« ときのかけら  | トップページ | 新・平家物語 »

2008年7月27日 (日)

あの日の指輪を待つきみに

★★★★

 長い邦題といい、老人が主人公のラブストーリーといい、それとなく『いつか眠りにつく前に』『アウェイ・フロム・ハー君を想う』を想定させる作品である。だがこの作品は、もっとスケールが大きいし、ラブストーリーとミステリーとヒューマンドラマをミックスさせた風変わりな作風でもある。

      Scan10363

 オープニングはアメリカ・ブラナガンの教会のシーンから始まる。教会では老女エセル・アンの夫であるチャックの葬儀が行われ、一人娘のマリーが父の思い出を語っている。ところが、妻のエセル・アンは教会の外で一人煙草をふかし続けているのだ。
 涙ひとつ流さず、うつろで不機嫌そうなシャーリー・マックレーンの表情は、愛する夫の喪主とは思えない。友人のジャックに、教会に入るよう説得されるのだが、全く知らん顔で、まるで他人事のような態度がいぶかしい。一体この夫婦に何があったのだろうか…。

 しばらくするとスクリーンは、北アイルランドのべルファストにある丘に切り替わり、得体の知れない老人と青年が、土を堀り返しているシーンを写し出す。そして次に第二次世界大戦中、主人公の若き日々の恋愛シーンが流れる。
 このように、現在と過去と他国のシーンが繰り返し入れ替わってゆくので、よく観ていないと訳がわからなくなるので注意しよう。
 永遠の愛と友情の狭間に苦しむアン、テディ、ジャック、チャックの四人。またクィンランとジミーの誠実で純真な心。誰をとっても人間味の溢れる男達ばかりだ。物語は壮大でテーマは深く人の心に突き刺さってくる。

 あれ以来、涙も出なくなり笑顔も消えてしまったアン。それもラストで始めて流す涙に50年間の呪縛から開放された予感があった。かたくなな愛と約束は鋼鉄より重い。それは一人娘でさえ理解出来ない遠い日の陽炎となってしまった。だが世界にたった一人だけ、この苦しみを理解してもらえる人がいたことにやっと気づいて涙がとまらなくなるのだ。

↓クリックすると僕のランキングも判りますよ。

人気blogランキングへ

※スパム対策のため、TBとコメントはすぐに反映されない場合があります。

↓ブログ村とクル天↓もついでにクリックお願いします(^^♪

にほんブログ村 映画ブログへ

|

« ときのかけら  | トップページ | 新・平家物語 »

コメント

コメント&TBありがとうございます。

エセル・アン、チャック、ジャック、クィンランの50年間とマリーの人生を縛ってしまった約束の重みを感じさせられる作品でした。

そこから開放された時の爽やかさが印象的でしたね。

投稿: MANAMI | 2008年7月27日 (日) 20時07分

こんばんは^^
残念ながら「いつか~」「ア ウェイ~」は
未見なので比較はできないのですが、スケールが
大きな作品だっだと私も思います。壮大なラブストーリーと思っていたら、残酷とも思える約束の物語でも
ありました・・・

ケントさんが言われるように、
物語は壮大でテーマは深く人の心をに刺さってくる
作品でした。アンを愛する3人の男の深い愛と
3人の友情、誠実なクィンラン・・・
男たちの気持ちに泣きました(T.T)

切なく、悲しい物語ではあったのですが、ラストは
すがすがしささえあって、後味の良い作品と
なりました^^

投稿: ひろちゃん | 2008年7月27日 (日) 20時27分

MANAMIさんこんばんは
アン、チャック、ジャック、クィンランの50年間は、それこそ虚構の50年でした。
ある意味、夢を背負って死んでいったテディが一番恵まれていたのかもしれませんね。

投稿: ケント | 2008年7月27日 (日) 21時14分

ひろちゃんこんばんは
コメントありがとう。
男たち4人の真摯な心には胸を打たれました。
面白くないから、誰でもいいから、殺してやるというような人間が多くなった現代では、なかなか貴重な心意気ですね。
ラストにやっと開放感がヒシヒシと湧いてきました。

投稿: ケント | 2008年7月27日 (日) 21時19分

今度DVDをレンタルして
見てみようと思いました。

1人の女性を愛する3人の男性の
友情ーーー
これが成り立つところが
男の人のすばらしいところですね。

投稿: Dora | 2008年7月27日 (日) 21時29分

Doraさんこんにちは
毎日蒸し風呂のようで嫌になります。
この映画は、新宿テアトルタイムズスクエアで上映中なので、DVDレンタル開始まではかなり時間がかかりますよ。
男にとって、友情とはかくも凄いものなのか・・・
判るような気もしますが、実際にはどうなんでしょうかね。

投稿: ケント | 2008年7月28日 (月) 13時41分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21640/22584935

この記事へのトラックバック一覧です: あの日の指輪を待つきみに:

» あの日の指輪を待つきみへ [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
1991年のアメリカ。長年連れ添った夫を亡くしたばかりのエセル・アンのもとに、突然、アイルランドの青年、ジミーからの電話が入ります。「エセルとテディ」と刻まれた指輪をベルファストの丘で見つけたとのこと。それは、50年前、永遠の愛を誓ったものの、戦死してしまったかつて... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 20時01分

» ★あの日の指輪を待つきみへ(2007)★ [CinemaCollection]
CLOSINGTHERING運命の愛は、一度きりじゃない。上映時間118分製作国イギリス/カナダ/アメリカ公開情報劇場公開(松竹)初公開年月2008/07/19ジャンルドラマ/ロマンス【解説】第二次世界大戦前夜の1941年と50年後の1991年を舞台に、一つの指輪に秘められた男女の切ない運...... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 20時08分

» *あの日の指輪を待つきみへ* [Cartouche]
{{{   ***STORY***       イギリス=カナダ=アメリカ 1991年アメリカ。長年連れ添った夫を亡くしたばかりのエセル・アンは、アイルランドの青年ジミーから突然の電話を受ける。エセルの名とテディという名が刻まれた指輪をベルファストの丘で発見したというのだ。50年前、永遠を誓った愛を失い、以来心を閉ざして生きてきたエセル。夫の死に涙ひとつ見せず、娘のマリーに冷たいと非難されても決して心の内を語らなかった彼女に、封印した過去と向き合う時がやって来る。    gooより}}} ..... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 21時22分

» 『あの日の指輪を待つきみへ』 [cinema!cinema! ミーハー映画・DVDレビュー]
新宿のテアトルタイムズスクエアにCLUB Cのたまったポイントで無料鑑賞が出来たので、『あの日の指輪を待つきみへ』を観てきました。 ******************** 第二次世界大戦前夜の1941年と50年後の1991年を舞台に、一つの指輪に秘められた男女の切ない運命を描いたラブ・ス... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 22時02分

» あの日の指輪を待つきみへ [ダイターンクラッシュ!!]
7月21日(月) 13:20~ テアトルタイムズスクエア 料金:1000円(Club-Cテアトル会員料金) パンフレット:700円 『あの日の指輪を待つきみへ』公式サイト 相当の御大リチャード・アッテンボローの新作。 第二次大戦から1991年までを繋ぐラブ・ストーリーだ。 何故に91年なのかは、アイルランドが舞台で、IRAが話の筋に少しばかり重要な意味合いを持つからだ。 映画館は、山田洋次作品でもここまで平均年齢高くないぞというくらい、シニアな人たちで一杯。 前方の席しか空席は無かった。 シ... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 22時25分

» 【あの日の指輪を待つきみへ】 [猫とHidamariで]
運命の愛は、一度きりじゃない。アイルランドの丘で発見された指輪。  50年間眠り続けた愛の秘密が今、目覚める・・・・・あの日の指輪を待つきみへHP実話から生まれた感動のラブストーリーあの日の指輪を待つきみへ-goo映画監督リチャード・アッテンボロー出演シャ...... [続きを読む]

受信: 2008年7月27日 (日) 22時46分

» あの日の指輪を待つきみへ [象のロケット]
長年連れ添った夫チャックを亡くしたエセルは「私の人生は21歳で終わったのよ。 今さら何を嘆くの?」と涙ひとつ見せず、娘のマリーは理解に苦しむ。 ある日アイルランドからはるばる、「エセルとテディ」という名が刻まれた金の指輪を発見したという青年が訪ねてくる。 テディとは誰? 50年前に封印された愛…。 半世紀、2大陸を結ぶ、実話から生まれたラブ・ストーリー。 ... [続きを読む]

受信: 2008年7月28日 (月) 14時01分

» あの日の指輪を待つきみへ [映画初日鑑賞妻]
★★★★★ 心ここにあらずの妻と50年間連れ添った夫は、お気の毒としかいいようがないけど、彼女といられるだけで幸せだったのね。 いろいろな愛の形があるのよ。 シルバー世代に観て欲しい感動作。 泣けました。... [続きを読む]

受信: 2008年7月30日 (水) 00時42分

» 「あの日の指輪を待つきみへ」 [てんびんthe LIFE]
「あの日の指輪を待つきみへ」試写会 東商ホールで鑑賞 シャーリー・マクレーン主演。 いくつになってもかわいらしく魅力的な女優さん。 若き日の初恋と現在でもなお恋心と葛藤し続ける姿を描いた純粋なラブストーリー。 監督は、リチャード・アッッテンボロー。 イギリスではナイトの称号をも持つお方ですが「ラブ・アンド・ウォー」の監督と思えばその作風もなんとなく納得してしまったような。 主演のシャーリー・マクレーンは現在を生きる女性で夫の葬儀の礼拝にも参加せず、そこは訳ありと思わせるツカミ。 娘... [続きを読む]

受信: 2008年7月30日 (水) 09時22分

» 『あの日の指輪を待つきみへ』 [京の昼寝〜♪]
□作品オフィシャルサイト 「あの日の指輪を待つきみへ」□監督 リチャード・アッテンボロー □脚本 ピーター・ウッドワード □キャスト シャーリー・マクレーン、クリストファー・プラマー、ミーシャ・バートン、スティーヴン・アメル、ネーヴ・キャンベル、ピート・ポスルスウェイト、ブレンダ・フリッカー、グレゴリー・スミス、デヴィッド・アルペイ、マーティン・マッキャン ■鑑賞日 7月26日(土)■劇場 109CINEMAS川崎■cyazの満足度 ★★★☆(5★満点、☆は0.5)<感想>  こんなことが起こるの... [続きを読む]

受信: 2008年8月 7日 (木) 22時56分

» 【あの日の指輪を待つきみへ】 [日々のつぶやき]
監督:リチャード・アッテンボロー 出演:シャーリー・マクレーン、ミーシャ・バートン、クリストファー・プラマー 「エセルの娘は自分の母親が父の死を悲しんでいないことに憤りを感じていた。生前も母が父を愛していると言ったことがないことも気付いていた。 そ... [続きを読む]

受信: 2008年8月13日 (水) 14時51分

» 『あの日の指輪を待つきみへ』@東劇 [映画な日々。読書な日々。]
1991年アメリカ。長年連れ添った夫を亡くしたばかりのエセル・アンは、アイルランドの青年ジミーから突然の電話を受ける。エセルの名とテディという名が刻まれた指輪をベルファストの丘で発見したというのだ。50年前、永遠を誓った愛を失い、以来心を閉ざして生きてきたエセ... [続きを読む]

受信: 2008年8月22日 (金) 21時04分

» 『あの日の指輪を待つきみへ』 (2007) / イギリス・カナダ・ア... [NiceOne!!]
原題:CLOSINGTHERING監督:リチャード・アッテンボロー出演:シャーリー・マクレーン、クリストファ・プラマー、ミーシャ・バートン、ピート・ポスルスウェイト、ブレンダ・フリッカー、ネーヴ・キャンベル、グレゴリー・スミス公式サイトはこちら。<Story>1991年...... [続きを読む]

受信: 2008年8月23日 (土) 01時15分

» あの日の指輪を待つきみへ [空想俳人日記]
友情と 愛情しきる 自己中かな  実は、私もSo-netブログ「ダイターンクラッシュ!!」のバラサ☆バラサさんと同様、クィンランは本当はテディであり、失った記憶が甦っていく、なんてオチではなかろうか、そう思ってしまったんよ。だって、穴掘りクィンラン、ひょうきんお... [続きを読む]

受信: 2008年8月24日 (日) 07時29分

» 「あの日の指輪を待つきみへ 」もう自由にしていいよ、心のままに [soramove]
「あの日の指輪を待つきみへ 」★★★☆ シャーリー・マクレーン 、クリストファー・プラマー 、ミーシャ・バートン 主演 リチャード・アッテンボロー 監督、アメリカ イギリス カナダ 118分、2007年 シャーリー・マクレーンはこの脚本をもらったとき、 「自分...... [続きを読む]

受信: 2008年8月25日 (月) 17時51分

» あの日の指輪を待つきみへ 原題:Closing the ring [銅版画制作の日々]
 あの日の指輪を待つきみへ タイトルが長〜いよ! 8月29日、京都シネマで鑑賞した。原題は「Closing the ring 」日本語タイトルは何故、こんなに長いのだろうか?長いもんで、チケット購入の際言うのに困るちょっと鑑賞から時間が経ってしまったな。監督はあの有名な、リチャード・アッテンボロー監督です。こんなに有名な監督なのですが、作品はほとんど未見なのですよね。思わず冷や汗もんだ。 何と監督は今年85歳これも驚きお元気ですよね。 85歳で現役なんて、凄い!リチャード・ア... [続きを読む]

受信: 2008年9月10日 (水) 15時02分

» 映画「あの日の指輪を待つきみへ」 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
原題:Closing the Ring 最近読んだ「100 Touching Story」ただ単純に百の感動的な短い物語を世界中から集めただけの本だけど、そのほとんどのお話に胸の詰まる思いがする・・・ この映画もそんなタッチング・ストーリーのひとつに数えられそうな実話から触発されて創られ... [続きを読む]

受信: 2009年6月 7日 (日) 12時27分

« ときのかけら  | トップページ | 新・平家物語 »