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2008年3月 2日 (日)

乳と卵と芥川賞

 第138回芥川賞受賞作掲載ということで、久し振りに文芸春秋誌を購入した。それにしても今回の芥川賞は大騒ぎだ。受賞者の川上未映子が美人でスタイルが良いからである。
 当然芥川賞の運営母体である文芸春秋社も、そのことを十分承知していて、川上未映子の全身写真を使って、全国紙に全面広告をうった。またこの新刊書籍の腰巻にも、大写しの顔写真が載っているのをみても疑いのないところだ。

川上未映子/乳と卵 川上未映子/乳と卵
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 数年前の「金原ひとみと綿矢りさ」のときと同様、マスコミは連日大騒ぎ。こりや~あ凄い宣伝効果だろうな。バカなマスコミ達は、文芸春秋社の思惑通りに動いてくれる。…でいつの間にか芥川賞は、美人でないととれない文学賞になってしまったようだ。
 芥川龍之介や、どうしても受賞出来ず悔しがった太宰治、既に亡くなった歴代の受賞者たちは、きっと天国で苦々しく思っているに違いない。もしこうした傾向が続くと、本当に文学を愛する者たちは、きっと芥川賞などは相手にしなくなるだろう。そして芥川賞のブランド価値も暴落するはずである。
 だがそれを一番危惧しているのは、こうした状況を作り上げてしまった文芸春秋社自身であろう。だから決して毎回美人コンテストを行うわけではなく、そのタイミングを見計らっているような気がする。これはゲスの勘ぐり、芥川賞コンプレックスおじさんのヒガミである。
 さてつい芥川賞への思い入れとグチばかりが先行してしまい、肝腎の作品評を書くのを忘れてしまったようだ。まあ美人コンテストなどと失札なことを言ってしまったのも、芥川賞を文学界の最高峰として崇め奉った青春時代を踏みにじられた気がしたからである。

 今回芥川賞を受賞した川上さんには何の怨みもないので、どうかご勘弁願いたい。もちろん受賞作の『乳と卵』は、決して出来栄えが悪い訳ではないのだが、あの読み辛い長文はこれきりにしてもらいたい。次作は樋口一葉のオマージュという隠れ蓑に逃げないで、堂々と自分の言葉で小説を書いてもらいたい。
 また石原慎太郎を除く審査委員のセンセイ方は、絶賛する人と体制に従って渋々賛成した人に分かれているように思われる。これらのセンセイ方は本当に芥川賞の権威を認識しているのか、はたまた著者の意図を遥かに超えて深読みし過ぎているのか、あるいはこの程度のものを読みこなせないと恥ずかしいので分かった振りをしているのか、おバカな私にはとても理解出来ない。
 さてこの『乳と卵』は、母と娘と叔母(妹)の三人しか登場しないお話であり、しかも小学生の娘である緑子は、ほとんど喋らない。そのうえ表向きのテーマは、女性にしか共感出来ない「豊胸手術」と「生理」のことだけで終始する。
 だからお爺さんの石原慎太郎が、不愉快になるほどつまらなかった気持ちは判らん訳ではない。彼だけがバカ正直だっただけなのだろう。
 しかしおじさんである僕が読んだ限りでは、石原氏がいうほどつまらない小説だとは思わない。あの長文には参ったものの、家族に対する三人三様の愛情をヒシヒシと感じたからである。
 だが僕はこの作品以外に彼女の小説を読んだことがない。ましてや彼女のブログを覗いても、あのダラダラした長文が目立つ。
 だからつい、彼女は普通の文章が書けないのだろうかと疑ってしまうのだ。何度も繰り返して恐縮だが、こんな幼稚な疑いを晴らすため、あるいは美人コンテストではなかったことを証明するためにも、是非次作は普通の文章に挑戦して欲しい。
 貧しい家庭環境を乗り越えて、懸命に努力して生きている川上さんの姿勢は、僕の過去ともオーバーラップする。そんなこともあり、僕は彼女にとても期待している。だから彼女に対する真の評価は、次作をじっくり読ませてもらってからにしたい。

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コメント

ケントさま、こんにちは。
この小説は、あの文体で評価がかなり割れてしまうと思います。
そしてそれ以前に、読むことを放棄される方すらもいらっしゃるのではないかと思いました。
確かに「美人コンテスト」的な部分もあると思いますが、著者の今後に注目ですね。
TBが届かないようですので、URLを貼らせて下さいませ。
ではでは。

http://thinkingdays.blog42.fc2.com/blog-entry-414.html

投稿: 真紅 | 2008年3月 4日 (火) 17時06分

真紅さんおはようございます
コメントありがとう
何度か挑戦して、やっとTBが送信出来たようです。
どうも最近、各社スパム対策でガチガチにガードしているせいか、なかなかTB出来難くなりましたね。
さてここ数年の芥川賞のあり方には疑問を感じているものの、川上さんには僕も期待はしています。しかし彼女は文学よりも音楽の方を選ぶような気もしますね。この受賞がきっかけで、CDが売れているようですから・・・
いずれにしても、通常の文体で書かれた小説を一度書いて欲しいと思いますね。

投稿: ケント | 2008年3月 5日 (水) 11時05分

こんにちは♪

私は元々読書家ではないこともあって、
芥川賞受賞の基準などにはも一つピンと来ないのですが、
このタイトルと関西弁での語り・・と言うことだけで興味を持って読んでみました。

確かにあの長文は結構辛い物がありますよね。
それに女性にしか分からない事も沢山。
でも、女という妙な生き物の生理、そして親と子のぶつかり合いが
生々しくストレートに描かれてる点において、
興味深く読める人も少なくないかも知れないですね。

投稿: non | 2008年3月28日 (金) 11時00分

nonさんこんばんは、コメントTBありがとう
nonさんは、この小説を気に入ったようですね。
悪い小説とは思いませんが、やはり男性にはなかなか実感出来ないテーマかもしれません。
映画の『いつか眠りにつく前に』もそうでしたが、母と娘というものは、生物学的にも微妙でなにか不思議な関係があるようですね。

投稿: ケント | 2008年3月28日 (金) 21時59分

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