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2008年10月11日 (土)

宮廷画家ゴヤは見た

★★★★

 舞台は19世紀前後の動乱のスペイン。贅沢三昧の宮廷や残虐傲慢な教会の内部事情を暴く、歴史サスペンスドラマで、ストーリーは早いテンポで展開してゆく。
 そのタイトルから想像すると、「ゴヤ」の半生とその絵画を描いた芸術的な映画なのかと錯覚してしまうだろう。だが画家ゴヤの役柄は、あくまでもキーパーソン的存在であり、主役はゴヤが描いた二つの肖像画のモデル二人だといえる。

     Goya

 その一人は、無実の罪で拷問を受け続けた、商家の美少女令嬢「イネス」である。またこの映画は、彼女の悲惨な半生を描いた悲恋物語ともいえるだろう。
 暗く重く心にのしかかってくる映画であり、イネスが全裸にされて拷問されるシーンでは、思わず胸が苦しくなってしまった。このあたりは、二度と観たくないシーンとして一生心に刻まれるだろう。
 それにしても、その風貌がキーラ・ナイトレイを髣髴させるナタリー・ポートマンの演技が凄いね。優雅な商家の令嬢、狂女、売春婦と見事に全く異なる三役?をこなしているのだから…。

 もう一人の主役は、自己中心的で快楽だけを求め、己の出世のために風見鶏的人生に徹する「神父ロレンソ」である。演じるのは、ハビエル・バルデムだが、いやらしさの中に滑稽さを交えた得意なキャラクターであり、独自の世界感を見事に表現していたと思う。

 さて絵画のほうは、ゴヤの代表作として知られる『裸のマハ』の絵は登場せず、陰湿で残酷な社会風刺を描いた恐ろしい作品ばかりがスクリーンに映し出されるのだ。しかしながら、版画の製作シーンと、エンディングクレジットでのゴヤの作品群は、かなり見応えがあったね。
 とにかく感動というより、とてつもない切なさが、深く心に染み込んでくる重く暗い作品であった。

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コメント

ナタリー・ポートマン扮するアミダラの影武者を演じるキーラ・ナイトレイを思い出してしまいました。
 実は、私はキーラ・ナイトレイの存在を知ったのはその『スターウォーズ・エピソード1』でした(遠い目)

 私は美術ファンなので観たい作品ですね。

投稿: 龍女 | 2008年10月11日 (土) 13時05分

龍女さんコメントありがとう
キーラ・ナイトレイは、ナタリー・ポートマンの影武者を演じていたのですか、どうりでだからこの二人は似ているのですね。
本作は暗くて重い作品ですが、秀作であることは確かです。是非一度ご覧になってください。

投稿: ケント | 2008年10月11日 (土) 16時29分

ケントさん、こんばんは♪
確かに、感動と言うより、すごい映画だったと
思ってしまいました(*_*)

ナタリーの三役はすごかったですね(^_^;)
美しいナタリーを観に行ったつもりで
あんなに変貌してしまったナタリーを見る事に
なるとは思いもしませんでした(^_^;)
ホント、素晴らしい演技でした^^

そして、またまた怪演のハビエル・・・この人が
出てくるだけで、よからぬことが起こりそうで
怖い(T^T)ノーカントリーも尾を引いていますし(^_^;)

冒頭の版画のシーンとエンディングのゴヤの絵の
シーンも見どころですよね(^_-)-☆

投稿: ひろちゃん | 2008年10月12日 (日) 23時55分

ひろちゃん さんコメントありがとう
ナタリーの三役は、もう凄まじいの一言でしたね。
なんだか、とても切なくなりました。
彼女もだいぶ成長しましたよね。
版画のシーンはとても勉強になりました。
ゴヤの絵については、もっと明るい絵も見たかったですね。

投稿: ケント | 2008年10月14日 (火) 10時25分

ケントさん、こんにちは。
TB、ありがとうございました。
こちらからココログさんへTBが届かない記事があるのでコメントだけ…(゚▽゚*)

久しぶりに秀作だな~と思いました。
切ない内容であるけど、役者さんの演技から演出全てが上手くかみ合って、観る者の心を捉まえられる映画ではないでしょうか。
ハビエルも流石ですが、ナタリーも凄かったです。
彼女も今後がますます楽しみな若手女優さんですね♪

投稿: オリーブリー | 2008年10月14日 (火) 16時09分

オリーブリーさんコメントありがとう
確かに時々届かないTBがありますね。
ナタリーの演技力はホントに凄かったですね。
彼女は頭も良いし、ホントにこれからが楽しみですね。
暗く重い作品でしたが、秀作であることは確かです。

投稿: ケント | 2008年10月14日 (火) 21時38分

こんばんは。
何の罪もないイネスが本当哀れで、観てるのが辛かったです。
そしてナタリー・ポートマンはすごい演技でしたね。さすがだ!

投稿: masako | 2008年10月27日 (月) 00時34分

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