映画の監督は
あの『バベル』や『21グラム』の脚本家として知られるギジェルモ・アリアガだからね」
----へぇ〜っ。
ということは、今回も過去と現在が交わりながら
複数の... [続きを読む]
受信: 2009年9月23日 (水) 12時57分
» あの日、欲望の大地で [ともやの映画大好きっ!]
(原題:THE BURNING PLAIN)
【2008年・アメリカ】試写で鑑賞(★★★★☆)
「21グラム」「バベル」の脚本を手掛けたギジェルモ・アリアガの初監督作品。
時代と場所を越えて、さまざまな女性たちが織りなす愛と葛藤の物語。
アメリカ北東部、メイン州の海辺の街ポートランド。高級レストランの女マネージャーを務めるシルヴィア(シャーリーズ・セロン)は、てきぱきと仕事をこなしスタッフからの信頼も厚い。しかし、職場を一歩離れると、行きずりの男と安易に情事を繰り返していた。ある日、そんな彼女の... [続きを読む]
受信: 2009年9月23日 (水) 16時11分
» 『あの日、欲望の大地で』 [・*・ etoile ・*・]
'09.09.09 『あの日、欲望の大地で』(試写会)@よみうりホール
yaplogで当選。また重めの作品(笑) 『バベル』『21グラム』の脚本家ギジェルモ・アリアガの初長編監督作品ってことで、ズッシリ重量級間違いなしながら、きっといいに違いないと応募。当選した。
*やや、ネタバレしてます! そして、熱く語ってます
「ポートランドの人気レストランでマネージャーとして働くシルビア。仕事は順調ながら満たされず、自傷行為を繰り返している。同僚との不倫も、行きずりの男たちと関係を重ねてしま... [続きを読む]
受信: 2009年9月24日 (木) 00時24分
» *あの日、欲望の大地で* [Cartouche]
{{{ ***STORY***
行きずりの情事を繰り返し、孤独を守る謎めいたレストランマネージャー、シルビア。ある日、彼女の元にシルビアの娘と名乗る少女マリアが、夫の危篤を伝えに現れた。突然の出会いに戸惑うシルビアに、国境の町ニューメキシコの荒野での若き日の過ちがよみがえる。かつて、不倫の恋に走った母ジーナ、母と同じ宿命をたどることを恐れ、すべてを捨てて逃げたシルビア。灼熱の大地で渇きを満たすように愛を求めた女たちの秘密とは。そして、シルビアは一度手放した愛を取り戻せるのか…? gooよ..... [続きを読む]
受信: 2009年10月 1日 (木) 11時16分
» あの日、欲望の大地で [だらだら無気力ブログ]
『21グラム』、『パベル』の脚本家であるギジェルモ・アリアガが2人の オスカー女優を主演として撮った監督デビュー作。 3世代にわたる女性の愛の物語。アメリカ・ポートランドのある高級レストランで働く女マネージャーの シルヴィアは、心の傷を抱えており、その反動か..... [続きを読む]
受信: 2009年10月 2日 (金) 01時49分
» 【あの日、欲望の大地で】 [日々のつぶやき]
監督:ギジェルモ・アリアガ
出演:シャーリーズ・セロン、キム・ベイシンガー、ジェニファー・ローレンス、ジョン・コーベット
愛の傷なら、いつか輝く。
「複数の男性と一夜限りの関係を繰り返すシルヴィアの元にメキシコ人が12歳になる彼女の娘を連れて現... [続きを読む]
受信: 2009年10月 5日 (月) 11時53分
» あの日、欲望の大地で [心のままに映画の風景]
ポートランドの海辺にたたずむ高級レストランのマネージャー、シルヴィア(シャーリーズ・セロン)は、心に傷を抱え自らを罰するように行き... [続きを読む]
受信: 2009年10月21日 (水) 14時58分
» あの日、欲望の大地で [映画的・絵画的・音楽的]
「あの日、欲望の大地で」をル・シネマで見ました。
前田有一氏が80点もの高得点を付けていることもあり、見てきました。
最初のうちは、次々に画面が変わるのでイライラしてしまいますが、いくつかのエピソードを分断して編集していることが飲み込めてくると気にならなくなり、それもトレーラーハウスの爆発事故を引き起こしたのが娘時代のシルヴィアだったことを効果的に映し出すための手法だと分かってくれば、マア納得できるというものです。
とはいえ、生後2日の自分の娘を置いてシルヴィアは家出してしまいますが、シ... [続きを読む]
受信: 2009年11月19日 (木) 06時00分
» mini review 10446「あの日、欲望の大地で」★★★★★★☆☆☆☆ [サーカスな日々]
『21グラム』や『バベル』などの脚本家として知られるギジェルモ・アリアガが、監督として長編デビューを飾った壮大な愛の物語。愛を渇望する悲しい宿命を背負いながらも、一筋の光に導かれる3世代の女性たちの生き様を真摯(しんし)に描く。ミステリアスな主人公とその母親を演じるのは、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガー。このオスカー女優二人が肉体をさらけ出し、ひたむきに熱演する女性たちの魂の叫びやその悲しみに圧倒される。[もっと詳しく]
火、風、水、土の四大要素(Element)を、勝手にキャラに当て嵌... [続きを読む]
受信: 2010年3月 7日 (日) 11時33分
» あの日、欲望の大地で [いやいやえん]
時系列のない同時進行のような形で進んで行く物語は、最初違和感を覚えますが、後半になってわかってくると、なるほどと頷かずにはいられないミステリーの様相を呈している。
シャーリーズ・セロンさん主演です。重く沈んでいくような話で、ラストでようやく浮上する。
美貌のレストラン経営者のわざと自分をおとしめるような行為の裏には、取り返しのつかない過去があった、というもの。それをずっと引きずって、身を傷つけながらも後悔しても拭えない、過去。
彼女の少女時代を演じたジェニファー・ローレンスさんがまた素... [続きを読む]
受信: 2012年10月 9日 (火) 15時06分
» 『あの日、欲望の大地で』 [cinema-days 映画な日々]
あの日、欲望の大地で
重い過去を背負うレストランマネージャーの前に、
ある日、少女を連れた見知らぬメキシコ人が現れる...
【個人評価:★★☆ (2.5P)】 (自宅鑑賞)
原題:The Burning Plain... [続きを読む]
受信: 2015年9月 4日 (金) 05時09分
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