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2008年5月の記事

2008年5月31日 (土)

シーオグの祈り

 13才の少年が主人公で、少女マンガチックなカバーイラスト。あきらかにこの作品がSFジュヴナイルであることを語っている。
 過去と現在を行ったり来たりするお話なのだから、SFであることは間違いない。またジュヴナイルではあるが、大人が読んでも全く違和感がない。それどころか、1847年のアイルランド人迫害と彼等の貧困生活に、きっと大人達も心を痛めてしまうだろう。

シーオグの祈り Book シーオグの祈り

著者:ジェイムズ ヘネガン
販売元:ランダムハウス講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 主人公のトムは、生まれながらの孤児であるが、里親に悪態をつき、食べ物は平然と店で盗み、何人もの里親の間を転々するたくましい少年だ。
 リバプールに住む彼は、同じ孤児のブランドンを伴って、教会裏にある墓地に忍び込むのだが。そこで自分だけが、ブラックホールのような、大きな穴の中に吸い込まれてしまうのだ。気が付くとそこは約120年前のアイルランドであった。
 過去で彼は、自分と瓜二つのダリーという少年の命を助け、ダリーの妹ハナや、彼等の優しい両親と知り合うのだ。そして過去の世界で、彼等と家族同様の生活を過ごすのだが、あるとき再び現代にタイムスリップしてしまう。
 何度か現代と過去を往復するのだが、その都度トムは成長し、いまだかつて経験したことのない人の愛情に触れることになる。
 そしてラストの大団円。これがなんとも嬉しい結末で、思わず涙ぐんでしまった。とにかく、心温まる良い作品に仕上がっている。

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2008年5月24日 (土)

少林少女

★☆

 一体この映画は、いくつの作品をパクっているのだろうか。燃えよドラゴン』、『マトリックス』、『少林サッカー』、『トム・ヤム・クン』、『ドラゴンボール』、『カンフーハッスル』ときりがない。
 まあどのみち荒唐無稽な映画だから、パクリであろうとパロディーであろうと一向にかまわない。だがそれは、もう少し上手に真似たらの話だ。
 とにかく、どうしてこんなに下手糞なんだろうか、不思議でたまらない。アニメのような安っぽいCG。スピード感の全くない、ど素人丸出しの格闘演技。

            Scan10336

 退屈なのは終盤近くまで、ほとんど少林寺挙法での戦いがないことだ。それに江口洋介が柴咲コウに、「お前は戦うな、俺がお前を守る」と言っておきながら、さんざん痛ぶられて結局何もしないとは…。
 そのうえ、柴咲コウが戦うことを決意すると、あっさりとそれを認めてしまう。おいおい偉そうな説教だけたれて、一体お前は何してんだよ。これじゃ殴られ損の恥かき小僧じゃないか。
 それにラストの戦いにも参加しないし、彼の出演自体に意味がないじゃないの。これじゃあ彼のファンでなくとも、消化不良でストレスが溜まっちゃうよな。
 また中村トオルが「これからは力ではなく美だ」と宣言しながら、力ばかりにこだわっている。一体何なのだ、この嘘つきばかりのオンパレードは。酷評ばかりで申し訳ないが、この際行きがけの駄賃にもう少し悪たれを続けよう。
 そもそもが、この作品は何をテイストにしたいのか、そしてストーリーの方向性も全く見えて来ない。描きたいのは、少林寺拳法なのかラクロスなのか…。
 またTVの学園スポコンドラマと、安っぽいヒーローものをゴチャ混ぜにしたようなバランスの悪さ。まるでごはんに牛乳とジャムをブッかけたような無神経ぶりに、飽きれてものも言えない。
 もちろんカンフー映画にシリアスな展開や現実感は不要である。だがそれにしては、中途半端で大人し過ぎるのだ。もっともっとオバカで奇想天外で、思いきりド派手な演出と展開が必要なのじゃい!。
 どうして邦画は、徹底的な超エンタメ作品が創れないのだろうか。デビルマン』しかり、鉄人28号』しかり、あずみ』しかりだ。
 ハリウッドに比べると、製作費不足だからだと言い訳をするなよ、香港映画だってちゃんと出来るんだぜ…。やはり日本人は、妙な真面目さを捨てきれないんだね。もっと大胆に、脳天気になりきらなくてはダメだな。

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2008年5月18日 (日)

最高の人生の見つけ方

★★★★

 どうもこの邦題がしっくりこない。原題通りの『死ぬまでにやりたい事のリスト』のほうがピッタリだと思うのだが…。
 地味で家族思いの自動車整備工カーターと、我がままで孤独な実業家エドワード。この二人は、ともにガンに侵され、余命6ヵ月と宣告される。
 まったく環境も性格も正反対の二人であるが、同室に入院している間に息投合して親友となる。カーター役にモーガン・フリーマン、エドワード役には、ジャック・ニコルソンと、これ以上ピッタリの適役はいないだろう。

     Saiko

 人は誰でも死ぬ。だがいつ死ぬか判らないのが人生だ。ところがこの二人は、既に余命6ヵ月であることを知らされている。
 普通はこれに悲観し、残された僅かな人生をベットの上で無為に過ごすだけであろう。ところがこの二人は、死期を知ったことをポジティブにとらえ、貴重な残り時間を有意義に暮そうと決意するのだ。
 それで二人は、『死ぬまでにやりたい事のリスト』を作成し、実行する。まずは、スカイダイビング、カーレースに挑戦し、チベット、アフリカ、中国などへ冒険の旅に出るのだった。
 しかし、思いつきでいろいろな経験をしてみても、なんとなく侘しさが拭えない。結局二人が辿りつくのは、身近な人々との愛に優るものはないという結論だった…。

 それほど目新しいテーマではないし、際立った発想の転換が練り込まれている訳ではない。だがこの映画が楽しく、かつ感動的だったのは、一にも二にもモーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの共演だったからに違いない。
 ことにモーガン・フリーマンが、実直で誠実で、家族のために人生を捧げてきた男を、まるで自分自身の如く演じていたのが印象的であった。またおじさん同士の友情、という珍しいパターンにも好感を持ったね。
 さて皆さんが余命6ヵ月と告示されたら、一体どんなことやりたいのかな? 僕はまだ一度も行っていない日本全国の有名温泉に行きたい。そしてスケッチブックとノートパソコン持参して、絵手紙を描き、自分史を完成させたいな。

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2008年5月17日 (土)

雷の季節の終わりに

 これで現在出版されている恒川光太郎の本を全て読んでしまった。『秋の牢獄』『夜市』そして本書の順である。著者はデビューして間もないため、まだ三冊しか出版していないのだから仕方がない。
 ただ長編は本作のみで、あとは中編集である。どちらかと言えば、著者は中編向けの作家であり、さすがに長編になると終盤に息切れした感があった。

雷の季節の終わりに Book 雷の季節の終わりに

著者:恒川 光太郎
販売元:角川書店
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 この話は、「穏(おん)」と呼ばれる僻地の集落から始まる。この穏では、冬と春の間の二週間に、神季または雷季と呼ばれる季節が介在し、鬼衆たちが村の鼻つまみ者を処刑する風習が残っているのだ。

 この地図にも載っていない穏という村は、「風わいわい」という不死鳥が徘徊する幻の里で、現実世界から隔離された異世界でもあった。こうした魔可不思議な世界観は、『夜市』、『風の古道』、『神家没落』と全く同じであり、これが恒川ワールドたる所以なのである。
 ただ同じ世界観でも、ストーリー展開がかなり異なるので、決して飽きがこない。これは著者の美麗な文体と、卓越した構成力の成せる技なのであろう。

 本作では穏と現代での二つの話がパラレルに流れてゆく。そして終盤には、その二つの世界が時を超えて融合していくのだ。いつもながら、その構成は見事としか言いようがない。
 ただ難を言えば、『夜市』などの中編作品に漂っていたノスタルジーや、幻想的な雰囲気が少し薄れてしまった感がある。それに、ラストの面倒臭くなったような早終いにも、少し抵抗感が残ってしまった。

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2008年5月14日 (水)

紀元前1万年

★★★

 その昔、恐竜100万年』という映画を観たことがある。はじめ本作は、そのリメイク版なのかと勘違いしてしまった。ところがどちらか言えば、ストーリー構成はメル・ギブソンの『アポカリプト』のほうに似ているんだろうね。

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  あの時代に、なぜ英語を話す白人が存在するのかに始まり、あのラストの妙な復活まで、この映画の挙げ足とりを始めたらキリがない。
 しかし純粋な歴史映画ではなく、超エンタメ映画なのだから、いちいち時代考証や論理性などに、目クジラをたてる必要はなかろう。ただただ面白ければいいじゃないの。

 そんなふうに柔軟に頭の切り替えが出来ない人は、この映画は観ないほうが身のためである。
 それにしてもマンモスの暴走シーンは凄かったし、サーべルタイガーも迫力満点であった。ことCGに関しては文句のつけどころがないだろう。しかし、サーべルタイガーがもう少し登場してもよかったよな。
 神と呼ばれる男との対決のときに、サーべルタイガーを再登場させれば、よりカリスマチックで効果的だったと思うのだが…。あれだけのチョイ役では、ほんの顔見世興行じゃないの。こらっ金返せ!
 結局盛り上がりどころを欠いたまま、いつの間にやら終劇だもの…。まあ面白い映画には違いないが、どちらかと言えば「お子ちゃまランチ」だったのね。

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2008年5月11日 (日)

夜市

  どんなものでも売っているという、夜市と呼ばれる異世界の不思議な夜店。幼い頃、ここで「野球の能力」と「幼い弟」を引き換えにした祐司は、なにも知らない同級生のいずみを伴い、弟を買い戻すために夜市を再度訪れるのだった。
 第12回日本ホラー小説大賞受賞作で、著者の出世作でもある。審査員の荒俣宏、高橋克彦、林真理子の三人がこぞって大絶賛している稀にみる大秀作なのだ。

夜市 Book 夜市

著者:恒川 光太郎
販売元:角川書店
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 まず文章が巧い。無駄がなく読み易く、しかも抒情的で知的なのである。しかも話全体の構成力が抜群であり、ジャンルを超えた面白味を持つ。
 そして高橋克彦氏が言うように、なによりも比類ない「発想の転換の才能」の持ち主なのである。いきなり直木賞候補に推されたのも納得出来るというものだ。
 

   本書以外の著作では、『秋の牢獄』しか読んでいないが、まだ新人で余り作品が出版されていないので仕方がない。次は『雷の季節の終わりに』を読む予定でいる。
 本書では『夜市』と『風の古道』の二作の中編が掲載されているが、 どちらも妖怪が闊歩する世界を描いた、似たような雰囲気のお話なのだ。ただ『夜市』のほうは、市で何かを買わない限り元の世界に戻れないが、一方『風の古道』は、ところどころに抜け道が存在するという違いがある。 

   『夜市』は、おどろおどろしい中にノスタルジックな雰囲気が漂う。その世界感は『干と千尋の神隠し』や、宮沢賢治の『注文の多い料理店』などと同じような香りがする。
 そして緻密に計算され尽したラストの締め方も実に見事である。だからハッピーエンドで終結しなくとも、カタルシスが得られるのだ。

 一方の『風の古道』も、おどろおどろしさとノスタルジーにおいては、決して『夜市』に負けてはいない。ミステリアスで面白い話なのだが、『夜市』のような深みは感じられなかった。『夜市』の出版に際して、急遽書き下ろしたらしいが、『夜市』のサイドストーリー的な勾いがするのは否めないだろう。

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2008年5月10日 (土)

ボルベール  〈帰郷〉 

★★★★

 『トーク・トゥ・ハー』でその異色な才能を認められた、べドロ・アルモドバル監督の最新作。カンヌ映画祭で最優秀脚本賞と最優秀女優賞を併せて受賞している。

ボルベール<帰郷> コレクターズ・エディション DVD ボルベール<帰郷> コレクターズ・エディション

販売元:ギャガ・コミュニケーションズ
発売日:2008/01/01
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ペネロペ・クルス扮するライムンダは、10代のときに火事で両親を失い、 失業中の夫と15歳の一人娘パウラを養うため、毎日休む間もなく働いていた。ところがこの閑人の夫は、忙しいライムンダにセックスを拒まれ、義娘のパウラに手を出そうをする。

 だが驚いたパウラに、包丁で刺されて殺されてしまう。この突発的なトラブルに、ライムンダは夫の死体を隠して娘を守ろうとする。それにしてもライムンダはたくましい。夫の死体を隠した冷蔵庫のあるレストランで、翌日から大車輪で働き始めるのだ。さらにこのレストランは他人の所有物なのに、鍵を預かったライムンダは、さも自分の店のように勝手に使用してしまうのだ。

 あとでこの店の所有者からクレームの電話が届いても、「ごめんなさい、家賃は払いますよ」で済ましている。男顔負けのたいした度胸と行動力である。そしてそのあと、レンタカーを借り、近所の売春婦を無理矢理誘って、死体を捨てるため100キロ以上のドライブに放立つのだ。

 この恐ろしい程に逞しい生きざまは、とても日本人には理解出来ないだろう。やはりラテン系の激しい血と、貧しさの中から発散される生への執着なのだろうか。ペネロペ・クルスは、この逞しいおばさんを演じるため、腰にパットを装着してお尻を大きく見せたという。それでも彼女は美し過ぎるし、スタイルも抜群なのだから困ってしまう。

ボルベール (ランダムハウス講談社 ア 3-1) Book ボルベール (ランダムハウス講談社 ア 3-1)

著者:ペドロ・アルモドバル
販売元:ランダムハウス講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

  その美しさに吸収されたのか、他の女性達の影がやや薄れてしまった。ライムンダの姉ソーレを演じたロラ・ドゥエニャスなんかも、なかなかいい味を出していたのだが、やはり圧倒的な美貌の差は如何ともし難い。

 さてストーリーのほうは、さらに二転・三転してゆく。実は死んだはずのライムンダの母が生きていたのである。そしてさらに母の生存には、ある重大な秘密が隠されていたのだった。

  常人には予測出来ない見事な結末に、思わず息を呑んでしまったが、ここではネタバレは避けておこう。とにかく大傑作には違いないので、DVDを観て自分で確かめて欲しい。

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2008年5月 6日 (火)

小袖日記

 わたしは30歳目前のOL。上司との不倫が破局し、失意のどん底へ。さらに雷を浴びて、現代から平安時代に心だけがタイムスリップ。心の移動先は、紫式部の侍女である小袖ちゃんという設定である。この小袖ちゃんが紫式部の私設秘書となって、源氏物語』の取材に飛び回るのだ。
 かくして著者のオリジナル・珍訳『源氏物語』の始まり始まり。さてその中味は、『夕顔』、『末摘花』、『葵』、『明石』、『若紫』の五作を並ベた連作短編シリーズになっているじゃないの。

小袖日記 Book 小袖日記

著者:柴田 よしき
販売元:文藝春秋
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 著者は男のような名前だが、れっきとした女流作家。おっと女流などと言おうものなら、「女性蔑視だ」などと騒ぎ出しそうな雰囲気がある。
 このウーマン・リブ系の著者は、よほど『源氏物語』が気に入らないらしい。そりゃあそうだ、世界最古の長編小説といえども、ぶっちゃけ光源氏というプレイボーイの女遊びを正当化したようなお話の集大成だからね。ウーマン・リブ思想の女性にとっては耐え難い屈辱なのだろう。

 ということで、本作はタイムスリップものとしては、ど素人の作品でSF的な構想は全くない。つまるところ『源氏物語』の気に入らない部分を自分流に手直しして、よしき版『源氏物語』を創ってしまったのである。
 これが著者の最大の狙いであり、これで彼女はだいぶ溜飲を下げたのではないだろうか。などと、勝手に著者のメッセージを解釈してしまったが、勘違いだったらごめんなさい。
 お話のほうは、こんな解釈もあったのかと思わせる構成の巧さに脱帽したし、文章も平易で現代流に綴っているので一気に読破してしまった。ことに『末摘花』の赤鼻の原因や『明石』の正体などは、一捻りした面白い解釈じゃないの。
 また庭を流れる小川が当時の水洗便所だったり、女性達はめったに立たず、膝を使って這うように移動したりと、平安時代の生活様式が判り易く紹介されていたのが印象的だった。
 ただ雷でタイムスリップをする、『バック・トゥ・ザ・フューチャー 』そのままのパクリは、ちと安易過ぎるというか、全搬的にSFについてはやや勉強不足ですぞ…。

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2008年5月 5日 (月)

つぐない

★★★★

 原作はイギリスの作家イアン・マキューアンの最新作『贖罪 (Atonement)』だという。この原作は未読なので、映画との違いはよく判らないが、かなり練り込まれた奥の深い作品であることは想像できる。
 第二次大戦下のイギリス。まだ上流階級と下層階級の差別が残っていた時代である。よくある話だが、お嬢さまと掃除婦の息子ロビーとの禁じられた恋を描く。

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 このお嬢さまセシリアには、ぴったりカンカンのキーラ・ナイトレイ。また年の離れた妹ブライオニー役にシアーシャ・ローナン。
 宣伝用ポスターでは、断然キーラ・ナイトレイが主役という趣きだが、実は妹のブライオニーが真の主役であり、この告白調の物語を書いた張本人でもある。それにしてもこの少女の天才的な演技と存在感は抜群で、キーラ・ナイトレイは完全に喰われてしまったな。

 オープニングは、カシャカシャというタイプライターの音とともに始まる。これがなんとも格調高い雰囲気を醸し出す。そのタイプライターを打っているのが、想像力が豊富で文学に秀でているブライオニーなのである。
 このブライオニーが姉とロビーの恋に嫉妬し、虚偽証言によってロビーを無実の罪に陥れてしまう。タイトルの『つぐない』には、その反省と後悔の念が込められているのだろう。そしてそのちょっとした誤解と嫉妬のお陰で、ロビーは入隊し戦場に赴くことになってしまうのだ。
 そのために、医学を学ぼうとしていたロビーの運命は大きく翻弄され、セシリアともども怒涛の人生を辿ることになるのだった。そこに戦争というドラマも絡み合ってくる。なかなか重く辛いテーマであり、映画にするには時間が足りない感があった。

 犯した罪のつぐないは、ブライオニーが何10年間も悩み続けたということで拭われたのではないだろうか。僕達も子供の頃に何気なく犯している罪があるはずだ。彼女のように一生悔いに残るような罪ではないと思うが、いまになって時々それを思い出すとぞっとすることがあるよね。でも普段は忘れているのである。ブライオニーだけに非があるとは思えない。誤解を呼ぶようなロビーの態度にも問題がなかっただろうか。
 ラストの締め方は、なかなか難しかったようだ。真実をそのまま書けば余りにも救いようがないし、かといってハッピーエンドでは余りにも軽過ぎる。そこで考えぬいた結果、ああしたエンディングにせざるを得なかったのだろう。
 さすがゴールデングローブ賞・最優秀作品賞は伊達ではない。稀にみる秀逸な作品に仕上がっていることは間違いないのだが、僕はあのエンディングには少し馴染めなかったな・・・。

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2008年5月 4日 (日)

NEXT -ネクスト-

★★★☆

 2分先の世界が見透せる男が、テロの隠し持つ核弾頭を探し出し、アメリカ人、数百万人を救うために大奮闘するという荒唐無稽なお話である。まさしくアメリカンで大味で痛快な設定じゃあないの。

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 ニコラス・ケイジ扮するショボイ奇術師クリスが、実はこのスーパーヒーローなのだが、正体がバレないよう、なるべく派手な行動は謹んでいる。このあたりのくだりは、まさしくスーパーマンのクラークケントだよね。
 ところがなぜか、FBIとテロ一味には、彼が未来を覗ける超能力者だと判っているのだ。映画のテンポを早めるためだと思うが、これがなんとも腑に落ちない設定だよな。
 そんな訳で、結局スーパーヒーローとして超能力を十分に発揮するのは、終盤のほうに後回しとなる。それまでは、FBIとテロ一味につきまとわれての「鬼ごっこ」と落ちつかないのだ。
 ただ、レストランでリズという美女と知り合いになるために、超能力を何度も繰り出すくだりは『恋はデジャ・ブ』のようでとても楽しいよね。だがそのあとすぐにべットインはないだろうな。まあ、とても可愛い彼女だったから不問に付してもいいけどね…。
 ところで、ゴーストライダー』のときにも感じたけれど、もうそろそろニコラス・ケイジに派手なアクションは似合わなくなってしまったね。だって走っているときに、少しヨロヨロしていたじゃないの。ニコラス・ケイジファンのかた、ごめんなさいね。でも僕も彼のファンなのですよ。
 また、自分のことは2分先迄しか見えないのに、どうして彼女がかかわることは、ずっと先の未来まで見えるのだろうか。つまりそれが、「愛の力なのだよ」と言いたいのね。

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