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2008年3月の記事

2008年3月31日 (月)

きみがいた時間 ぼくのいく時間

 サブタイトルの「タイムトラべル・ロマンスの奇跡」が、この本の全てを物語っている。そう、梶尾真治のおはこともいえる、時間テーマの中・短編ラブファンタジー集である。
 書き下ろしの『きみがいた時間 ぼくのいく時間』をはじめ、『江里の"時"の時、『時の果の色彩』、そして処女作の『美亜へ贈る真珠』の四作が詰め込まれている。

     Kimi

 『きみがいた時間 ぼくのいく時間』は、著者の代表作『クロノス・ジョウンターの伝説』のサイドストーリーという趣きがある。主人公の里志は、事故で亡くなった妻の紘未を救うため、39年前にしか戻れないクロノス・スパイラルに乗る、という中編小説。
 『江里の"時"の時』は、異なる次元に住む男女の恋愛をリリカルに描く短編。また『時の果の色彩』は、タイムマシンを使って、過去に住む女性との恋を描くユニークなお話である。
 『美亜へ贈る真珠』については、処女作にふさわしい初々しいファンタジーロマンスで、すでに名作ファンタジーとして認知されている。
 また巻末には、著者と『劇団キャラメルボックス』の脚本・演出を手がけている成井豊との情熱対談が収められていて、これも梶尾ファンにはなかなか楽しい対談である。
 いずれにしても本書は、梶尾ファン必携の一冊と言ってよいだろう。是非ご一読あれ。

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2008年3月26日 (水)

へび女房

 著者は男のような名前であるが、れっきとした女性である。最近40代の女性作家が一番脂が乗りきっているよね。
 彼女もその一人であり、過去に直木賞の推薦候補者に選ばれたこともある。これは最近の女流作家に共通していることだが、文章が緻密で小説のバックボーンを丁寧に調べあげる。

へび女房 Book へび女房

著者:蜂谷 涼
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 本書には、タイトルの『へび女房』のほか、『きしりかなしき』、『雷獣』、『うらみ葛の葉』の4編が収められている。
 どの作品も明治維新という激動の時代に、たくましく、したたかに、それでいて真摯さを失わなかった女性達の生き様を描く。そして幕末から維新にかけて活躍した実在の人物が頻繁に登場し、ヒロインたちと微妙に関わりを持つのだ。
 歴史上の人物については、歴史に残る事実に添いながらも、別のファインダーで覗いてゆく。このあたりの匙加減は、とにかく唸るほど見事なものである。
 また全編に芸者という職業が絡みついているのは、当時の女性達が身を売るよりほかに生きる術がなかったことを主張したかったのだろうか。
 『へび女房』は、女房がへびの化身だったというお伽話ではない。世の中が変わっても、武士の面目を捨て切れない夫に頼らず、自らマムシを仕入れて「へび屋」を開業した女房の苦労話なのである。
 『きしりかなしき』は、大名の姫君から芸者に身を落とし、外国人の妻となった女性の葛藤を描いた傑作。また『雷獣』と『うらみ葛の葉』でも芸者と外国人妻を中心的に描いている。
 そしてこの4編は、そのほかの登場人物でも、微妙にリンクしているのだ。なんだかオムニバス映画を観ているような気分になってしまった。

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2008年3月23日 (日)

人のセックスを笑うな

★★★☆

 この妙なタイトルのせいか、今最も旬な松山ケンイチ主演のせいか、3ヵ月近いロングランにも拘わらず、ここシネセゾン渋谷は連日超満員。
 もうそろそろ大丈夫だろうと考えたものの、1ヵ月前に入場出来ず悔しい思いをしたので、用心のため会社を休んで平日の昼に渋谷まで足を運んだ。それでも劇場の半数は埋まっていたから、この映画の人気は異常ともいえる。

          Scan10329

 なんのことはない、大学生が同級生の女の子の気持ちを無視して、年上の女教師との禁断の恋にのめり込んでゆくという、よくあるストーリーである。
 お話は単純なのだが、従来の展開と一味も二味も異なるのは、登場人物の個性が斬新でユニークだからだろう。松山ケンイチに関しては、誰もが知る通りだが、年上の女教師を演じた永作博美の変人ぶりがこの映画の焦点であろう。また彼女の夫役を演じたあがた森魚のオトボケぶりに、なにか大人のしぶとさを感じてしまうのだ。

 最近、大人たちが若者たちに翻弄されて、一緒に失楽園を目指してしまう作品が多い。ところが、この作品では大人たちは悠然としている。決して若者たちのペースにはまらず、己が道を自由に突き進む、したたかさを失わないのだ。
 そして悩み傷つくのは若者ばかり。ことに喫茶室での蒼井優と永作博美の掛け合いが面白い。どちらが若者なのかわからない、永作博美の傍若無人ぶりには舌を巻く。
 もったり感の漂う撮影方法。道路でのシーン、廊下のシーン、そして風景などがゆったりと長回しで流れる。ちょっと薄暗くてピンボケしている映像は少し観辛いが、この映画の雰囲気にはピッタシかもしれない。
 さて、この映画の中で何度か風船が登場するのだが、なにか意味があるのだろうか。

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2008年3月22日 (土)

ルネサンスへ飛んだ男

 時間反射機を使って、20世紀から15世紀のフィレンツェにタイムトラべルをした青年のお話である。タイトルやブックカバーのイラストから想像して、J・デヴローの『時のかなたの恋人』のようなラブファンタジーをイメージしていたのだが…。

ルネサンスへ飛んだ男 (扶桑社ミステリー) Book ルネサンスへ飛んだ男 (扶桑社ミステリー)

著者:マンリイ・ウェイド ウェルマン
販売元:扶桑社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 ところがこれが大いなる勘違いであり、そして嬉しい誤算でもあった。この作品でもリズという清楚で心優しい奴隷少女が登場するが、お互いにほのかな恋心は抱くものの、大恋愛には至っていない。
 どちらかというと、恋愛よりも史実に基づいた脚色の精緻さに重心を置いているようだ。従って、荒唐無稽と思われる出来事が全て、歴史上の事実だったことを知ったときには驚愕の思いであった。
 そして科学的知識の豊富さと、絵に描いたようなラストのドンデン返しにも、誰もがきっと脱帽してしまうだろう。そして本作が書かれたのが、1948年というからさらに感心させられてしまう。

 それにしてもこれほどの力作が、なぜ2005年まで日本で翻訳されさかったのか。そのことについては、翻訳者があとがきで記しているが、完全版と削除改訂版の二つの版が存在しているのが原因らしい。
 もちろん本書は、完全版に基づいて翻訳されているのだが、削除改訂版の良い部分もかなり取り入れているという。ということは、翻訳者の力量も相当なものだということである。
 余り期待せずに買った本だが、時としてこのような幻の名作に出会えることがとても嬉しい。だから古本あさりを止められないのかもしれないね。

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チルドレン

 子供のことをチャイルドというが、複数になると「チルドレン」になる。つまり全く別人になってしまうのだ。という例え話には、妙に説得力がある。

チルドレン (講談社文庫 (い111-1)) Book チルドレン (講談社文庫 (い111-1))

著者:伊坂 幸太郎
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 本書は「バンク」、「チルドレン」、「レトリーバー」、「チルドレンⅡ」、「イン」の5作の短編を連ねたオム二バスである。全作に共通して登場するのが、自分を中心に宇宙が回っている陣内という豪快な男だ。
 余りにも強引で手前ミソな彼の言動に、「バンク」では少々腹が立つのだが、他の短編を読み進めてゆくうち、彼の暴言に納得してしまうから不思議だ。なんとなく憎めないキャラだし、結局いつも彼の示唆するところが、問題解決の糸口となるからである。
 この一連の短編は、時系列的に並べられてはいないが、主要な登場人物が固定的であり、5つの話が微妙にリンクしてある意味長編小説を形どっているのだ。またそれぞれの語り部を、陣内以外の常連キャラがリレー方式で努めているが、これも新しい試みかもしれない。
 5つの話はいずれも面白いのだが、僕は変った銀行強盗を描いた「バンク」と、父と息子の在り方を問う「チルドレン」を評価したい。「バンク」は陣内が学生時代に遭遇した事件、一方「チルドレン」のほうは、陣内が家裁の調査官になってからのお話であり、なんと12年間の時差があるのだ。
 ミステリーといえば、探偵や警察が登場するものと思い込んでいたが、こうした方法もあるのだなと、改めて感心してしまった。明らかに、伊坂幸太郎のアイデアと想像力の勝利だろう。

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2008年3月20日 (木)

マルホランド・ドライブ

★★★★

 田舎町のジルバ大会をトリミングした、オープニングシーンが面白い。ちょっと太めの女の子がシャカリキになって踊りまくる。飛んだり跳ねたり、逆さまに飛びついたり、パンツが見えそうで見えない。
 このポジティブなダサさが、これから始まるネガティブな本編に繋がる入口かと思うと、とてつもないアンバランスさを感じる。だがそれこそが、デビット・リンチ監督の持味なのだろうか。

マルホランド・ドライブ DVD マルホランド・ドライブ

販売元:ポニーキャニオン
発売日:2002/08/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する


 マルホランド・ドライブとは、ハリウッドの街を見下ろす峠道のことである。ここで美貌の女性が急に車を止められ、車外に引きずり降ろされようとした瞬間、突然二台の暴走車が激突する。
 生き残ったのは、美貌の女性一人だけだった。彼女はフラフラしながらも、ハリウッドに向かって丘を下ってゆく。くたくたになってやっと辿り着いた街の標識を見ると、「サンセット大通り」と書いてある。そして彼女は人目を避けるため、おもわずある家に侵入してしまう。
 このあたり展開は1950年に上映された、『サンセット大通り』を彷彿させられる。さらにこのあとハリウッド映画界の実態を、赤裸々に描いてゆくスタンスも同様である。きっとこの映画は、『サンセット大通り』のオマージュとして製作されたのだろう。
 それにしても謎の多い映画である。おそらくこの映画を一回観ただけで、完全に理解出来る人はほとんどいないはず。従ってネットの中でも多くの解析ブログが出回っている。
 それらのいくつかを読んで、さらにDVDでその回答を検証し、やっとこの映画の全体像がみえてきた。一度謎が解けると、何の脈絡もないと思われていた幾つかのサイドストーリーも見事に繋がってくる。
 この映画を難解にした最大原因は、なんの断りもなく時間軸を逆転させたことにある。だが『メメント』のように細切れに裁断して逆行させている訳ではない。
 あの「ブルーボックス」を開けた瞬間に過去に遡ってしまうのだ。つまりここを境に時間が逆転する。ただ一筋縄でゆかないのは、時間だけではなくヒロイン二人の人格も逆転してしまうからであろう。
 現実と妄想、あるいは生と死と考えればよいのか、我々は知らぬ間にリンチの術中にはまってしまう。
 30年前に処女作の『イレイザーヘッド』を観たときには、その混沌たる映像と精神世界に驚愕したものである。この作品にはそこまでの異常性はないが、クラブ・シレンシオの描写には『イレイザーヘッド』に通ずる世界観を感じるはずだ。
 それにしても、ナオミ・ワッツの飽きれるほど抜群の演技力と、小ぶりだが美しいバストには、完璧に魅せられてしまったね。

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2008年3月16日 (日)

時の”風”に吹かれて

 タイムトラベルファンタジーの名手である梶尾真治の短編集である。書き下ろしではなく、既に発表されたものを集めたので、梶尾ファンなら読了したものが混ざっているかもしれない。
 全部で11作だが、得意のタイムトラベルものは、表題の『時の”風”に吹かれて』と『時縛の人』だけである。だがそれ以外の9作も、それぞれ独自の味がしてなかなか楽しめた。

時の風に吹かれて Book 時の風に吹かれて

著者:梶尾 真治
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 以下に11作について、簡単なレビューを書いておこう。
1.時の”風”に吹かれて
 尊敬していた画家の叔父が遺した、白藤札子という美しい女性の絵。叔父が生涯独身を通したほど愛した女性でもあった。だが残念ながら、彼女は昭和36年のデパート火災で一命を落している。
 そして彼女は、主人公の恭哉にとっても、憧れの女性であったのだ。友人がタイムマシンを開発したことを知り、彼は昭和36年に戻って白藤札子を救おうと決意する。
 著者が得意とするリリカルな作品であり、11作の中でも一番心に残る作品であった。
2.時縛の人
 これもタイムマシンものであるが、前作とは全く異なる作風である。時間は瞬間の積み重ねという哲学の名句から、タイムマシンは「だるま落とし」の基本原理を使って過去に移動する。
 ところがその「だるま落とし」理論に見落としがあったため、過去に遡った途端に大変な問題に遭遇するのだ。 
3.柴山博士臨界超過!
4.月下の決闘
5.弁天銀座の惨劇

 3~5の3作とも、筒井康隆風味のドタバタナンセンス調が気に入らない。古い感性のSFで、どちらも僕の好みではなかった。
6.鉄腕アトム/メルモ因子の巻
 鉄腕アトムのオマージュであろうか。まるで手塚治虫の鉄腕アトムが、そのままマンガから小説の世界に入り込んだようだ。巧い!思わず手を叩きたくなる梶尾アトムだった。
7.その路地へ曲がって
 別世界のような路地裏に住んでいる年をとらない母に巡り合う息子の話。心の中に潜むノスタルジーを呼び起こすような珠玉のストーリーだ。
8.ミカ
 ある日突然、飼い猫が人間の女に見えてしまう哀れなお父さんのお話。家族に対する苛立ちが産んだ妄想なのだろうか。
9.わが愛しの口裂け女
 結婚した女が、実は口裂け女だったのだが、死ぬまで彼女を愛し続けた父親の話。とてもいい話なのだが、ラストにもう一工夫出来なかったのだろうか。
10.再会
 11作の中で、唯一SF味のしない作品である。ゼンちゃん存在がファンタジックではあるが、純文学風のあっさりとした味わいがあった。
11.声に出して読みたい事件
 3頁程度のショートショートだからしかたないが、ちょっと馬鹿にされたようなお話だったね。

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2008年3月15日 (土)

いつか眠りにつく前に

★★★☆

 脚本を手がけたのは『めぐりあう時間たち』のマイケル・カニンガムであり、どちらも女性による女性のための映画のような気がする。そのためか、アメリカではこの映画に対する批評が、男女真二つに分かれて大論争を呼び起こしたと言う。

     Evening

 もちろん指示派は女性で、否定派は男性だという。僕自身は否定派ではないが、3つ半という、そこそこの評価を超えるものでもない。しかし一緒にこの映画を観た妻の評価は、間違いなく完璧に5である。
 なぜ男と女の評価にこれほどの差が出るのだろうか。この映画のテーマは、生涯一番気になること、女同士の友情、そして母と娘の愛情の三つだろう。
 テーマとしては申し分ない。またキャストにおいても、ヴァネッサ・レッドグレイヴの実娘ナターシャ・リチャ一ドソンが、「アンの長女役」を演じたり、メリル・ストリーブの実娘メイミー・ガマーが、「若き日のライラ」を演じたりと、映像と現実をオーバーラップさせる工夫が凝らされている。
 さらに、タ日に染まる黄昏どきの海辺など、美しい映像美にも思わず心を奪われてしまうだろう。だがアンとライラとの友情の絆については全く描かれていないし、アンと娘達との過去にも深入りしていない。だから男性たちには感情移入がし辛いのだ。
 ところが女性たちには、例えば母と娘が登場するだけで、本能的にそれまでの状況が、まるで走馬灯のように心の中を駆け巡るのだろう。そして男性には理解出来ない何かが、女性たちの心の琴線に触れてしまうのかもしれない。
 ひとは小説や映画の出来事を、自分の過去に置き換えて感動し涙を流す。だから人生経験の豊富な人ほど涙もろくなるものだ。しかし男女それぞれにしか分からない心理や生理もある。そのあたりに、この映画が男と女の論争を生んだ原因があるのかもしれない…。
 因みにいつも泣き上戸の僕が、唯一ホロリとしたのは、アンの次女が恋人に妊娠を告げるシーンだけであった。これは男女共通した分かり易い感性だからであろう。
 また映画を観るまでは、メリル・ストリーブがもっと頻繁に登場すると思っていたのだが、以外にも終盤の数分間だけの友情出演なのだ。彼女が登場したときは、「よっ!、待ってました大統領!」と大向こうに叫びたくなった。
 さすがに大女優の貫禄というか、もの凄いオーラを感じた。そしてこの数分間の出番だけで見事に全てを締めくくってしまったのである。顔はそっくりだが、実娘メイミー・ガマが扮したライラとは、全く別人のライラがそこにいた。

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2008年3月12日 (水)

ペネロピ

★★★☆

 祖父が犯した罪のため、ブタの鼻を持って産まれた女の子が、主人公のペネロピである。この呪いを解くには、名門の家に生まれた男性と結婚しなくてはならない。

           Scan10308

 それで何度もお見合いをするのだが、誰もがペネロピの顔を見たとたんに逃げ出してしまう。さあ、いつになったら彼女は白馬の王子様に出逢えるのか。
 お話はまるで現代のお伽話という設定で、コミカルタッチでサクサクと進む。ラブファンタジーが大好きな僕には、是が非でも食べてみたい料理のようだ。
 この手のお話しでハッピーエンドにならない作品はない。始めからラストシーンが手に取るように見えるが、その分安心して観ることが出来るのである。
 ただ魔法が解ける瞬間は、かなり予想外であった。そして「何も恐れることはない、ありのままの自分を愛しなさい」、というメッセージだけが僕の心に響き渡る。

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2008年3月 9日 (日)

ライラの冒険 黄金の羅針盤

★★★☆

 序盤は、まるで長過ぎるオープニングシーンを早送りしたような展開で、この物語の骨子がよく理解出来ないままどんどん進んでしまう。三部作なのだから、もっと丁寧に描いて欲しいし、二時間の上映時間では短過ぎるよね。

     Scan10265

 そもそも北極などの地名を使ってはいるが、この映画の舞台は地球だとは思えない。全く別次元の世界なのだろう。またダイモンという動物の姿をした守護精霊の存在もそれを物語っている。
 それにしてもダイモンのCG処理には眼を見張るばかりだが、『ハリー・ポッター』や『ロード・オブ・ザ・リング』、『ナルニア物語』などが次々と上映されてしまったので、SFXにはそれほど驚きや斬新さを感じなくなってしまった。
 ただあの鎧熊の決闘だけは凄まじく、戦いが終ったときには、心にとても熱いものを感じてしまった。あのシーンにはCGを超えた何かが宿っていたのだろう。
 三部作なので、もしかしたら次回作の予告があるかもしれない。そう思って超長いエンディングクレジットが終わるのを我慢していたが、結局そのまま終ってしまった。
 第一部ではまだダイモンについての詳しい説明もなく、彼等が活躍することもなかった。果たして、第二部以降でその謎が解明されてゆくのだろうか。聞くところによれば、第二部では現代の世界にパラレルスリップするらしいね。
 是非続きを観たいものだ。ライラ役のダコタ・ブルー・リチャーズが、成長してしまわないうちに・・・。

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2008年3月 6日 (木)

幽霊人命救助隊

 東大二浪で首吊り自殺した裕ー、キャリァウーマンになり損ねて飛び降り自殺した美晴、会社経営に失敗し服毒自殺した市川、ヤクザ稼業の限界に絶望し、短銃自殺した八木。
 この四人が神様の命令で、地上に降り幽霊になって100人の自殺願望者を救うという荒唐無稽なお話である。しかも夕イムリミットは49日間、1日2人以上のペースで自殺をくいとめなくてはならない。
 これが成功した暁には、成仏して天国ヘ行けるという。なんだか、浅田次郎の「椿山課長の七日間」と通じるものがある。

幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1) Book 幽霊人命救助隊 (文春文庫 た 65-1)

著者:高野 和明
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 彼等は人には見えない聞こえない、透過してしまう存在であるが、なぜか物質に対しては存在感がある。だが彼等は物質を動かせない。つまり、例えば誰かがドアを開けない限り、彼等だけではドアを開けられない、入れないのである。
 こんな状態で、どうすれば100人もの人間を救助出来るのか。ところが、彼等はこの八方塞がり状況を打破すべく「七つ道具」を所持していたのである。
 このマンガのようなバカバカしいお話が面白いのは、裕一以外の三人が自殺したのが、裕一よりずっと以前だったということだ。市川が15年前、美晴が17年前、八木に至っては、なんと24年前なのである。
 ということは、市川、美晴、八木にとっては、現代の日本はカルチャーショックで、まるでタイムマシンで未来に跳んできたのと同じなのだ。そのあたりの彼等の驚きようや、時代遅れな流行語が飛び交う様が楽しいよね。

 それから自殺願望者の大半は「うつ病」である。だから著者はうつ病について、かなり詳細に調べている。おかげで自殺とうつ病についての認識がかなり高まってしまった。楽しみながらお勉強出来るという具合で、一粒で二度美味しいのだ。
 ただ100人助けるまでに、何人もの同じような救助が続くので、途中少し辟易してしまうかも…。だが実は、最後100人目の自殺願望者の救助こそ、本作中最大の焦点なのである。この感動のクライマックスでは、きっと誰もが熱い涙を流さずにはいられないだろう。

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2008年3月 5日 (水)

陰日向に咲く

★★★☆

 いい映画だった。だがネットではそれほど評価が高くない。ことに劇団ひとりの原作を読んだ人の酷評が目立つ。
 おそらくそれほど原作は素晴らしいのだろう。原作を知らない僕は、この映画を素直に誉めてやりたい。

           Scan10332

 このお話は大きく三つのパートに分かれている。岡田准一と宮崎あおいのサラ金パート。西田敏行と三浦友和のホームレスパート。塚本高史と平山あやのアイドルパート。
 このうち岡田准一パートと西田敏行パートは、ラストで見事に繋がってゆく。もうひとつの塚本高史パートもいい話なんだが、全体の構成としては、宙に浮いた感じがする。
 それにしても、いつもカッコ良い役柄ばかりの岡田くんが、珍しくカッコ悪い役柄に挑戦していた。いつまでも二枚目を続けられるわけはなし、彼も将来の自分の在り方を考え始めたのかな・・・。
 それから宮崎あおいが母娘の二役を演じているのだけれども、とくに二役を演じる必然性がない。どちらかといえば、母役のほうを別の女優が演じたほうがすっきりしただろう。
 とにかくラストは泣けるね。とどめなく涙が出て困ってしまった。ことに西田敏行と三浦友和のベテラン陣が、いい味を出していたよな。

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2008年3月 2日 (日)

乳と卵と芥川賞

 第138回芥川賞受賞作掲載ということで、久し振りに文芸春秋誌を購入した。それにしても今回の芥川賞は大騒ぎだ。受賞者の川上未映子が美人でスタイルが良いからである。
 当然芥川賞の運営母体である文芸春秋社も、そのことを十分承知していて、川上未映子の全身写真を使って、全国紙に全面広告をうった。またこの新刊書籍の腰巻にも、大写しの顔写真が載っているのをみても疑いのないところだ。

川上未映子/乳と卵 川上未映子/乳と卵
販売元:HMVジャパン
HMVジャパンで詳細を確認する

 数年前の「金原ひとみと綿矢りさ」のときと同様、マスコミは連日大騒ぎ。こりや~あ凄い宣伝効果だろうな。バカなマスコミ達は、文芸春秋社の思惑通りに動いてくれる。…でいつの間にか芥川賞は、美人でないととれない文学賞になってしまったようだ。
 芥川龍之介や、どうしても受賞出来ず悔しがった太宰治、既に亡くなった歴代の受賞者たちは、きっと天国で苦々しく思っているに違いない。もしこうした傾向が続くと、本当に文学を愛する者たちは、きっと芥川賞などは相手にしなくなるだろう。そして芥川賞のブランド価値も暴落するはずである。
 だがそれを一番危惧しているのは、こうした状況を作り上げてしまった文芸春秋社自身であろう。だから決して毎回美人コンテストを行うわけではなく、そのタイミングを見計らっているような気がする。これはゲスの勘ぐり、芥川賞コンプレックスおじさんのヒガミである。
 さてつい芥川賞への思い入れとグチばかりが先行してしまい、肝腎の作品評を書くのを忘れてしまったようだ。まあ美人コンテストなどと失札なことを言ってしまったのも、芥川賞を文学界の最高峰として崇め奉った青春時代を踏みにじられた気がしたからである。

 今回芥川賞を受賞した川上さんには何の怨みもないので、どうかご勘弁願いたい。もちろん受賞作の『乳と卵』は、決して出来栄えが悪い訳ではないのだが、あの読み辛い長文はこれきりにしてもらいたい。次作は樋口一葉のオマージュという隠れ蓑に逃げないで、堂々と自分の言葉で小説を書いてもらいたい。
 また石原慎太郎を除く審査委員のセンセイ方は、絶賛する人と体制に従って渋々賛成した人に分かれているように思われる。これらのセンセイ方は本当に芥川賞の権威を認識しているのか、はたまた著者の意図を遥かに超えて深読みし過ぎているのか、あるいはこの程度のものを読みこなせないと恥ずかしいので分かった振りをしているのか、おバカな私にはとても理解出来ない。
 さてこの『乳と卵』は、母と娘と叔母(妹)の三人しか登場しないお話であり、しかも小学生の娘である緑子は、ほとんど喋らない。そのうえ表向きのテーマは、女性にしか共感出来ない「豊胸手術」と「生理」のことだけで終始する。
 だからお爺さんの石原慎太郎が、不愉快になるほどつまらなかった気持ちは判らん訳ではない。彼だけがバカ正直だっただけなのだろう。
 しかしおじさんである僕が読んだ限りでは、石原氏がいうほどつまらない小説だとは思わない。あの長文には参ったものの、家族に対する三人三様の愛情をヒシヒシと感じたからである。
 だが僕はこの作品以外に彼女の小説を読んだことがない。ましてや彼女のブログを覗いても、あのダラダラした長文が目立つ。
 だからつい、彼女は普通の文章が書けないのだろうかと疑ってしまうのだ。何度も繰り返して恐縮だが、こんな幼稚な疑いを晴らすため、あるいは美人コンテストではなかったことを証明するためにも、是非次作は普通の文章に挑戦して欲しい。
 貧しい家庭環境を乗り越えて、懸命に努力して生きている川上さんの姿勢は、僕の過去ともオーバーラップする。そんなこともあり、僕は彼女にとても期待している。だから彼女に対する真の評価は、次作をじっくり読ませてもらってからにしたい。

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2008年3月 1日 (土)

チームバチスタの栄光

★★★

 予告編をちらっと観たとき、この映画はマンガ『医龍』のパクリなのだろうか。そして主演の竹内結子はバチスタメンバーなのだろうと、勘違いしてしまった。
 確かにバチスタチームを中心にしている点は『医龍』と同じだが、そもそも竹内結子はバチスタメンバーではなかった。彼女は心療内科の医師で、バチスタチームに潜む殺人鬼を調査するおとぼけ探偵役だったのだ。

           Bachi

 そしてストーリーのほうも、『医龍』のように医学界の内情や抗争、医療技術や医者の力量などをテーマにしたものではなかった。バチスタ手術中に起こった「連続密室殺人事件」を解明するミステリーという小さなお話なのだ。
 そもそもバチスタ手術とは、拡張型心筋症に対する手術法であり、考案者のランダス・バチスタ博士の名前に由来している。そしてこの手術は、拡張した心臓の左心室の一部を切り取り、縫合するという高度の技術を必要とする。だがいまだに不確定要素が多く、リスクが高いため、心臓移植が難しい場合の最後の手段として行われているという。

 このバチスタ手術の際中に、あえて手術を失敗に導き、殺人を成し遂げた殺人鬼がいる。だが犯行現場は手術室という密室であり、犯人はバチスタチームの7人に絞られるのだった。
 それを竹内結子の素人探偵が調査するが途中で挫折してしまう。
 さあそこでホームズじゃなく、阿部寛名探偵が満を持して登場。次々に難題をクリアして、見事解決、犯人逮捕となる。めでたしめでたし。
 なんだろうこの映画?。タイトルは大風呂敷だが、バチスタ手術ということを除けば、昔から良くある単純な犯人探しミステリーじゃないか。
 それに一番犯人らしくない人が犯人、というミステリーの定石通りの展開だから、すぐに犯人の見当がつく。余りにも古くさくて素直過ぎるよな。
 だからと言って、決してつまらない作品という訳ではない。しかし何も心に残らないし、胸にジーンと押し寄せるものもないのだ。結局は竹内結子による、竹内結子ファンのための映画だったのだろうか。
 

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