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2008年11月 2日 (日)

ぐるりのこと

★★★★

 初めのうちは、どことなく頼りなく、はっきりせず、女の尻ばかり追っている夫役のリリー・フランキーにイライラしていた。だがストーリーが進むうちに、だんだんこの男の好感度がアップしてゆくのが不思議だった。
 このあたりは、リリー・フランキーの演技のない演技力なのか、脚本の妙なのかは判明出来ないが、なかなか味わい深い映画だなという印象が残った。さらに妻役木村多江の迫真の演技力にも驚かされた。

 Gururi_2

 鼻水をたらしながら泣きじゃくったり、常軌を逸したうつ症状など、まさに何かに憑依されたような凄まじい演技だった。あれでもし風呂場で全裸を晒していたら、文句のつけようのないパーフェクト女優に昇格していただろう。
 それにしても、日本美人でこんな凄い演技力を持っていた女優がいたことに、今まで気付かなかった自分の浅学さを恥じるばかりだ。今後、彼女の活躍を見守ってゆきたいね。

 ストーリーのほうは、精神面でのスレ違い夫婦の日常と、胎児を死亡させてしまった妻の苦悩を、長回わし技法とユ―モア混えながらを描いてゆく。そして、唯一お互いに理解し合える「絵画の世界」を通して、社会風刺と癒しの世界を平行して織り込んでゆく。なかなか、お洒落で緻密な構成であり、『ゆれる』『かもめ食堂』などと同様、邦画の新しい風を感じた。

 夫婦というものは、性格は正反対でも良い。いやむしろ正反対のほうが長続きするかもしれない。だが、やはり価値観や趣向に共通点がなければ、難しいだろう。どちらかが我慢するしかない一方通行の付き合いでは、やがて破綻してしまうのは火を見るより明らかだ。
 どちらも少しずつ譲歩しながら、それぞれの持つ価値観や趣向を共有してゆく努力ことが、夫婦円満の秘訣なのである。この映画を観ながら、ふとそんな常識論を一つ一つ噛みしめながら再確認しようじゃないか。

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コメント

こんにちは♪
「東京タワー」に繋がるものを感じました。
「東京タワー」はオダジョーが主演ではありましたが、その後ろにつねにリリーさんの姿が見え隠れしていたので。
この作品でも絵を書く人ということでリリーさんにピッタリの役でしたよね。
家庭を持つのに不適格な人間かと心配しましたが、だんだんいい夫になっていくのには驚きました。
朴訥とした喋り方も温かさを感じさせました。

投稿: ミチ | 2008年11月 3日 (月) 11時59分

TBありがとう。

木村多江は、ちょっと古典的な日本美女の系譜ですね。華はないけど、オカルト映画においておくのはもったいない素材かもしれません。

投稿: kimion20002000 | 2008年11月 3日 (月) 20時23分

 観られたんですね。
 私は今年のNo.1映画です。
 是非、木村多江さんには主演女優賞をとって欲しいです。

投稿: 龍女 | 2008年11月 5日 (水) 01時59分

ミチさんコメントありがとう
そういえば「東京タワー」に繋がるものがありましたよね。ひとの心の温かさを感じました。
そうだんだん良い夫になって行きましたよね。あれは演出の妙なのでしょうかね。

投稿: ケント | 2008年11月 5日 (水) 14時29分

kimionさんコメントありがとう
木村多江は地味な感じの日本美人ですね。でも僕のようなおじさんには、派手な女優よりずっと好感が持てますね。とにかく演技力が素晴らしかったですね。


龍女さんこんにちは
今年のNo.1映画ですか。僕は「おくりびと」とか「容疑者X」とかと良い勝負なので迷っています。ただし木村多江さんの主演女優賞は当確でしょうね。

投稿: ケント | 2008年11月 5日 (水) 14時36分

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