幽霊人命救助隊
東大二浪で首吊り自殺した裕ー、キャリァウーマンになり損ねて飛び降り自殺した美晴、会社経営に失敗し服毒自殺した市川、ヤクザ稼業の限界に絶望し、短銃自殺した八木。
この四人が神様の命令で、地上に降り幽霊になって100人の自殺願望者を救うという荒唐無稽なお話である。しかも夕イムリミットは49日間、1日2人以上のペースで自殺をくいとめなくてはならない。
これが成功した暁には、成仏して天国ヘ行けるという。なんだか、浅田次郎の「椿山課長の七日間」と通じるものがある。
幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1) 著者:高野 和明 |
彼等は人には見えない聞こえない、透過してしまう存在であるが、なぜか物質に対しては存在感がある。だが彼等は物質を動かせない。つまり、例えば誰かがドアを開けない限り、彼等だけではドアを開けられない、入れないのである。
こんな状態で、どうすれば100人もの人間を救助出来るのか。ところが、彼等はこの八方塞がり状況を打破すべく「七つ道具」を所持していたのである。
このマンガのようなバカバカしいお話が面白いのは、裕一以外の三人が自殺したのが、裕一よりずっと以前だったということだ。市川が15年前、美晴が17年前、八木に至っては、なんと24年前なのである。
ということは、市川、美晴、八木にとっては、現代の日本はカルチャーショックで、まるでタイムマシンで未来に跳んできたのと同じなのだ。そのあたりの彼等の驚きようや、時代遅れな流行語が飛び交う様が楽しいよね。
それから自殺願望者の大半は「うつ病」である。だから著者はうつ病について、かなり詳細に調べている。おかげで自殺とうつ病についての認識がかなり高まってしまった。楽しみながらお勉強出来るという具合で、一粒で二度美味しいのだ。
ただ100人助けるまでに、何人もの同じような救助が続くので、途中少し辟易してしまうかも…。だが実は、最後100人目の自殺願望者の救助こそ、本作中最大の焦点なのである。この感動のクライマックスでは、きっと誰もが熱い涙を流さずにはいられないだろう。
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