ある公爵夫人の生涯
★★★★
故ダイアナ妃の祖先である「デヴォンシャー公爵夫人ジョージアナ」の半生を描いた作品である。主演のジョージアナには、キーラ・ナイトレイ、その母親役にシャーロット・ランプリング、そして淡白で冷たい感じのデヴォンシャー公爵には、レイフ・ファインズと、これ以上の適役はない顔ぶれが揃う。
自由奔放に育ったジョージアナは、若干17歳で最も裕福な公爵と言われるデヴォンシャー公爵の元に嫁ぎ有頂天になる。だが公爵が若妻に望むものは、恋愛感情ではなく、後継者となる男子の誕生だけであった。
ところがジョージアナが身ごもるのは女子ばかり…。イライラするデヴォンシャーは、娘や妻に見向きもしなくなり、とうとうジョージアナの友人であるエリザベスと関係を持ってしまうのである。そしてエリザべスはいつの間にか公爵愛人となり、三人は同じ屋根の下で暮すことになるのだ。
この二重の裏切りに怒りまくったジョージアナは、青年政治家グレイと愛し合ってしまう。しかしその関係は社交界での大スキャンダルとなり、やがて母親やデヴォンシャーの知るところとなってしまうのである。
それにしてもキーラ・ナイトレイは、『パイレーツ・オブ・カリビアン』、『プライドと偏見』、『つぐない』、『シルク』など、時代ものがよく似合うよな。本作でもその豪華絢爛な衣装を実に見事に着こなし、当然のようにアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞している。
また多少脚色があるにしても、この男性中心の時代に、社交界の華と呼ばれ、賭け事に溺れて借金地獄にはまり、挙句の果てに堂々と不倫をする女性が実在していたことに驚愕するばかりだ。またそれがあの故ダイアナ妃の祖先だとは、皮肉な運命にもて遊ばれているとか言いようがない。
この映画でのデヴォンシャー公爵は、冷血で身勝手な男として描かれているが、それは余りにもジョージアナ寄りの描き方ではないか。当時の貴族なら誰でも結婚は、「お世継ぎ創りのため」と考えていただろうし、それは洋の東西を問わず彼等の宿命とも言える。また程度の差はあるにしても、現在の皇室でも基本は同じであろう。彼らもある意味気の毒な存在なのである。
この映画の見所は、古城でのロケーションや豪華絢爛な衣装だけではなく、閉鎖的な貴族社会のドロドロとした人間ドラマを垣間見ることにもあるのだろう。
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» ある公爵夫人の生涯 [そーれりぽーと]
故ダイアナさんを彷彿とせずにはいられない、スペンサー家の女性の結婚を描いた実話『ある公爵夫人の生涯』を観てきました。
★★★
邦題からはジョージアナの人生の全てが描かれているのを創造していたけど、半生どころか十年にも満たないので、タイトルに偽りアリ。
原題通り『公爵夫人』で良かったのに、大袈裟にしたかったのか。
妻に無関心な夫と、愛情に飢える妻を描いている辺りはまだ記憶に新しい『マリー・アントワネット』とモロ被り。
話題だった豪華な衣装やらセットだって、『マリー・アントワネット』のベルサイユ宮殿... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 13時25分
» 『ある公爵夫人の生涯』 (2008)/イギリス・フランス・イタリア [NiceOne!!]
原題:THEDUCHESS監督・脚本:ソウル・ディブ出演:キーラ・ナイトレイ、レイフ・ファインズ、シャーロット・ランプリング、ヘイレイ・アトウェル、ドミニク・クーパー公式サイトはこちら。<Story>18世紀後半のイギリス。貴族の家に生まれたジョージアナ(キーラ・...... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 14時17分
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故ダイアナ妃の祖先デヴォンシャー公爵夫人の実話を映画化。「ある公爵夫人の生涯」公式サイト古城や豪華絢爛な衣装がとにかくお見事でした!キーラ似合うし! 時代モノの雰囲気を堪能できます〜17歳で公爵家に嫁いだジョージアナ。夫の公爵は妻に無関心で男子出産しか望...... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 17時51分
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18世紀後半のイギリス。貴族の家に生まれたジョージアナは、世界的にも最も裕福な大貴族の1人、デヴォンシャー公爵と結婚することになりました。ジョージアナは、新婚生活に夢を抱きながら嫁いで行きますが、公爵は、彼女が望むような愛情を示そ... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 18時56分
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Bunkamuraル・シネマで、キーラ・ナイトレイの「ある公爵夫人の生涯」を観てきました。キーラ・ナイトレイの作品は「つぐない」を観ました。その前の「プライドと偏見」も、ブログには書いていませんが「つぐない」を観た後、すぐにDVDを借りて観ました。前の二つとは毛色... [続きを読む]
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18世紀後半のイギリス。
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受信: 2009年5月10日 (日) 21時52分
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先日、アカデミー賞の最優秀衣装デザイン賞に輝いた作品。
内容は、ダイアナ王妃の祖先にあたるジョージアナ・スペンサーのお話。どうしても... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 22時02分
» ある公爵夫人の生涯 [to Heart]
原題 THE DUCHESS
製作年度 2008年
製作国・地域 イギリス/イタリア/フランス
上映時間 110分
原作 アマンダ・フォアマン
脚本 ソウル・ディブ/ジェフリー・ハッチャー/アナス・トーマス・イェンセン
監督 ソウル・ディブ
音楽 レイチェル・ポートマン
出演 キーラ・ナイトレイ レイフ・ファインズ/シャーロット・ランプリング/ドミニク・クーパー/ヘイリー・アトウェル/サイモン・マクバーニー/エイダン・マクアードル
イギリスの元王太子妃ダイアナの生家としても知られるスペ... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 22時21分
» ある公爵夫人の生涯 を観ました。 [My Favorite Things]
キーラのキャラとして、イギリス貴族というのが定着した?1本かな? [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 22時35分
» ある公爵夫人の生涯 [LOVE Cinemas 調布]
あのダイアナ妃の生家であるスペンサー家、その先祖にあたるジョージアナを演じるのはキーラ・ナイトレイ。そして嫁ぎ先のデヴォンジャー公爵を『ハリーポッター』シリーズでヴォルデモートを演じたレイフ・ファインズが演じています。西洋史モノ大好きな私にとっては楽しみにしていた一作であり、キーラ・ナイトレイを観るのも『パイレーツ・オブ・カリビアン』以来とあっては期待感が高まる一方なのでした。... [続きを読む]
受信: 2009年5月10日 (日) 22時41分
» ある公爵夫人の生涯☆★THE DUCHESS [銅版画制作の日々]
18世紀にも、スキャンダル。
4月17日、東宝シネマズ二条にて鑑賞
イギリス元皇太子妃ダイアナの生家であるスペンサー家の実話です。時は18世紀後半にその名門家に生まれたジョージアナ・スペンサー(キーラ・ナイトレイ )は17歳という若さで、名門貴族デボンシャー公爵のもとに嫁ぐのだが・・・・。結婚後、社交界の華として注目を集めるが、デボンシャー公爵(レイフ・ファインズ) とは愛のない生活を送っていた。
どこか故ダイアナ妃と重なるようなところもある。愛のない結婚。ただ子孫繁栄のために嫁いだという悲... [続きを読む]
受信: 2009年5月11日 (月) 00時19分
» ★「ある公爵夫人の生涯」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
今週の平日休みは、14日という事で1本1000円で見られる「TOHOシネマズ」で3本まとめ観っ。
中国もの・イギリスもの・フランスものの3本立てでしたよーーー。 [続きを読む]
受信: 2009年5月11日 (月) 01時09分
» 【ある公爵夫人の生涯】 [日々のつぶやき]
監督:ソウル・ディブ
出演:キーラ・ナイトレイ、レイフ・ファインズ、ドミニク・クーパー
18世紀にも、スキャンダル。
「18世紀のイギリス、まだ若き貴族の娘ジョージアナは裕福なデヴォンシャー公爵に嫁いだ。
しかし、結婚生活は幸せとは遠かった。
公爵... [続きを読む]
受信: 2009年5月13日 (水) 18時49分
» ある公爵夫人の生涯★★★★劇場49本目:アカデミー賞最優秀衣... [kaoritalyたる所以]
4/19(日)に鑑賞した映画・・その後バルに立ち寄って携帯から更新したのですが、訂正・加筆して書き直していたところにPCが固まって、結局アップしたのを消す羽目に。まず、女性には共感できる部分が多い映画で、衣装もオスカーを獲っただけあり華やかで、ゴージャ...... [続きを読む]
受信: 2009年5月24日 (日) 13時48分
コメント
龍女さんこんにちは
>当時の貴族社会では既婚してから恋愛する自由が得られたと聞いていますから
そうなんですか、男中心世界であったのに、性的には男女平等だったのですか。知りませんでした。
>日本にも名家出身で公爵のような考え方の人は存在します。
そうですね、名門の大金持ちはやはり、後継者が欲しいですからね。ただ後継者は、ボンボンよりも優秀な娘婿のほうが成功すねるんですがね・・・
投稿: ケント | 2009年5月13日 (水) 13時28分
うーむ。
まあ、この当時の貴族社会では既婚してから恋愛する自由が得られたと聞いていますから、ジョージアナの行動も常識の範囲内ではなかったか?
と思いますね。
しかし問題は、秘め事として行うのではなく、堂々としていたことでしょう。
また、公爵とジョージアナは考え方が違っていたんだと思います。
今も日本にも名家出身で公爵のような考え方の人は存在します。
私は友人として一時期接した経験はありますが。
おそらく私もジョージアナの考えに近い(行動は別)ので、耐えられなくなると思います。
庶民でよかったとつくづく思います。
投稿: 龍女 | 2009年5月13日 (水) 03時51分
KLYさんコメントありがとう
そうですよね。あの時代にしては、ジョージアナのほうが異常かもしれませんよね。それにベスを同居させたらああなるのは分かりそうなものだけどな。
公爵からしたら、放り出してもいいところを、それとなく謝ったのだから、芯は優しい人なのかもしれませんよね。
投稿: ケント | 2009年5月11日 (月) 21時59分
こんばんは^^
>それは余りにもジョージアナ寄りの描き方ではないか
私もそう思いました。彼にとっては彼の代で公爵家を潰す訳にはいかないわけですもんね。だからこそ「私は夫としての義務をはたした。君は妻としての義務を果たしていない。」っていうセリフがあるんだと思うんです。
女性を子供を産む機械としか見ていないように描かれていますが、子供は女性一人では産めませんし。今の価値観で彼を判断してはそれは余りにも気の毒だし、むしろこの時代にしては寛大な人ではないかと思ったりしました。
投稿: KLY | 2009年5月10日 (日) 22時43分