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2008年8月16日 (土)

百万円と苦虫女

★★★☆

 刑務所帰りの佐藤鈴子。誰も迎えに来ないので、てっきり一人住まいかと思えば、両親も弟もいるのだ。一応家族揃って出所祝をしてくれるのだが、何か全員がちぐはぐとしている。
 両親が登場するのはこのときだけで、それ以降はまるで弟と二人きりの家族のようだ。やがて鈴子は一人旅に出る。そして百万円貯ったら、また旅に出る。始めは海の家、次は山の桃農家、そして地方都市のホームセンターで働くのだった。

          Nigamushi

 なんだかトラさんみたいじゃないの。百万円には、たいした拘りはない。時給800円として半年間働けば、大体百万円位になる。もちろん生活費もあるから、百万円貯めるには、半年働いただけでは無理。
 だがもともともっているお金が百万円で、交通費やアパートの敷金などに40万円使って、残金60万円から始めれば、あと40万円貯めれば百万円になるという計算だ。つまり常時百万円をストックしておくという考え方のようである。
 だから住み込みの桃農家では、生活費がかからないから、余り滞在していなかったよね。いずれにしても、人との関わりが苦手な鈴子は、同じ場所に長期間留まっていたくないのだろう。それが百万円貯めたら旅に出るという理屈を創りあげたのだ。

 嫌なものを嫌と言えないため、結局さらに嫌になるという悪循環。現代日本人に共通する心情かもしれない。彼らは優しいというか、醒めているというのか、それとも仲間外れを恐れてつるんでいるのだろうか。
 知らない人の中での孤独は淋しくないが、少し知っている人達の中での孤独は耐えられない。映画の中の飲み会でも、結局楽しそうに話しているのは、2~3人で、あとはほぼ相槌を打っているだけの世界。
 それなら、話からあぶれている奴を無理に誘わず、初めからその2~3人だけで飲めばいいじゃないの。だが日本人の慣習としては、皆んな一緒という建前論が首をもたげる。でもそれなら全員に話を振れば良いのに、大声出して先に話した方が勝ちという本音には敵わない。
 だから関わりたくなかったのに、と後悔しても後の祭り。あとは無駄に時間を潰しながら、じっと一次会が終わるのを我慢の子。だが耐え切れなくなると、突然切れて何をするか判らない、あるいは自分自身の心がボロボロになってしまう。
 そんな自分が怖いので、切れる前に逃げるのだ。それが鈴子の百万円の旅なのだろうか。

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コメント

こんにちは。
「知らない人の中での孤独は淋しくないが、少し知っている人達の中での孤独は耐えられない。」
ってなんかズバって感じですね。
飲み会の話もなるほど!と思っちゃいました。

私は鈴子の不器用さと、不器用なくせに以外と行動力があったりするところが好きだったんですよねぇ。

あの切ないラストがまた余韻を残した感じがしました。

投稿: masako | 2008年8月17日 (日) 13時01分

masakoさんコメントありがとう
田舎から都会に出てくる人たちの心理の中には、都会は知らない人ばかりだから淋しくないという心情もあるのでしょうかね。
鈴子の不器用さと、漂々とした妙な行動力を演じられるのは蒼井優くらいでしょうか。

投稿: ケント | 2008年8月17日 (日) 17時33分

ケントさん、TB&コメントありがとうございました!

人と関わらないように暮らすのってやっぱり難しいですよね。一箇所にいるとどうしても色々な関わりができて。
あの飲み会の席での鈴子の居場所のない様子、誰でも経験したことありそうですよね~

困ったように笑う鈴子が蒼井優ちゃんピッタリ。繊細で清潔な雰囲気が漂う優ちゃんがとてもキュートでした♪

投稿: hito | 2008年8月18日 (月) 18時24分

hitoさんコメントありがとう
人と人との関わりは、煩わしい反面、なくては生きていけないのが人間の性であります。
人とは本当に難しい生物ですよね。
蒼井優ちゃんは適役でした。

投稿: ケント | 2008年8月19日 (火) 08時55分

ケントさん、こんばんは!
私も飲み会のシーンや、数人だけが・・ってセリフは、そうだよね~!って凄く思いました。 私も会社関係の飲み会とか苦手で・・・。早く終わらないかなぁ・・・って端っこで思ったこと一杯あります。

>知らない人の中での孤独は淋しくないが、少し知っている人達の中での孤独は耐えられない。
 これ、すごく言えてますね♪

投稿: latifa | 2009年2月 5日 (木) 16時46分

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