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2007年6月 8日 (金)

イエスのビデオ 

 イスラエルの遺跡発掘で、2000年前の人骨と一緒にビデオカメラの取扱説明書が発見される。だがそれがソニー製のビデオカメラの取扱説明書だと明かしてくれるまでに、約60頁も退屈な前置きを読まされるのだ。

イエスのビデオ〈上〉 Book イエスのビデオ〈上〉

著者:アンドレアス エシュバッハ
販売元:早川書房
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 出だしからこの調子だから、物語のテンポは甚だ良くない。何度か途中で投げようかと思ったが、そもそも翻訳モノは序盤の我慢が必要なのだ。そう自分に言い聞かせながら、とうとう上巻のラストに近づいてしまった。
 さすがにこの辺りになると、やっとボルテージが高まってくる。それにしても長いおあずけを食らったものだ。やっとストーリーに変化が現れて、暫くはむさぼるように読んだが、ビデオの存在はいまだ行方不明のままなのである。
 思いがけない場所で、やっとビデオを見つけ、それを確認するのが下巻の276頁あたり。しかしビデオに写された映像は、まだまだ観ることが出来ない。どうしてこれほどひっぱる必要があるのだろうか。
 やっとラスト近くになってビデオ映像が判明するのだが、ここはかなり感動するところである。そしてラストのドンデン返し。この終盤の構成は驚くほど巧みだ。この上下約800頁の長編小説は、まるでこのラスト前のわずか8頁のために存在しているといっても過言ではない。
 この小説を読むに当たっては、SFとかタイムトラべルを期待しないほうがよいだろう。むしろ冒険アドべンチャーとか、ミステリー好きの人にお勧めである。そしてまさに映画向きな作品といえよう。

 先日パソコンTVGyaOで、映画化されていた本作品『サイン・オブ・ゴッド』を偶然観る事が出来、心ならずも驚いてしまった。普通は映画が原作を越える事は滅多にないのだが、本作品は映画の方が出来が良いのだ。ストーリー展開も若干異なっていたが、無駄がなく論理的な方向にまとめてある。そしてラストも原作とは大きく異なり、私が途中まで小説を読みながら考えていた結末通りであったのだ。
 

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