僕のピアノコンチェルト
★★★★
邦題やチラシを見る限り、天才ピアニストのお話しと勘違いしてしまうだろう。もちろん主演の少年は、実物の天才ピアニストであり、劇中もピアノの演奏が一番感動的ではある。
しかし原題が主人公の名前であることからも判るが、この作品は音楽映画はなく、脅威的な天才少年の悩みを描いた物語なのである。だからピアノはひとつのアイテムであり、選択肢のひとつに過ぎない。
主人公のヴィトスは、幼い頃からIQが異常に高く、中学生になると既に大学教授レべルの知能を保有してしまう。
いやそれ以上だろう。抜群のピアノ演奏力はともかくとして、金融オプション取引で大儲けし、大人の女性にプロポーズし、あげくは飛行機の操縦までしてしまう。
こうなると天才というよりは、超人とか怪物といったほうがピッタシだよな。だからこそ彼も普通の人になりたいと苦悩するのである。
少年が唯一心を許し癒せるのは、田舎で木工職人として生活する祖父の存在だ。この漂々としながらも、渋い老木のような祖父は、少年を叱りもせず、甘やかすこともない。
ただ淡々と少年と遊んだり、一緒に仕事をしたりする。だが少年が困ったときには、さりげなくアドバイスをしたりする。
まさに男の子にとっては、最高のおじいちゃんであり、観客も少年の心に戻って、ついついうなづいてしまうのだ。また死に方も実にあっさりとしていて、実に好感が持てるじゃないか。
この作品の奇妙なオープニングが、あのラストシーンに繋がってゆく様は、なかなか見事で味わい深い。全く現実的な映像ではあるが、不思議とファンタジックな香りのする一風変わったスイス映画である。
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» 『僕のピアノコンチェルト』 [ラムの大通り]
※カンの鋭い人は注意。※映画の核に触れる部分もあります。
鑑賞ご予定の方は、その後で読んでいただいた方がより楽しめるかも。
(原題:Vitus)
----今年って天才ピアニストの映画が多くニャい?
すでに公開されたところでは『神童』。
この夏が『ピアノの森』に『私のちいさなピアニスト』、
そして『僕のピアノコンチェルト』。
「うん。『私のちいさなピアニスト』は韓国映画。
ある女性ピアニストが自分が果たせなかった夢を
偶然見いだした天才少年に託すと言うお話。
で、この少年というのが事故で両親と死... [続きを読む]
受信: 2007年11月14日 (水) 23時19分
» #166.僕のピアノコンチェルト [レザボアCATs]
なんだか愛らしい作品だった。シリアスすぎたり、いろいろなことを考えさせる、という重い映画ではなく。心のどこか温かい場所に、このスイス映画は、きっと収まるような気がしている。... [続きを読む]
受信: 2007年11月15日 (木) 11時56分
» 『僕のピアノコンチェルト』 試写会鑑賞 [映画な日々。読書な日々。]
別世界から来たような天才児、ヴィトス。初めて買ったおもちゃのピアノで「ハッピー・バースデー」を弾きこなし、幼稚園で地球温暖化について語り、お遊戯そっちのけで辞書を読みふける。IQは高すぎて計測不能だった。そんなヴィトスに両親は輝かしい未来を夢見ていた。ヴィ... [続きを読む]
受信: 2007年11月15日 (木) 23時55分
» 僕のピアノコンチェルト [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
モーツァルトのようにピアノを弾き、アインシュタインのように数学の才能をもって生まれてきたヴィトス。頭脳は天才でも心は12歳の少年のまま。
そんな彼が自分自身でいられるのは、大好きなおじいさんと一緒にすごす時間だけ。優しさに満ちたおじいさんの言葉が、少年....... [続きを読む]
受信: 2007年11月22日 (木) 23時26分
» 僕のピアノコンチェルト [日っ歩~美味しいもの、映画、子育て...の日々~]
いろいろな面に秀でた天才児、ヴィトス。初めて買ってもらったおもちゃのピアノで、「ハッピー・バースデー」を弾きこなし、幼稚園では地球温暖化について語り、お遊戯の輪に加わらず辞書を読みふける...。そんなヴィトスに、両親は輝かしい未来を夢見て、ヴィトスに高度な教育... [続きを読む]
受信: 2007年11月27日 (火) 07時32分
» 『僕のピアノコンチェルト』 VITUS [かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY]
心地よいFLY&PLAY.
天才は大変、でも、輝ける子ども時代なのだ。
天才的な頭脳をもち、ピアノも弾きこなす神童、ヴィトスの物語。ハイジの国スイスって、馴染みがあるようで意外と身近じゃない国だよね。だって、純粋なスイス映画はほとんど日本公開されていなくて、スイス映画といえば、1にも2にもダニエル・シュミット。そして、このフレディ・M・ムーラー監督の前作も観たことがあるのだけど、風変わりな肌触りの作品だった。意外にも牧歌的なイメージとはほど遠く、時に怪奇テイストのシュールでブラックなものがス... [続きを読む]
受信: 2007年11月27日 (火) 20時43分
» 僕のピアノコンチェルト [おたむ’ず]
★★★★☆byおたむ
少年とおじぃちゃんの可愛い友情物語。ピアノはやっぱクラシックが最高だッ(≧ω≦)!!天才的なピアノの才能を持つ者は数学的な才能も持ち合わせていると言うの... [続きを読む]
受信: 2007年11月29日 (木) 00時52分
» 「僕のピアノコンチェルト」 [日々のつぶやき]
監督:フレディ・M・ムーラー
出演:テオ・ゲオルギュー、ブルーノ・ガンツ
「天才少年ヴィトスは頭脳も抜群IQは測定できない程、ピアノの才能があり両親の誇りだった。でも彼は天才ゆえの孤独でおじいちゃんと一緒にいる時間だけが自分らしくいられるのだった。彼の... [続きを読む]
受信: 2008年1月28日 (月) 10時43分
» 僕のピアノコンチェルト [夫婦でシネマ]
ピアノだけでなく数学など、あらゆる分野で能力を発揮する天才児ヴィトスに、圧倒されっぱなしの2時間でした。ヴィトスの祖父を演じたブルーノ・ガンツがいい味出しています。 [続きを読む]
受信: 2008年4月17日 (木) 16時28分
コメント
パピママさんこんにちは。ご無沙汰です。
TBコメントありがとう。
このスイス映画は、なかなか変わっていて面白いですよね。とにかくおじいちゃんがとても良い味出していましたよね。僕はヴィトスが普通の人になったのはすぐに嘘だとわかりましたが、ママさんはどうでしたか?
東京では銀座テアトルシネマの単館上映ですが、もっといろいろな劇場で上映してもいいのにと思いました。もったいないです。
投稿: ケント | 2007年11月23日 (金) 13時21分
今晩は!、ご無沙汰してました。
お久しぶりです!~この映画良かったです(^^♪
ピアノ作品、と言うか音楽の映画は大好きなので必ず見に行きます。
でも、この映画はピアノ演奏もさることながら、神童と呼ばれるのに疲れ、窓から飛び降り頭を打って普通の人になってしまう。
しかし、これはヴィトスの策略でした。
お祖父ちゃんのために、数学の天才は株取引して大儲けしたりして、念願の飛行機を買ってあげる。
心が温まる、家族の物語面白かったです。
投稿: パピのママ | 2007年11月22日 (木) 23時24分