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2008年4月20日 (日)

死神の精度

★★★★

 原作は今どき最も旬な作家、伊坂幸太郎」である。先日も『ゴールデンスランバー』という小説で、2008年本屋大賞」に選ばれたばかりだ。
 小説のほうは『死神の精度』、『死神と藤田』、『吹雪に死神』、『恋愛で死神』、『旅路を死神』、『死神対老女』の六篇の短編で綴られている。またこの六篇は、死神・千葉シリーズに違いないが、ラストの『死神対老女』の中で、『死神の精度』と『恋愛で死神』とが微妙にリンクしてくる。

死神の精度 Book 死神の精度

著者:伊坂 幸太郎
販売元:文藝春秋
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 ところが映画のほうは、この六篇のうち『死神の精度』、『死神と藤田』、『死神対老女』の3作を選んで、やはり『死神対老女』の中でリンクしていた。またそれぞれに年代を設け、『死神の精度』が過去、『死神と藤田』が現在、そして『死神対老女』が未来という設定になっている。さらにはこれらの話は、ラストで時を超えて見事に収束されているではないか。
 実によく練り込まれた素晴らしい脚本である。また小説で多用していた説明文をどうやって映像化するのか楽しみにしていたが、それも見事にクリアしてしまった。

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アーティスト:サントラ
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発売日:2008/03/19
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 まずオープニングで死んだ少女の霊に、「死神」だと見破られることによって、金城武が「死神」であることをさりげなく紹介する。そして黒犬との会話にコンピュター文字を使用することで、独り言を上手に処理している。
 これらは原作にはないパーツである。またおもちゃの車を見て、過去の事故を回想するシーンも含め、実に巧みに文章を映像にチェンジしているではないか。
 それとヤクザの藤田だが、原作では義理と任侠に生きる強い男として描かれていた。だから藤田役は、高倉健や菅原文太のような男気漂う俳優でなくてはならないはずだった。
 ところがその藤田役に『めがね』で、たそがれていた「光石研」を使ったのは何故なのだろうか。その疑問は、終盤になって解けるのだが、この映画の中では藤田に余りスポットライトを当てたくなかったのだ。
 このあたリの事情を詳しく話すとネタバレになるが、藤田の手下である「阿久津」の存在がぼやけないための配慮なのだろう。それにしても用意周到である。常に全体の流を読み取った演出だといえよう。

           Scan10326

 原作ものの映画を観ると、ほとんど圧倒的に原作が勝ち、映画のほうは期待外れとなる例が多いものだ。ところがこの映画は決して原作に負けていない。原作ファンには申し訳ないが、もしかすると原作を凌いだ映画に仕上がってしまったのではないだろうか。

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コメント

こんばんは!
私も映画を観ましたので、そちらもTBさせて頂きました♪
映画は、元々淡々とした原作を上手く纏めていましたね~私も原作よりも雰囲気がいいなぁ~と思いました。
金城さんの死神はハマリ役でしたね~
ちょっとズレてる千葉を上手く演じていたと思いました~wink

伊坂さんの『ゴールデンスランバー』は未読ですが、本屋大賞を受賞したので気になっています。
近いうちに読みたいです♪

投稿: 由香 | 2008年4月20日 (日) 23時09分

TBありがとうございます。

伊坂さんは大好きな作家さんです!
さりげないリンクがいいですよね。前述の言葉が後になってちゃんと意味を持っていて、本当に複線の張り方がいつも見事です♪
「ゴールデンスランバー」も好きです!!これも映画化されるだろうな~絶対に。

最初千葉のイメージは金城さんとは違う・・と思っていましたが、映画を見るととても馴染んでいました。

投稿: hito | 2008年4月21日 (月) 10時23分

由香さんこんにちは
やはり由香さんも感じましたか。
あの映画にし難い原作を上手にまとめていますよね。
『ゴールデンスランバー』は僕も未読です。近いうちに読むつもりですが・・・


hitoさんこんにちは
かなり伊坂ファンですよね。
この原作も、hitoさんのブログに触発されて読んだのですから・・・
「ゴールデンスランバー」は気になりますね。

投稿: ケント | 2008年4月22日 (火) 12時52分

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