純喫茶磯辺
★★★☆
水道工のオヤジ磯辺裕次郎は、父親の財産を相続してからブラブラしていたが、ある日思いつきで未経験の喫茶店を開業してしまう。だが余りにもダサイ店のネームと雰囲気に、娘の咲子はガックリするが後の祭りだった。
当然店は流行らない。ところが素子という可愛いバイトの子に、超ミニのコスプレを着せた途端、店はおかしな客で大盛況となる。

そしてマスターの磯辺は、そんな素子にメロメロになってゆく。ところがこの状況が面白くない娘の咲子が、飲み屋で素子に文句を言う。
磯辺は妻とは、8年前に離婚したのだが、妻と娘は時々逢っていて、娘は母に父との復縁を願うのだが、母は自由に生きたいという。父が父なら、母も負けずと変わり者で、しっかりしているのは、娘の咲子だけだったのだ。
どうにも歯車の合わない人々を、古いタイプの喫茶店を通して、面白おかしく描いてゆく。主役の裕次郎をお笑いの宮迫博之が扮していることをみても、この映画はコメディーなのだが、苦笑いばかりでどこか本気で笑えない。
結局は、裕次郎も妻も娘も、誰一人として幸福にはなれず救われないからである。それでも誰も、苦悩を残さずさっぱりしているところが爽やかだね。
主人公磯辺裕次郎を演じた宮迫博之も決して悪くはないのだが、何を演じてもいつも同じ感じがする。一方、しっかりものだが純情で、一途な女子高生を演じた仲里依紗の清々しさが良かった。またつかみどこがないが、どこか憎めない素子を演じた麻生久美子の演技とコスプレに乾杯!
彼女、どこかでみたことがあると思ったら、『タ凪の街 桜の国』で皆実の役を演じていたんだね。皆実とは全く異なる役柄を演じながらも、薄幸だが健気に生きるという部分では皆実と重なるところがあった。
いずれにしても、この映画が単純なコメディーに終始せず、人情と哀愁を漂わせた良作になり得たのは、この二人の女優さんの個性と熱演のお陰であろう。
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» 純喫茶磯辺 [象のロケット]
離婚して8年、高校生のしっかり娘・咲子と暮らす、水道工員・磯辺裕次郎。 突然手にした父の遺産で、無計画にも喫茶店経営を始める。 閑古鳥の鳴くダサい店が、アルバイト美女・素子を雇ってから一転、クセモノばかりの常連客で賑わうように。 素子にデレデレの裕次郎に苛立つ咲子。 ハートフル・コメディ。... [続きを読む]
受信: 2008年7月15日 (火) 21時32分
» 純喫茶 磯辺 [映画の部屋☆とらとら分室(^^;]
公開する劇場が かなり少ない。
必然的に渋谷まで遠征する。
主役 仲 里依紗の青春を描くドラマ。
主役は、彼女ひとり。そして助演が芸達者。
面白いけどふざけてはいない。
その線引きがとても巧くできている。
渋東シネタワーが 花男 で沸くなかで
円山町では初回整理番号40番台。
次の回を見ていたら60番台だった。
大人は緩い坂を上り
その奥まで足を運ぶのです。
※ トラックバックしました(ありがとうございます)
純喫茶磯辺(ケントのたそがれ劇場)... [続きを読む]
受信: 2008年7月16日 (水) 18時51分
» 【2008-167】純喫茶磯辺 [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
喫茶店はじめたぐらいじゃ、
人生変わらないと思ってた・・・。
[続きを読む]
受信: 2008年7月22日 (火) 20時27分
» 「純喫茶 磯辺」コーヒーの香りのしない喫茶店 [soramove]
「純喫茶 磯辺」★★★
宮迫博之 、仲里依紗 、麻生久美子 主演
吉田恵輔 監督、113分、2008年
こういう映画って
「かもめ食堂」がヒットし、次の同じつくりの
「めがね」まで当たれば、これだってって勢いが
感じられる、そのあたりの安っぽさを
分かって...... [続きを読む]
受信: 2008年7月26日 (土) 09時20分
» 『純喫茶磯辺』 @テアトル新宿 [映画な日々。読書な日々。]
高校生のひとり娘・咲子と公団で暮らしている磯辺裕次郎。急死した父が遺した多額の遺産を手にした彼は仕事を辞め、何の計画性もなく「女にモテたいから」という不純な動機で“純喫茶磯辺”をオープン。咲子も夏休みの間、店を手伝う事になった。そんな時、バイト募集を見た... [続きを読む]
受信: 2008年7月26日 (土) 11時31分
» 「純喫茶磯辺」完成披露試写会 [アートの片隅で]
「純喫茶磯辺」の完成披露試写会でヤクルトホールに行って来ました。
舞台挨拶に登場したのは、宮迫博之、仲里依紗、吉田恵輔監督の3人です。
宮迫博之は最近あまりやらなくなった「ミ、ヤ、サ、コ、です!」のギャグに、照れていました。
最近テレビドラマ「ハチワンダイバー」で注目の仲里依紗は、ちょっとポッチャリしたスタイルで、とても可愛いです。(おじさん的には、これくらい健康的なスタイルは二重丸です)
後ろの席のおばちゃん達が「この娘は写真と全然顔が違うねぇ」とヒソヒソ話をしていました。
確...... [続きを読む]
受信: 2008年7月26日 (土) 23時46分
» 『純喫茶磯辺』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「純喫茶磯辺」□監督・脚本 吉田恵輔 □キャスト 宮迫博之、仲里依紗、濱田マリ、麻生久美子、近藤春菜、和田聰宏、ミッキー・カーチス、斎藤洋介、ダンカン■鑑賞日 7月19日(土)■劇場 テアトル新宿■cyazの満足度 ★★★(5★満点、☆は0.5)<感想> 漫才で少々まとまった金が貯まったら、鬼嫁の反対を押し切ってこの映画のように宮迫が辿る人生を描いたようなのような、まさに主人公の磯辺に似ただる〜い人生を生きるのではないだろうか(笑) 人間、汗水垂らして働かないで、急にまとま... [続きを読む]
受信: 2008年7月29日 (火) 08時04分
» 【純喫茶磯辺】 [日々のつぶやき]
監督:吉田恵輔
出演:宮迫博之、仲里依紗、麻生久美子、近藤春菜、ダンカン、濱田マリ
「両親の離婚以来父と二人暮しをしてきた高校生の磯辺咲子。それなりに仲良くやってきていたが、祖父の急死で遺産が入り父が仕事に行かなくなってしまった。
ある日入った喫茶... [続きを読む]
受信: 2008年8月 1日 (金) 10時37分
» 娘はつらいよ。~「純喫茶磯辺」~ [ペパーミントの魔術師]
喫茶店はじめたくらいじゃ人生変わらないと思ってた。 人生は変わらんかもしれん、オトンはあのままだろうし、 娘のオトンに対する態度もおそらくあのままだろう。 ただ、そこで店を営んでた僅かの間に 親子の距離はちょっと縮まったんじゃなかろうか? 前よりお互いを思..... [続きを読む]
受信: 2008年8月 9日 (土) 17時47分
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