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2009年8月の記事

2009年8月30日 (日)

セントアンナの奇跡

★★★★

  新宿高島屋12階にあるテアトルタイムズスクエアは、8月限りで閉館となる。ミニシアター系のテアトル直営映画館では、最大のスクリーンを誇り、ロケーションも含めてなかなかお洒落な存在だっただけに、非常に残念である。
 ここには何度も足を運んだので、いろいろな思い出が、走馬灯のように脳裏を掛け巡る。経営の効率化による閉館だと聞いたが、かなり家賃が高いのだろうな…と余計なことを考えてしまう。とにかくここへ来るのも今日限りで、文字通り最後の観映になるのだろう。

    Stanna_2

 …といった思いでこの映画館を選んだため、本作品のほうはまったく予備知識もなければ、期待もしていなかった。ところが嬉しい誤算というのか、なかなか充実した素晴らしい映画だったのである。
 本作のテーマは、反戦・人種差別・言葉の壁など、重いテーマがぎっしりと詰まっている。だが、ミステリアスなイタリア少年との交流が、その重苦しさを中和して、なにげにファンタジーのような味わいもあった。

 ストーリーのほうは、黒人郵便局員が、切手を買いに来た客を、いきなり拳銃で射殺するところから始まる。とにかくあっという間の出来事だった。
 犯人の名はへクター、過去に軍隊で勲章をもらっている。また、郵便局での勤務ぶりも実直で、あと3カ月で無事定年を迎えるはずだった。妙なことに、犯行に使われた拳銃は、ドイツ製のルガーであり、彼の部屋からは、イタリアの歴史的に重要な「女神像」が発見されたのである。
 その翌日のイタリア。この犯行記事を読んだ途端、飲みかけのカプチーノを、思わず落としてしまう男の正体も気になった。
 一体、何故、どうして??。実に不可解な謎のオープニング。観客達は一遍にスクリーンの中に引き込まれてしまうのだ。

 やがてへクターは、取り調べ室で、重い口を開き始める。そしてスクリーンは、1944年のイタリアへ跳び、第二次大戦の局地戦を写し出すのだ。
 主人公は四人の黒人兵と謎のイタリア少年。そして舞台は、イタリア・トスカーナ地方の小さな村。タイトルのセントアンナとは、ナチスが、罪の無いイタリア市民560名を虐殺した村の名で、セントアンナの大虐殺』として歴史に刻まれている。この虐殺シーンでは、老人・女・子供たちが、なすすべもなく射殺される。余りに残酷過ぎて目を背けたくなるはずである。

 さすがにスパイクリー監督は、黒人たちの描き方が巧いね。戦闘には不向きなお人好しの大男。白人を毛嫌いし、友人をも平気で裏切るのだが、なんとなく憎めない男。アメリ力を愛し、白人を理解しようとする優しい男。寡黙だが、職務に忠実で一番冷静に行動する男。
 四人の黒人達を個性的に描き分けているせいか、洋画にありがちな登場人物たちの混同は全くなかった。むしろ白人達のほうが、皆同じように見えたのは僕だけだろうか。
 また黒人に対する差別シーンにおいては、手を変え品を変え手厳しく追求しているよね。ドイツ軍の白人女性によるアナウンスも面白いし、イタリア美女の誘惑にしても、他国では全く黒人を差別しないのに、なぜアメリカ人だけは極端な差別をするのだろうか。そしてイタリア人にしても、あの極悪非道のナチでさえも悪人もいれば良い奴もいる。ところがアメリカの白人だけは、黒人を差別する悪人しかいないというような強烈なメッセージが聞えるのだ。
 しかしそれでもアメリカから出国しない黒人たち。いくら差別を受けても、アメリカという国には、それ以上のとてつもない魅力があるのだろうな。

 終盤の法廷シーンから、あっという間に意外なラストを迎える。このラストを観て号泣してしまったが、なぜか『ショーシャンクの空に』を思い出してしまった。とにかく心に染みる感動的な締め括りなのだ。
 ただ2時間43分という上映時間は、かなり長過ぎたかな…。中盤多少中だるみし、尻が痛くて何度も足を組み替えたもの。途中で休憩の入らない映画は、2時間が生理的限界点だろうな。

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2009年8月26日 (水)

月夜の願い

★★★☆

 人情を大切にし過ぎて貧乏生活を続ける父ファン(レオン・カーフェイ)とそんな父親が大嫌いで、金儲けと女をくどくことに夢中の息子ユン(トニー・レオン)。ところが、ある日ファンの人情が仇になり、助けた強盗に頭を殴られて意識を失ってしまう。
 ユンは飽きれて、寝たきりになった父を罵るが、両親の若い頃の写真が入ったペンダントを見つけ、若かりし日の父親に逢いたくなる。そして中秋節の夜に、願い事が叶うという穴の中に飛び込むのだった…。

     Getu

 この穴がタイムトンネルとなり、ユンは40年前の時代にタイムスリップし、若かりし日の両親や知人たちと巡り逢うことになる。まずは若かりし日の両親と現在の両親の変身振りに注目。まるで『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や邦画の『メトロに乗って』を掛け合わせたようなストーリー展開じゃないの。
 ただちょっと違うのは、タイムパラドックスなどは全く無視していること。どちらかと言うと、タイムトラベルは一つの手段であり、息子に父親の若かりし日を見せて、父親の本当の素晴らしさを認識させることが目的なのだろう。
 終盤までの展開が簡単に予測出来てしまう単調な創りではあるが、やはり予想通り大泣きさせられてしまった。ただラストのドンデン返しは、香港流のジョークだと思うのだが、僕には不要なシーンに感じられた。どうも香港映画におけるデリカシーの無さは、僕にはついてゆけない部分でもある。

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2009年8月23日 (日)

ミラーズ

★★★

 同僚を誤射殺し、酒におぼれて退職した元警官のべンは、禁酒の誓いを立て、家族と別居後、廃墟になったデパートの夜警の仕事につく。そこにある大きな鏡に触れてから、不気味な現象が続くのだった…。

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 単純なホラーかと思っていたら、ある程度科学的なバックボーンも描かれている。サイコサスペンスといった前半の展開から、後半になって気味の悪いホラーになり下ったのが少し残念であった。怖いようでそれほど怖くない映画といったところか。もうひと捻りが欲しかったな。
 それにしても、自分の家族を救うためなら、他人はどうなっても良いという、主人公の手前ミソな行動はいかがなものか…。またホラーらしい結末ともいえるが、なんだか、続編を意識しているような、締め括りでもあったね。

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2009年8月22日 (土)

蓼科紀行

 お盆突入後、最初の日曜日。しかも高速道路が1000円均一になって、初めてのお盆である。どう考えても大渋滞は避けられないだろう。
 そう考えて未明の四時に起床。我が家を出発したのは午後5時頃である。とろとろと午前9時頃に家を出ていた、いつもの旅行とは大違いだ。珍しく今回だけは、気合が入っているようだ。
 お陰様で、中央高速道では全く渋滞に遭遇せず、諏訪ICに到着したのは午前8時前であった。いつもならまだ寝ている時間。これでゆったりと観光が出来るね。早出大正解だが少々眠けが残る。
 諏訪ICを降りてビーナスラインを走る。途中、そば屋が連立する通称『そば街道』を横目に、さらに北上してゆく。数年前に何度か訪れたバラクライングリシュガーデン、蓼科湖、滝の湯、ビラタス蓼科ロープウェイが懐かしい。

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 この間おおむね1時間。第1目的地の白樺高原に到着。まずゴンドラリフトに乗って蓼科山中腹にある『御泉水自然園』に向かった。
 ここは約300種類の高山植物と、50種類の野鳥たちの宝庫だという。整備された全長10kmの湿原を、のんびりと散策する。美大生達の写生姿が印象的だ。鳥たちの鳴き声を聞きながらの森林浴、きっと誰でも心が癒されることだろう。

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 健脚ならば、この先の『蓼仙(りょうせん)の滝』まで歩いてみたい。なかなか素晴しい処である。ゴンドラリフトと入園券のセットで1000円と、リーズナブルな価格も気に入った。
 そしてゴンドラリフト横の見晴らし台からは、北アルプスが一望出来、眼下の女神湖がキラキラ光り輝いて見える。帰路のゴンドラリフトを降りると、すぐ目の前に『蓼科牧場』があり、牛や羊が放牧されている。ここで羊たちと触れあって、童心に返って遊ぶのも楽しいが、大量に散在する羊のウンチには気をつけよう。

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 そのあと売店で、牧場ミルクソフトクリームを食べたが、これがさっぱりしていて実に美味であった。思わず清里高原・清泉寮のソフトクリ一ムを思い出してしまった。
 さて牧場をあとにして、女神湖に車を回す。名前通り美しい湖だ。湖の周囲を大学のマラソン部の男女が走っている。湖の上では水上自転車やスワンちゃんが浮かぶ。まさに夏休み真っ盛りだね。

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 白樺湖、車山高原と連続してドライブするのだが、このあたりでやっと遅めのランチタイム。早起きは三文の得というが、実に1日が長く得をした気分であった。車山高原のリフトにも乗りたかったが、天侯が悪くなってきたのと料金が高いので、次回に譲ることにした。
 それで蓼科湖まで下り、ボートに乗ったり引き馬で揺られたりしているうちにタ方になってしまった。今夜の宿は、蓼科湖畔に佇むアートランドホテル蓼科なので、ゆったりと余裕を持ってチェックイン出来た。

 ホテルの裏庭には大きなプールもあるのだが、この時間からでは涼し過ぎて無理である。それでタ食までの間に、さらに裏手にある「芸術の森彫刻公園」を散策することにした。箱根にある「彫刻の森美術館」を思わせる美しい庭園だが、宿泊者には無料開放しているのが嬉しいね。

 ランチが遅かったこともあり、タ食時間はかなり繰延べた。お陰でまだまだ時間があるので、風呂に入る前に卓球をすることにする。ホテルで温泉卓球が出来るとは思わなかった。しかも1時間は無料である。
 何十年振りかの下手クソピンポンで、球はあっちへこっちへ。お陰で汗で下着はビッショリだ。僅か30分程度のお遊びだったが、とにかく良い運動になったね。
 汗も乾かないうちに、そのまま温泉にドボン。内湯はやや狭めだが、東屋風の露天が気持ち良いし、ホテルの温泉としてはまあまあだろう。

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 さて期待のディナーだが、懐石料理に比べれば品数はやや少ないものの、一品一品が充実していてボリュームがあるので不満はない。ただメインディシュの牛ヒィレ肉が、少しくどくなって一切れ残してしまった。ごめんなさい…。でも締めくくりのデザートは別腹で、ハーブの香りのするシャーべットとあずきの甘さがほどよくブレンドされて夢見心地の美味しさ。
 翌日はあいにくの雨、朝食のバイキングをたらふく食べた後、チェックアウトぎリぎりの11時まで、ホテルの中でゆっくりくつろぐことにした。そのあと、併設されている「マリー・ロランサン美術館」で、パステルカラーの幻想的な作品を鑑賞する。ここも宿泊者は無料というありがたさである。

 雨がなかなかやまないので、昨日ビーナスライン走行中に横目で見てきた「そば街道」で、信州そばでも食べて帰路に着こうと思ったのだが、まだバイキングの満腹感が残っている。それで以前に一度訪れた乙女滝に立ち寄ることにした。

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 ここはその昔、舟木一夫主演の『高原のお嬢さん』という映画の撮影場所だったらしい。名前の通り、とてもロマンチックな雰囲気の美しい滝である。何度見てもうっとりしてしまうのだ。
 いよいよ最後の仕上げは、お約束の信州そばである。地元の人にお勧めの店を紹介してもらい、「そば街道」のはずれにある『本格石臼挽手打ちそば 登美』という店に入った。さすがに有名店らしく、行列が出来ていたが、すでに時間が遅かったせいか、食べ終った人が続々と店からはき出され、30分も待たずにすぐに順番が巡ってきた。

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 店内は個室も多く、かなり落ちついた雰囲気である。以外にもそれほど待たされずに注文したいろが運ばれてきた。見た目も美しいが、こしがあって旨いそばである。また鴨肉の焼き加減にしろ、量にしろ十分に満足出来る内容だ。いつも旅先のそば屋はハズレが多いが、珍しく大当たりである。やはり地元の人に聞くのが一番だね。
 満足感と満服感を同時に味わい、これで今年の蓼科紀行はオシマイとなる。あとは家に帰るだけ。そして車はゆったりと、諏訪インターへ向かって走り出した。

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2009年8月20日 (木)

HACHI 約束の犬

★★★★

 それにしてもリチャード・ギアは、日本作品のリメイクものに縁があるよね。『Shall we Dance?』のときと同様、今回もまたピッタシ・カンカンのハマリ役だったと思う。
 『ハチ公物語』は邦画で観ているし、この有名な忠犬ストーリーも熟知しているので、リメイク版にはそれほど期待していなかった。ところがこのアメリカ版『ハチ公物語』は、期待に反して大当たりなのだ!。

      Hachi

 そもそもストーリーも複雑ではなく、主人が死んだことを承知しない忠犬ハチ公が、10年近く渋谷駅前で、主人の帰りを待ち続けた、というだけのシンプルな話なのだが…。
 不思議なことにオープ二ング早々、ぬいぐるみのようなハチ公を見たとたんに涙が落ちてきた。これは一体何なのだ、つまりハチ公=切ない犬という図式が頭の中に渦巻いていて、条件反射で涙腺が緩んでしまったのだろう。

 僕は犬好きという訳ではない。どちらかというと嫌いに近いほうかもしれない。だが犬の映画を観ると、いつも大泣きしてしまうのだ。変な表現だが、犬は猫に比べると、純真で誠実なイメージがある。
 人間の子供になんとなく似ているのだ。いや人間の子供以上に、素直でピュアな心を持っていると言ってもよいだろう。僕が犬の映画に弱い理由も、多分そんなところが原因かもしれないな…。
 ハチ公が主人の帰りを待つアメリカの駅も、近くに道玄坂のような坂があり、昔の渋谷駅のイメージに近い。秋田犬には芸を仕込めない。などなど細かいところにもこだわりが感じられる。
 アメリカ版『ハチ公物語』は、予想を覆して原作に忠実で、かなり丁寧に創られているようだ。ラストのハチ公像を見ても分かるが、製作者が本物のハチ公に、心から感動していることがヒシヒシと感じられる。
 やはり映画創りはこうでなくてはね。今まで単に待合せ場所との認識しかなかった渋谷駅前のハチ公像だが、これから当面の間はちょっと足を止めて、じっと銅像をみつめてしまうだろうな。

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2009年8月17日 (月)

GIジョー

★★★☆

 なんとなく『GIジェーン』と勘違いをしていたようだ。もちろん軍人達が主役の作品だが、戦争映画ではなくアメリカンヒーロー映画なのである。
 『ファンタスティックフォー』や『XーMEN』にも似ているが、彼等は生身の人間であり、超人ではなく兵器や武器が超・特殊仕様なのである。そういう意味では、どちらかといえば、『アイアンマン』に近いかもしれないね。

          Gi_j_

 それにしても、この映画のスピード感はもの凄い。全編ウルトラアクションの連続で、映画館の中は四六時中、爆音などの効果音で充満する。とにかく常識を大きく逸脱したクレイジーなアクションなのだ。
 アクション映画の定番であるカーチェイスは、これまでに見たことがないくらい過激で荒唐無稽である。またエッフェル塔とパリの破壊シーンも異常なくらい凄まじい。

 文句を言わせてもらえば、日本という国を知ろうとしない米国人の偏見を感じた。米国人達からみると、日本人も韓国人も中国人も、皆同じにしか写らないのだろうか。それに日本語を全く無視して、韓国語や英語で話す日本人などいるわけがない。
 イ・ビョンホンの忍者にも、何かすっきりしないのだ。またあの二人の忍者達が育った場所は、日本というよりまさしく中国であり、忍者というより少林寺挙法そのものじゃないの。
 もうひとつの文句は、CGが粗雑だということである。特にハイライトとなる北極海での戦闘シーンに至っては、CGというよりア二メといった程度の中途半端な映像であった。

 そのほかにもツッコミ所をあげたら切りがないが、とにかくアメコミが原作なので、そのあたりに目クジラを立てるのはよそう。
 この映画では悪人と正義の区別がつけにくい。それはどちら側にもスポットを当てて描いているからだろう。また悪人中心人物のほとんどが死んでいない。ラストの締め方をみても、続編が製作されることは間違いないであろう。

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2009年8月16日 (日)

歌舞伎座さよなら公演

 明治22年11月に開場した歌舞伎座は、老朽化と帝国劇場に張り合うため、明治44年10月に大改築が施されました。純日本風の宮殿造りで、正面大玄関は格の鏡天井、観客席は高欄付の総檜造りというりっぱな建物でした。ところが残念ながら、大正10年10月、漏電により焼失してしまったのです。
 その後の復旧は、関東大震災のおかげでだいぶ遅れましたが、大正13年12月に、現在の建物の原型である桃山調の鉄筋大殿堂が完成したのです。

           Ts3d0026

 当時日本一の大劇場でしたが、昭和20年5月の東京大空襲により焼失してしまいました。そして戦後の昭和25年12月に現在の歌舞伎座が竣工したわけです。従って現在の歌舞伎座は、既に完成から約60年経過しており、老朽化のため平成25年春の完成をめざし、近代的な建物に生まれ変ることになりました。

          Ts3d0025

 改築に伴い、平成22年4月の興行をもち、完成までの間は当然休場となります。その記念公演として、平成21年1月より平成22年4月までの間は、歌舞伎座「さよなら公演」と銘打った興行が行なわれているのです。
 ということで、本日の歌舞伎座も超のつく満員御礼であります。夜の部開場直前の歌舞伎座前の道路は、人・人・人で溢れかえっておりました。

     Ts3d0030_2

 夜の部のお題目は、「お国と五平」と「怪談乳房榎」の二本立て。どちらも仇討ものですが、「お国と五平」は扇雀、勘太郎、三津五郎の三人芝居で一幕限り、「怪談乳房榎」のほうは勘三郎1人4役で四幕2時間弱の長丁場でした。
 「お国と五平」は、那須野ヶ原の夜風になびくすすきと青白い月が美しく、仇討ちの実態と、耽美的な男女の情念劇が見処です。また「怪談乳房榎」は、橋之助の悪人ぶりと、なんといっても勘三郎の四役早替りが実に見事・見事。二作品とも、大変分かり易く面白い内容でした。
 歌舞伎座休館まであと8カ月ですが、是非あと一回は再館したいものです。

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2009年8月15日 (土)

築城せよ!

★★★☆

 猿投(さなげ)町という過疎地区でのお話である。この町の名物は「猿投玉』というお手玉しかない。それで町民たちは、猿投城跡地に城を復元し、観光地にしようとしていたのだが、町長はここに工場を誘致しようと考えていた。
 そんなときに、役所の職員と大工の棟梁、ホームレスの3人が古井戸に転落してしまう。そしてこの3人に、戦国時代の武将とその家来たちの霊が乗り移るのである。そして彼等が、急遽築城の指揮をすることになるのだ。

          Tikujo   

 ところが霊たちが活躍出来るのは満月の日まで。タイムリミットは3日間しかないのだ。果してこの3日間で、城を築くことが出来るのか…。
 結局ホームレスのねぐらをヒントに、ダンボールで本当に築城してしまう。一夜城ではなく三夜城といったところである。
 それにしても、奇想天外で荒唐無稽なアイデアだ。町長とのバカバカしい対立があるものの、ストーリー的にも見栄えがしないし、人気俳優も登場しない。
 見所はダンボールの城のみ。この城の製作には、ダンボール12,000個を使用したという。そして製作費も、CGで創るより遥かに多くかかったという。この手作りにこだわったところが、この映画の本質であり、皆で協力して何かを創りあげる、という行為そのものがテーマだったのかもしれない。
 あと片岡愛之助のおとぼけ演技と、うって変ったような真摯な演技もよかったな。歌舞伎の1人2役そのものであり、彼でなければ、あの役柄は演じられなかっただろう。
 早くも海外での上映が決っているようだが、それにしても何が面白いのかを論ずるよりも、とても変てこりんな映画だったというイメージが残った。

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2009年8月14日 (金)

山梨への小旅行 

 山梨へ来るのは何度目だろうか…。八王子インターが近いこともあり、車のアクセスが便利なので、日帰り・宿泊併せて10回は超えているはずである。
 山梨といえば、まず思い起こすのは『ぶどう狩り』『武田信玄』だろう。だがその他にも、富士山や富士五湖、昇仙峡に石和温泉と、意外に観どころは豊富である。
 今回はなるべくまだ行ったことのない場所ということで、『山梨県立美術館』と『フルーツパーク』に行くことにした。

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 『山梨県立美術館』では、常にミレーの作品が展示されており、本物の「落ち穂拾い」や「種をまく人」を見たときには、思わず感動の声を挙げてしまった。縁に囲まれたゆったりとした敷地に、文学館も並立しているし、なかなか贅沢で素晴らしい施設である。

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 さて、フルーツの山梨で、フルーツ狩りをしない訳にはゆかない。終了間近の「いちご狩り」を、かろうじて体験することが出来た。季節的に仕方ないのかもしれないが、全体的に小ぶりで、甘味も今ひとつだったな…。

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 宿泊はフルーツパークの一番奥にそびえる「フルーツパーク富士屋ホテル」を選んだ。このホテルは、なかなかおしゃれな建物で、部屋から山梨の街並や富士山がよく見える。また夜のとばりが降りると、宝石箱をひっくり返したような、美しい夜景にうっとりしてしまうのだ。

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  そしてディナーは、流石に富士屋ホテル!。当然のように美味で盛り付けも華麗な料理が並ぶ。さらにホテルでありながら、風呂は温泉であり、遠くの街灯りを見ながら、ぼんやりと入る露天風呂も風情があった。

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 さて翌日は、あの有名な昇仙峡に立寄ることにした。ここに来るのは二度目であるが、前回はロープウエイに乗りそびれたので、早速ロープウエイに乗ってみた。山頂から眺める日本の高峰べスト1、2、4が連なるパノラマは、まさに絶景かな、絶景かな。

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 ロープウエイを降りたあとは、お約束の昇仙峡遊歩道・散策コースを歩いた。ここの風景は言わずもがな。とにかく奇岩と滝と渓流が見事な調和を奏でている。ただ出来ることなら、紅葉の季節に来たかったね。
 ラストは昇仙峡入口にある、名物のほうとうで締めくくり。ここの自家製味噌は、ほうとうにマッチして実に旨いのだ。

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2009年8月11日 (火)

エレべーターのプログラム

 最近のエレべーターは、1つのボタンを押すと、コンピューターで連動されているせいか、数台のエレべーターのボタンが自動的に全部繋がってしまう。更には、上下の表示板が点灯するだけで、どのエレベーターが今何階にいるのかの表示もない。従って、エレべーターホールでは、上下の表示が点滅し始める迄、一体どのエレベーターが来るのさえ分からない状況である。

           Bill

 それでも、さっさと来てくれればいいのだが、数分待たされると、だんだんストレスがたまってくる。何故こんなに遅いのだろうかと、業者に聞いたことがある。結局ブログラムの作り方の問題で、建築費を下手にねぎると、どうせ眼に見えないものなので、単純な安いプログラムを装着されるということらしい。
 そんなヘぼいプログラムなら、昔のエレベーターのように、一台ずつボタンを独立させて、階層表示をさせて、一番近い場所にいるエレベーターのボタンを人間が選んだほうが、よほどストレスがたまらないのに。ただ同時に全てのボタンを押す奴がいるので、上下それぞれ1台のエレべーターのボタンしか押せないようにする必要もあるかな。

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マシニスト

★★★★

 主人公のトレバーは、これがバットマンのクリスチャン・べイルとは、信じられないほど痩せ細っていた。というより役作りのために、彼は30kgも減量したというから、凄まじい役者魂である。
 1年間も眠らないで、悪夢のような体験をする男の世界を描いたサイコサスペンスなのだが、果して現実に生きていられるのだろうか…。ちなみに、不眠記録のギネスは449時間だという。

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 この映画は、なぜ主人公が1年間も眠らず、肉休と精神を病んだのか、原因を全く明かさない。そして現実か幻覚なのか、よく判らない出来事が延々と続いてゆくのである。カメラワークも含めて、なんとなく『メメント』の世界を髣髴させられるのだ。
 ラストになって、やっとその原因が明かされるのだが、それはほんの一瞬であり、よそ見をしていると見逃してしまいそうである。ネタがバレれば、結局なぁんだということになる。人間素直に正直に生きてゆこうよ、と言いたいのだろうか。
 僕にとっては面白い作品だったが、かなり評価の分かれそうな作品だね。なんとなく真面目にレビューを書くのが面倒くさくなる。内容よりもトリック、と言うより捻りの効いたストーリー構成がご自慢なのだろうな。

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2009年8月 8日 (土)

時空を超えて

 60才になる医師のエリオットは、肺がんを患い余命数ヶ月の運命であった。カンボジアのジャングルで命がけで医療に専念したお札にと、原住民の村長から不思議な薬をもらう。この薬は全部で10錠。薬を服用して眠りにつくと、数十分間だけ30年前にタイムスリップすることが出来るのだ。
 自分の責任で最愛の恋人だったイレナを亡くしてしまったエリオットは、死ぬ前に一目だけでも生前の彼女に逢いたいと、半信半疑で薬を飲み、30年前にタイムスリップする。そしてそこで最初に出逢ったのは、30才の若かりし日の自分自身であった。

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著者:ギヨーム ミュッソ
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 30年前にイレナを事故から救えば、20年前に行きずりの女性との間に出来た愛娘のアンジーが生まれてこない。この矛盾した二つの命を救うことが可能なのか…。
 タイムトラべルと恋愛を組み合わせたラブ・ファンタジー作品は、ハーレクインものを含めて山ほどある。大体がハッピーエンドのラブファンタジーか、切なさの残るリリカルファンタジーのどちらかである。
 だが本作はそのどちらにも属しているうえ、ファンタジーにサスペンスとアドベンチャーをブレンドした魅力を併せ持っているのだ。またテンポが良くリズムカルなので、まさに映画を観ているのかと錯覚してしまう。
 映画と言えば、本作はフランスで映画化されることが決定しているという。早くこの映画を観たいなぁ…。だがネットを探した限りでは、いまだ具体的な映画化の話は見つけられなかった。

 ここまでは、良いことずくめ作品のように書いてしまったが、気になることもいくつかある。まず過去の自分自身と逢って、会話までしているのは、非常に不自然ではないか。60才のエリオットは、30才のときに未来の自分とは逢っていないからである。
 このように、過去の自分と逢ってしまうと、タイムパラドックスが発生してしまうので、通常はこの状況を避けるか、過去の自分には気づかれない配慮が施されているものだ。まあ本作は、過去の自分との接触がないと成立しないので、ここは目をつぶるしかない。
 もうひとつ腑に落ちないのは、過去のエリオットが、未来のエリオットの言うことを、苦悩しながらもことごとく守るということだ。イレナとは結婚しても、いいじゃないの。20年後に行きずりの女性と浮気すれば、娘のアンジーも無事生まれるはずである。
 また浮気をせずにアンジーが生まれなかったとしても、それはパラレルワールドでの話なのだから、深刻に考えることもないと思うのだが…。
 この二点だけが、どうしても納得出来ない。だが、著者の巧みなストーリー展開のため、イレナが登場するあたりから、グイグイとお話の中に惹きこまれてしまった。そして終盤は、通勤電車の中にもかかわらず、涙々の大感動で読了したわけである。

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2009年8月 5日 (水)

イフ・オンリー

★★★★

 タイムトラベル専門ブログをアップしている「しょーすけさん」のサイトで知ったイギリス映画である。かなり面白い作品なのだが、なぜかDVD化されていない。あれこれ探した結果、運良くオークションで入手することが叶った。
 浮気したことをうっかり恋人のシルヴィアに告白し、即彼女に三行り半をつきつけられたヴィクター。終焉した恋を絶ち切れない彼は、シルヴィアの結婚式の前日、泥酔してゴミ箱の中で寝てしまう。

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 それから不思議なゴミ収集人が現れて、魔法の呪文を唱えると、ヴィクターはシルヴィアと別れる直前の過去に戻っていたのだった。そこで彼はもう一度やり直し!。今度はシルヴィアを大切にし、浮気もやめるのだが・・・。

 時間の繰返しによって自分の人生をリセットする作品としては、『恋はデ・ジャヴ』『タイムアクセル12:01』などがあるが、この作品でのやり直しは、たったの一回である。またとくにタイムパラドックス等にも言及していない。過去に戻るというのは一つの手法であり、どちらかといえば「人生をリセットしたらどうなるのか?」というテーマが主目的のようである。
 よくある手法ではあるが、人生は一筋縄ではゆかないのか、運命という定めには逆らえないのか、単純にハッピーエンドに終らないところに含蓄を感じてしまった。ラストシーンは皮肉めいているが、ある意味優しさを感じる展開でもある。
 またペネロペ・クルスのたどたどしい英語と、初々しいルックスも必見である。

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2009年8月 2日 (日)

依存 

 登場人物と場所はほぼ限定的で、埋屈っぽい会話が延々と続く。まるで舞台劇のような展開である。
 会話というよりは討論会といった趣きだが、テーマはおおむね二つの事象に絞られる。ひとつはタックの母親の件で、これは禁断の性愛が絡んでくる。そしていまひとつは、ルルちゃんのマンションでの鍵事件で、こちらはストーカーがテーマだ。
 いずれにせよ、なにかに依存しなくては生きられない人間の弱さに起因している。この作品では、いくつかの物語を提示しながら、依存性について、その原因と結論について、全負で徹底的に論じてゆくのである。
 この議論のメンバーは安規大に通う酒呑みグループ達であり、中心的な役割は、ボアン先輩、タカチ、タック、ウサコの4人が演じている。ほとんどのメンバーが本名ではなく、あだ名で呼び合っているところが若々しくて、いかにも学園ドラマを感じさせられる。

依存 (幻冬舎文庫) Book 依存 (幻冬舎文庫)

著者:西澤 保彦
販売元:幻冬舎
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 実に600頁を悠に超える長編であり、議論づくめの展開となれば、とても最後まで読み抜けないだろう。しかし本作は、その議論自体がミステリーの謎解きも兼ねているので全く退屈せず、知らぬ間に依存性世界の怖さを認識することになるのだ。
 こうした手法はなかなかユニークであり、本作は著者の作品の中でもかなり秀逸な出来ではないかと感じた。なお本作の中心人物達が活躍する匠干暁シリーズは、本作で五作目になっている。

スコッチ・ゲーム (幻冬舎文庫) Book スコッチ・ゲーム (幻冬舎文庫)

著者:西澤 保彦
販売元:幻冬舎
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 また完結シリーズではあるが、背景を知る意味でも、本作を読む前に前作『スコッチ・ゲーム』を先に読んでおいたほうがいいだろう。その『スコッチ・ゲーム』では、タカチ(高瀬千帆)自身に起きた事件が中核となっていたが、本作ではタック(匠干暁)自身の複雑な過去が解明されているのである。
 かなり陰湿でへビーな記憶を、無理やり告白させられるような後味の悪さが残るものの、ボアン先輩の包容力には癒されるはずである。

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2009年8月 1日 (土)

ディア・ドクター 

★★★★

 『蛇イチゴ』、『ゆれる』と二作の名作を創り上げて、一躍天才と騒がれた西川美和監督の待望の三作目である。この三作目の作品こそ、彼女が本物の名監督か否かを試される作品なのである。

     Doctor

 ニセ医者が過疎地で人徳医師を装い、村人達に神様のように尊敬されながら、数年間に亘って村の医療を守っている。ところがひとつの嘘がきっかけとなり、彼は謎の失踪を遂げてしまう…というお話である。
 このニセ医師に笑福亭鶴瓶、達人看護師に余貴美子、村長に笹野高史、薬会社のプロパーに香川照之、胃癌を患う老女に八干草薫という豪華な芸達者がズラリと並ぶ。
 鶴瓶は映画初主演だという。かなり騒々しさを押えて、真面目で少しひょうきんな感じの医師を見事に演じ切っていた。なかなか適役であり、言葉だけではなく表情もよかったね。また看護師を演じた余貴美子も素晴らしい。今やこうした役柄では、彼女の右に出る女優さんはいないだろう。

     Doctor2

 ニセ医者でありながらも、本物の医者以上の活躍をする主人公。彼が僻地に留まっていたのは、高い報酬目当てでも、村人達から尊敬されるからでもない。頼まれるとイヤと言えない性格、というところが面白い発想である。
 『ゆれる』と同様に田舎の風景が美しい。テーマは僻地医療と、医師という資格に対するアンチテーゼだろうか。あの「嘘」の是非についても観客に問いかけてくる。今回はシリアスさを緩和し、鶴瓶を用いることによってコミカルなオブラートにくるんではいるが、相変わらず鋭い視点で現代世相に斬り込んでくるのだ。
 全体的にゆったりと流れ、『ゆれる』のように心をえぐるような激しさと感動はないが、こうした描き方も出来るという証拠を残した作品である。満点には少し及ばないが、それなりに満足出来る作品だ。果たして第四作目はどのような作品になるのだろうか。全く見当がつかないが、多いに期待していいだろう。

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