エリザべス:ゴールデン・エイジ
★★★☆
壮大な歴史大作なのだが、スペクタクル巨編を期待すると裏切られるだろう。もちろんクライマックスには、スペイン無敵艦隊とのアルマダ海戦が用意されているが、あくまでもそれは添え物に過ぎない。
なぜならこの映画のメインテーマは、エリザべス1世の「禁断の恋と苦悩」だからである。ただ前半は、早いテンポを追いかけるのが精一杯。ただただエリザべスの豪華絢爛なファッションショーに舌を巻くばかりだった。
それにしてもケイト・ブランシェットの成り切り演技には恐れ入ったね。おそらく彼女以外に、この役を見事にこなせる女優は、世界中どこを探してもいないのではないか。
女王たる地位ゆえに、自由な恋愛も出来ないもどかしさ。そしてその威厳の高さに、誰もがかしづき本音を聞くことも叶わない。
わずかに心を許せたのが、侍女のベスと探検家のローリーだけなのだが、この二人が知らぬ間に恋に落ちてしまう。エリザべスの怒りと絶望感は、いかばかりであったろうか。
僕が思うには、ローリーは本当はエリザべスが好きだったのだ。しかしならぬ恋を諦めて、同じ名前でエリザべスの側にいるベスを求めたのだろう。そんな彼の心を知るはずもないエリザべスは、嫉妬の炎を燃やすのだが…実に気の毒で、僕は思わず涙ぐんでしまった。
ここまでは映画の話。さて実際のエリザべス1世は、どうして結婚しなかったのだろうか。いろいろな説があるが、結婚することにより、女王から王妃に格下げされることを避けたという説が有力である。これは彼女が権力志向だったということではなく、その背景にイングランドの政治や宗教などの思惑が渦巻いていたのだと解釈したい。
またバージン女王と言われていたが、実際には数人の愛人が存在していたらしい。ローリーもその愛人の1人だったという。映画では成就しなかった禁断の恋も、実はちゃんと実現していたのだ。
この映画は、9年前に同じスタッフ・キャストで上映された『エリザべス』には及ばないが、決して悪い作品ではない。ただ女性向きの映画なのだということを認識しておこう。
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