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2007年9月 9日 (日)

夕凪の街 桜の国

★★★☆

 手塚治虫文化賞、文化庁芸術祭漫画部門大賞を受賞した「こうの史代」のコミックが原作だという。僕はまだこの原作を読んでいないが、余りも素晴しい原作なので映画を観るなら、原作は後にしたほうが良いという声が多いね。

夕凪の街桜の国 Book 夕凪の街桜の国

著者:こうの 史代
販売元:双葉社
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 またこの映画は、過去のパートである「夕凪の街」のほうが評判が高く、現代パートの「桜の国」の創り方には不満が多い。僕も「桜の国」では、かなりの違和感を感じ、「夕凪の街」との大きな距離に戸惑ってしまった。
 それまでシリアスでジメジメレていたストーリーから、いきなりコミカルな展開に180度変換してしまったからである。ことに「夕凪の街」であれほど真摯で実直な旭青年が、「桜の国」では、コミカルなオトボケ爺さんに変身してしまったのが最悪だ。
 その最大原因は、性格ばかりか顔や骨格までも全く別人としか思えない「堺正章」を起用したことである。あのふざけた歩き方からして、「お前は'夕凪の街'のシナリオ全体に目を通していたのか!」と叱りつけたくなる。彼の起用こそが、この映画の価値を半減させてしまったと言い切ってしまいたい。
 さて「桜の国」の問題点はそれだけではなく、娘の七波と友人東子の探偵ゴッコのような展開にも不自然さを感じて馴染まなかったね。ほかに父の過去を探る手法はなかったのか。ただラスト、電車の中でのワンカットだけは実に感動的であった。 
 Yuu 「夕凪の街」では、麻生久美子が好演した「皆実」の清純さといじらしさに、多くの観客が涙していた。また同時に、あの貧しい時代の、街や家並・人々の心境なども良く描かれていたと思う。
 ただしその展開がまっすぐ過ぎるし、もしあのまゝ終っていたら、単なる「お涙頂戴の短編TVドラマ」に成り下がっていたことだろう。そのあとに「桜の国」が続くからこそ、前半の「夕凪の街」が盛り上がるのである。さらに皮肉なことに「桜の国」の出来が悪かったことにより、「夕凪の街」の評価がさらに上がってしまったのかもしれない。
 原爆を扱った作品ではあるが、「ドロドロした被爆シーン」は、絵や声だけを申し訳け程度挿入しているだけである。この表現方法は、低予算のためかもしれないが、生々しいシーンを観たくない人にとっては正解かもしれないね。ただ女湯のシーンでは、心がとても痛くなってしまった。
 またこの作品の意図は、三人の被爆者の恋愛を通して、原爆という怪物の「恐ろしさと残酷さ」を描くことにある。だから、戦争シーンそのものが省略されていても、ある意味納得出来るだろう。
 この三人の被爆者の恋愛では、「夕凪の街」での主人公である「皆実と打越との淡い悲恋」が、観客には一番印象に残ったはずである。もちろん前半は僕もそう感じたのだが、実は終盤に明かされる、「旭と彼の妻の恋」こそ、この作品のメインテーマだったのではないだろうか。

     Yuu2

 いまさらだが、原爆ほど残酷な兵器はない!。この爆弾は被爆した人だけではなく、子孫にまで永遠にその被害を繰り越してゆくのだ。
 この恐ろしい怪物兵器を人間に対して使用した国は、地球上で唯一「米国」だけである。彼らは911テロ事件で大騒ぎして、そのあと全世界を無理やり巻き込んで中東戦争を惹き起こした。彼等は自国のことには、過剰防衛となるが、一体日本に落した二つの原爆の責任について、真剣に考えたことがあるのだろうか。

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コメント

こんばんは♪
私も女湯のシーンは見ていて苦しくなってしまいました。
あれだけでも原爆の凄さが伝わってきますよね。
原作を図書館で順番待ちしています。

投稿: ミチ | 2007年9月11日 (火) 23時32分

ミチさんいつもありがとう
女湯シーンは、かなり苦しかったですよね。
男の傷より女の傷は、心にグサッと刺りますね。
原作はマンガですが、図書館にあるのですか。

投稿: ケント | 2007年9月17日 (月) 14時09分

ケントさん、こんばんは〜。
コメントありがとうございました。
私も青年時代の旭が好きだっただけに、お父さん役では堺正章になってしまって、かなり違和感を感じましたね。。
探偵ゴッゴなども、ちょっとコミカルすぎて馴染めない感じがありましたが、ラストの電車のシーンはとっても良かったです!
旭と彼の妻の恋がいちばん心にグッときましたね。
二人の出会いから結婚まで、丁寧に描かれていたので余計に感動してしまいました。(^^)

投稿: nyanco | 2007年11月 3日 (土) 18時12分

nyanco さんありがとう
やはり旭と彼の妻の恋がいちばん心にきましたか。本当に丁寧に描かれていましたよね。原作を読みましたが、意外にあっさりと描かれていました。これは映画の勝ちかもしれませんね。

投稿: ケント | 2007年11月 4日 (日) 09時35分

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