マルホランド・ドライブ
★★★★
田舎町のジルバ大会をトリミングした、オープニングシーンが面白い。ちょっと太めの女の子がシャカリキになって踊りまくる。飛んだり跳ねたり、逆さまに飛びついたり、パンツが見えそうで見えない。
このポジティブなダサさが、これから始まるネガティブな本編に繋がる入口かと思うと、とてつもないアンバランスさを感じる。だがそれこそが、デビット・リンチ監督の持味なのだろうか。
マルホランド・ドライブ 販売元:ポニーキャニオン |
マルホランド・ドライブとは、ハリウッドの街を見下ろす峠道のことである。ここで美貌の女性が急に車を止められ、車外に引きずり降ろされようとした瞬間、突然二台の暴走車が激突する。
生き残ったのは、美貌の女性一人だけだった。彼女はフラフラしながらも、ハリウッドに向かって丘を下ってゆく。くたくたになってやっと辿り着いた街の標識を見ると、「サンセット大通り」と書いてある。そして彼女は人目を避けるため、おもわずある家に侵入してしまう。
このあたり展開は1950年に上映された、『サンセット大通り』を彷彿させられる。さらにこのあとハリウッド映画界の実態を、赤裸々に描いてゆくスタンスも同様である。きっとこの映画は、『サンセット大通り』のオマージュとして製作されたのだろう。
それにしても謎の多い映画である。おそらくこの映画を一回観ただけで、完全に理解出来る人はほとんどいないはず。従ってネットの中でも多くの解析ブログが出回っている。
それらのいくつかを読んで、さらにDVDでその回答を検証し、やっとこの映画の全体像がみえてきた。一度謎が解けると、何の脈絡もないと思われていた幾つかのサイドストーリーも見事に繋がってくる。
この映画を難解にした最大原因は、なんの断りもなく時間軸を逆転させたことにある。だが『メメント』のように細切れに裁断して逆行させている訳ではない。
あの「ブルーボックス」を開けた瞬間に過去に遡ってしまうのだ。つまりここを境に時間が逆転する。ただ一筋縄でゆかないのは、時間だけではなくヒロイン二人の人格も逆転してしまうからであろう。
現実と妄想、あるいは生と死と考えればよいのか、我々は知らぬ間にリンチの術中にはまってしまう。
30年前に処女作の『イレイザーヘッド』を観たときには、その混沌たる映像と精神世界に驚愕したものである。この作品にはそこまでの異常性はないが、クラブ・シレンシオの描写には『イレイザーヘッド』に通ずる世界観を感じるはずだ。
それにしても、ナオミ・ワッツの飽きれるほど抜群の演技力と、小ぶりだが美しいバストには、完璧に魅せられてしまったね。
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コメント
Whitedogさんコメントありがとう
本作はある程度解析出来ますよね。
死後の世界か、妄想夢の世界のどちらかでしょうね。
それでもよく判らないのが、あのホームレスと小人の老夫婦と、あの劇場ですね。あれはたぶん『イレイザーヘッド』と同様、とくに意味はないものと思っています。リンチ独特の感覚の世界なのでしょうね。
ポチッありがとう。お返しポチッをしておきました。
投稿: ケント | 2008年3月21日 (金) 21時47分
ケントさん、こんにちは。
これは好きです。
デヴィッド・リンチは好きですが、イレイザーヘッドだけは理解できません。試みてはいますが・・・
「砂の惑星」がリメイクされるようで・・・どうなることやら
応援ポチ+TBです。また来ますね
投稿: Whitedog | 2008年3月21日 (金) 14時40分