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2008年2月の記事

2008年2月25日 (月)

エリザべス:ゴールデン・エイジ

★★★☆
 壮大な歴史大作なのだが、スペクタクル巨編を期待すると裏切られるだろう。もちろんクライマックスには、スペイン無敵艦隊とのアルマダ海戦が用意されているが、あくまでもそれは添え物に過ぎない。
 なぜならこの映画のメインテーマは、エリザべス1世の「禁断の恋と苦悩」だからである。ただ前半は、早いテンポを追いかけるのが精一杯。ただただエリザべスの豪華絢爛なファッションショーに舌を巻くばかりだった。

       Scan10307_2

 それにしてもケイト・ブランシェットの成り切り演技には恐れ入ったね。おそらく彼女以外に、この役を見事にこなせる女優は、世界中どこを探してもいないのではないか。
 女王たる地位ゆえに、自由な恋愛も出来ないもどかしさ。そしてその威厳の高さに、誰もがかしづき本音を聞くことも叶わない。
 わずかに心を許せたのが、侍女のベスと探検家のローリーだけなのだが、この二人が知らぬ間に恋に落ちてしまう。エリザべスの怒りと絶望感は、いかばかりであったろうか。
 僕が思うには、ローリーは本当はエザべスが好きだったのだ。しかしならぬ恋を諦めて、同じ名前でエリザべスの側にいるベスを求めたのだろう。そんな彼の心を知るはずもないエリザべスは、嫉妬の炎を燃やすのだが…実に気の毒で、僕は思わず涙ぐんでしまった。

      Photo_2

             「ケントの絵手紙小屋より抜粋」

 ここまでは映画の話。さて実際のエリザべス1世は、どうして結婚しなかったのだろうか。いろいろな説があるが、結婚することにより、女王から王妃に格下げされることを避けたという説が有力である。これは彼女が権力志向だったということではなく、その背景にイングランドの政治や宗教などの思惑が渦巻いていたのだと解釈したい。
 またバージン女王と言われていたが、実際には数人の愛人が存在していたらしい。ローリーもその愛人の1人だったという。映画では成就しなかった禁断の恋も、実はちゃんと実現していたのだ。
 この映画は、9年前に同じスタッフ・キャストで上映された『エリザべス』には及ばないが、決して悪い作品ではない。ただ女性向きの映画なのだということを認識しておこう。

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2008年2月24日 (日)

13階段 

 本作は、第47回江戸川乱歩賞に輝いた社会派ミステリーで、2003年に映画化されている。
 ストーリーのほうだが、刑務所の刑務官南郷正二と、殺人罪で仮釈放中の三上純一がコンビを組んで、ある死刑囚の冤罪を晴らす、という変った設定になっている。

13階段 (講談社文庫) Book 13階段 (講談社文庫)

著者:高野 和明
販売元:講談社
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 南郷は死刑囚樹原の記録を読んで、もしかして樹原は冤罪なのではないかと疑った。それは樹原が犯行時刻の記憶を失っていること。そして最近彼が、記憶の断片を甦らせたことにあった。
 その記憶の断片とは、犯行現場で「階段を見た」という記憶だけなのだが、そこに南郷はこだわり続ける。そして、そのわずかな手掛かりだけを頼りに、南郷と純一はそれぞれが抱えている葛藤と戦いながら、次第に調査に没頭してゆく。

 この小説を読んで、死刑執行までの手順や、その背後に渦巻く官僚と政治家の権謀術策など、いろいろ勉強になることが多かった。そして殺人犯、被害者の家族、死刑執行人たちそれぞれの心情が、これでもかとばかり見事に綴られているのだ。
 さらには刻々と迫るタイム・リミット、ラストの迫力ある攻防に心臓がドキドキと脈打つ。そのうえ最後の最後にも、再びドンデン返しが用意されているのだ。
 この文句のつけようがない素晴らしい出来栄えに、思わず故松本清張の作品を思い出してしまった。

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2008年2月23日 (土)

リアル鬼ごっこ

★★★☆

 ここのところテアトル系の映画館は、どこも大盛況である。『レンブラントの夜警』、『人のセックスを笑うな』、そして本作の『リアル鬼ごっこ』と、延々と同時大ヒットを続けている。

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 本作は『バ卜ルロワイヤル』もどきの、荒唐無稽なバイオレンス?作品ということで、館内はツッパリ風のあんちゃんや高校生たちで熱気ムンムンだった。「君たちこんな映画を観て真似してはダメだよ」とそっと心の中でつぶやく…。
 低予算のB級映画なのは間違いないのだが、それを忘れさせるほど上手に練り込んで創ってあるのは見事だった。
 さて、主人公の佐藤翼(石田卓也)は別世界にワープされ、なまずの仮面ライダーのような鬼に追いかけ回わされ、ひたすら逃げて逃げ回る。
 「佐藤という名字の人間を殺す」という奇抜なアイデアも卓越しているが、若さ一杯でスピード感の溢れる展開も心地よかったね。
 最近タイムスリップものがよく映画化されているが、この作品はパラレルワールドを行ったり来たりする「パラレルスリップ」ものなのだろうか。
 そのパラレルワールドには、全て同一人物が存在し、どちらかの世界の人間が死ぬと、もう一方の世界の同一人物が同時に死ぬ。その設定そのものは了解してもよいのだが、佐藤翼だけが一人しか存在しない理屈が判り難い。
 また一人しか存在しないことが、彼がパラレルワールドにワープ出来た理由になっていたが、それなら彼の母親は、なぜワープすることが出来たのだろうか。なにか矛盾のループにはまってしまうのだ。
 そのほかにも、突っ込み所は沢山あるし、ストーリーに深みを感じないのは確かである。だがそれはさておき、とにかく文句なしに面白いのだ。それだけは約束してもよいだろう。

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2008年2月21日 (木)

つばき、時跳び

 短編ファンタジーの名手『梶尾真治』にしては珍しい長編ものである。
 曾祖父の代から熊本城下の山間にひっそりと佇む百椿庵。ここは名前の通り、椿の花が咲き乱れるお屋敷なのだが、現在は誰も住んでいないため、荒れ果てている。売れない作家の井納惇は、父に頼まれてこの屋敷を管理方々、住み込むことになってしまった。

つばき、時跳び Book つばき、時跳び

著者:梶尾 真治
販売元:平凡社
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 ところがこの屋敷には、昔から女の幽霊が現れるという。そしてある日、惇は若く美しい幽霊を見てしまうのだ。ところが暫くして、彼女は幽霊ではなく、幕末の百椿庵からタイムスリップしてきた「つばき」という名の美少女であることが判明する。
 ストーリーの舞台は、ほとんどが百椿庵とその周辺だけなのだが、全く退屈しないから不思議である。
 またタイムトラべルの仕組みや、タイムパラドックスには余り触れてはいないが、それはこの際どうでもよい。このストーリーでの興味の大半は、井納とつばきの清純で淡い恋愛だからである。

 原田康子の小説に『満月』という作品がある。こちらは江戸時代からタイムスリップしてきた武士と、現代の女性との恋を描いた作品だ。
 本作のほうは、『満月』とは男女の設定が入れ替わり、しかも百椿庵があたかもタイムトンネルかの如く、現代と幕末を男女が行き来する。
 そういえば、もうひとつ似たような小説で、石川英輔の『大江戸神仙伝』という小説があった。こちらは、江戸と東京を行ったり来たりするおじさんの、ちょっとエッチなラブコメといった風味。
 本作のつばき同様、いな吉という若くて可愛い芸者が登場する。どちらの女性も、若いけれどしっかりもので、落ち着いていて、明かるくて、純真で、優しく男性を立ててくれる。
 いまどき絶対にいない、全世界の野郎どものあこがれの女性像なのだ。しかも主人公はどちらもおじさんで、年もずっと離れているのにモテモテなのだから、これ以上望むことはない。
 だからこの小説は、著者の憧れの女性像を綴ったものでもあり、男性たちに泡沫の安らぎを与えるために書き下ろしたのではないだろうか。
 また熊本名物の由来や美人画の謎との融合は絶妙だし、「りょじんさん」との出会い方も洒落ている。なんとなく広瀬正の『マイナスゼロ』を髣髴させられた。
 ただ惜しむらくは、あのとってつけたようなハッピーエンドである。あそこはそのままにして、 いつもの梶尾流「切ないラブファンタジー」で終ったほうが、いつまでも心に残る名作となったのではないだろうか。

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2008年2月17日 (日)

ステイ

★★★☆

 この作品は、オープニングとエンディングが、メビウスの輪のように捻れて繋がってゆく。そしてエンディング直前の5分間がこの映画の全てとも言えるだろう。

ステイ (ベストヒット・セレクション) DVD ステイ (ベストヒット・セレクション)

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日:2007/11/21
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 精神的に不安定な青年(ライアン・ゴズリング)が、精神科医(ユアン・マクレガー)に自分の自殺を予言する。同時に青年は、その日に雹が降ることも予言し、それが見事に実現してしまう。
 それ以来、精神科医は青年のことが頭から離れなくなる。そして何とか青年の自殺を食い止めようと奔走するうち、自分自身もだんだん虚構の世界にはまってゆくのだった。
 永遠に続くラセン階段や、デジャブ現象、歪んでくる幻覚と現実の境界線。幻想的な映像と、各シーンの繋ぎかたは、実に見事である。
 観客は多分よくわからないまま、スクリーンに釘付けとなり、感動的なエンディングを迎えるはずであった。確かにラストでどんでん返しが用意され、全ての謎が解明されるのだが…。しかし単純な夢落ちではないものの、やはりこの手法は反則ではないだろうか。

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2008年2月16日 (土)

テラビシアにかける橋

★★★★

 原作は児童文学で、全世界で500万部出版された名作だという。確かに主人公は少年と少女である。だが、この映画は決してお子様ランチではない。

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  貧しい家庭で育って絵が好きな少年ジェスと、文学少女でおてんばな転校生レスリーの友情物語を、ファンタジー風で描いた傑作である。
 二人とも田舎の小学校では変人扱いで、いじめっ子たちの標的となる。だが彼等は、家の裏の森を二人だけの秘密の隠れ家に仕立てて、空想の中で巨人や魔物達と戦う。
 この魔法の森を、レスリーはナルニア物語に登場する島の名にちなんで、『テラビシア』と名付けた。
 それ以来、学校や家庭で辛い目に合っても、彼等はこの森の中で二人だけの世界に没頭してゆく。だがある日、予期せぬ悲しい運命が訪れるのだった。
 万国共通、誰もが持っている少年時代の甘く切ない思い出。そこには、TVゲームと塾通いだけの、現代の子供たちには決して味わえない、夢と希望とロマンが漂っているのだ。
 だからこの映画を観て、懐かしさと感動を味わえるのも、子供たちではなく大人たちなのであろう。それこそこの映画が、決してお子様ランチではない所以なのである。

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2008年2月13日 (水)

冬・歌舞伎

 今回は初代松本白鸚ニ十七回忌追善公演ということで、白鸚ゆかりの演目が上演された。僕が観たのは昼の部で、『小野道風青柳硯』、『菅原伝授習鑑~車引』、『積恋雪関扉』、『仮名手本忠臣蔵~祇園一力茶屋の場』の四演目である。

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 どれも古典中の古典で、顔に隈どりを塗り、大向うに見得を張る、これぞ歌舞伎といった醍醐味を味わえるものばかりだ。
 前回観た夏・歌舞伎は、現代風にアレンジされて判り易かったものの、伝統歌舞伎の臭いが消されていた感があった。たまにはそうした新趣向も新鮮で楽しいが、例え難解で退屈でも、歌舞伎は歌舞伎然としていたほうがよいね。
 一番判り易かったのが、『小野道風青柳硯』で、花札の図柄で有名な「柳に蛙が跳びつくのを道風が眺めている」シーンで始まる。その後で道風と独鈷の駄六の相撲が始まるのだが、その戦いもなかなか楽しかった。
 『積恋雪関扉』では、福助扮する小野小町のきらびやかな衣装と踊りに魅入ってしまった。花道横の座席だったので、眼前での口上や舞は圧巻であった。ただ一場で会話が多い「大・常磐津」なので、途中少し眠くなって困った。

 さて伝統の歌舞伎座だが、観客のほとんどが女性なのに、トイレが少な過ぎるのが問題である。わずか10分間の休憩時間は、女性たちのトイレ争奪戦で大変な騒ぎなのだ。そのくせ開演3分前から、係の人達が早く席に戻るよう、うるさく催促する。ちょっと女性達には気の毒だったね。
 さて次回は演舞場にでも行ってみようか。

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ジャケット

★★★★

 主人公ジャックは、心優しいのが災いし、湾岸戦争で少年に頭を撃たれるが、奇跡的に一命を繋ぎとめる。しかしその傷のおかげで、過去の記憶が消失してしまう。
 この悲しき兵士を、『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディが好演する。その後彼は、あてもなく彷徨ううちに、警官殺しの濡れ衣をかけられて逮捕されてしまう。しかし裁判で障害者と認定され、精神病院に収容されるのだった。

ジャケット DVD ジャケット

販売元:松竹ホームビデオ
発売日:2006/10/28
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 そこでは、強度の障害者に対して、奇妙な治療実験を行っていた。患者に麻酔をかけ、拘束衣(ジャケット)で身動きを奪い、死体保管庫に数時間閉じ込めるのである。
 ジャックは死体保管庫の中で、苦痛と狂気に苛まれるうち、過去の記憶が断片的にフラッシュバックし、一瞬にして15年後の未来へ跳んでしまう。そしてストーリーは、ここを起点として大きく変貌してゆくのである。
 妻殺し未遂で精神病院に入院した患者に、『007カジノロワイヤル』のダニエル・クレイグ、ジャックの恋人役ジャッキーには、キーラ・ナイトレイと豪華なキャスティング。そして主演のエイドリアン・ブロディーは、心優しい表情といい、痩せこけた風貌といい、まさにピッタリハマリ役だった。
 生き馬の目を抜くような現代において、心の優しい人は損をする。だがそれは現世という束の間の思い出に過ぎない。来たるべき世界では、必ず報われるはずだ。
 死体保管庫の中は、決してタイムマシンではない。主人公が跳んで行くのは、彼の妄想と怨念が創り出す次元を超えた精神世界なのだろう。そこには、宗教的な香りのする死生観が漂っている。いずれにせよ、ジャックは辛い現世から開放されたのではないだろうか。

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2008年2月10日 (日)

レンブラントの夜警

★★★

 レンブラントを演じたマーティン・フリーマンは、本物と瓜二つだし、絵の中で描かれた人物たちも、そっくりである。そして暗くてくすんだような映像も、まるでレンブラントの絵を見ているようだった。
 ただストーリーについては、かなり判り辛いので覚悟しておこう。少なくとも事前に、レンブラントと当時の時代背景について調べておいたほうがいいだろう。

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 また同時代のオランダの画家フェルメールを題材にした、『真珠の耳飾りの少女』を期待してしまうと失望するかもしれない。
 だがもともとレンブラントとフェルメールは作風にしても、人物的にも対象的なので仕方のないところだ。レンブラント風味の映画としては、よく雰囲気が出ていたのではないだろうか。
 映画の中でレンブラントが筆を持っているシーンがほとんどない。それが訝しかったが、事実ほとんどの絵は弟子が制作し、彼が手を入れることはなかったようだ。
 『夜警』という絵画にだけ焦点を絞り、その絵の中に潜んでいる歴史・権力・欲望・孤独などを演劇的手法を用いて巧みに描いているのは実に見事である。
 だがやはり、我々はオランダの歴史を知らないし、長い会話劇を字幕で追ってゆくのも辛い。また状況描写に終始し、肝心の心理描写が不足ぎみである。そんな状況下での139分がまた更に辛いのだ。そのうえあの無音のエンディングクレジットにも心が踊らない。

 もしかすると我々は、『レンブラントの夜警』という邦題に騙されているのではないだろうか。このお話は『夜警』の謎を解くミステリーなどではなく、愛妻を失ったレンブラントの失意を描いたラブストーリーだったのかもしれない。

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2008年2月 4日 (月)

プライマー

★★★

 2004年度サンダンス映画祭で、審査員大賞を受賞した作品だという。この賞はインディペンデント映画に、ビジネスチャンスを与えてくれる。従ってこの作品が、大学の映画部で製作したようなチープな超低予算映画であっても文句はつけない。

プライマー DVD プライマー

販売元:バップ
発売日:2006/03/24
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 ストーリーのほうだか、べンチャービジネス志向の青年二人が、ある研究途上で偶然タイムマシンを発明してしまう。彼等は急上昇した株式銘柄を調べ、マシンに乗って過去へ行き、その株を買って儲けることを実行する。

 ここまでは良くあるお話なのだが、過去に戻ったときに、過去の自分に遭遇してしまうのだ。そして現在の自分が、かつての自分を遠くから見ている。この循環が延々と続き、映画を観ているほうは、一体誰がオリジナルなのか、ダブル(分身)なのかさっぱり判らない。

 同じシーンが何度か続くのだが、ほとんどヒントになるものがなく、話の順序さえ見失ってしまう。ニューヨークタイムス紙で、この映画は5回以上観る必要があると掲載され、何度かチャレンジしたマニアックな人もいる。だがその人達をしても、いまだ完全には判らないという。
 果たして本当に答があるのか。まあどちらにしても、この作品を何度も観るほど辛抱強くはない。
 僕はタイムパラドックスを扱った作品が大好きだが、こんな判り辛い作品を観たことがない。難解という訳ではなくただ不親切なのだ。たまたまこのテーマが好きだから、ある程度楽しめたものの、このテーマに興味のない人にはお勧め出来ない。
 小説ならともかく、映画は情報量に限界があるし、観客は基本的に一回しか観ないのだ。ことに商業べースにするのなら、そこを考えてもう少し判り易く創らなければ、一発屋の単なる自己満足で終わってしまうだろう。
 タイムトラべルやパラドックスについて話を始めたら、夜を徹しても終わらない。だからここでは、その議論を飛ばしたい。
 もしかすると、この映画の真のテーマは、タイムパラドックスではなく、米国のベンチャー企業家たちの野心と葛藤と猜疑心だったのだろうか。
  

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2008年2月 3日 (日)

フローズン・タイム

★★★☆

 東京では、渋谷QーAXシネマだけの単館上映である。この映画館は、2006年にオープンしたばかりで、カフェスタイルの飲食店が同居し、2つのスクリーンを持つユニークな映画館だ。
 ただ駅からやや遠いこと、周囲にラブホテルが多いことなどが難点かもしれない。しかし小綺麗でお洒落な雰囲気と、音響・映像においては最高水準のTHXを採用していることは評価したい。
 264席ある館内は、ほぼ満席であった。これはこの作品に対する注目度なのか、映画デーの特別割引のお陰なのかは不明である。

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 この作品は、2006年のアカデミー短編実写賞にノミネートされた18分の短編作品だった。それを商業べースで上映するために、102分に引き伸ばして再製作したという。
 当初の短編映画を観ていないので、比較は出来ないものの、やはり多少違和感を感じてしまった。
 おそらくスーパーの店員たちの「おふざけドラマ」や「少年時代の回想」などが追加シーンなのであろう。「少年時代の回想」はともかくとして、店員たちのドタバタシーンがなければ、この映画はもっと芸術的かつ幻想的な作品に仕上がっていたはずである。
 失恋のショックで不眠症に陥り、時間の概念にひずみが生じる。そしてあるとき、スーパーマーケットの中で、自分以外の時間が止まってしまう。
 そこまではとても秀逸な発想であり、時間が静止したときの映像も、二次元世界のようで幻想的だ。フォトグラファーである監督の手腕が、十分に発揮されたシーンであった。
 そして、最初はレジのおばさんにしか見えなかったシャロンが、だんだん美しくなってゆく。主人公の心の動きと、観客の視線を同調させたテクニックも見事である。
 だが、ファンタジーを、エロティックコメディーへとチェンジしてしまった感性だけはいただけない。ところどころで少数の人が、大声で笑うのだが、観客のほとんどはしらけ切っている。
 ラストになって、今度はロマンチックなラブストーリー仕立てに軌道修正し、そこで観客の冷めた気持ちを温めて、ジ・エンドとなる。
 なんだか狐につままれた気分だが、「良い映画だったな」と満足して帰路につく観客たち・・・。だが冷静に考えると、やはりなにか歯車が絡み合わない。まるで、小さなワイングラスの中で輝いていた宝石を、砂利の詰まったバケツの中に投げ込んでしまったような気がするのである。 

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2008年2月 2日 (土)

母べえ

★★★

 平日の昼間だというのに、館内はほぼ満員状態。一体どうなっているのだ。よく見ると、年配のカップルばかりである。
 そりゃあそうだよな、若い人は働いている時間帯だものね。それにこの古いテーマの映画を若い人が観るはずもない。

     Scan10302

 太平洋戦争の直前、日中戦争真っ只中の頃か…。夜明け前に突然特高が土足で侵入。子供たちの目前で、父は治安維持法違反で逮捕され、長期間の獄中生活を余儀なくされる。
 暗く悲しいお話のはずなのだが、なぜか余り重苦しい気分にはならない。父べえの逮捕に至るまでの経緯が描かれていないこと、全般的な流れがホームドラマチックであることなどが、その原因と考えられる。
 また山田監督は、戦争反対の雄たけびをあげたかったのか、それとも母性愛の深さに酔いしれたかったのだろうか。その辺りの焦点がボケてしまい、中途半端なメッセージしか残せなかった。
 また細かいことを言えば、戦後の激動の中、女手一つでどうやって娘二人を大学まで進学させられたのか疑問である。だったら中学もロクに出ていない人だっていたのだから、余り同情出来ないな。綺麗ごとだけでは、絶対不可能なはずだ。
 そんなところにも、ストーリーの一貫性のなさを吐露してしまっている。どうしても、臨終の「あの言葉」を伝えたかったのかもしれないが、それほどの感動はなかった。いずれにしても、現代のシーンについては蛇足としか言いようがない。
 だがもう一つの重大要因は、母べえを演じる「吉永小百合」が発するオーラにある。『北の零年』のときも感じたのだが、どんなに貧しくてとも、死ぬほど苦しくとも、いつも彼女は上品で正しく、美しい顔を崩さない。
 これは彼女の演技力の限界なのか、或いは周囲の者が気を使い過ぎているのだろうか…。
 巷では、60を超えた彼女が30代の女性を演じることに、違和感があるという批判が多い。だが年令うんぬんよりも、彼女に「永遠の吉永小百合」を求めるファンに責任はないのだろうか。
 またそのファン心理を理解したのかしないのか、彼女にイメージ通りの役を与えない製作者側にも問題がある。と言っても、彼女を主役として使わないことには、高齢者たちを動員することが出来ない。
 だがそこに彼女の苦悩が生まれ、彼女も観客も真のカタルシスを得られないことになる。そして全員が矛盾の連鎖に巻き込まれてしまうのだ。もういい加減、彼女を「吉永小百合」から開放してやったらどうだろうか。

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