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2008年5月 6日 (火)

小袖日記

 わたしは30歳目前のOL。上司との不倫が破局し、失意のどん底へ。さらに雷を浴びて、現代から平安時代に心だけがタイムスリップ。心の移動先は、紫式部の侍女である小袖ちゃんという設定である。この小袖ちゃんが紫式部の私設秘書となって、源氏物語』の取材に飛び回るのだ。
 かくして著者のオリジナル・珍訳『源氏物語』の始まり始まり。さてその中味は、『夕顔』、『末摘花』、『葵』、『明石』、『若紫』の五作を並ベた連作短編シリーズになっているじゃないの。

小袖日記 Book 小袖日記

著者:柴田 よしき
販売元:文藝春秋
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 著者は男のような名前だが、れっきとした女流作家。おっと女流などと言おうものなら、「女性蔑視だ」などと騒ぎ出しそうな雰囲気がある。
 このウーマン・リブ系の著者は、よほど『源氏物語』が気に入らないらしい。そりゃあそうだ、世界最古の長編小説といえども、ぶっちゃけ光源氏というプレイボーイの女遊びを正当化したようなお話の集大成だからね。ウーマン・リブ思想の女性にとっては耐え難い屈辱なのだろう。

 ということで、本作はタイムスリップものとしては、ど素人の作品でSF的な構想は全くない。つまるところ『源氏物語』の気に入らない部分を自分流に手直しして、よしき版『源氏物語』を創ってしまったのである。
 これが著者の最大の狙いであり、これで彼女はだいぶ溜飲を下げたのではないだろうか。などと、勝手に著者のメッセージを解釈してしまったが、勘違いだったらごめんなさい。
 お話のほうは、こんな解釈もあったのかと思わせる構成の巧さに脱帽したし、文章も平易で現代流に綴っているので一気に読破してしまった。ことに『末摘花』の赤鼻の原因や『明石』の正体などは、一捻りした面白い解釈じゃないの。
 また庭を流れる小川が当時の水洗便所だったり、女性達はめったに立たず、膝を使って這うように移動したりと、平安時代の生活様式が判り易く紹介されていたのが印象的だった。
 ただ雷でタイムスリップをする、『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』そのままのパクリは、ちと安易過ぎるというか、全搬的にSFについてはやや勉強不足ですぞ…。

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コメント

TBありがとうございました!

柴田作品は大好きでほぼ読んでいるのですが、こちらは残念ながら未読です。
源氏物語は好きなので、絶対に好みのテイストだろう~とは思っているのですが・・

近いうちに読んでみますね♪

投稿: hito | 2008年5月 8日 (木) 13時02分

hitoさんこんばんは
柴田ファンのhitoさんにしては、どうして読んでいなかったのか不思議です。僕は図書館で借りましたよ。新作にしては珍しく、ほとんど待ち人がなくすんなり借りられました。
僕がこの小説に興味を持ったのは、タイムトラベルマニアだからなんです。
読んだら、感想をアップしてくださいね。

投稿: ケント | 2008年5月 8日 (木) 20時50分

僕も映画ブログをやっているんですけど、
よかったら来てもらって評価してください^^

投稿: 讃岐の造 | 2008年5月10日 (土) 18時04分

讃岐の造さんはじめまして
そううちお伺いしますね。

投稿: ケント | 2008年5月10日 (土) 21時44分

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