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2007年7月 8日 (日)

憑神

★★★☆

 時は江戸末期。草むらの中で見つけた「三巡稲荷」で柏手を打ったばかりに、「貧乏神」、「疫病神」、「死神」にとり憑かれてしまう男のお話である。
 まるで落語や講談の江戸小噺のようで、冗談半分のような感覚で物語がドンドン展開してゆく。中盤までのこの流れは、なかなか面白かったな。

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 主人公の下級武士には、妻夫木聡が扮し、誠実で優しく頭も良いが、なぜか不運な男を、地のまま演じていた。ただせっかく西田敏彦、夏木マリ、香川照之などの芸達者を揃えながら、彼等の持ち味を十分に発揮させ得なかったのは、もったいない。多分演出の責任は大きいだろうね。
 幕末と言えば、黒船来襲の後、尊王譲位で日本中が真二つに割れた時代である。新しい時代の息吹を感じて、価値観を方向転換する者と、滅び行く体制にしがみつく者達だ。
 将軍さま自らが、価値観の転換を実践しているにも拘わらず、直属の部下である旗本達には、それが出来ない。たとえ判っていても、いまさら新しい価値感を受け入れられないのだ。
 彼等に残されているのは、勝ち負けではなく「如何にすれば己が納得出来る死に方が出来るか」だけである。武士の鏡でも、主君のためでもなく、結局は己のためなのだ
 主人公の兄は、平気で家督を弟に譲って若隠居を決め込む。ナマケモノでズル賢く、だらしのない男である。だから古い価値観には縛られない。ある意味徳川慶喜と同じ穴のムジナなのだろう。
 ラストシーンでは、突然現代の映像に変わり、突如として原作者の浅田次郎が登場する。果してこんなシーンに、何の意味があるのだろうか。NHKの大河ドラマの真似をしたってしょうがない。これには流石に愕然とした。
 ただ渋みとユニークさをブレンドしたような、あのエンドロールは、なかなか楽しめたよね。それにしても、映画館はほぼ満杯。興行的には大成功というおかしな作品である。
 

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コメント

こんにちは。
「憑神」先週見ましたが、
正直なんといったらいいんだろう・・・という感じでした。
「憑神」の前に「きみにしか聞こえない」を見て、
これがなかなか良かったので、
順番逆に見たらもうちょっと楽しめたのかも・・・と思いました。

投稿: cherry | 2007年7月 9日 (月) 14時34分

こんばんは♪
浅田次郎氏登場には唖然としてしまいました。
あまり必要を感じなかったんですけど・・・(汗)
興行的には成功しているんですか?
うーん・・・・・(汗)

投稿: ミチ | 2007年7月11日 (水) 22時29分

こんにちは!、お久しぶりです。
「武士の一分」を見て以来の時代劇鑑賞。
不幸の神様に取り憑かれてしまった男の運命は?・・・「武士としてどう生きるべきか」
彦四郎が死神だけ宿がえしなかった訳は、・・・
「如何にすれば己が納得出来る死に方が出来るか」武士の鏡でも、主君のためでもなく、結局は己のためなのだ>ケントさんとまったく同じ感想です。
現代の我々にも取り憑いているかもしれない、災いの神様たち、彦四郎と同じく死神だけは逃れられない。

投稿: パピのママ | 2007年7月12日 (木) 10時43分

cherryさんありがとう
「きみにしか聞こえない」はなかなか良さそうな作品ですね。ただ上映館が少ないのでなかなか見る機会がないのが残念です。

ミチさんいつもありがとう。
しかし浅田次郎氏って出たがり屋さんなんですかね。全く必然性が無かったですよね。

パピのママさんコメントありがとう
久しぶりですね。
そう死神は必ず来ます。ただいつ来るのか判らないからいいのでしょうね。
もうもと捻りがあるともっと良い作品になったと思うのですが。

投稿: ケント | 2007年7月12日 (木) 10時55分

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