ディア・ドクター
★★★★
『蛇イチゴ』、『ゆれる』と二作の名作を創り上げて、一躍天才と騒がれた西川美和監督の待望の三作目である。この三作目の作品こそ、彼女が本物の名監督か否かを試される作品なのである。
ニセ医者が過疎地で人徳医師を装い、村人達に神様のように尊敬されながら、数年間に亘って村の医療を守っている。ところがひとつの嘘がきっかけとなり、彼は謎の失踪を遂げてしまう…というお話である。
このニセ医師に笑福亭鶴瓶、達人看護師に余貴美子、村長に笹野高史、薬会社のプロパーに香川照之、胃癌を患う老女に八干草薫という豪華な芸達者がズラリと並ぶ。
鶴瓶は映画初主演だという。かなり騒々しさを押えて、真面目で少しひょうきんな感じの医師を見事に演じ切っていた。なかなか適役であり、言葉だけではなく表情もよかったね。また看護師を演じた余貴美子も素晴らしい。今やこうした役柄では、彼女の右に出る女優さんはいないだろう。
ニセ医者でありながらも、本物の医者以上の活躍をする主人公。彼が僻地に留まっていたのは、高い報酬目当てでも、村人達から尊敬されるからでもない。頼まれるとイヤと言えない性格、というところが面白い発想である。
『ゆれる』と同様に田舎の風景が美しい。テーマは僻地医療と、医師という資格に対するアンチテーゼだろうか。あの「嘘」の是非についても観客に問いかけてくる。今回はシリアスさを緩和し、鶴瓶を用いることによってコミカルなオブラートにくるんではいるが、相変わらず鋭い視点で現代世相に斬り込んでくるのだ。
全体的にゆったりと流れ、『ゆれる』のように心をえぐるような激しさと感動はないが、こうした描き方も出来るという証拠を残した作品である。満点には少し及ばないが、それなりに満足出来る作品だ。果たして第四作目はどのような作品になるのだろうか。全く見当がつかないが、多いに期待していいだろう。
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つるべー主演かぁ...。なんて思いながらも
『ゆれる』の、西川美和監督の新作ってことだけで観てきました〜
チラシや予告編なんかでははっきり、
"その嘘は、罪ですか"とかこの村に、医者はひとりもいないとかって言ってるのすらも全く前知識入れずに鑑賞。
田舎町に派手な車でやってくる医大出たての研修医には瑛太。
見事なサポ... [続きを読む]
受信: 2009年8月 1日 (土) 21時23分
» 『ディア・ドクター』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「ディア・ドクター」□監督・原案・脚本 西川美和□原作 西川美和(「きのうの神さま」ポプラ社刊)□キャスト 笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、八千草薫、香川照之、松重豊、岩松了、中村勘三郎、笹野高史■鑑賞日 6月28日(日)■劇場 TOHOシネマズ川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想> タイミングよく、ちょうど原作を読み終えたところで映画を観ることができた。 原案・脚本と言うとおり、実際に原作からはかなり膨らませた内容にな... [続きを読む]
受信: 2009年8月 1日 (土) 23時11分
» 映画 【ディア・ドクター】 [ミチの雑記帳]
映画館にて「ディア・ドクター」
『ゆれる』の西川美和監督オリジナル脚本の長編第三作。
おはなし:村でただひとりの医師、伊野(笑福亭鶴瓶)が失踪してしまった。村人たちに全幅の信頼を寄せられていた伊野だったが、彼の背景を知るものは誰一人としていなかった・・・。
数年前まで医師のいなかった村に伊野医師が赴任してきた時、村民はどんなに安堵したことでしょう。しかし、その伊野が失踪し、しかもニセ医者だと分かった時、事情聴取された村民の口から出て来た伊野の姿はあまりに掴みどころが無かった。
伊野の犯した罪... [続きを読む]
受信: 2009年8月 1日 (土) 23時44分
» 『ディア・ドクター』 (2009)/日本 [NiceOne!!]
監督・脚本・原作:西川美和出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、井川遥、香川照之、八千草薫試写会場 : 京橋美学校公式サイトはこちら。<Story>山あいの小さな村で、唯一の医者として人々から慕われていた男(笑福亭鶴瓶)が失踪した。やがて警察による捜査がす...... [続きを読む]
受信: 2009年8月 2日 (日) 00時26分
» ディア・ドクター [LOVE Cinemas 調布]
『ゆれる』に西川美和監督作品。主演に落語家の笑福亭鶴瓶を迎えたオリジナルストーリーです。共演は『ガマの油』、『余命一ヶ月の花嫁』の瑛太、『おくりびと』の余貴美子、最近では瑛太と同じく『ガマの油』に出演した八千草薫、そして『剱岳 点の記』の香川照之とそうそうたる面々。鶴瓶師匠と言えば本業は落語家ですが、あの人懐こい笑顔とで人情味のある役をやらせたら天下一品!注目です。... [続きを読む]
受信: 2009年8月 2日 (日) 00時32分
» ディア・ドクター☆笑福亭鶴瓶×西川美和監督 [銅版画制作の日々]
その嘘は、罪ですか。
笑福亭鶴瓶主演、あの「ゆれる」の西川美和監督が撮った最新作「ディア・ドクター」をようやく鑑賞してきました。鶴瓶は落語家ですが、タレントとしてのイメージが強いという印象があります。そんな彼が映画に主演で登場ということだったので、どのような感じなのか?興味もありました。また西川監督が自らオファーしたという経緯もあるらしいので、どのように仕上がった作品なのだろと気になるところ・・・・・。
1ヶ月前から上映開始されたのですが、連日満員で立ち見も出るという盛況ぶり。いまだに多くのお客... [続きを読む]
受信: 2009年8月 2日 (日) 00時54分
» ディア・ドクター [だらだら無気力ブログ]
『ゆれる』の西川美和監督が笑福亭鶴瓶を主演に、過疎化が進む へき地に赴任している医師を巡って巻き起こる騒動を描いたドラマ。村でただ一人の医師、伊野は数年前に無医村のこの村に赴任し、村民からの 信頼も篤かった。そんな村の診療所に東京から研修医の相馬がやって..... [続きを読む]
受信: 2009年8月 3日 (月) 02時01分
» 【ディア・ドクター】 [日々のつぶやき]
監督:西川美和
出演:笑福亭鶴瓶、瑛太、香川照之、余貴美子、八千草薫、井川遥、村重豊
その嘘は、罪ですか。
「小さな村のたった一人の医師伊野が突然消えた。
全村人から信頼され好かれていた伊野、二人の刑事が調査に当たり伊野の過去を調べ手が... [続きを読む]
受信: 2009年8月 3日 (月) 14時35分
» 『ディア・ドクター』 試写会鑑賞 [映画な日々。読書な日々。]
山あいの小さな村で、唯一の医者として人々から慕われていた男が失踪した。やがて警察による捜査がすすむにつれ、経歴はおろか出身地さえ曖昧なその医師、伊野の不可解な行動が浮かび上がってくる。[上映時間:127分]
ほとんど満点を出さない私が満点を出した『ゆれる... [続きを読む]
受信: 2009年8月 5日 (水) 21時27分
» ディア・ドクター [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
先生、一緒に嘘、ついてくださいよ__山あいの小さな村から一人の医師が失踪した。
警察がやって来て捜査が始るが、驚いたことに村人は、自分たちが唯一の医師として慕ってきたその男について、はっきりとした素性は何ひとつ知らなかった。
やがて経歴はおろか出身地さ...... [続きを読む]
受信: 2009年8月 9日 (日) 02時02分
» ディア・ドクター [映画、言いたい放題!]
最近ずっと洋画の紹介ばかりでした。
たまには邦画もね。(^^)b
この作品は、「ゆれる
」の西川美和監督の最新作ですね。
「ゆれる
」がなかなか面白かったので
ちょっと期待してしまいます。(^^)
山間の小さな村のただ一人の医師、伊野が失踪した。
村人たちに全... [続きを読む]
受信: 2010年3月17日 (水) 15時29分
» 別館の予備(感想208作目 ディア・ドクター) [スポーツ瓦版]
9月28日 ディア・ドクター
TBアドレス
http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/hum09041/11027357876/209a30b5
LIMIT OF LOVE 海猿&ベスト・キッド&
死刑台のエレベーター&十三人の ... [続きを読む]
受信: 2011年9月29日 (木) 11時45分
コメント
パピのママさんこんにちは
僕は氷小豆がいちばん大好きです。
子供のころ、家が和菓子屋でしたから、どんぶりにあんこを手づかみで、どんぶり半分くらいドバッといれて、そのうえにかき氷を山盛りにして食べました。未だにそれ以上美味しいかき氷には巡り合っていませんね。
投稿: ケント | 2009年8月11日 (火) 17時44分
今晩は、コメントありがとうございました。
涼しそうなテンプレートですね(^^♪
カキ氷は、宇治金時が一番好きです!
神様よりも仏様よりも頼りにされている医者・伊野は、経歴や出身地などすべてが曖昧ですよね。
ですが村人から慕われる彼の人柄と、確かな治療に接している。
「自分は偽者だ」と言う、失踪した人間を探しながら伊野の秘密が暴かれていく過程がミステリアスで、そのことへの周囲の反応にこそ映画の醍醐味があります。
おかしくて愚かで哀しいその嘘を、責めることができるのだろうか。
意外なラストには思わず考え込んでしまい、なぜか見終わった後に心が温かくなるから不思議ですよね。
投稿: パピのママ | 2009年8月 9日 (日) 02時26分
亮さんこんにちは
亮さんは四国でしたか。それに親を胃がんでなくし、兄弟は医者とは、ホントにかぶりますね。親が胃がんで亡くなったのは僕も同じですが、身内に医者はいず薬のプロパーと看護師はいます。
田舎は、たまに遊びに行くのはいいけれど、実際に住むとなると大変なんですね。
小説読んで観たいですね。
投稿: ケント | 2009年8月 3日 (月) 21時24分
こんにちは。
ちょっと留守にしていたので、こちらに伺うのは久しぶりです。
この作品、私も観ました。
四国の山奥、いわゆる僻地で生まれた身としては、非常に良かったと思います。
いろいろなところで、分かる分かる の連続でした。
今、小説のほうを読んでいますが、そちらも素晴らしいですよ。
こちらは、短編小説になっているので、非常に読みやすいです。
投稿: 亮 | 2009年8月 3日 (月) 07時04分