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2007年6月の記事

2007年6月30日 (土)

アポカリプト

★★★★

 英語を使わないハリウッド映画ということで、なかなか好感が持てる。舞台はマヤ文明後期の中央アメリカ。平和だった村は、未明にマヤ帝国の傭兵に焼き討ちされる。

Scan10230

 そして目前で父親を殺され、捕虜となり連れ去られる主人公。彼は穴の中に残してきた妻子を救うため、帝国より脱出し、逃げて逃げて逃げまくる。
 メル・ギブソン監督の作品は、いつも一味違うね。史実に忠実でない部分もあるが、ドキュメンタリーではなく、エンターティンメントなのだからこれで良いと思う。これこそ映画の王道であり、彼は映画のツボをつかんでいるようだ。
 奴隷市場の風景では、1963年に製作された『長い船団』を思い出してしまった。また塔の上からころがる首、死体の山など、気の弱い女性には絶え難い映像が満載である。
 しかしダイナミックな躍動感や、生への執着は見事に描かれている。先の読めない、一風変わった面白い作品に仕上がっていたと思う。
 ただラストの展開が少し中途半端である。残された少年・少女達は一体どこに行ったのか。その後マヤ帝国はどうなったのか、なんだか続編があるような終わり方が、やゝ消化不良かもしれない。

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2007年6月26日 (火)

やみなべの陰謀

 江戸時代から現代に、千両箱を持ってやってくる、アロハシャツの大男の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』である。それにしても、このタイトルは意味不明だ。
 この話は5話の短編で構成され、それぞれ主人公が微妙に入れ替わる、一種のオムニバスである。

やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA) Book やみなべの陰謀 (ハヤカワ文庫JA)

著者:田中 哲弥
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 第1話「干両箱とアロハシャツ」は、栗原守という青年が主人公で、何やらヤーさんの抗争に巻き込まれてしまう。それから、「ドブさん」という正体不明の変なおじさんが登場し、落語のような雰囲気で話が進んでゆく。

 第2話「ラプソディー・イン・ブルー」も、栗原守が主人公だが、第1話との関連性がない。どちらかというとラブコメ風のタッチだが、文体は筒井康隆風のハチャメチャ・ナンセンス調である。大村井君という気持ちの悪い、オタク風の友人が登場するが、5話中一番面白かった。

 第3話「秘剣神隠し」は、江戸時代の悲恋物語。ここで、タイムスリップしてくるアロハシャツの正体が、寺尾俊介という巨漢武士であることが判明する。

 第4話「マイ・ブルー・へヴン」は、近未来の話。訳の判らん大阪府知事が、極端な独裁体制を敷く。余りにも非現実的で、残虐なので一番嫌いな話だ。

 第5話「干両は続くよどこまでも」は、また現代に戻った寺尾俊介が、このタイムトラベルの解明をする。しかしこの収束には不満が多い。
 小説で一番いけないのは、実は夢だった。という終わり方だ。この話が夢だった訳ではないが、結果としては似たような結末になるのである。またせっかくドブさんや大村井君というユニークなキャラを登場させたのに、彼等は正体不明のまま中途半端に切捨てられている。

 第1話から第3話までは、かなりお面白く読ませてもらったが、どうもそれ以降の話が退屈で最後の収束もいい加減な感じがする。
 この田中哲弥という作家、どうも基本的になまけもののようである。適当にストーリーをはしょるので、長編ものは書けそうも無いし、15年間で本書以外に4冊位しか書いていないのだ。たぶん本気になって小説に取り組めば、味の良い短編が書けると思うのだが・・・。

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2007年6月24日 (日)

医龍 

 電車の吊り広告や書店の平積でよく見かけるので、かなり気になっていたマンガである。それで試しに第1巻だけ買ってみたところ、あまりの面白さにやみつきとなり、次々と続刊を購入するはめになってしまった。

医龍 18―Team Medical Dragon (18) (ビッグコミックス) Book 医龍 18―Team Medical Dragon (18) (ビッグコミックス)

著者:乃木坂 太郎,永井 明
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 外科医の朝田は、大学病院の白い巨塔に反発し、不遜な態度をとるものの、抜群の外科技術を持ち、患者には優しい男なのである。まるで手塚治虫のブラックジャックのようだが、ブラックジャックのように裏世界で暗躍するわけではない。彼は超一流の大学病院に乗り込んで、医局や教授の威光を無視しながら、堂々と本来の医療活動を行うのである。

 またマンガと言いながらも、医学界のことや医療関係の知識について、かなり造詣が深い。原案が永井明、画は乃木坂太郎が美麗なタッチで描く。
 医学用語が頻繁に出てくるが、※印をつけて画の脇に説明文が入る凝りよう。また医療よりも、学会での論文発表に血道をあげる日本医学会の病巣を、容赦なく暴いてみせてくれる。とにかく勉強になるし、胸のすくマンガなのだ。東大受験をテーマにした『ドラゴン桜』でも、かなり受験に対する薀蓄を得たが、この『医龍』はそれを遥かに凌駕している。
 また主人公の朝田は、超天才外科医というだけでなく、患者を大切にし、何よりも人命を尊ぶ。その姿勢こそ「医は仁術なり」そのもので、かなり好感を持てる。

 医学界を会社に当てはめると、教授を絶対的頂点として崇める医局員達こそ、ワンマン社長に這いつくばるサラリーマンそのものじゃないか。それほど出世したいのか。仕事を出世の道具にするな!
 普通のサラリーマンならいざ知らず、人命を預かる医者達の実態がこれほど酷いとは。日本の医大というものの構造を、根底からひっくり返さなくてはならないね。
 現実には、朝田のような理想的な医者は数少ないかもしれない。しかしこのマンガを読んだ青年達の中から、この腐りきった日本の医学会を変革する勇者が現れるはずである。

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2007年6月22日 (金)

パイレーツ・オブ・カリビアン3

★★★

 しかしこの映画は人気あるねえ~。いつもガラガラの厚木テアトルが、満員に近い状態なのだ。もし都心にある映画館なら、立ち観かもしれないね。
 なぜこんなにも若者達に人気があるのか。ディズニーランド『カリブの海賊』の影響もあるが、やはりジョニー・ディップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイの三羽烏が人気の素なのだろう。

          Scan10231

 僕自身にはそれほど期待すべく作品ではないのだが、なにせ前作が未完のまゝだったからね。しかし残念ながら、シリーズ三作の中では、この作品が一番不出来だった気がする。
 死後の世界など、前作までにはなかったシュールな展開はあるものの、全搬的にまとまりがない。またコメディーにしては、笑いどころがないし、ラブストーリーではときめきがないよね。
 これだけの長時間を使ったのに、全ての謎は解決されないし、登場人物の心情も描けない。ただ意味の無いドタバタが続くだけなのだ。

 この作品を普通の映画として観ようとすると、こうした文句が口をついてしまう。だからこの作品は、「ディズニーランドの好きな人、主役三羽烏の大ファンのための映画なんだぜ」と割切るしかないのだ。
 
 

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2007年6月17日 (日)

年金くらいどうにかしてね

社会保険庁だけなのか?

 いま巷では年金問題で大騒ぎ。参議院選挙を前にして、政府はかなり危機感を煽られている。
 そもそも人口の約半数とも言える、五干万件を超える年金記録が「宙に浮いている」という驚くべき事実。当然これが、年金受給権消滅や年金減額に繋がってくるのだ。
 それにしても信じられない!。社会保険庁いや政府は、国民から預かっている年金保険料を「税金」と勘違いしているのではないのか。
 そして聞かない限り、一体いくら位の年金が貰えるのかも教えてくれないのだ。また聞きに行っても、横柄な態度の職員が多い。

    Gizi

 外国では毎年、年金支給予定額の連絡がくる。日本でも、銀行預金をしていれば、必ず残高の通知が来るじゃないか。なぜ国の年金だけは、秘密主義なのだろうか。
 さらには社会保険庁から民間企業への不正天下り利用されない施設の建設など、やりたい放題である。これだけ勝手に国民の保険料や税金などをばらまいた責任は重い。退職金の返還や、給料の減額では済まされない重罪なのだ。 
 外国なら暴動が起こるだろう。それにしても日本国民は優し過ぎるよね。そもそも国民自体が「どうせ年金なんてあてにならない」と言う。あてにならないのではない、あてにしなければ未来はないのだ。洗脳されてはいけない。自分の財産なのだから、もっと必死になって守ろうではないか。
 
★さらに年金問題を斬る!

 会社の喫煙所で30代の若者たちが、年金制度について不満をぶちあげていた。
 簡単に要約すれば、次の通りである。
将来赤字化して、掛金の100%以上が戻って来ない制度は不要だ
だから今迄の掛金を、利子をつけて全額返せ
年金を貰っているジジイどもの年金を廃止しろ

 自分も若い頃は、同じことを言っていた様な気がするが、さすがに横で聞いていて、かなり悲しくなってきた
 確かに政府がこのまま何もしなければ、年金制度は破綻してしまうかもしれない。だから若者達の嘆きもわかるが、矛先を年寄りに向けてはダメだ。
 もし自分が何十年も一生懸命働いて掛金を払込んだのに、年老いて唯一の收入源である年金を切られたらどうだろう。ましてや自分達の父母も、その中にいるのである。
 では彼等は老いた父母を養うというのだろうか。自分の掛金は返せと言うのに、他人のものは切捨てろと言う輩には、それこそもっと難題だろうね。だとすれば、老人は全て死ね!というのか。同じ日本人同士でそんな残酷な話はよそうな。
 さてさてこんなところで世代論争しても、全く意味がないし、生産性もない。それこそ政府の思うツボである。本当の責任は、運用を誤り、判っていながら、「掛金の値上げと年金の値下げ」以外、何もしなかった政府にあるのだ!。

     Tt_1

 世代論争をさせて、若者達から年金廃止論が高まり、政府の責任を転嫁させることを望んでいるふしがある。年金に限らず、最近嫌な情報ばかり小出しに流し、弱者に無理ばかり押しつけているではないか。
 国民が「仕方ない」と、自然に諦めるのを狙っているのだろうか。こんな策略に乗ってはいけない。将来も皆が平等で信頼出来る年金制度づくりを、国民全体が一丸となって考えよう。
 まず国税、地方税、社会保険料は一元化してしまおう。現状の仕組みでは、それぞれ微妙に計算方法が異なり、徴収・納付事務負担が大き過ぎる。サラリーマンなら年末調整だけで、全てが完結出来る仕組みに出来ないのか。そうすれば、アルバイトやパートからも年金保険料が漏れなく徴収出来るので、一石二鳥である。
 ところが政府としては、結果として同じでも、税という名を使いたくないのだろう。選挙の得票に影響すると思い込んでいるからだ。いや確かに無知な国民の側にも問題があるし、マスコミの報道も単純過ぎるかもしれない。
 まあ、とにかく弱者同士で噛みつき合っても意味がない。唯一の武器である「投票権」で、政府を動かすことこそ、一番急務であり最重要事項なのではなかろうか。

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2007年6月16日 (土)

二百年の子供

 ノーべル賞作家「大江健三郎」が書いたとは思えない不思議なタッチの本である。恐らく彼がこのような小説を書くのは、最初で最後になるであろう。
 「二百年の子供」というタイトルは、120年前の過去と80年後の未来をタイムトラベルした3人兄弟の話だからなんだね。これはSFとかファンタジーというよりも、お伽ばなしというほうが似合っているかもしれない。

二百年の子供 (中公文庫) Book 二百年の子供 (中公文庫)

著者:大江 健三郎
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 三人でシイの木のウロに入って、手を繋いで同じことを念じると、その念じた時代にタイムスリップするのだ。本当にタイムトラべルしているのか、はたまた同じ夢を観ているのかは最後まで謎のままである。
 ただ薬やナイフを置いてきたり、手紙や石笛を持ってきたり出来たのだから、夢ではないのだろう。しかし複数で同時に見るリアルな夢が、実はタイムトラベルなのかもしれない、というアイデアは仲々面白いよね。
 兄は知的障害者、兄思いの妹は感情の起伏が激しく、弟は機敏で老成している。とても個性のある兄弟達だが、三人三様で見事にジョイントするのだ。そして妹も弟も、兄のことを「真木さん」呼ぶのもユニークである。
 この小説は、2003年1月から10月まで、読売土曜朝刊に掲載されたジュブナイルである。これより9年前に大江氏は、ノーべル文学賞を受賞し、作家としての締めくくりを迎えたのであろうか。
 この作品では、子供と老人との関わりや、今という時間の大切さを優しく書き綴っている。少年少女向けと言いならがら、なかなか味のあるテーマと文章で紡ぎ込まれてあった。
 読み易いのであっという間に読了してしまう。まだ未読の方は、機会があれば是非読んでみて欲しいね。

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花の咲かない紫陽花

 関東地方もやっと先日梅雨入リ宣言したと思ったら、翌日から連日カン力ン照りの毎日なのだ。もう梅雨明け宣言してしまおうか、というジョークが飛び出す始末。

     Kc240180

 梅雨といえば紫陽花が咲く季節。我が家の小さな庭先にも、毎年薄紫色の花が沢山咲くのだが、今年は何故か未だに花を付けない。去年枝を切り過ぎたのか、あるいは切り方が足りなかったのか。それともこの異常気象のためなのだろうか。
 花の無い紫陽花は、大きな葉ばかりがワサワサと繁るばかりで、見苦しくてやたら場所ばかりとる邪魔者である。ここ半年「肩関節周囲炎」の痛みが続いて治らない。年をとったのだろうか、何だか自分の行く末を見たようで、辛く悲しく淋しい気分で一杯になってしまった。
 

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2007年6月10日 (日)

300

★★★☆

 スパルタ精鋭300人が、ぺルシア軍100万人に挑むという空前絶後のスペクタクル巨編。クラッシュという画像処理技術により、まるで動く絵画のような渋い映像が、昔のスペクタクル映画のようで懐かしい。ひと昔前なら、さしずめ主役は、チャールトン・へストンやカーク・ダグラスといったところであろうか。

          Scan10232

 300人対100万人の戦いというテーマ自体は荒唐無稽であるが、戦闘シーンは生々しく実にリアルであった。岩山で創られた自然の要塞や、盾とチームワークを駆使した見事な戦法も論理的である。
 その雄々しく余裕のある戦いと、山のように積まれてゆく敵の死体を見て、もしかしたら300人がほとんど無傷で100万人を撃ち破ってしまうのでは、という妄想に取り憑かれてしまった。だが現実はそれほど優しくも甘くもない。裏切りと不信感という見得ざる敵の存在によって、戦いは大きく変貌してゆくのだ。
 スパルタの精鋭達は、隆々たる筋肉を赤いマントで包み、左手に盾を右手に槍を持ち、鉄仮面を被り正面から力づくで押し込んでゆく。その雄姿は、まるでプロレスのマスクマンのようであった。
 一方敵方は嵐のような矢を放ったり、象やサイを使ったり、手投弾を投げたりと変幻自在に攻めてくる。そのうえ忍者集団やバケモノのような巨人まで登場するのだ。このあたりの派手で残酷な戦闘シーンは見ものであるが、気の弱い人には絶えられないかもしれない。
 男気に生きる王と、その王を力強く支える王妃。彼等を始めとする役者達の見事な成りっぷりには、盛大な拍手を送りたい。ただCGにいま一つ精細さがないため、せっかくのスペクタクル巨編も、スペクタクル中編あたりでまとまってしまったのがやゝ残念である。
 
 

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2007年6月 9日 (土)

エンロン

★★★★

 サブタイトルは、『巨大企業はいかにして崩壊したのか?』であり、全米第7位だった世界的超大企業が、なぜ46日間で崩壊したのかを描いたドキュメンタリーである。
 この作品を観ると、エンロンというのは企業というよりも、まるでマフィアの組織じゃないかと感じてしまうだろう。電気料金を吊り上げるために、カルフォルニアで故意に停電を起こしたり、送電線の周辺に放火したりと、もうやりたい放題なのだ。また自社の株価を高騰させるための粉飾や恫喝などなど、ヤクザ顔負けの無法ぶりで塗りつぶされている。

エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版 DVD エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか? デラックス版

販売元:ジェネオン エンタテインメント
発売日:2007/05/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 もちろんエンロンの幹部達が一番悪いのは動かないが、この企業に関与していた監査法人、弁護士事務所、銀行や証券会社も同罪である。さらにアナリストやマスコミ、政治家に至るまでが、グルになってこの悪徳企業を支援していたではないか・・。
 そもそも本来公共事業であるベきガス業界の規制緩和が事の初まりであり、小豆の商品相場じゃあるまいし、ガス取引をデリバティブ化する事自体が異常である。
 それよりも何よりもアメリカという国は、銃とマネーに汚染され尽くされている「悲しい国」であることを再認識せざるを得ない。極論すれば、マネーを稼ぐことだけが人の生きる目的であり、マネーのためには何をしても許されるという価値観。エンロンはこうしたポリシーで運営され、多くの人々がそれを指示していた実態こそ恐ろしいのである。
 さらに悲惨なことは、日本がこの「悲しい国」に追従しているという、情けない事実そのものなのだ。

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2007年6月 8日 (金)

イエスのビデオ 

 イスラエルの遺跡発掘で、2000年前の人骨と一緒にビデオカメラの取扱説明書が発見される。だがそれがソニー製のビデオカメラの取扱説明書だと明かしてくれるまでに、約60頁も退屈な前置きを読まされるのだ。

イエスのビデオ〈上〉 Book イエスのビデオ〈上〉

著者:アンドレアス エシュバッハ
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

 出だしからこの調子だから、物語のテンポは甚だ良くない。何度か途中で投げようかと思ったが、そもそも翻訳モノは序盤の我慢が必要なのだ。そう自分に言い聞かせながら、とうとう上巻のラストに近づいてしまった。
 さすがにこの辺りになると、やっとボルテージが高まってくる。それにしても長いおあずけを食らったものだ。やっとストーリーに変化が現れて、暫くはむさぼるように読んだが、ビデオの存在はいまだ行方不明のままなのである。
 思いがけない場所で、やっとビデオを見つけ、それを確認するのが下巻の276頁あたり。しかしビデオに写された映像は、まだまだ観ることが出来ない。どうしてこれほどひっぱる必要があるのだろうか。
 やっとラスト近くになってビデオ映像が判明するのだが、ここはかなり感動するところである。そしてラストのドンデン返し。この終盤の構成は驚くほど巧みだ。この上下約800頁の長編小説は、まるでこのラスト前のわずか8頁のために存在しているといっても過言ではない。
 この小説を読むに当たっては、SFとかタイムトラべルを期待しないほうがよいだろう。むしろ冒険アドべンチャーとか、ミステリー好きの人にお勧めである。そしてまさに映画向きな作品といえよう。

 先日パソコンTVGyaOで、映画化されていた本作品『サイン・オブ・ゴッド』を偶然観る事が出来、心ならずも驚いてしまった。普通は映画が原作を越える事は滅多にないのだが、本作品は映画の方が出来が良いのだ。ストーリー展開も若干異なっていたが、無駄がなく論理的な方向にまとめてある。そしてラストも原作とは大きく異なり、私が途中まで小説を読みながら考えていた結末通りであったのだ。
 

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2007年6月 6日 (水)

主人公は僕だった

★★★★

 IRS(米国の税務署)に勤務するハロルドは、朝起きると同じ回数だけ歯を磨き、リンゴをかじりながら、ギリギリバスに飛び乗って出勤する。そしていつも同じ時間に帰宅して、同じ時間にべットに入る糞真面目な生活を繰り返していた。

        Ttt_1

 ところがある日、どこからか自分の行動や考えていることを、ナレーションのように語る女性の声が聞こえてくる。それにその声は、自分にしか聞こえないのだ。気味が悪くなったハロルドは、医者に行くが原因が分からず、次第にノイローゼになってくる。
 巡り巡って大学で文学理論の教鞭をとっているヒルバート教授を尋ね、命ぜられるまゝテストを重ねるうち、その原因が解明されてゆくのだった。 
 かなり荒唐無稽な「原因」なのだが、アイデアとしてはなかなか面白い。まるで手塚治虫のファンタジー作品を読んでいるような気分だ。

       Tt

 前半はやゝ退屈だが、パン屋の女性が登場する頃から、少しづつ楽しくなってくる。やはり映画のエッセンスは恋愛なんだね。ハロルドがギターを弾きながら唄うシーンでは、ハッピーな気分が心にジ~ンと染み込んできた。
 そして喜劇から悲劇に転落することを知りながら、あえて「それ」を実行するハロルドの愛と勇気。また名誉とプライドを捨てても、その「愛と勇気」に屈する女流小説家の心情。
 これでいいのだ。例え月並みでも、僕はこのラストのほうが素晴らしいと宣言したい。そしてエンディングクレジットの映像と音楽が、またも心を揺するのだ。いつの間にか、僕の体も前後に揺れ続け、足の先はダンスホールの気分で踊っていた。

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2007年6月 3日 (日)

眉山

★★★★

 『東京タワー』が母と息子の愛情物語だとすれば、本作は母と娘の愛を描いた作品といえるだろう。もちろん泣けるのだが、『東京タワー』を観たときのように激しい嗚咽は催さなかった。

    Scan10226

 『東京タワー』が心の琴線に激しく触れたのは、貧困の幼少時代を詳しく描き、母が死ぬ瞬間をクローズアップしたからであろう。だからといって、決して本作が駄作と言うわけではない。死ぬ瞬間のお涙頂戴をカットしたのは好感を持てるし、本作には本作の味もある。
 どちらかと言えば、『東京タワー』より本作のほうが、お洒落な映像となっている。眉山の風景や豪華絢爛で豪快な『阿波踊り』は、深く記憶に刻まれるはずだ。
 また松嶋菜々子の起用もその一環であろうか。彼女の抜群の美しさは誰もが認めるところだが、私自身はいまだに、恋と花火と観覧車』のときの彼女が一番好きだ。それにしても本作では、宮本信子の演技と存在感に圧倒されて、かなり影が薄いと感じたのは私だけであろうか。
 本作は「母と娘の愛を描いた」と前述したが、もうひとつの見方として、母の悲恋物語とも考えられる。ただ父が単なる不倫の相手というところが余り面白くない。父をもっとミステリアスに描いたほうが、叙情的でより美しい映画に仕上がったと思うのだが・・・。
 

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2007年6月 2日 (土)

神はサイコロを振らない

 10年前に宮崎空港を飛び立ったまゝ、消息不明になっていたYSー11機と乗客68人が、突然羽田空港に戻って来たからさあ大変!。
 実は10年前にマイクロブラックホールに吸い込まれ、10年の時空を超えて再び地上に降り立ったのだと言う。たちまちこの大ニュースは、世界中を激震することになってしまうのだった。

神はサイコロを振らない
配信元:電子書店パピレス
提供:@niftyコンテンツ

 ただこの事態を予測していた天才加藤教授によると、生還したYSー11機もろとも乗客全員が、3日後に再び消失してしまうというのだ。教授の理論が正しいのか、はたまた別の奇跡が起こるのか・・・。
 『この胸いっぱいの愛を』と似たような展開だが、こららのほうが圧倒的にスケールが大きい。なにせ主な乗客・乗務員達の生還後のストーリーをパラレルに描いてゆくのだから・・。
 著者の大下英司は、航空機に造詣が深く著書には戦記物が多い。だからメカニカルな説明も多く、退屈な部分がある反面、説得力と迫力が感じられる。
 タイトルの『神はサイコロを振らない』の由来は、アインシュタインが「偶然」を要素とする当時の量子力学を皮肉った言葉のようだ。
 日本の小説には珍しく、巻頭に登場人物の名前と特長が記されていたが、あとでそれがかなり役立つことになった。それだけ登場人物が多くて、名前とそのバックボーンを覚えることが大変なのである。
 またそれが、この作品の評価を分けることになるのだろう。スケールが大きくいろいろなサイドストーリーを楽しみたい人には、お薦めだが、心理描写や感情移入を楽しみたい人には、少し退屈で物足りないかもしれないね。

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監督・ばんざい!

★★★

 ハチャメチャ映画とも、漫才映画ともいわれている。30年近く前に、TVでさんまと組んで大ヒットした『タケチャンマン』そのものじゃないか。
 これを映画と呼んでいいのか。全く評価し難い作品である。予告編を観た時は、かなり面白そうな雰囲気を感じたが、実際に観てみると???なのだ。これは好き嫌いがはっきりしそうな作品だね。私の場合は決して嫌いではないものの、何だか妙に寂しい気分で一杯である。

          Scan10229

 そもそもたけしが主役を張れる映画は、クールで暴力的なギャング映画しかない。ところが、もうギャング映画は撮らないと宣言してしまったのだ。彼が作った唯一のヒット作である『座頭市』も、時代劇ではあるがギャング映画そのものである。
 そのことは、彼自身が一番良く知っているはずである。しかし海外で世界のキタノとおだてられ、必死にヒット作を狙い、毎日が苦悩の連続だったのだろう。それがこの作品にそのまゝ表現されているのを、ヒシヒシと感じてしまった。
 もう彼に期待するのは酷である。少なくとも主演は辞めにしたほうがいい。どうしても映画を作りたければ、主役を降りて脇で悪役を演じるか、監督だけに専念するほうが良いだろう。
 本作品では、小津作品のパロディー、ラブストーリー、ホラー、昭和30年もの、忍者時代劇、SFものとあらゆるジャンルの短編を繰り出すが、どれもこれも中途半端。ラストの母娘サギ師の話だけが、やゝ長い話となるのだが、これは余りにもバカバカしい展開に終始するシュールな作りだ。
 ラーメン屋での、蝶野と天山のプロレスシーンには腹を抱えて笑ったが、あとのギャグは古過ぎて笑うに笑えない。もうたけし君は限界だな・・。
 ただ江守徹の怪演と、こんなおバカ映画にあれだけの役者を揃えた監督の力量は評価したいね。
 しかしあの人形は一体何だったのか。ほとんど会話のないたけしそのものを表現したのだろうか。

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