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2009年5月10日 (日)

ある公爵夫人の生涯

★★★★

 故ダイアナ妃の祖先である「デヴォンシャー公爵夫人ジョージアナ」の半生を描いた作品である。主演のジョージアナには、キーラ・ナイトレイ、その母親役にシャーロット・ランプリング、そして淡白で冷たい感じのデヴォンシャー公爵には、レイフ・ファインズと、これ以上の適役はない顔ぶれが揃う。
 自由奔放に育ったジョージアナは、若干17歳で最も裕福な公爵と言われるデヴォンシャー公爵の元に嫁ぎ有頂天になる。だが公爵が若妻に望むものは、恋愛感情ではなく、後継者となる男子の誕生だけであった。

   Koushakufujin

 ところがジョージアナが身ごもるのは女子ばかり…。イライラするデヴォンシャーは、娘や妻に見向きもしなくなり、とうとうジョージアナの友人であるエリザベスと関係を持ってしまうのである。そしてエリザべスはいつの間にか公爵愛人となり、三人は同じ屋根の下で暮すことになるのだ。
 この二重の裏切りに怒りまくったジョージアナは、青年政治家グレイと愛し合ってしまう。しかしその関係は社交界での大スキャンダルとなり、やがて母親やデヴォンシャーの知るところとなってしまうのである。
 それにしてもキーラ・ナイトレイは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『プライドと偏見』、『つぐない』、『シルク』など、時代ものがよく似合うよな。本作でもその豪華絢爛な衣装を実に見事に着こなし、当然のようにアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞している。
 また多少脚色があるにしても、この男性中心の時代に、社交界の華と呼ばれ、賭け事に溺れて借金地獄にはまり、挙句の果てに堂々と不倫をする女性が実在していたことに驚愕するばかりだ。またそれがあの故ダイアナ妃の祖先だとは、皮肉な運命にもて遊ばれているとか言いようがない。
 この映画でのデヴォンシャー公爵は、冷血で身勝手な男として描かれているが、それは余りにもジョージアナ寄りの描き方ではないか。当時の貴族なら誰でも結婚は、「お世継ぎ創りのため」と考えていただろうし、それは洋の東西を問わず彼等の宿命とも言える。また程度の差はあるにしても、現在の皇室でも基本は同じであろう。彼らもある意味気の毒な存在なのである。
 この映画の見所は、古城でのロケーションや豪華絢爛な衣装だけではなく、閉鎖的な貴族社会のドロドロとした人間ドラマを垣間見ることにもあるのだろう。
 

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コメント

龍女さんこんにちは
>当時の貴族社会では既婚してから恋愛する自由が得られたと聞いていますから
そうなんですか、男中心世界であったのに、性的には男女平等だったのですか。知りませんでした。
>日本にも名家出身で公爵のような考え方の人は存在します。
そうですね、名門の大金持ちはやはり、後継者が欲しいですからね。ただ後継者は、ボンボンよりも優秀な娘婿のほうが成功すねるんですがね・・・

投稿: ケント | 2009年5月13日 (水) 13時28分

 うーむ。
 まあ、この当時の貴族社会では既婚してから恋愛する自由が得られたと聞いていますから、ジョージアナの行動も常識の範囲内ではなかったか?
 と思いますね。
 しかし問題は、秘め事として行うのではなく、堂々としていたことでしょう。

 また、公爵とジョージアナは考え方が違っていたんだと思います。

 今も日本にも名家出身で公爵のような考え方の人は存在します。
 私は友人として一時期接した経験はありますが。
 おそらく私もジョージアナの考えに近い(行動は別)ので、耐えられなくなると思います。

 庶民でよかったとつくづく思います。

投稿: 龍女 | 2009年5月13日 (水) 03時51分

KLYさんコメントありがとう
そうですよね。あの時代にしては、ジョージアナのほうが異常かもしれませんよね。それにベスを同居させたらああなるのは分かりそうなものだけどな。
公爵からしたら、放り出してもいいところを、それとなく謝ったのだから、芯は優しい人なのかもしれませんよね。

投稿: ケント | 2009年5月11日 (月) 21時59分

こんばんは^^

>それは余りにもジョージアナ寄りの描き方ではないか

私もそう思いました。彼にとっては彼の代で公爵家を潰す訳にはいかないわけですもんね。だからこそ「私は夫としての義務をはたした。君は妻としての義務を果たしていない。」っていうセリフがあるんだと思うんです。

女性を子供を産む機械としか見ていないように描かれていますが、子供は女性一人では産めませんし。今の価値観で彼を判断してはそれは余りにも気の毒だし、むしろこの時代にしては寛大な人ではないかと思ったりしました。

投稿: KLY | 2009年5月10日 (日) 22時43分

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