この人を見よ
神経質でユングに傾倒する神秘主義者のカール・グロガウアーは、イエス・キリストの生涯に異常な執着心を持っていた。ある日偶然にタイムマシン製作者と知り合い、人体実験でタイムマシンに搭乗することになる。
彼はキリストの処刑を見届けようと、西暦29年のエルサレムに跳んだ。だがそこで出会ったイエスは、およそ救世主とは見えないとんでもない人間であった。
そして知らぬ間に、大きな時のうねりと歴史とが、彼を不思議な運命へと導き始める。やがて彼自身がイエス・キリストを演じることになってしまい、ゴルゴダの丘へと向かうのだった。
大変なストーリーであり、キリスト教徒たちが読んだら「神への冒涜だ」と、この小説を罵倒するに違いない。しかし、イエス・キリストの正確な生涯など、誰も知り得ないのだ。もしかして、信じられない驚くべき真実が隠されているのかもしれない。
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