つぐない
★★★★
原作はイギリスの作家イアン・マキューアンの最新作『贖罪 (Atonement)』だという。この原作は未読なので、映画との違いはよく判らないが、かなり練り込まれた奥の深い作品であることは想像できる。
第二次大戦下のイギリス。まだ上流階級と下層階級の差別が残っていた時代である。よくある話だが、お嬢さまと掃除婦の息子ロビーとの禁じられた恋を描く。
このお嬢さまセシリアには、ぴったりカンカンのキーラ・ナイトレイ。また年の離れた妹ブライオニー役にシアーシャ・ローナン。
宣伝用ポスターでは、断然キーラ・ナイトレイが主役という趣きだが、実は妹のブライオニーが真の主役であり、この告白調の物語を書いた張本人でもある。それにしてもこの少女の天才的な演技と存在感は抜群で、キーラ・ナイトレイは完全に喰われてしまったな。
オープニングは、カシャカシャというタイプライターの音とともに始まる。これがなんとも格調高い雰囲気を醸し出す。そのタイプライターを打っているのが、想像力が豊富で文学に秀でているブライオニーなのである。
このブライオニーが姉とロビーの恋に嫉妬し、虚偽証言によってロビーを無実の罪に陥れてしまう。タイトルの『つぐない』には、その反省と後悔の念が込められているのだろう。そしてそのちょっとした誤解と嫉妬のお陰で、ロビーは入隊し戦場に赴くことになってしまうのだ。
そのために、医学を学ぼうとしていたロビーの運命は大きく翻弄され、セシリアともども怒涛の人生を辿ることになるのだった。そこに戦争というドラマも絡み合ってくる。なかなか重く辛いテーマであり、映画にするには時間が足りない感があった。
犯した罪のつぐないは、ブライオニーが何10年間も悩み続けたということで拭われたのではないだろうか。僕達も子供の頃に何気なく犯している罪があるはずだ。彼女のように一生悔いに残るような罪ではないと思うが、いまになって時々それを思い出すとぞっとすることがあるよね。でも普段は忘れているのである。ブライオニーだけに非があるとは思えない。誤解を呼ぶようなロビーの態度にも問題がなかっただろうか。
ラストの締め方は、なかなか難しかったようだ。真実をそのまま書けば余りにも救いようがないし、かといってハッピーエンドでは余りにも軽過ぎる。そこで考えぬいた結果、ああしたエンディングにせざるを得なかったのだろう。
さすがゴールデングローブ賞・最優秀作品賞は伊達ではない。稀にみる秀逸な作品に仕上がっていることは間違いないのだが、僕はあのエンディングには少し馴染めなかったな・・・。
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一生をかけて
償わなければならない罪があった。
命をかけて
信じ合う恋人たちがいた。
[続きを読む]
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一生をかけて償わなければならない罪があった。
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壮大なスケールで描く、切なくも美しい愛とつぐないの大河ロマン!
1935年の英国。広大な邸宅で恵まれた生活を送る13歳のブライ...... [続きを読む]
受信: 2008年5月22日 (木) 23時59分
» 「つぐない」観てきました♪ [りんたろうの☆きときと日記☆]
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出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、ロモーラ・ガライ、シーアシャ・ローナン、ブレンダ・ブレシン、ヴァネッサ・レッドグレーヴ、パトリック・ケネディ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュノ・テンプル
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≪つぐない≫★★★★☆
監督:ジョー・ライト
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出演:キーラ・ナイトレイ、ジェームズ・マカヴォイ、シアーシャ・ローナン
b★の数は4つ半にしましたが、五つにしても問題ないぐらい素晴らしい映画/bでした。これほど..... [続きを読む]
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一生をかけて、償わなければならない罪があった。
命をかけて信じあう恋人たちがいた・・・・・。
5月9日、「ハンティング・パーティ」 鑑賞後、「つぐない」を鑑賞しました。こちらは、女性客が9割くらい占めていました。やはり女性に人気があるようです。キーラ・ナイトレイ、やっぱり美しいですよね。スレンダーな体にグリーンのドレスがよくお似合いです。彼女の相手役ロビーには、「ペネロピ」でお馴染みのジェームス・マカヴォイです。「ペネロピ」のマカヴォイだとはまったく気づかず・・・・・。役者さん... [続きを読む]
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» つぐない [Diarydiary!]
《つぐない》 2007年 イギリス映画 - 原題 - ATONEMENT 政府官 [続きを読む]
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» つぐない [夫婦でシネマ]
これはwanco的に2008年のベスト1になるかもしれない映画です! [続きを読む]
受信: 2008年6月 3日 (火) 13時54分
» つぐない [とんとん亭]
「つぐない」 2008年 英
★★★★★
償えるものなら、私も創作した本を書こう。
うっとりするような映像と、カメラ・ワーク。
そして、タイプライターを打つ音が効果的。少女の心情を現したかのようなタイプや音楽
の調べ。
1930年代イングラン...... [続きを読む]
受信: 2008年6月16日 (月) 21時35分
コメント
ななさんご無沙汰です
コメントありがとう
「美しく,切なく,格調高い文芸作品」まさに仰る通りでした。時々こうした映画が見たくなるものですね。
投稿: ケント | 2008年7月26日 (土) 14時50分
お久しぶりです。
遅ればせながら観てまいりました。
美しく,切なく,格調高い文芸作品でしたね。
キーラが上手いのは今に始まったことではないのですが
シアーシャやマカヴォイのうまさにびっくりしました。
彼ら二人の演技が,この作品を素晴らしいものにしていたと思います。
私も,ブライオリーは長年苦しんだことでつぐないを果たしたと思いました。
投稿: なな | 2008年7月23日 (水) 23時01分
パピママさんコメントありがとう。
そちらは上映が遅いのですね。
良い映画でしたよね。
子役の演技が最高でした。キーラは喰われていたかも・・・ジェームズ・マカヴォイはそれほどと思いますが、女性には人気ありますね。
投稿: ケント | 2008年5月24日 (土) 21時39分
こんにちは!~やっとこちらでも公開です。
待ちに待ったかいがありました。
凄く良かったです、最高点つけちゃいましたもん!
タイプの音を使った音楽に導かれ、意外な真実を明かされるまでのサスペンスフルで緻密な構成に酔いしれました。
キーラの首筋が綺麗というより、映像を駆使して物語を語るジョー・ライト監督の演出に魅了させられましたね。
最近の映画は、子役が活躍する作品が多いですよね。
妹~ブライオニー役にシアーシャ・ローナンの演技が光ってました。
それにしても、ジェームズ・マカヴォイさん、大河ロマンがお似合いです。見直しましたわ(笑)
投稿: パピのママ | 2008年5月23日 (金) 16時39分
くろねこさんコメントありがとう
ラストに爆泣でしたか、僕はほとんど泣きませんでしたよ。やはり男女の違いでしょうか。一緒に観た家内も泣いていましたよ。
とにかく切ないお話でしたよね。でもハッピーエンドに出来ない事情もあるしね・・・
投稿: ケント | 2008年5月 8日 (木) 20時55分
こんばんは♪TBコメントありがとうです!!
どう償うというの?と注目してただけに、
このラストは、ものすごく衝撃的でした。
「コレが償いなのぉ・・?」爆泣でした。
でも戦争の中でロビーと同じように無念の中で
死んでいった多くの人々の姿をみせつけられると
ブライオニーの夢の中だけでも幸せな人生を歩めた
2人は幸せだったのかも。と思えました。
でもやっぱみんながみんな哀しい~。
投稿: くろねこ | 2008年5月 7日 (水) 22時05分
シャーロットさんこんばんは
キーラは最初ブライオニー役の予定だったのですか。でも少女じゃないとあの役は通用しないですよね。それとも大人のブライオニーでしょうか。
投稿: ケント | 2008年5月 7日 (水) 21時43分
こんばんは☆
むーん、何も知らなかった私は最初、キーラの役がブライオニーって名前なんだろうって予告編から妄想してました。笑
だって、ロビーが「ぶらおにーーーぃ」って叫ぶシーンがあったのだもの;とってもマガヴォイ君のその叫び声には魂がこもっていたので、すっかり恋人役はブライオニーって名前かと;
その点、キーラが囁く「I LOVE YOU」はどうも軽く感じてしまって、、、彼女は最初ブライオニー役にと監督は思っていたらしいじゃないですかぁ。私もそちらの方が合う気がしたり・・・;
投稿: シャーロット | 2008年5月 7日 (水) 00時07分
なななさんも、三人それぞれの責任と感じましたか。
男の前で下着で水に飛び込んでヌードを晒したセシリアもどうかと思いますし、だいたい変な手紙と間違えたロビーもおかしいですね。
あんさんこんばんは。
あんさんは、ブライオニーに手厳しいですね。でもそれはマカヴォイファンだからではないでしょうかね(笑)もし嫌いな男優ならそうは思わなかったのでは・・・。
投稿: ケント | 2008年5月 6日 (火) 21時14分
ひらりんさんこんにちは
ブライオニーの三変化も良かったけれど、あのなんともうっとおしい感じの少女が一番でした。
migさんもブライオニー役の少女が一番だと思いましたか。今後が期待できる新星ですよね。
切ないラブストーリーというか、ヒューマンドラマといったほうがいいのでしょうか。
投稿: ケント | 2008年5月 6日 (火) 21時08分
酷ですが、私は 『ブライオニーは、一生その罪を背負って生きていきなさい』という派なんです。彼女は作家の業を背負ったわけですから。アーティストの宿命です。
とはいうものの、切ない悲しい物語でしたね。
見応えがある作品でした!
ロビー役のマカヴォイには『ペネロピ』以来、ノックアウトです^^
投稿: あん | 2008年5月 6日 (火) 20時40分
こんにちわー。
ブライオニーだけのせいであんなことになってしまったわけでないですよね。
セシリアもロビーもあとは色んなことが一緒になってしまった結果だと思うので。
だからこそブラオニーがだけが後生苦しみ続けるのは、かわいそうというかやりきれなくなってしまいました。
投稿: ななな | 2008年5月 6日 (火) 12時54分
ケントさん☆
こんにちは
TBコメントいつもありがとです♪
わたし的にはかなり見応えある作品でした〜。
ラストもどうもっていくのかと思ったら
あんな風に。。。
ブライオニーの少女時代の過ちを認めて、
ずっと背負って生きて行くのもすごいけど
姉と恋人の運命まで変えてしまって、、、
切ないストーリー。
キーラよりブライオニー役の子、ほんと良かったです。
投稿: mig | 2008年5月 6日 (火) 10時02分
トラ・コメどうもでした。
妹のほうが主人公・主演・・・といってもいいストーリーでした。
三人の女優さんのつなぎも見事でしたね。
投稿: ひらりん | 2008年5月 6日 (火) 04時05分
masakoさんこんばんは
キーラよりあの新人の少女のほうが存在感があるのですから凄いですよね。将来が楽しみですね。
引くに引けなくなってしまった小さな嘘。あれほど重大事になるとは考えもしなかったのでしょうね。そう言う意味ではブライオニーも被害者なのではないでしょうか。
投稿: ケント | 2008年5月 5日 (月) 20時38分
本当完全にキーラナイトレイは食われてましたね。この映画の主人公は紛れもなくブライオニーだと思いました。
本当完成度の高い作品ですばらしかったと思います。
子供がついたほんの小さな嘘。それがこんなにも人生を狂わしてしまうなんて皮肉です。
タイプライターも効果的に使われてましたね。
投稿: masako | 2008年5月 5日 (月) 20時32分
nonさんこんばんは
昨日はカンカン照りでしたが、なんだか今日は風の強い一日でした。
ブライオニーは子供ですから、ある意味許せるのですが、大人達が今ひとつすっきりしないところがありました。時代背景でしょうかね。
とても切ないお話ですよね。
投稿: ケント | 2008年5月 5日 (月) 20時22分
スワローテイルさんコメントありがとう
ブライオニー目線は、とても良かったですよね。少女の潔癖な心情がひしひしと伝わって来ました。
新人とは思えない存在感に驚愕の思いでした。新人でなければ、なにかを受賞していたと思います。
rose_chocolatさんこんばんは
そうなんです。ちょっとロビーは甘いですよね。それに使用人にしては、ちょっと馴れ馴れしい感じもしました。女性には人気あると思うのですが、おじさん的には余り好きになれない俳優ですね。
投稿: ケント | 2008年5月 5日 (月) 20時19分
ひろちゃん コメントありがとう
『プライドと偏見』は僕も観ましたが、ホントに彼女はこの時代が似合いますよね。
僕もラストは幸せになって欲しかったけれど、ハッピーエンドだったら、ゴールデングローブ賞は取れなかったでしょうね。
kiraさんこんばんは
確かに時間がもっと欲しいですよね。
戦争のシーンなんかはちょっと短すぎた感がありました。それに終盤も少し駆け足でしたよね。
投稿: ケント | 2008年5月 5日 (月) 20時14分
こんにちは♪ TB、コメントありがとうございました☆
確かにブライオニーだけに非があるわけではありませんね。
ロビー自身の行動もそうだし、その時代の背景も良く無いし。
しかし彼女自身は苦しみ抜いたでしょう。
姉も、ロビーも愛する人だったから。
とても切ない作品でした。
投稿: non | 2008年5月 5日 (月) 18時40分
はじめまして コメントありがとうございます。
確かに、ロビーが手紙を間違えなければ、あるいは自分でセシーリアに言いに行けば、彼とセシーリアも全く違った運命だったかもしれません。
そういう意味ではロビーも詰めが甘かったというか大失態というか・・・。
でもそれが物語、ドラマですもんね。
そこに嫉妬心が絡んでこんなになってしまった、みたいな。
人間の転機っていうのも、他人の様々な想いによってどうにでも変化するものなんだと思いました。
投稿: rose_chocolat | 2008年5月 5日 (月) 15時08分
ケントさん、こんにちは。
「スワロが映画を見た」のスワローテイルです。
おっしゃる通り、オスカー受賞作品の名に恥じない素晴らしい出来でしたね。
ただの恋愛映画かと思ったらそうではなく、
いろいろな要素が混じったドラマチックな物語でした。
それにブライオニー目線というのも良かったですよね。
少女時代のブライオニーを演じたシアーシャ・ローナンの演技も素晴らしかったです。
彼女もノミネートはされていましたものね。
受賞できなかったのは残念ですが、
今後が楽しみな役者の一人です。
投稿: swallow tail | 2008年5月 5日 (月) 14時12分
こんにちは、ケントさん☆
TB,コメント有難うございました。
全体にブライオニー以外の人物はセリフが少ない作品でしたが、
キャストが皆そのシーンで存在感を持っていて
忘れ難い演技をしていたと思います
>なかなか重く辛いテーマであり
>映画にするには時間が足りない感があった。
そうですよね・・、ポイントのあの日、あの時の一点に絞った感があり、
その後の二人の悲劇性が高まったのは素晴しかったです
投稿: kira | 2008年5月 5日 (月) 12時53分
こんにちは^^
TBありがとうございました。
プライドと偏見もそうでしたが、キーラって
この時代の女性の役が似合いますよね^^
でも、主役はブライオニーであり
オスカーにノミネートされたシアーシャの
天才的な演技と存在感は本当にすごかったです(^^ゞ
ラストはありきたりでも幸せになって欲しかった
のですが、そう言うラストでは、タイトルに
そぐわないし重厚な作品にはならないですよね(¨;)
投稿: ひろちゃん | 2008年5月 5日 (月) 12時42分