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2009年6月の記事

2009年6月25日 (木)

劍岳 点の記

★★★★
 
 原作は新田次郎の小説であるが、主人公の柴崎芳太郎は実在人物であり、小説同様、陸軍参謀本部陸地測量部の陸地測量官だったという。そして劍岳における功績等についても事実そのものであるから、これはある意味歴史ドキュメンタリーといっても過言ではないだろう。
 それにしても凄い映画である。大自然の撮影にはCGと空撮は一切使用せず、スタッフ・キャストには命がけの苦行ロケだったという。事実スタッフ一名が、落石で重傷を負ってへリコプターで病院に運ばれている。

      Tsurugidake

 まさに真摯で厳格な作品であり、木村大作監督の並々ならぬ気迫と決意を感じることだろう。そして大自然の映像が驚くほど美麗であり、バックに流れるクラシック音楽と見事にリンクし、さらに画質の格調を高めているかのようだ。流石カメラマン出身の監督だと、誰もがきっと唸るはずである。
 物語は面白いというものではなく、淡々と登山と測量が続いてゆく。だが謎の行者の登場、日本山岳会との競合、宇治長次郎と長男とのからみなど、ドラマ仕立てで感動出来るシーンもきちっと用意されている。いずれにせよ、雄大な自然の中で必死で生き抜く男達の人間ドラマであることは間違いないだろう。
 ところがネットでの評価等を覗いてみると、現代の若者達には大味過ぎて物足りないようである。逆に年配の人々には大受けしているようで、平日だというのに、朝から映画館は大行列。満員御札で上映3時間以上前にチケットを購入しないと、良い席がとれない。

 そして館内はどちらを向いても年配者ばかり、日本には年寄りしかいないのかと錯覚するほどのシルバーパワーである。そして何十年も映画館に来たことのないような「山好きのおじさん」らしき人も多かった。
 アカデミー賞を受賞した『おくりびと』のときも同様の現象が起き、映画発展のためには非常に喜ばしいことなのだが、映画を観るエチケットも知らないおじさんが数人いたのは残念である。
 まずシネコンでのチケットの買い方も知らず、注意しても並ばず平然と横入りしてくるおやじがいた。それから僕の隣りで観ていたおじさんは、ブツブツ独り言を言ったり、ビニールの袋でバリバリ音を立てたかと思うと、席から乗りだしてスクリーンを見つめたりと、かなりうざったい。そのうえ朝から酒を飲んでいたのか、オヤジ臭がプンプンと臭ってきて堪らないのだ。もう!何とかしてくれと叫びたくなってしまった。もちろんこうした観客は、ほんの一部なのでご誤解なきよう。
 最後にキャストについて… 柴崎芳太郎役の浅野忠信は、まさにハマリ役で、寡黙で真面目な山男役をしっかりと演じていた。また準主役の宇治長次郎を個性派の香川照之が、これまた見事に味のある役柄に徹している。
 逆に平成感覚プンプンの松田龍平、宮崎あおいには、背景である明治時代の香りが全くしない。どちらかというと、この二人は若者集めのキャスティングなのかもしれないね。あとせっかく芸達者の笹野高史と渋味に磨きのかかった國村隼の個性が生かせず、ただの悪軍人にしか描かれていないのが非常に残念であり、こんな役をさせてはもったいなさ過ぎるのではないか。
 信念と勇気を失なわず、過酷な環境を乗り越えて真摯に生きることの素晴らしさ、日本人が失なってはならない精神を描いた作品であり、是非とも現代の若者たちにこそ観てもらいたい映画のはずである。ところが観客は年配者ばかり、という皮肉な結果となってしまった。だがいまだ上映開始してまもないので、今後若者達の観客が増えてくれることを期待してやまない。

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2009年6月22日 (月)

魔法にかけられて

★★★★

 オープニングは『白雪姫』もどきのアニメでスタート。主人公のジゼルは、夢の中で出逢った王子様と結婚することを願う。そしてその夢が叶って、いよいよ王子との結婚式の朝を迎えるのだった。

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 ところが王座を奪われることを嫌う継母の女王(魔女)に騙されて、アニメのお伽の国から、実写の現代世界へと追放されてしまうのである。
 跳ばされた場所は、ニューヨークのど真中。クラシカルなウェディングドレスをまとったままのジゼル(エイミー・アダムス)は、車に轢かれそうになったり、ホームレスに宝石を盗まれたり、雨でズブ濡れになったりと、散々な目に合ってしまうのだ。
 ジゼルは、自分が何処にいるのかも分からず、休む場所もなく、パニック状態に陥っているときに、娘のモーガン(レイチェル・コヴィー)を連れた弁護土のロバート(パトリック・デンプシー)と出逢う。この出逢いこそ運命的な出逢いになるのだが、ロバートにはナンシー(イディナ・メンゼル)という恋人がいるし、今度はアニメ世界からジゼルを追って、婚約した王子や魔女の手先きがやってくるのだった。
 このあとの結末は、是非映画を観て確認して欲しい。歌あり踊りあり、そして笑いと涙を折り込み、老若男女を問わず誰にでも楽しめるファンタジー作品に仕上がっている。そのうえアニメ世界と実写世界を組み合わせるというユニークなアイデアが仲々面白い。まさにディズニー映画にしか出来ない芸当じゃあないか。

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2009年6月21日 (日)

ターミネーター4 

★★★★

 衝撃の『ターミネーター』が製作されたのが1984年。それ以降『ターミネーター2』、『ターミネーター3』と、いずれもアーノルド・シュワルツェネッガー主演であったが、第一作を超えることは出来なかった。
 本作ではシュワルツェネッガーは、主役ではなくCGでのチョイ役に過ぎない。また舞台もターミネーターが製造された2018年になっている。つまり過去の作品で断片的に描かれていた核戦争後の未来世界でのお話なのだ。

         T4

 当然主人公になるのは、人類の救世主となるジョン・コナー(クリスチャン・べイル)なのだが、時代背景は、コナーがまだ小隊のリーダーとして活躍している頃である。従って本作では、彼はまだ完全な主人公とは言えないし、余り魅力的な人物にも描かれていない。
 どちらかといえば、今回はサイボーグのマーカス・ライト(サム・ワーシントン)のほうにスポットライトが当たっていたようだ。そしてのちにジョンの父親となるはずの、カイル・リースとのからみがキーポイントとなる。

 シリーズものといっても、毎回味の異なる展開を繰り広げてきたターミネーターシリーズだが、とうとう未来編に突入し、これまでとは全く別作品のようなストーリーが始まった。
 本作ではバイクロボの「モトターミネーター」や、巨大ロボの「ハーヴェスター」、水中ロボの「ハイドロボット」など多数のマシンが登場しする。またアクション映画というよりは、戦争映画そのものといった趣きである。
 ターミネーターは、旧式のTー600型やシュワちゃんでお馴染みのTー800型が登場するが、『ターミネーター2』や『ターミネーター3』で登場した新型マシンはまだ製造されていない。
 今回はコナーがカリスマへの道を歩み始める迄を描いているだけなので、少なくともあと2作位の続編が製作されることは間違いないだろう。
 カイルが過去の世界へ行くこと、そしてターミネーター達がコナーの存在を抹殺しに過去へ跳ぶくだりで、過去の作品とどのようにリンクさせるのだろうか。そしてこの超大作をどのような形で収束させるのか。興味深々でゾクゾクする。続編が待ちどおしくて我慢できないぜ。

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2009年6月20日 (土)

世にも不幸せな物話

★★★☆

 映画のジャンルはファンタジーアドべンチャー、ストーリーの創り方としては、お伽話といってよいだろう。また主役の三人の子供達が、それぞれの得意技を発揮するくだりが、この物語を楽しくさせるエッセンスになっている。
 長女のヴァイオレットを演じたエミリー・ブラウニングは、当時15才にしては、妙に色気があって可愛いのだ。・・・などと書くとロリコン趣味と誤解されるので言及するのはやめておこう。

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 さてこの物語は、火事で裕福な両親を亡くした三姉弟妹が、着の身着のままで、次々とおかしな身元引受人の間を転々とするという展開である。身元引受人達は、それぞれが奇人・変人ばかりだが、最初の身元引受人であるオラフ伯爵だけは、どうしようもない極悪非道の人物でもあった。
 このオラフ伯爵に、あのジム・キャリーが扮して、まるであの『マスク』のような、マンガチックなオーバーアクション見せてくれる。そして他の身元引受人が、いとも簡単に死んでしまうのに、こいつは何をしても死なないし、逮捕されてもすぐに逃げ出してしまう。
 観ているほうは、腹が立ちストレスが溜まるのだが、きっと彼が再登場する続編の予定があるのだろう。しかしこうした話は一度だけでよい。僕的には続編には全く興味が湧かないな…。

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2009年6月17日 (水)

ROOKIES 卒業

★★★★

 佐藤隆太の熱血先生振りが良かったな。ちょいとおっちょこちょいで、喧嘩も弱そうなところが逆に共感を呼んだのだろう。
 「夢にときめけ明日にきらめけ」だってさ、恥かしいし臭くて臭くてしょうがない映画だが、以外に素直に号泣してしまった。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い、とにかく猛烈に熱くなる。

    Rookies

 現実にはあり得ないかもしれないが、醒めてしまった今の日本で、一番不足している精神と心情を引き戻してくれる熱気とパワーである。自分さえ良ければ、金のためには何でもやるといった風潮。それが秋葉原の無差別殺人や腐りきった政治家や企業家を生み出すのだ。
 暴力団まがいのヤンキー高校生達が、「甲子園に行く」という夢だけのために、ひたすら汗を流し続ける。シンプルで単純でバカバカしいほど判り易い映画だ。
 だが今だからこそ、こんな作品が必要なのではないだろうか。息子がいれば絶対に一緒に観たい映画である。だから映画館は親子連れで長蛇の列。もちろん興行成績もダントツのようである。
 映画の創り方や野球のシーンに細かい文句のある人もいると思う。だがそんなことは、どうでもいいじゃないの。こんな世の中なのだから、たまには熱い涙を流して、人間である証しを確認しようではないか。

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2009年6月15日 (月)

タイムアクセル12:01

★★★★

 かなり以前に1度観た映画だが、最近になって気になり始め、DVDを探しても見当たらないため、中古ビデオを購入してしまった。
 本作は『恋はデジャ・ブ』同様、ある1日の繰返しが延々と続く。『恋はデジャ・ブ』は、美人プロデューサーをくどくために、何度も1日を繰り返す男の話だった。本作は惚れた同僚女性を、殺し屋から守るために何度も1日を繰り返す男の話である。

      Time

 繰返しを続ける原因は、どちらも女性のためなんだね。違うところは、本作の時間循環ほうが、やや理論的だということである。いずれにせよ、双方よく似た作品である。 だがどちらの作品も、1993年製作なので、どちらかがパクッたということはない。それにしても、偶然の産物にしては似過ぎているよな。

 『恋はデジャ・ブ』には一歩譲るものの、本作の出来映えもなかなかである。とにかく面白いし、よく練られたストーリー構成である。そしてヒロイン役のヘレン・スレイターがとても知的でキュートだ。
 若かりし日の彼女が『スーパーガール』だったと知って、驚きの中に懐かしさが溢れてくるようであった。ところで彼女もそろそろ40代後半になるんだ。最近はほとんど映画出演はなく、フォークやジャズの歌手をしているらしいね。

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2009年6月 8日 (月)

イエスタデイズ

★★★★

 主人公聡史(塚本高史)は、余命わずかな父親(國村隼)に、青年時代に別れた恋人を探して欲しいと頼まれる。手がかりは彼女の名前と、若き日の父が描き貯めたスケッチブックのみ…。
 そのスケッチブックに描かれた場所に行き、そのスケッチブックをじっと見つめていると、いつの間にかそれが描かれた時代にタイムスリップしてしまう。そしてそこで彼は、若かりし日の父(和田聰)と、美しい恋人・澪(原田夏希)に出会うのだった。

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 愛しているが故の別れ、父と母との出逢い、知り得なかった父の苦悩、などなど…この手の映画で使われる常套手段ではあるが、甘くせつなくノスタルジックな展開と美しい映像が流れてゆく。

 ストーリー構成では、『地下鉄に乗って』とやや似ているが、タイムスリップ手法は、絵と写真の違いこそあれ、『バタフライエフェクト2』そのままである。だが『バタフライエフェクト2』のタイムスリップよりは、本作のほうがずっと必然性があった。
 タイムスリップを利用したラブファンタジー作品としては、かなり良質の部類に入る作品だと確信する。しかし、原作が短編であるためか、心に深く突き刺さるような大感動シーンがなく、「爽やか感動」止りというところに、今一つ物足りなさを禁じ得なかったのも事実である。

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2009年6月 6日 (土)

株の世界の歩きかた

 著者はカブドットコム証券の役員をしている臼田琢美さんで、株式投資に対する愛情をひしひしと感じる。そして株の美味しさとホロ苦さも、十分噛みしめているようである。

株の世界の歩きかた Book 株の世界の歩きかた

著者:臼田 琢美
販売元:日本経済新聞社
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 本書はこれから株の売買を始めたいという、株式取引初心者向けの本だが、ノウハウ本や参考書のように気取ったところがない。だからと言って、やたらと図やイラストを挿入しているケバい本でもない。
 株式取引を読み物風にまとめて、優しくそして判り易く解説してくれるので、読んでいて楽しいし、知らぬ間に株式取引の何たるかが理解出来てしまう。
 著者のポリシーは、基本的に株は中長期的に保有するものということなので、デイトレをめざす人達にはもの足りないかもしれない。しかし健全かつ本格的な株式投資を目指す人にとっては、たとえ中級者であっても十分満足出来る本に仕上がっている。とにかく好感の持てる一冊だ。

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