ふしぎの国の安兵衛
江戸時代の武士が、現代にタイムスリップしてきて、現代女性と知り合い、そしてマスコミの兆児となる。このパターンは原田泰子の『満月』と全く同じではないか。
ただ『満月』が甘く切ない純粋なラブストーリー仕立てなのに対して、本作はユーモア溢れるホームドラマという趣向である。基本的な構成は『満月』のパクリに近いが、本作は『満月』以上に面白い。だから二時間程度であっという間に読破してしまった。
ストーリーは、キャリアウーマンのひろ子と息子の友也が、江戸時代からタイムスリップして、途方に暮れていた安兵衛を助けるところから始まる。その後安兵衛は恩返しのため、友也の世話と家事一切を引き受け、ひろ子にとって彼は必要不可欠な存在となるのだった。
とにかく楽しく読ませながらも、一方では軟弱になった現代家庭をピリリと皮肉っているところに味がある。そしてさりげないラストの括り方もなかなか見事だったね。
ふしぎの国の安兵衛 著者:荒木 源 |
ところでこの本のセンスのないカバーデザインにだけは参ったね。ちょんまげ姿のじゃがいも小僧が、寝ころんでいるイラストに、水色と黄色の背景というダサイセンス。最初このカバーをみて、思わず読むのをやめようかと思ったくらいだもの…。
本書の著者である荒木源氏は、ほとんど無名の作家であるが、朝日新聞社を退社し、2003年に『骨ん中』という社会派ミステリーでデビューしている脱サラ作家である。今後の活躍を祈りたい。
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