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2008年7月 2日 (水)

山桜

★★★★

 原作は藤沢周平の短編集『時雨みち』に収録されているという。監督は『メトロに乗って』の篠原哲雄であり、一連の山田洋次監督の作品とは一味違っている。山田作品はラストに悪者退治のアクションシーンを配しているが、本作では中盤であっさリと悪者を片付けてしまう。

           Yamaza

 つまりこの作品での力点の置き方は、チャンバラではないのだろう。武士の心情を描くという面では山田作品と同じであるが、あの時代、田舎の城下での、「静かな恋」を見事に描き切っている。
 ほとんど会話のない男と女。だがその思いは、百の言葉を並べるよりも、ずっとずっと心に染み込んでくる。
 この静寂の中に凛として佇むような感覚は、おそらく日本人にしか理解出来ないだろう。またそれもある程度齢(よわい)を重ねた者に限られるに違いない。その証拠に、館内はほぼ全員が年配の人たちで埋め尽くされ、映画の上映中には、そこかしこですすり泣きが聞こえるのだった。

 主演の田中麗奈と東山紀之は、絶妙の呼吸を持ってこの役柄に取り組んでいる気合を感じさせたね。ただ田中麗奈の母役である檀ふみは、背が高過ぎて時代劇には不向きだと思った。
 一番光っていたのは、東山紀之の母役富司純子かもしれない。彼女の出番は、わずか終盤の数分間だけなのだが、登場した瞬間からキラッと輝く存在感に圧倒されてしまった。「いよっ!待ってました大統領!おもだかや~!」てな感じで声を張り上げたい衝動にかられてしまったのだ。やはり、役者が一枚も二枚も上なんだね。
 さて結末をはっきりさせないラストの締め方だが、いろいろと異論はあるものの、僕はあれで良かったと思っている。ただエンデイングの歌は、ちょっと場違いだったような気がするのだが…。

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コメント

こんにちは、コメントどうもありがとう!!
時代劇っていいですね~特に藤沢周平原作ものは、安心して見ていられます。
山形の庄内を舞台の武士の娘に育った野江、田中麗奈さん美しいですよね。
「あなたは遠回りしただけですよ」と、母親が娘に言った言葉の優しさと思いやりに感激しました。
それに、思い切って棔家を飛び出し好きな彼の元へと向かう野江、この当時では本当に思いきったことをするものだと驚きました。
暖かく迎える東山紀之の母役、富司純子の演技の上手さに、ラストの終り方も無言ながら最高にいい雰囲気でしたね。

投稿: パピのママ | 2008年7月 8日 (火) 10時09分

パピママさんコメントありがとう
ほんとに周平さんの原作ものは安心出来ますね。
そしていつも風景が美しい。
昔も、自分から三行半を突きつける嫁さんもいたんですね。まあ、初婚ではなかったとということはありますがね。
富司純子は凄いっす。貫禄が違いますよね。

投稿: ケント | 2008年7月 8日 (火) 20時48分

おお、高評価ですね~。
富司さんは出番は少ないのに、さすがの演技ですごく印象的でしたよね。

野江と手塚の二人が一緒にいたシーンって本当最初だけなのに、心でつながっている感じがよかったです。

投稿: masako | 2008年7月18日 (金) 19時51分

masako さんTB&コメントありがとう
masako さんは時代劇は苦手のようですね。
その割には、寝ないで観られたので良いほうですよね。
東山君の演技は、役柄とよくマッチしていて良かったと思います。
田中麗奈は、流石にいろいろな役柄をこなせるのですね。改めて感心しました。
野江と手塚の二人が一緒にいたシーンって本当に最初だけだったですね。そうすると野江は凄い思い様ですね。

投稿: ケント | 2008年7月19日 (土) 18時58分

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