パラノイド・パーク
★★★☆
スケボー公園のことをなぜ『パラノイド・パーク』と呼ぶのだろうか。実は主人公の少年の心象風景こそパラノイドなのだろうな。舞台はオレゴン州ポートランド。アメリカ映画とは思えない寒々しい風景と、繊細な心の陰りが描かれている。
最近、時間軸をバラバラに繋ぎ合わせたり、ハンディカメラを使って手ブレさせたり、やたらと長回わしを意識する映画が多い。昔なら斬新に感じられたが、もうこんな手法は古くさいしウザッタイだけだ。本作でも多少その傾向がみられたが、それほど気にならない程度で抑えていたのは好感が持てる。
ストーリーは、ものの弾みで警備員を殺してしまった(というより過失なのだが)少年の葛藤を淡々と描く。両親の離婚にも動じず、同級生とのセックスにも無感動だが、さすがに殺人を犯してしまったことに無頓着でいられるはずがない。少年の不安と恐怖がじりじりと観客の心に沁みこんでくる。
スケボーと、かったるい調子の音楽とが見事にミキシングされて、独特の世界感が融合されていたね。あの映像とミュージックは、幻想的でやみつきになりそうである。
ストーリー的には、スケボーに特化する必然性はない。だが、ガス・ヴァン・サント監督の心のどこかに、スケボーに対する深い思いがとぐろを巻いているのだろう。ただこの映画のメッセージが伝わってこないのが残念だね。
気のせいだろうか、渋谷という場所柄もあるが、観客の中に何となくスケボー狂ではないかと思われる青年たちを数人みかけてしまった。
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» 『パラノイドパーク』 [ラムの大通り]
(原題:Paranoid Park)
「こういう映画がいちばん苦手だなあ」
----ん?これってガス・ヴァン・サントの新作だよね。
確か、事故とはいえ人を殺してしまった少年が
後になって、その事実の重さに気づく…そんな話じゃなかった。
「そう。一言で言えばね。
撮影にクリストファー・ドイルを迎えていて、
それだけでこの映画が、
お話を語るタイプのものじゃないことが分かる。
映像で表現領域を広げていってるんだ」
----なんだ。分かってるじゃニャい。
「うん。このくらいはね。
でも、海外、特にフラ... [続きを読む]
受信: 2008年4月29日 (火) 17時59分
» パラノイドパーク [映画通の部屋]
「パラノイドパーク」PARANOID PARK/製作:2007年、アメリカ=フラ [続きを読む]
受信: 2008年4月29日 (火) 21時59分
» 『パラノイドパーク』 [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY]
ガラスの十代。ローラースケートじゃなくてスケボー。
オレゴン州ポートランドに住む16才の高校生アレックスはスケートボードに夢中になり、スケボー少年の聖地、パラノイドパークへ向かった。思春期の少年少女の心って、ガラス細工のようなんだということをガス・ヴァン・サントは知っている。大人になるとそのことを忘れてしまう人も多いけれど、ガスは、その脆さと残酷さと紙一重の透明な美しさに惹かれてやまないのかな。やがて失われてしまう期間限定のそのきらめきを、フィルムに封じ込めたいという思いがあったのかな。ガスの... [続きを読む]
受信: 2008年4月29日 (火) 22時51分
» 『パラノイド・パーク』... [〜青いそよ風が吹く街角〜]
2007年:アメリカ+フランス合作映画、ガス・ヴァン・サント監督&脚本&編集、クリストファー・ドイル撮影監督、【2007年カンヌ国際映画祭60周年記念特別賞受賞作品】。 [続きを読む]
受信: 2008年4月29日 (火) 23時21分
» パラノイドパーク◆暗転した日常に立ち尽くす十代の心象風景 [好きな映画だけ見ていたい]
「パラノイドパーク」 (2007年・フランス/アメリカ)
こういう淡々とした水彩画のようなタッチは、時々一部の邦画から受ける印象によく似ている。それはガス・ヴァン・サント監督の作品世界が、ハリウッドから最も遠い場所にあることと関係しているのかもしれない。舞台はヴァン・サント作品ではおなじみのオレゴン州ポートランド。スケートボードに夢中の高校生がつづる宛名のない手紙とも、日記ともとれるモノローグが、日常の中に潜む暗い陰りを浮かび上がらせる。まっすぐに流れていくはずの毎日が、ふとしたきっか... [続きを読む]
受信: 2008年4月30日 (水) 10時21分
» 映画「パラノイドパーク」を観ました。2008年51本目 [Aspiring Bobby-dazzler Starlet]
ジャンル : ドラマ
製作年 : 2007年
製作国 : アメリカ=フランス
主演;ゲイブ・ネヴァンス
主人公のアレックス16歳。スケートボードが好きな普通の男子。
両親は離婚調停中、弟は神経症、彼女はSEXのことしかあたまになく正直うざくなってきた。
そんな時年上の友達に誘われてパラノイドパークと呼ばれるスケーターのたまり場に行くことになった。
そのパラノイドパークで事故で人を殺してしまった。
その後の少年のゆれる心を描き出した作品。
監督はガスヴァンサント、予告パンフレットのきれいな横顔の... [続きを読む]
受信: 2008年4月30日 (水) 23時50分
» パラノイド・パーク [ダイターンクラッシュ!!]
4月26日(土) 17:05~ シネセゾン渋谷 料金:0円(Club-Cポイント使用) パンフレット:700円 『パラノイド・パーク』公式サイト 痛い小僧の痛い映画。 はずみで人を死に至らしめ、悶々とする。 技術的には優れた作品だと思うが、この手(?)の作品は相性が悪いので、退屈はしなかったが、満足できなかった。(だったら、見なきゃいいんだけどね。) 何の解決もしないだろうなと思ったら、案の定そうだった。 ま、この映画らしいので、それはそれでいいんだが。 お勧め度:☆☆★ 痛い度:☆☆☆★... [続きを読む]
受信: 2008年5月 1日 (木) 00時48分
» パラノイドパーク [サムソン・H・トマトマスバーガーの限りなく映画]
[[attached(1,center)]]
始めたばかりのスケートボードに夢中で、ボーダーたちが集まるお気に入りの場所、「パラノイドパーク」に出かける日々を送っていた16歳のアレックス(ゲイブ・ネヴァンス)。
ある日、彼はふとした弾みで、ひとりの男性を死なせてしまう。
目撃者が誰もいない中、アレックスは不安に駆られて・・。
{{{:
『パラノイドパーク』 2007 Paranoid Park
監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ニール・コップ/デ..... [続きを読む]
受信: 2008年5月 1日 (木) 23時42分
» 【劇場映画】 パラノイドパーク [ナマケモノの穴]
≪ストーリー≫
16歳の少年アレックスは始めたばかりのスケボーに夢中。その日も、スケボー少年の聖地・パラノイドパークに向かった。しかし頭をよぎるのは家族の事や彼女のジェニファーの事ばかり。不良グループに声をかけられたアレックスは、スリルを味わうために貨物列車の飛び乗りに参加する。その時、ふとした偶然から鉄道警備員を死なせてしまう。不安に駆られながらも、何事もなかったかのように日常生活を送るアレックスだったが…。(goo映画より)
説明するのが難しい映画。
主人公のアレックスの混乱を表すかの... [続きを読む]
受信: 2008年5月 8日 (木) 20時35分
» 【2008-113】パラノイドパーク [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
人気ブログランキングの順位は?
世界の流れに逆らわなければ、
いつもと同じ日常が、いつも通りに動いていく。
僕の心は誰にもみえない。
僕は普通だった。
あの事件が起こるまでは・・・。
... [続きを読む]
受信: 2008年5月17日 (土) 23時34分
» パラノイドパーク [サムソン・H・トマトマスバーガーの限りなく映画]
[[attached(1,center)]]
始めたばかりのスケートボードに夢中で、ボーダーたちが集まるお気に入りの場所、「パラノイドパーク」に出かける日々を送っていた16歳のアレックス(ゲイブ・ネヴァンス)。
ある日、彼はふとした弾みで、ひとりの男性を死なせてしまう。
目撃者が誰もいない中、アレックスは不安に駆られて・・。
{{{:
『パラノイドパーク』 2007 Paranoid Park
監督: ガス・ヴァン・サント
製作: ニール・コップ/デ..... [続きを読む]
受信: 2008年5月21日 (水) 01時09分
» 『パラノイドパーク』 @シネセゾン渋谷 [映画な日々。読書な日々。]
16歳の少年アレックスは始めたばかりのスケボーに夢中。その日も、スケボー少年の聖地・パラノイドパークに向かった。しかし頭をよぎるのは家族の事や彼女のジェニファーの事ばかり。不良グループに声をかけられたアレックスは、スリルを味わうために貨物列車の飛び乗りに参... [続きを読む]
受信: 2008年5月23日 (金) 00時11分
コメント
masktopiaさんコメントありがとう
10代特有の雰囲気といえば、そのようにも感じられますね。ヴァン・サント監督の他の作品を知らないので、一度別の作品を観てみますね。
投稿: ケント | 2008年4月30日 (水) 13時01分
BCさんコメントありがとう
確かに監督のメッセージが何なのか、判りにくい作品でしたね。この監督はスケボーが好きみたいですね。
りおさんコメントありがとう
やはり皆さんにも判りづらい作品だったようですね。
確かに雰囲気がこの映画の全てかもしれません。
投稿: ケント | 2008年4月30日 (水) 13時00分
トラックバックをありがとうございました。
10代特有の浮遊感と不安感が繊細な映像と
よくマッチしていましたね。
人物を追う背面からのカットと独特の効果音が
やっぱりヴァン・サント監督らしいなと思いました。
投稿: masktopia | 2008年4月30日 (水) 10時27分
こんにちは。
雰囲気はあったのですが…
いまいち伝わりづらかったかなーという感じです。
投稿: りお | 2008年4月30日 (水) 00時41分
ケントさん、はじめまして。
トラックバックありがとうございます。(*^-^*
映像感覚が独創的だっただけに
作品のメッセージ(主題)が伝わってこなかったのが残念でしたね。
スケボーに関しては少年の心理の揺らぎを表しているようにも映りました。
投稿: BC | 2008年4月29日 (火) 23時31分
となひょうさんコメントありがとう
確かに掴みどころがない映画でしたね。
分断された死体という激写があるにもかかわらず、全体に淡々と時が流れている感じがありました。
『エレファント』は観ていないのですが、皆さんなかなか評価が高いですね。いずれ観てみようかと考えています。
投稿: ケント | 2008年4月29日 (火) 22時44分
初めまして、TBありがとうございます。
『映画通の部屋』ってーのをやっています、となひょうです。
手違いでTBを2つ送信してしまいました。
お手数ですが、1つ削除をお願い致します。
すみませんー
私も、この映画から何を汲み取ればいいのか、よくわからなかったです。
主張し過ぎない作風っていうのもあると思いますけど。
この作品は、何と言うか掴みどころがなかった感じでした。
『エレファント』の方が心に残る作品でした。
投稿: となひょう | 2008年4月29日 (火) 22時05分
Whitedogさんコメントありがとう
また応援クリックもありがとうございました。
そうですね。ボーっとしてこの映画を観ていましたが、以外と記憶に残る映画なのですね。
おっしゃる通り、じわじわしていますよ。
投稿: ケント | 2008年4月29日 (火) 21時12分
ケントさん、こんばんは。
トラコメありがとうございました。「エレファント」よりはずっと主人公の心理を掘り下げた作品だと思いますが、十代の心理がよく分からないのでやっぱり分かりにくかったです。あとからじわじわ来る作品だとは思います。
ホラーチックな映像は余分かな?
こちらからTBできていないようなのでアドレス張らせてください(ココログユーザーさんになぜかできないんです(泣))
http://myfavorit.blog119.fc2.com/blog-entry-546.html
応援クリックして帰りますね
投稿: Whitedog | 2008年4月29日 (火) 20時09分