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2007年7月の記事

2007年7月29日 (日)

ねじの回転

 恩田陸の文章は、どことなく小麦紛とバターの香りがする。だから翻訳小説のような、お洒落な雰囲気が漂う。また2.26事件という語り尽くされた題材を扱いながらも、全く斬新さを失っていない。

ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫) Book ねじの回転―February moment (上) (集英社文庫)

著者:恩田 陸
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 2.26事件を背景に、同じくタイムスリップするお話として、宮部みゆきの『蒲生邸事件』がある。こちらはどちらかというと、タイムスリップという手法を持いたミステリーといった趣だ。
 一方本作のほうは、ハードな部分は「シンデレラの靴」とか「懐中連絡機」とか、「不一致」とか、耳ざわりの良い言葉を使って回避しているが、ある意味ガチンコのSF小説といってよいだろう。
 また実在した人物三人を主役に据えたり、天皇に対しても触れたりと、かなり生々しい展開に終始する。ただ女性がほとんど登場しないため、ストーリーに暖かさが感じられないのがちょっと寂しい。
 そのためか、『蒲生邸事件』のように感情移入が出来ないが、SF小説としては決して悪くはない。ただストーリーの結未については、もうひと捻りして欲しかったね。

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2007年7月28日 (土)

ピアノの森

★★★★

 久々に心から感動出来る映画を観た。アニメであることが残念だが、アニメでなければ感動を得られないことも確かである。もし無理に実写版を作れば、荒唐無稽で陳腐な映画になりかねない。それは宮崎駿の作品であっても同じことがいえるはずだ。

        Piano

 この作品は、一色まことのコミックが原作だが、テーマが音楽である事から、音のないコミックよりも、むしろアニメ向けの作品といえるだろう。
 裕福な家に生まれ、ピアニストをめざす雨宮修平少年が、田舎の小学校に転校して来る場面から始る。そして車で移動中に、森の中で誰かが奏でるピアノの旋律を聞く。
 森に捨てられたピアノを弾いていたのは、クラスメートになった一ノ瀬海だった。二人はいつの間にか親友となり、ともに全国ピアノコンクールに出場することになる。
 音楽家の家に生まれ、小さい頃からプロを目差してピアノレッスンを続けている修平は、少年とは思えない完璧な演奏技術の持主だ。一方の海は、貧乏でピアノレッスンなど受けたことがないが、奇跡的ともいえる演奏能力を持っている。
 ストーリー展開も面白いが、やはりピアノの奏でる名曲に大感動するはずだ。いつも何気に耳にしている、モーツァルト、べートべン、ショパン等のクラシック音楽。だがこうしてスクリーンを見つめながらじっくり聞いていると、自然と涙が溢れてくる。それだけ名曲には感動の魂が宿っているのだろう。
 悲しいシーンや嬉しいシーンがある訳ではない。そして無理やり或いは、巧みに感動を誘うようなシナリオでもない。それでいて自然な形で、感動という嵐が心の琴線に吹きこんでくるから不思議である。
 

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2007年7月22日 (日)

死者は黄泉が得る

 前半はかなり読み辛い。舞台が米国で固有名詞が憶え難いこともあるが、「死後編」と「生前編」の時間設定が異なることが原因であろう。
 次々とゾンビの館を訪れる女達。彼女達はゾンビ達に殺され、生前の記憶を消去され、ゾンビ達の仲間入りをする。しかしその割には、ゾンビ達は増えるどころか、だんだん減っているような感じなのだ。

    Nishi

  また生前の世界では、美貌の人妻クリスティンを取り巻く人々が、次々と殺害されてゆく。犯人はまるで『13日の金曜日』のジェイソンのような不気味な男のようだ・・・。
 なんだかよく判らないままに、「死後」と「生前」のストーリーがジグザグに進行してゆく。ミステリーとホラーをミックスしたような展開にドキドキするものの、やはり正直言って意味不明なのだ。
 ところが終盤になると、生前の連続殺人の謎が、まるで難解なパズルを解き明かすように一挙に解明される。実に凝りに凝りまくっていて、お見事としか言いようが無いが、さらにその後にも「ドンデン返しの扉」が幾重にも張り巡らされているのだ。
 圧倒的に見事な結末とは言え、前半の出来事の大半は霧のかなたである。それで結局もう一度ページを戻して、再確認することになる。まるでメビウスの輪の内側を歩いているうちに、いつの間にか外側に出てしまったような気分である。ただラストの「あれ」は何を意味するのだろうか。 
 

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2007年7月21日 (土)

舞妓Haaaan!!!

★★★

 純日本風のおバカ映画。昔流行った「こまわり君」風味の、超ナンセンスマンガそのものである。主演の阿部サダヲって、一体何者なのだろう。もうハチャメチャで羞恥心ゼロのやたら騒々しいオタクという感じだ。

     Scan10233

 本業のカップ麺開発のあと、舞妓遊びにのめり込んだかと思うと、プロ野球の選手・格闘家・俳優・政治家と大変身の連続。そのうえパンツ一丁で街をうろつく変態ぶり。
 終映後に「面白かったね」と話していたカップルがいたが、面白いよりバカバカしいと感じるのはオジさんの証拠だろうか。ことに阿部サダヲの超ハイテンションにはついていけないし、大笑いというより苦笑しか湧いてこない。もう二度と彼を観たくないね。
 せっかく良い俳優が多く出演していたし、舞妓さんたちは美しかったのに、彼の一人よがりでぶち壊しだな。それにしても柴咲コウの役回わりに何か意味があったのか。そもそもあんな男を好きだという設定も納得出来ない。
 それでもこの映画は好評で、興行的にもかなり成功したようである。まあ奇抜なアイデアの勝利とでもいうのだろうか。それとTV育ちの若者たちには、阿部サダヲの超ハイテンション演技が受けるのかもしれない。
 唯一光っていたのが、舞妓の駒子を演じた小出早織である。その顔立ち、京都弁、優しさの中にある芯の強さは、京都の舞妓はんそのものだ。また堤真一との秘められた関係はとても切ないお話だったね。

   極端に好き嫌いの分かれる映画だが、駒子の存在に評点のを一つ追加してしまった。  ただ残念ながら、阿部サダヲ、柴咲コウ、堤真一、小出早織の四角関係の結末が中途半端なため、爽やかな感動を呼び起こさないのである。

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2007年7月17日 (火)

時生

 重松清の『流星ワゴン』は、父が過去にタイムスリップして息子と会う話だった。ところが本作では、逆に瀕死の息子がタイムスリップして、若かり日の父に逢いに行くのだ。
 どちらかというと、浅田次郎の『メトロに乗って』と同様の構成なのだが、ムード的には『流星ワゴン』のほうに近いかもしれない。

時生 (講談社文庫) Book 時生 (講談社文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 著者の文体は相変わらず素人臭いが、読み易いのとアイデアが面白いので、サクサクと読み進んでしまうよね。
 若かりし日の父は、自分を捨てた母を恨み続け、刹那的でヤケッパチに生きてきた。それがある日、未来の自分の子である時生と巡り合うことによって、少しずつ変貌してゆくのだ。
 ところで父と息子の関係ほど微妙で複雑な関係はない。父は息子を愛すると同時に嫉妬し、息子は父を尊敬しつつも憎しみを持つ。あたら近親なだけに、逆に呪いのような骨肉争いも生じるのだろう。
 こうした作品を読んでいると、自分も一度父親の若かり日を垣間見たい衝動にかられる。それにしても楽しい作品だったよね。いつも思うのだが、東野圭吾の小説には「ハズレ」というものがないよね。

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2007年7月16日 (月)

蛇イチゴ

★★★★

 西川美和監督の処女作であり、彼女がこの作品を撮ったのは、若干28才のときである。さすがに脚本から、青臭く世間知らずな香りが漂っていたが、この年令では仕方無いだろう。
 だがそれが妙に新鮮で、どこか岩井俊二の世界と同じような体臭を感じる。またこの若さで、家族の中に渦巻く怪しい葛藤を、上手に描いていたよね。

    Hebi

 この作品から5年後に、兄弟の心情を見事に描いた『ゆれる』を発表したが、本作品は、まるで『ゆれる』を創るための予行演習のようである。ことに川の向こう側に渡るか否か、というシーンにその思いが込められていた。
 ストーリーは悲惨な家族ドラマを描いているのだが、ノリの良い音楽のせいか、軽いタッチのコメディー風味がする。ところが唯一シリアスな妹の存在が、この作品を別の方向へと導いてゆく。
 ラストシーンでは、「これでどうだ!」と言わんばかりに、「真実らしきもの」を叩きつけてエンディングとなるが、果してそれが真実か否かは定かではない。
 『ゆれる』でもそうだったが、西川美和監督はストーリーの結未を、観客の想像に委ねてしまう癖がある。本作品でも、これから家族がどう生きて行くかについては、全く感知しない。まるで終わりが始まりのようである。
 なにか尻切れトンボのような感じがするが、彼女はドラマを描きたい訳ではなく、「不信」というテーマを、観客に向かって投げつけたかったのだろう。
 それはそれで良いのだが、ただそれまでの経緯と、結末との間にテンポのズレを感じてしまった。エンディングにも気負いがあるところなど、最近上映された山下敦弘監督の『松ヶ根乱射事件』と似た味がする。
 しかし『ゆれる』では、同じようなテーマを扱いながら、かなり丁寧に練り込んだ技量を感じた。観客に優しくなったというのか、アマチュアからプロに羽化した趣きがある。やはり5年間という時間は、彼女の器を大きく創りあげたようだ。
 『ゆれる』の次回作こそが、彼女の真の評価を問われる作品となるであろう。是非とも、さらなる飛躍を遂げた作品を完成させてもらいたい。
 

 

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2007年7月15日 (日)

ドラゴン桜

 ご存知の通り、TVドラマにもなった超人気マンガである。作者の三田紀房は、この作品で一気に有名マンガ家の仲間入りをしてしまった。
 東大受験だけに特化し、受験のノウハウや薀蓄をマンガ化したのが良かったのだろう。そのため若者だけではなく、普段はマンガを蔑視している教育ママ達にも受けたようだ。

ドラゴン桜 (8) (モーニングKC (1442)) Book ドラゴン桜 (8) (モーニングKC (1442))

著者:三田 紀房
販売元:講談社
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 確かに常識を覆すような、逆転の発想的な受験テクニックが面白く、数巻は貪るように読破してしまうだろう。主人公の桜木建二に飽きる頃、タイミング良く、数学の柳、英語の川ロ、国語の芥山、理科の阿院などの「受験プロフェッショナル講師」が、続々と登場してくる。
 ただこのマンガに登場する女性の顔がほとんど変わらないこと、受験以外のサイドストーリーがほとんどないことなどから、だんだん飽きてくるだろう。人気マンガの宿命で、必要以上に引き延ばした罰であろうか。

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なぎさの媚薬2

  悲惨な女性の思い出を秘めて、渋谷の街を歩いていると、伝説の娼婦が現れ、セックスをしながら、男を過去に運ぶという。そして男に、不幸のどん底に沈んだ女を救わせるのだ。

なぎさの媚薬〈2〉哲也の青春・圭の青春 Book なぎさの媚薬〈2〉哲也の青春・圭の青春

著者:重松 清
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 なんだかマンガのような話を、直木賞作家が大真面目に書き綴る。週刊ポスト誌に連載されたシリーズを、オムニバスにまとめた単行本の二冊目で、「哲也の青春」と「圭の青春」の2作が納められていた。
 どちらも似たような過激な性描写が多く、それが少しくどく感じられる。週刊ポスト誌の要求なのかもしれないが、もう少し控え目に描いたほうが、逆にもっと欲情すると思うのだが・・。
 どちらかと言えば、僕には「圭の青春」のほうがお気に入りである。この作品では、義姉へのあこがれと郷愁が見事に融合し、心の琴線に熱いものが触れた思いがした。
 一方の「哲也の青春」は、ロックグループという馴染みの薄いテーマのためか、やゝ感情移入し辛かったね。
 ストーリー的には、どちらも良く練り込まれており、直木賞作家の力量をみた思いがする。こんな小説を読んでいると、僕も一人で夜の渋谷を歩いてみたくなってしまった。

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2007年7月14日 (土)

太陽

★★★☆

 終戦時の昭和天皇を、これほど身近かに描いた映画は未だかつてない。天皇を演じるイッセー尾形は唸るほど巧いし、容貌もそっくりである。そしてあの「あっそ」を連発する。

太陽 DVD 太陽

販売元:クロックワークス
発売日:2007/03/23
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 まかり間違えれば、天皇を侮辱しかねない演技だが、ぎりぎりのところで踏みとどまっていた。流石プロとしか言いようがない。ただこれは外国映画である。さすがに日本では製作出来ないだろう。
 広島・長崎への原爆投下や、ラジオでの敗戦宣言に至る天皇の苦悩振りが描かれると思ったが、その期待は見事に裏切られた。この映画では、ほとんど政治向きのことは語られないのだ。唯一全く噛み合わない御前会議シーンがあるが、それ以外は生物学に夢中で、子供のようなピュアな心を晒す天皇ヒロヒトを追うだけであった。
 どうも戦後に見た昭和天皇に似ている。
 タブーに挑戦した心意気は買うが、なぜ今昭和天皇なのだろうか。また奥歯に何かが挟まったような脚本にも限界を感じた。

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2007年7月 8日 (日)

憑神

★★★☆

 時は江戸末期。草むらの中で見つけた「三巡稲荷」で柏手を打ったばかりに、「貧乏神」、「疫病神」、「死神」にとり憑かれてしまう男のお話である。
 まるで落語や講談の江戸小噺のようで、冗談半分のような感覚で物語がドンドン展開してゆく。中盤までのこの流れは、なかなか面白かったな。

          Scan10237

 主人公の下級武士には、妻夫木聡が扮し、誠実で優しく頭も良いが、なぜか不運な男を、地のまま演じていた。ただせっかく西田敏彦、夏木マリ、香川照之などの芸達者を揃えながら、彼等の持ち味を十分に発揮させ得なかったのは、もったいない。多分演出の責任は大きいだろうね。
 幕末と言えば、黒船来襲の後、尊王譲位で日本中が真二つに割れた時代である。新しい時代の息吹を感じて、価値観を方向転換する者と、滅び行く体制にしがみつく者達だ。
 将軍さま自らが、価値観の転換を実践しているにも拘わらず、直属の部下である旗本達には、それが出来ない。たとえ判っていても、いまさら新しい価値感を受け入れられないのだ。
 彼等に残されているのは、勝ち負けではなく「如何にすれば己が納得出来る死に方が出来るか」だけである。武士の鏡でも、主君のためでもなく、結局は己のためなのだ
 主人公の兄は、平気で家督を弟に譲って若隠居を決め込む。ナマケモノでズル賢く、だらしのない男である。だから古い価値観には縛られない。ある意味徳川慶喜と同じ穴のムジナなのだろう。
 ラストシーンでは、突然現代の映像に変わり、突如として原作者の浅田次郎が登場する。果してこんなシーンに、何の意味があるのだろうか。NHKの大河ドラマの真似をしたってしょうがない。これには流石に愕然とした。
 ただ渋みとユニークさをブレンドしたような、あのエンドロールは、なかなか楽しめたよね。それにしても、映画館はほぼ満杯。興行的には大成功というおかしな作品である。
 

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2007年7月 7日 (土)

ミートホープ社だけなの

 それにしても出てくるわ出てくるわ、まるでドブの中から生れるボウフラのように、数々の悪業が次々と湧き出てくるよね。
 まず「牛肉コロッケ詐称」に始まり、「血液混入」、「腐肉細切れ混入」、「鳥インフルエンザ疑惑の輸入鴨肉混入」、「パン混入による増量」、「ブラジル産鶏肉を国産詐称」、「雨水での冷凍肉解凍」などなど、これでもかと言わんばかりに、次々と不祥事が明るみに出る。

  Suki_1

 たぶんこれらのほとんどが、タレ込みによる発覚なのであろう。そしてそれらのタレ込みには、激しい怨念のようなものを感じる。
 きっと田中社長は、従業員たちに余程嫌われ憎まれている経営者なのだろうね。中小企業には良くある話だが、社長とその一族の待遇は上場企業以上であり、従業員に対するそれは、上場企業の1/3とくる・・・。中小企業では、社長とその一族以外は人間扱いされないのだ。
 事実そういう中小企業をイヤと言うほど見てきた。決して誇張ではなく、それが現実なのだ。もちろん従業員や取引先を大切にし、身銭を切って頑張っている中小企業の社長もいる。
 しかし多くの中小企業では、トップのやりたい放題というのが相場であろう。ある中小企業では、社長の給与が上場会社のトップ以上なのにも拘わらず、創業来共に働いている50代の大番当さんが、年收500万円足らず~なんていうものもあった。
 たとえ従業員の給与が恵まれなくとも、社長も同様に安い給料しかとっていなければ皆が納得するのである。それを自分だけ超高給をムシリ取り、べンツに乗り回し、妾には会社の経費で、毛皮のコートを買う。そして従業員には威圧的な態度ばかり・・。なんていうのが多いね。
 これで切れなければ、従業員のほうに問題があると言いたいくらいだ。タレ込まれて当然なのである。
ミートホープ社のオヤジの顔や態度を見ても、誠実で責任感が強く、懐の広い人には見えないよね。
 どんなに小さくとも、消費者にはかなり影響力のある会社である。単にごめんなさいだけで済むはずがない。
 また上場会社だろうと中小企業であろうと、会社とは経営者や株主だけのものではないのだ。それに現代の会社は、目先の利益だけを追うだけの存在では済まない。
 会社は従業員の生活基盤でもあり、社会全体のものである。その自覚のない者は、経営者の素質がないと言えよう。時代はどんどん変わっているのだから。
 雪印事件、不二家事件、日本ライス事件でも、共通しているのは、当初のトップの無責任な対応が目立つことだ。ましてやミートホープ社のような中小企業において、トップが現場に責任を押しつけて知らん顔を出来る道理がない。
 狂牛病や鳥インフルエンザ、そして農薬漬けの野菜など、輸入品の品質低下が叫ばれている今日。「高価だが信頼出来る日本製品」という最後の砦まで破壊されたようで、非常に腹ただしい思いで一杯である。
 本当にこんな事をしているのは、ミートホープ社だけだと、信じられるのだろうか。

 

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2007年7月 4日 (水)

通勤地獄 駅のゴミ箱

 あの地下鉄サリン事件から、急に私鉄のホームからゴミ箱が消えてしまった。それに習うかの如く、JRのゴミ箱の数も激減してしまった。そしていつの間にか、あの悪書追放ボックスさえも、姿を消してしまったのだ。

      Kc240166_1

 もちろんゴミの管理費を、乗車賃に反映されては困るから、余り文句を言わないが、不便だし何か淋しいね。駅からゴミ箱が消えたからと言って、テロが絶滅する訳ではないのだが、たぶんテロ騒動に乗じた経費削減なのだろう。
 ただ不思議なのは、網棚の上まで綺麗になってしまったことだ。駅のゴミ箱が無くなったのだから、車内の網棚に新聞や雑誌を捨ててゆく人が増えるはずだが、これが逆にほとんど無くなってしまったのである。
 それでは、かつて駅のゴミ箱や網棚に捨てられていたゴミ類は、一体何処に行ってしまったのだろうか。ところで周りの人々を眺めると、余り新聞や雑誌を読んでいない。
 その代わりに、ケータイメールをやっている人が多いよね。ゲームに夢中な人もいる。ウォークマンを聞いている人もいた。そして僕はPDAでこれを書いている。何とその数は、乗客の半数以上なのだ。
 だから捨ててしまうような週刊誌や新聞を読んでいる人が、ほとんどいない。インターネットの発達で、それらは不要になりつつある。これも電脳化の影響か。
 そしてほとんどの人々が、カバンやバッグを持っている。だから他の小さなゴミは、自宅に持ち帰って捨てているんだね。日本人のマナーも向上したものだ。なるほど、なるほど。怖いほどうまく辻褄が合うものなんだね。

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2007年7月 1日 (日)

ダイ・ハード4.0

★★★★

 それにしてもロッキーのスタローンにしろ、本作のブルース・ウィルスにしろ、よく老骨に鞭を打って頑張っているよね。たとえ特撮やスタントマンを使っているとしても、あれだけのアクションをこなすのは、若者でもかなりシンドイはずである。
 ストーリー的には荒唐無稽を遥かに超えて、ハチャメチャ無謀やり放題といった感じ。またアクション映画というより、パニック映画か超人映画といったほうがぴったりかもしれない。

          Scan10235

 そもそもコンピュータのハッキングだけで、信号を自由に変えたり、電波を乗っ取ったり、停電にしたり、ガスまで自在に動かせるものなのかいな。またカメラもない場所で、どうしてチャット映像が送れるのか。どうも良く判らないが、ここはあくまでもエンタメ映画と割り切るしかないだろう。
 敵方にはコンピュターの達人を始め、狙撃や格闘に優れたタフで執拗な連中が多いのに、警察や軍隊はオロオロするばかり。信じられないが、サイバーテロのやりたい放題に、何も手を打てない。世界の警察を名乗るアメリカの危機管理能力は、一体これほど情ないものなのだろうか・・。
  ただ俳優さん達は皆素晴らしいよね。もちろん主役のブルースは最高で、年を重ねるごとに渋味のある良い男になっている。また味方のハッカー青年も爽やかだし、敵のカンフーニンジャを演じた東洋系の美女も魅力的であった。

          Scan10239

       「ケントの絵手紙小屋より抜粋」

  また目玉のアクションシーンは数々あれど、車を空中に飛ばしてへリを撃退するシーンはもの凄かったね。あと、高速道路での大型トラックと戦闘機の追いかけっこも常識を逸脱したもの凄さだ。
 本作はシリーズ4作目だが、シリーズ中、これほどスケールの大きい作品があっただろうか。またアクションシーンの完成度でも断トツであろう。ただアクション、アクション、アクションの連続で、ストーリー性にはムラが多く、デリカシーのかけらもない。
 それに、これだけ斬新で猛烈なアクションを観せてしまうと、今後これ以上の大作を作ることは難しい。あえて作るとしたら宇宙編となり、SF映画になってしまうのだろうか。

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