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2007年9月の記事

2007年9月30日 (日)

犬神 

 体の中から強力な刃物が飛び出して、人間をバサッバサッと切リ刻んでゆく犬(実は狼)たち。媒体は狼が中心となっているが、この展開は岩明均の『寄生獣』と似ている、というより『寄生獣』そのものである。
 さらにクラスメートの女の子との関係までも似ているよね。だからと言って、『寄生獣』のパクリとは言わないが、かなり影響を受けていることは確かだろう。

犬神 (7) (講談社漫画文庫) Book 犬神 (7) (講談社漫画文庫)

著者:外薗 昌也
販売元:講談社
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 もちろん狼との友情とか、日本神話の世界観を絡めた展開など、『寄生獣』よりは論理的な展開が深くなっていることも見逃せない。また全14巻という構成も長過ぎず短か過ぎずでちょうど良いね。
 ただ由梨子が巨大化してゆく辺りから、急にストーリーのテンポが狂ってしまったような気がする。また人間が簡単に死に過ぎるし、登場人物が限定的である。
 もしかすると私のレべルが低過ぎて、急展開について行けなくなったのかもしれない。しかしながら絵は綺麗だし、全搬的にとても楽しく読ませてもらったと思う。

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2007年9月29日 (土)

姫川温泉 国富翠泉閣

 東京からは、中央高速から長野道の豊科インターを降りて、国道147号を糸魚川方面に約80分下った山の中にある一軒宿であります。
 またローカル線の宿を楽しみたい人なら、大糸線平岩駅からも徒歩約10分位で行けます。
 この宿は、ちょうど姫川と大糸線に挟まれてひっそりと建っていますが、過去に台風で宿の一部が流されて、平成7年頃全面リニューアルしたと聞きました。

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 そのため館内は非常に綺麗で、近代的な設備となり、整理整頓も行き届いているので、女性客に好評です。また部屋から観る山々と大糸線と、この旅館とを組合せた眺望が、なぜか、ピタりとハマっていました。
 風呂は、男女それぞれガラス張りの大きな内湯と、姫川の大赤石を積み重ねた古風な露天風呂があり、ともに源泉かけ流しの豊かな湯量を誇っていました。

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 泉質はナトリウム系無色無臭ですが、湯底の石のせいか、薄緑色のようにも見えました。
 夏の露天風呂は、大きなアブが多いため、風呂全体をネットで覆っているので、趣が薄れるのが残念です。しかしかくいう私めも、ネットを潜って入ってきたアブに、首の後ろ側をしこたま刺されて、2週間以上真っ赤に腫れあがってしまったので、くれぐれもご注意ください。
 さてお風呂のお話しですが、ここは本館と風呂場がやや離れており、渡り廊下を通って風呂に行くのですが、これもなかなか風情があって楽しいものです。(この渡り廊下は屋根付、囲い付なのでアブの心配はありません)
 また廊下の途中には、無料マッサージ機や、姫川の冷水サービス、喫煙所などが設置されています。

 更に脱衣室もゆったりとしていて、貴重品入れも完備されていて、文句のつけようがありません。
 それから、渡り廊下の中央あたりに新しい建物を増設中で、宿の人に尋ねたら、貸切風呂が3つ出来るようです。(現在は完成しています)
 さて長々とお風呂の話をしましたが、何といってもこの宿の一番の自慢は、糸魚川の魚と近くの山で取れる山の幸等の豊富な食材を使った懐石料理でしょう。
 またここの料理は、2重3重に丁寧に味付を重ねてあるので、どんなものを食べてもイヤ味がなく、上質なフランス料理を食ベているような気がしました。

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 最後にもう一度誉めたいのは、従業員のしつけが大変良かったということです。いつも明かるく、礼儀正しく、キビキビとした若い女性が多く、とても気分が良くなりました。
 旅行の目的は、金と時間を使って『癒し』を手に入れることですから、当然旅館のほうも、客のニーズに沿って、『ロケーション、設備、温泉、食事、サービス』を充実させなくてはなりません。
 それらの条件をほとんどクリアしているのが、この姫川温泉国富翠泉閣でした。

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めがね

★★★★

 なんとも魔可不思議な映画であります。何もない、あるのは青い空とエメラルドグリーンに輝く海ばかり。ストーリーもなく、ただ淡々と日が暮れてゆく。

     Scan10256

 あの『カモメ食堂』のスタッフ達が創ったという。今度もシンプルで美味しそうな食事が食卓に並びます。
 会話のある登場人物は5人ぽっきり。小林聡美、もたいまさこ、光石研、市川実日子、加瀬亮。このうち小林聡美、もたいまさこの2人は、カモメ食堂のキャストでした。
 この5人が全てめがねをかけていて、しかも正体不明『謎の人物』ばかりなのでございます。ことに小林聡美を優しく見守る「もたいまさこ」は人間以上。今回もいい味を出していましたね。
 あのヌーボーとしながらも、凛とした風情は彼女しか出せません。とても貴重な女優さんですよね。
 撮影場所はヨロン島ですが、映画の中では謎の島なのです。この謎の島には、夏場以外はほとんど訪れる人もいない様子。「ここはケータイが繋がらないから良いでしょう」と言う光石研のセリフはなかなか含蓄がありますね。
 誰も訪れないこの島での、ただただ「たそがれる」だけの春の日々。知らず知らずに、自分もスクリーンの中に吸い込まれて、いつの間にか癒されておりました。

 日常の雑事に忙殺されている方々こそ、この映画を観ながら一緒にたそがれましょうよ。そうここは天国なのです。

 あゝそれにしても、もたいさんが精魂込めて作る、あの昔懐かしい『純正の氷あずき』が無性に食ベたいな・・。

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2007年9月24日 (月)

ファンタスティック・フォー 銀河の危機

★★★☆
 本作で二作目のシリーズであるが、かなりスケールアップしているね。
 宇宙の彼方から、ものすごいスピードで飛来してきた末知の生命体シルバーサーファー。彼が訪れる星は、ことごとく破壊されるという。

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 このシルバーサーファーは、銀色のサーフボードに乗り、超高速で閃光の如く空中を駆け抜ける。また正面に障害物があっても、平気で通り抜けてしまう不思議な能力も持っている、超カッコいい謎の生命体なのだ。
 さすがのファンタスティック・フォーも、この末知の生命体には、全く歯がたたない。しかも彼は「ある巨悪な生命体」の手先に過ぎなかったのだ。
 地球最大のピンチである。というより銀河系全体の危機と言えよう。地球防衛軍とファンタスティック・フォーは、一体どのようにしてこの敵に立ち向かうのか。
 とにかく凄い迫力とスケールである。また謎のシルバーサーファーは、ターミネーター2に登場した液体金属製のT-1000にどこか似ているよね。
 この映画はお子様ランチなので、多少の矛盾やバカバカしい展開には目をつぶるしかない。だがファンタスティック・フォーの個性溢れる役回りと、人間的な心理ドラマも見せてくれるところがグッドだったね。
 しかしこれだけスケールアップしてしまうと、次回作のストーリー創りが難しくなりそうな気がする。ただ少なくともリードとスーの結婚生活と、彼等のべイビーが登場することだけは間違いないだろう。

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2007年9月23日 (日)

包帯クラブ

★★★★

 病院の屋上で、ふとした弾みから知りあうディノ(柳楽優弥)ワラ(石原さとみ)。そのときにディノが、屋上のフェンスに包帯を巻きつける。その包帯は心の傷が残る場所に巻くと、心が癒されるという。

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 それがきっかけとなり、ワラは親友のタンシオ(貫地谷しほり)たちと一緒に、ネット掲示板『包帯クラブ』を開設することになる。この掲示板に投稿された心の傷が残る場所に、メンバー全員で包帯を巻いて、その写真を掲示板に載せるという、たわいのない遊びが始まった。
 まだ読んでいないが、天童荒太の小説が原作だという。青春ど真中という感じの青少年向けの映画である。
 『包帯クラブ』のメンバーには、ワラ、タンシオのほか、彼女たちの中学時代の親友リスキとテンポが参加する。また男性メンバーはパソコンと柔道が得意なギモ(田中圭)と、異常な自虐癖のあるディノの2人。
 それぞれが個性的であり、なかなか面白い組み合わせだった。そしてメンバー各人の持っている心の傷も、次第に明らかになってゆくのだ。
 ことにディノの自虐癖と、下手な大阪弁の秘密が明かされるシーンには、大感動することだろう。またどうしようもなく投げやりだったワラの態度が、少しずつ変化してゆき、ラストで母親と接するシーンではちょっぴり泣かされるよね。
 かなりクセのある役柄を見事に演じた柳楽優弥と、石原さとみの可愛さが目立った映画であった。彼等の今後の活躍に期待したい。

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2007年9月22日 (土)

ミス・ポター

★★★★☆

 青い上着をつけたあの可愛いうさぎ、ピーター・ラビットが生まれて100年が経つ。この愛らしいうさぎの絵本は、今だに全世界の子供たちと女性の心を掴んで離さない。

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 ピーター・ラビットを生み出したのは、英国のビアトリクス・ポターである。彼女は上流階級の家に生まれ、物質的には何不自由のない生活を送っていたのだが・・。
 常に召使いがつきまとい、行動範囲が制限されるため、友達も出来ない精神的不自由な生活を強いられていたとも言える。それでも彼女がいつも明るい笑顔を絶やさなかったのは、毎年避暑地の湖水地方で出会う動物たちのお陰であろう。
 彼女の唯一の楽しみは、それら小動物の絵を描くことだった。その絵は孤独な彼女の心の中で擬人化され、友人として存在していたのである。
 やがて30才を過ぎた大人になっても、彼女の無垢で純白の心は変わらない。その美しい心が、動物の絵やお話に乗り移り、絵本となってピュアな心を持つ読者たちの心を掴んだのであろう。彼女の描いた絵本は大ヒットし、次から次へと続編を重ねてゆく。
 僕は序盤でうさぎの絵を観たときから、急に涙が溢れ始めてしまった。隣に座っていた家内が「何故泣くの?」と思わず声をあげ、静かにハンケチを渡してくれる。
 決して悲しいシーンでも感動的なシーンでもないのだが、きっとこの作品の流れと雰囲気を、早くも直感してしまったのだろう。その後もず~と感極まって、何十回涙を拭いたことか。メガネまで涙でグシャグシャになり、ティシュで鼻水までかんでしまった。
 ビアトリクス・ポターのあどけない純白な心は、彼女が描いた絵の中に染み込んでいる。だからあのほのぼのタッチの絵と、彼女の優しい笑顔を観た途端に、涙が溢れ出てくるのだろう。
 この作品は美し過ぎるかもしれない。「美しい絵」、「美しい無垢な心」、「美しい純愛」、「美しい風景」。それに唯一悪者らしき者は、母親ぐらいしか登場しないが、これは彼女なりに娘の幸せを願ってのことで悪意はない。
 ただ終盤の展開が少し早送りし過ぎたかもしれないね。約90分という上映時間ではもったいない。あと30分間はお話を延長出来たはずである。
 それにしてもレニー・ゼルウィガーは巧いよね。コメディーをやっても、汚れ役をやっても、本作のようなお嬢様役をやっても、どれも見事にこなしてしまうのだから・・。

 

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2007年9月17日 (月)

HERO

★★★☆

 『踊る大走査線』の検事版という雰囲気である。コメディータッチの作品ではあるが、シリアスな裁判シーンとの配合度合いはなかなか見事であった。敵のスゴ腕弁護士に、松本幸四郎を配したのが功を奏したのかもしれない。

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 また何と言っても脇を固めた俳優達が凄いね。中井貴一、香川照之、タモリ、阿部寛、小日向文世、大塚寧々、岸部一徳にイ・ビョンホンまで狩り出した豪華メンバーがズラリである。ただ残念ながら、彼等を十分に使いこなせず宝の持ち腐れの感もあった。

           Photo

          「ケントの絵手紙小屋より抜粋」

 しかし主演のキムタクと、松たか子の掛けあいコンビは、なかなか楽しかったね。クライマックスの裁判シーンは感動的であったが、あのラストシーンもなかなか洒落ていたよね。
 いつも閑古鳥の鳴いている劇場なのだが、この日は整理券を配る始末。興行的には大成功だろう。やはりキムタクは凄いね。

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2007年9月16日 (日)

Life 天国で君に逢えたら

★★★☆

 若くして肝臓ガンで亡くなったプロウィンドサーファー飯島夏樹の実話を基に創られた作品である。オープ二ングが、主人公の遺灰を海にバラ撒くシーンで始まるため、主人公の死が始めからネタバレとなってしまった。それから主人公の家族達の笑顔が、場違いのようで何気に気になるのだ・・。
 邦画ではあるが、大部分がハワイロケであるため、前半は何となくバタ臭くて馴染めなかった。だが中盤以降はだんだん盛り上がってくるからご安心を。

       Life_2

 難病に犯されて死にゆく夫と、子供4人を抱えながらも、辛抱強く夫の看病を続ける妻とのラブストーリーである。昔からよくあるパターンであり、何度も泣かされてしまうのだが、従来パターンの涙とはちょっと違う気がする。
 何が違うのかと言えば、この涙は主人公の死を悲しむ涙ではないからである。サブタイトルにある「天国で君に逢えたら」でも判るように、「死を乗り越えたところにある愛」に感動してしまうのだろう。
 愛は永遠のもの、死は一つの旅立ちに過ぎない。真実の愛があれば、心はひとつとなり、いずれまたどこかで巡り逢えるはずだ。この作品のメインテーマはそこにある。だから主人公が死んでも、家族たちは明かるく振舞っていたのだ。
 主人公の大沢たかおも悪くないが、献身的な愛妻を演じた伊東美咲がとてもいじらしく可愛いかったね。ただ母親というイメージはなかった。

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2007年9月 9日 (日)

夕凪の街 桜の国

★★★☆

 手塚治虫文化賞、文化庁芸術祭漫画部門大賞を受賞した「こうの史代」のコミックが原作だという。僕はまだこの原作を読んでいないが、余りも素晴しい原作なので映画を観るなら、原作は後にしたほうが良いという声が多いね。

夕凪の街桜の国 Book 夕凪の街桜の国

著者:こうの 史代
販売元:双葉社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 またこの映画は、過去のパートである「夕凪の街」のほうが評判が高く、現代パートの「桜の国」の創り方には不満が多い。僕も「桜の国」では、かなりの違和感を感じ、「夕凪の街」との大きな距離に戸惑ってしまった。
 それまでシリアスでジメジメレていたストーリーから、いきなりコミカルな展開に180度変換してしまったからである。ことに「夕凪の街」であれほど真摯で実直な旭青年が、「桜の国」では、コミカルなオトボケ爺さんに変身してしまったのが最悪だ。
 その最大原因は、性格ばかりか顔や骨格までも全く別人としか思えない「堺正章」を起用したことである。あのふざけた歩き方からして、「お前は'夕凪の街'のシナリオ全体に目を通していたのか!」と叱りつけたくなる。彼の起用こそが、この映画の価値を半減させてしまったと言い切ってしまいたい。
 さて「桜の国」の問題点はそれだけではなく、娘の七波と友人東子の探偵ゴッコのような展開にも不自然さを感じて馴染まなかったね。ほかに父の過去を探る手法はなかったのか。ただラスト、電車の中でのワンカットだけは実に感動的であった。 
 Yuu 「夕凪の街」では、麻生久美子が好演した「皆実」の清純さといじらしさに、多くの観客が涙していた。また同時に、あの貧しい時代の、街や家並・人々の心境なども良く描かれていたと思う。
 ただしその展開がまっすぐ過ぎるし、もしあのまゝ終っていたら、単なる「お涙頂戴の短編TVドラマ」に成り下がっていたことだろう。そのあとに「桜の国」が続くからこそ、前半の「夕凪の街」が盛り上がるのである。さらに皮肉なことに「桜の国」の出来が悪かったことにより、「夕凪の街」の評価がさらに上がってしまったのかもしれない。
 原爆を扱った作品ではあるが、「ドロドロした被爆シーン」は、絵や声だけを申し訳け程度挿入しているだけである。この表現方法は、低予算のためかもしれないが、生々しいシーンを観たくない人にとっては正解かもしれないね。ただ女湯のシーンでは、心がとても痛くなってしまった。
 またこの作品の意図は、三人の被爆者の恋愛を通して、原爆という怪物の「恐ろしさと残酷さ」を描くことにある。だから、戦争シーンそのものが省略されていても、ある意味納得出来るだろう。
 この三人の被爆者の恋愛では、「夕凪の街」での主人公である「皆実と打越との淡い悲恋」が、観客には一番印象に残ったはずである。もちろん前半は僕もそう感じたのだが、実は終盤に明かされる、「旭と彼の妻の恋」こそ、この作品のメインテーマだったのではないだろうか。

     Yuu2

 いまさらだが、原爆ほど残酷な兵器はない!。この爆弾は被爆した人だけではなく、子孫にまで永遠にその被害を繰り越してゆくのだ。
 この恐ろしい怪物兵器を人間に対して使用した国は、地球上で唯一「米国」だけである。彼らは911テロ事件で大騒ぎして、そのあと全世界を無理やり巻き込んで中東戦争を惹き起こした。彼等は自国のことには、過剰防衛となるが、一体日本に落した二つの原爆の責任について、真剣に考えたことがあるのだろうか。

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2007年9月 8日 (土)

永遠に美しく・・・

★★★☆

 たまには旧作の話をしようか。
 ロバート・ゼメキス監督が、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のスタッフ達を集めて創ったSFXコメディーである。

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販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日:2007/10/11
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 気は弱いが辣腕の整形外科医アーネストをめぐって、競い合う二人の美女。彼女たちは、永遠の美を得られる「秘薬」を手に入れるのだが・・・
 アーネスト役にはブルース・ウィルス。二人の美女は、メリル・ストリープとゴールディ・ホーンが演じる。彼等三人の演技力も素晴しいが、なんといっても年をとったり若返ったりする、メークというよりSFXの見事さは大注目なのだ。
 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のときも、主人公の両親が若返ったり老けたりするメークに驚いたものであるが、本作はそれを遥かに超えたと言ってよいだろう。余り書くとネタバレになるので多くは語らないが、この秘薬には思わぬ副作用があるのだ。あとは自分でビデオを観て確かめて欲しい。 

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2007年9月 2日 (日)

22才の別れ

★★★☆

 伊勢正三の名曲にのせて、母娘二代にわたる恋愛を、パラレルに描いてゆく大林映画である。この作品の舞台は大分県の津久見であるが、「瀬戸内三部作」同様「大分三部作」シリーズの第二巻目にあたるという。
 それにしても大林監督は細い坂道と海が好きだよね。そしていつも美しく幻想的な映画を撮る。この作品でも彼岸花の咲き誇る墓地や、臼杵の竹宵はまるで絵画のようであった。またこの作品で使った、斜め写しのカメラワークも、なかなか洒落ていたよな。

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 ヒロインの二人の少女は、ともに新人で決して美女ではないが、素人のあどけなさか、今までの女優にはない雰囲気が漂っていた。また逆にべテランの長門裕之や清水美砂の、存在感ある演技力も味わい深かったよね。
 この作品は、おじさんおばさん達の甘酸っぱい過去と郷愁を醸しだす走馬灯である。だから中年以降の観客は、このストーリーと風景に思わず涙することだろう。
 だが一方でこの作品は、余りにも純粋で真面目で美しくて、毒がなさ過ぎるのだ。だから底がまる見えで、誰もが心から大感動するには至らない。もうひと捻りが欲しいところである。
 
 

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2007年9月 1日 (土)

遠くの空に消えた

★★★

 ファンタジー、お笑い、ノスタルジーと欲張り過ぎたためか、なかなかその本質が定まらない作品である。まずウエスタン風の酒場と、黒シャツのチンピラもどきは、不必要というより不愉快だね。
 この全くピントのズレた、わざとらしいドタバタと、アンバランスな世界感が、この作品の価値をぶち壊してしまった。またチンドン屋風のうざったい音楽も同罪である。

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 一方で子供達のストーリーは素晴らしかったし、演技も大人達よりずっと魅力的だった。ことにあの「地上絵」のシーンは感動的である。また滑走路についた「靴跡」のアイデアもなかなかだね。
 どうしてこの作品を純粋なファンタジー映画に仕立てなかったのだろうか。いまだに解せない。この監督は、酔っ払いながらこの映画を作ったのだろうか。せっかく素材もアイデアも良いのに、味付けを間違えてしまったようだ。まるで懐石料理の調味料にタバスコを使ってしまったが如くである。
 子供たちが盛り上げても、バカ役の大人達がそれを台無しにしてしまうパターン。ただし大人の話でも、三浦友和と小日向文世の昔話だけは、唯一別格で評価出来る。だからこの話を、もう少し掘り下げて欲しかったね。
 とにかくこの映画を観ていると、肝心なシーンをはしょって、無駄なシーンばかり挿入して、やたら時間を費やしているという印象が強い。まさに「貧乏人の無駄使い」そのものである。もったいないね。実に残念な作品だ。きっと心ある観客の多くは、そう感じながらじっと我慢して観ていたことだろう。
  
 

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