パラノイド・パーク
★★★☆
スケボー公園のことをなぜ『パラノイド・パーク』と呼ぶのだろうか。実は主人公の少年の心象風景こそパラノイドなのだろうな。舞台はオレゴン州ポートランド。アメリカ映画とは思えない寒々しい風景と、繊細な心の陰りが描かれている。
最近、時間軸をバラバラに繋ぎ合わせたり、ハンディカメラを使って手ブレさせたり、やたらと長回わしを意識する映画が多い。昔なら斬新に感じられたが、もうこんな手法は古くさいしウザッタイだけだ。本作でも多少その傾向がみられたが、それほど気にならない程度で抑えていたのは好感が持てる。
ストーリーは、ものの弾みで警備員を殺してしまった(というより過失なのだが)少年の葛藤を淡々と描く。両親の離婚にも動じず、同級生とのセックスにも無感動だが、さすがに殺人を犯してしまったことに無頓着でいられるはずがない。少年の不安と恐怖がじりじりと観客の心に沁みこんでくる。
スケボーと、かったるい調子の音楽とが見事にミキシングされて、独特の世界感が融合されていたね。あの映像とミュージックは、幻想的でやみつきになりそうである。
ストーリー的には、スケボーに特化する必然性はない。だが、ガス・ヴァン・サント監督の心のどこかに、スケボーに対する深い思いがとぐろを巻いているのだろう。ただこの映画のメッセージが伝わってこないのが残念だね。
気のせいだろうか、渋谷という場所柄もあるが、観客の中に何となくスケボー狂ではないかと思われる青年たちを数人みかけてしまった。
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