時生
重松清の『流星ワゴン』は、父が過去にタイムスリップして息子と会う話だった。ところが本作では、逆に瀕死の息子がタイムスリップして、若かり日の父に逢いに行くのだ。
どちらかというと、浅田次郎の『メトロに乗って』と同様の構成なのだが、ムード的には『流星ワゴン』のほうに近いかもしれない。
時生 (講談社文庫) 著者:東野 圭吾 |
著者の文体は相変わらず素人臭いが、読み易いのとアイデアが面白いので、サクサクと読み進んでしまうよね。
若かりし日の父は、自分を捨てた母を恨み続け、刹那的でヤケッパチに生きてきた。それがある日、未来の自分の子である時生と巡り合うことによって、少しずつ変貌してゆくのだ。
ところで父と息子の関係ほど微妙で複雑な関係はない。父は息子を愛すると同時に嫉妬し、息子は父を尊敬しつつも憎しみを持つ。あたら近親なだけに、逆に呪いのような骨肉争いも生じるのだろう。
こうした作品を読んでいると、自分も一度父親の若かり日を垣間見たい衝動にかられる。それにしても楽しい作品だったよね。いつも思うのだが、東野圭吾の小説には「ハズレ」というものがないよね。
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