13階段
本作は、第47回江戸川乱歩賞に輝いた社会派ミステリーで、2003年に映画化されている。
ストーリーのほうだが、刑務所の刑務官南郷正二と、殺人罪で仮釈放中の三上純一がコンビを組んで、ある死刑囚の冤罪を晴らす、という変った設定になっている。
13階段 (講談社文庫) 著者:高野 和明 |
南郷は死刑囚樹原の記録を読んで、もしかして樹原は冤罪なのではないかと疑った。それは樹原が犯行時刻の記憶を失っていること。そして最近彼が、記憶の断片を甦らせたことにあった。
その記憶の断片とは、犯行現場で「階段を見た」という記憶だけなのだが、そこに南郷はこだわり続ける。そして、そのわずかな手掛かりだけを頼りに、南郷と純一はそれぞれが抱えている葛藤と戦いながら、次第に調査に没頭してゆく。
この小説を読んで、死刑執行までの手順や、その背後に渦巻く官僚と政治家の権謀術策など、いろいろ勉強になることが多かった。そして殺人犯、被害者の家族、死刑執行人たちそれぞれの心情が、これでもかとばかり見事に綴られているのだ。
さらには刻々と迫るタイム・リミット、ラストの迫力ある攻防に心臓がドキドキと脈打つ。そのうえ最後の最後にも、再びドンデン返しが用意されているのだ。
この文句のつけようがない素晴らしい出来栄えに、思わず故松本清張の作品を思い出してしまった。
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