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2007年2月の記事

2007年2月28日 (水)

ひとり日和

 石原慎太郎と村上龍が揃って激励!という文芸春秋の吊広告に釣られてしまった。殊にいつも文句しか言わない石原慎太郎が、珍しく誉めているのが気になる。

ひとり日和 Book ひとり日和

著者:青山 七恵
販売元:河出書房新社
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 著者の青山七恵さんは、23才のOLであるが、かなり早熟というか老成している感があった。それと心情の動きを表現する文章では、言葉の組合わせ方が驚くほど巧い。それも妙に気取らず、自然な形にコーディネートしてあるのだ。
 選考委員の山田詠美は、「日常に疲れた殿方にはお勧め、私にはいささか退屈」とシニカルな選評を書いているが、僕にはそうは感じられない。
 またこの作品の主人公に、虚無感や倦怠感を感じる選評や読者が多いようだが、僕にはそんなネガティブなイメージは感じられなかった。彼女はただ気が強く、頑固で淋しがり屋なのだ。そして独占欲が強くて感情的で、我儘なので男達は疲れてしまうんだね。

 普通のOLたちは、いかにすれば上手に男とつき合えるのかを知っていて、巧みに自分を制御している。ところが彼女はある種のナルシストで、どうしても自分を変革したくないのだろう。そして逃げられることを恐れて、もう一歩が踏み出せずにいる。恐れる位なら自分を変えれば良いのだが、それが出来ないところに不幸を見た。
 だから母親とさえ心を開いて気楽に接する事が出来ない。唯一彼女がシンクロ出来たのは、ちょっと自分に似た老女だけだったのではないだろうか。

 ところが彼女は、まだそれらのことを十分に理解していないため、男に逃げられる度に悲しみと不安を募らせるわけだ。いつか老女のようなもったりした男性と巡り合った時、彼女に本当の幸せが訪れることだろう。

 京王線のある駅前に佇む不思議な古い家。その家には、駅前から入ることは出来ない。ぐるりと回わり道をして玄関に辿りつく。そこに住むのは、遠縁の老女「吟子さん」と猫たち。
 駅からは入れないのに、縁側からは駅のホームがまる見えである。この家自体が他人の侵入を拒み、自分からは一方的に駅にいる人々を眺めるのだ。
 それはまさしく主人公が、他人の小物をこっそり盗んで、臭いを嗅いだりしている姿に似ているではないか。 
 この小説は、男に捨てられるが、フリーターからOLになって、大人へと脱皮しょうとする若い女性の淡々としたお話だ。それだけでは、どこにでも転がっている平凡な話なのだが、一緒に暮す老女とのユニークな絡み加減が際立っている。
 恐らくそこが選考委員の共感を引き込んだ最大要因であろう。今後の作品次弟では、彼女は大作家へ羽ばたいてゆくかもしれない。注目に価する新人であり、石原慎太郎と村上龍が激励した理由が判ったような気がする。

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2007年2月25日 (日)

バブルヘGO!!~タイムマシンはドラム式~

★★★☆

 1990年のバブル崩壊を阻止するため、洗濯機型のタイムマシンに乗って、17年前の東京にタイムスリップするというSFコメディー。

           Scan10182

 バブル全盛期のディスコやワンレン・ボディコンなど懐かしい映像が楽しめるが、いささか極端な描き方をしている。ギャング達とのおマヌケなアクションには興ざめしたが、全搬的に楽しい映画だった。
 広末涼子の芸者姿は、いやに色ぽいね。もともと瓜ざね顔なので和服と日本髪が良く似合う。今後は時代劇に出演してみたらどうだろう。
 阿部寛のメイクは上出来で、17年間の顔と雰囲気の使い分けが見事だった。思わずバック・トウ・ザ・フューチャーの、父親役のメイクを思い出してしまった。邦画のメイク技術も進歩したものである。
 一番印象に残ったシーンは、ディスコシーンではなく、建造中のレインボーブリッジを見上げながらの、東京湾クルーズである。船内で踊り狂う若者達を尻目に、突然現代のステップで踊り出す広末涼子。それを見た若者達が一瞬ハッとして、全員踊るのを止めてしまうシーン。あの一瞬の気分は何とも言えなかったね。
 タイムマシンものとしては、突込み所も多いが、バブル時代のファッションや芸能人達、街の風景や流行などなど、懐か楽しい雰囲気が盛り沢山である。余り深く考えずに、バブルに戻って楽しもうじゃないか。

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2007年2月19日 (月)

とんかつ 本家ぽん多

 JR御徒町駅から歩いて数分。常連客には、松坂屋で買物帰りのリッチマダムが多いという。

      Img_0169_2

 創業は明治38年で、「双葉」、「蓬莱屋」と並んで、上野とんかつ御三家と呼ばれている。もちろんこの御三家の中でも一番の老舗であり、私はこの「本家ぽん多」が一番好きである。昔は今にも崩れそうなバラックだったのに、今は小綺麗なお店になってしまった。ただ初めて来た人には、ここの重厚な扉を押すのに、少し勇気が必要かもしれない。

     Img_0166_2

 とんかつに、ご飯みそ汁を付けて1人前約3000円也。これを高いと考える人は入らないほうが良い。しかし少なくとも25年前からこの値段を守っている。つまりここのとんかつは、この値段でもサービス品なのである。    

 正確にはとんかつではなくカツレツという。極めて低温の油で揚げたあとに、今度は高温で二度揚げするらしい。常に新しい油に取りかえるため、写真のような狐色をしている。

         Img_0161_1

 ここのカツレツはロースだが、脂味は取り除いてあるのでご心配なく。味はジューシーで肉は柔らかく、ソースもウスターしか置いていない。だからさっぱりして胃がもたれないのだ。また昔懐かしいポテトフライが添えられているのも嬉しいね。これにトマトケチャップをかけて食ベると、古き良き昭和時代の味がする。
 それでも値段据え置きのためか、昔より少し小ぶりになった気がする。まあ仕方ないよね。それでも女性には、文句のない丁度良い量だろう。

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2007年2月18日 (日)

世界最速のインディアン

★★★★

 1000CC以下のバイクで300km以上の世界最速記録を達成した、63歳の元気な老人の実話である。主演のバート・マンロー役に、あのアンソニー・ホプキンス。バートを演じるホプキンスには、ハンニバルの陰湿なイメージは全くない。
 それどころか明るく自由奔放、誰にでも好かれ、女性にモテモテのうらやましい役柄なのだ。一度で良いから、こんな人生を歩んでみたいね。

          Scan10186

 初めはインディアン族をホプキンスが演じるのかと勘違いしていたが、実は「インディアン」とは1920年型のオートバイ「インディアン・スカウト」のことであった。
 それにしてもアメリカは広いよね。ニュージーランドを出発して、目的の競技場ボンヌヴィル塩平原に辿り着くまでが一苦労だったが、この一人旅もなかなか楽しかった。
 ちょこっと悪い人もいたが、ほとんど良い人ばかり。そして皆んな彼の虜になってしまう。不思議な魅力を持った人物を上手に演じたホプキンスに拍手・拍手。ただ今年70才になる彼には、ちょっとシンドイ役柄だったね。時々よろよろしていて、観ているほうが心配になってしまった。
 彼はその後も出場するたびに新記録を更新し、なお40年以上経過した今も、未だに彼の記録は破られていないという。それにしても人間離れしたムチャクチャ凄い爺さまだね。

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2007年2月17日 (土)

墨攻

★★★☆

 「10万の敵にたった1人で挑む」というキャッチコピーに釣られて、『HIRO(英雄)』のような超人活劇を想像してしまった。ところがこの映画には、ワイヤーを使った荒唐無稽な戦闘シーンは全く出てこない。
 もちろん城攻めシーンは、凄い迫力でありスケールも桁外れに大きい。しかしあくまでもシリアスで、現実的な戦闘が続く。また主人公は、「墨家」という当時「儒家」並ぶ歴史的思想団体の一員なのである。

            Scan10181

 「墨家」は中国諸子百家の一つで、博愛主義を説いた。墨家の教えでは、「非攻」という言葉があり、「専守防衛」つまり自衛隊同様、守るための戦いは否定しないという意味である。この「非攻」が「墨守」という言葉になり、さらにこの作品の原作者により『墨攻』という言葉が創られたようだ。
 話の骨子はしっかりしているし、戦闘シーンも見事な出来映えなのだが、肝腎の墨家についての描写が一切ないので、主人公革離の中に入ってゆけない。またラストがかなりはしょられ過ぎて、今ひとつ後味が良くない。それと事前にある程度中国の歴史や、墨家について調べておかないと、革離がなぜ一人で来たのか判り辛いし、物語の焦点もぼやけてしまうので要注意。
 それにしても、人の嫉妬とは醜いものである。だが恩義や慈愛のない者は、いずれ滅び去る運命から逃れられないのだ。

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2007年2月14日 (水)

あなたを忘れない

★★★☆

 あれからもう6年も経ってしまったのか。 これは新大久保駅で、線路に落ちた日本人を助けようとして命を落した、優しく正義感に溢れた韓国青年の実話を、アレンジしたフィクションである。

           Scan10196

 あの忌まわしい戦争が終わって60年以上も経過しているのに、今だに日本と韓国は仲が良くない。昔から隣人同士は仲が悪いと言う。それはお互いに張り合うからなのだろうか。

 ここで日韓関係を論じる気はないが、いつまでもお互いの古傷を罵りあう老人達は別として、せめて日韓の若者達には仲良くしてもらいたいね。この映画がその架け橋となってくれれば良いのだが、日本のネットでは驚く程、この映画には批判的な状況である。

 皆さん一番気分を害していたのが、あのタクシーにぶつけられたシーンだ。確かにあの描き方では、日本人は皆悪人と無関心な人ばかりのように写る。ちょっと時代錯誤かもしれない。

 この映画は日韓合作で、当然韓国の若者達も観ているはずである。せっかく日韓の架け橋として創った映画が、逆に反日精神の助長となってしまうことに危惧してしまった。

 日本人であれ韓国人であれ、それぞれ良い人も悪い人もいる。それは個人の資質の問題である。それを日本人全体、韓国人全体の問題に擦りかえられてしまうことが、一番怖いのである。

 一部誤解を産み易いシーンを除けば、大変素晴らしい映画であるだけに、もう少し繊細な神経で脚本作りをして貰いたかったね。せっかくの涙と、ノリの良いミュージックが、無駄にならないことを祈るばかりだ。

  最後に新大久保駅で亡くなられた韓国留学生イ・スヒョンさんと、カメラマンの関根史郎さんのご冥福を祈ります。 

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2007年2月12日 (月)

どろろ

★★★

 なぜ今『どろろ』なんだろう。手塚治虫の原作といえ、もう40年前の少年マンガである。一体誰が観るのだろうか。そう考えながらも、結局何んとなく気になって観てしまった。
 ロケ地は、あのロード・オブ・ザ・リングでお馴染みのニュージーランド。出演者の衣装や、セットをみてもどこかアジアンテイストな香がする作品だ。

     Scan10192

 邦画にしては、珍しくワイヤーや、CGがふんだんに使用されているのだが、所々に手抜きが見えて、肝腎のSFXは今一つの完成度だった。ウリである魔物達は、妖怪風だったり、怪獣風だったり、怪人風だったり、ゾンビ風だったりと、まるで多国籍バイキングのようだ。 
 一番出来の良かったのは、最初に登場したクモの魔物かな。楽しかったのは、土屋アンナ扮する餓の魔物。もう少し観たかったのに、以外ともろかったね。あと空中を飛ぶドクロ天狗のような魔物との戦闘シーンが面白い。ここでのワイヤーアクションは、なかなか見応えがあった。

  あとフランケンシュタインさながらの、百鬼丸創生シーンはおぞましいけれども、なかなか迫力があったよね。ただ女性にはかなり気味悪いシーンかもしれない。

 主なキャストは、妻夫木聡、柴咲コウ、中井貴一、原田芳雄、中村嘉葎雄、土屋アンナと、なかなか豪華メンバーである。なかでも、どろろ役の柴咲コウはハマリ役で、その熱演ぶりが目立った。
 そもそも36の魔物との戦いを描いた原作を、一本の映画にまとめることに無理があるし、原作自体も中途半端な終わり方をしている。結局映画では、12の魔物を退治したところで終わったが、それでもかなりハイピッチであった。

 こうした作品なら、一話ごとに1の魔物を退治してゆく、60分もののTVシリーズのほうが向いているよね。だから一本完結の映画にすると、十分にストーリーを練り込めないのだ。だからと言ってこれをシリーズにしても、二作目からは客を呼べないだろう。

 製作者が手塚治虫ファンで、初めから無理を承知で映画化したのかもしれないが、他に創りたい映画はなかったのだろうか。せっかく良い役者さん達を集めたのに、なにか非常に無駄使いをした感じが残る。とはいえ現在ヒットチャート1位なのだから、文句は言えないよね。結果良ければ何とやらである。

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2007年2月10日 (土)

幸せのちから

★★★

 妻に愛想をつかされた黒人男性が、幼い息子と二人で貧困を乗り越えてたくましく生きてゆく姿を描いたお話である。そして実在の証券王クリス・ガートナーのサクセス・ストーリーでもあるのだ。
 主演のウィル・スミスがアカデミー主演男優賞にノミネートされているためか、映画館の座席はかなり埋まっていた。現在興行成績も、『どろろ』に次いで第2位である。

     Scan10187

 もちろん良い作品なのだが、僕には今一つ感情移入出来なかった。後半になると、場内ですすり泣く声も聞こえたが、涙もろい僕としては珍しく涙が出てこない。
 なにか心がスィング出来ないのだ。そもそもあの状況で、むりやり妻から息子を引取る必然性が感じられなかった。少なくとも研修が終わるまでは、妻に預けておくほうが息子にとっても良かったと思う。
 そして晴れて就職出来たら、妻と息子を迎えに行くパターンのほうが僕は好きである。妻がニューヨークに行く、と言って息子のベットに腰かけたとき、夫は全く引き止めようとしない。僕には妻が夫の一言を待っていたと思えてならないのだが・・・。
 この作品での妻の存在は、一体何だったのだろうか。イラついていたが、決して悪い妻ではなかった。あの貧困状況を作ったのは、夫が真面目に働かずにヤマッ気ばかりの人間だったので仕方ないのだ。いっそ妻が事故で死んだので、息子を抱えて生きたという設定にしたほうが、まだ説得力があっただろう。
 ウィル・スミスの演技は素晴らしいのだが、シスコの街をあの大きな荷物を持って走り回わるイメージばかりが印象に残ってしまった。
 それに明かるい彼のキャラからは、貧困にあえぐ心情が全く伝わってこないのだ。それにお人好しで、ドジで失敗ばかりの連続なので、あれだけの難関を突破した頭の良い人間には見えなかった。彼はやはりコメディーのほうが向いていると思う。
 息子役も実の息子を起用したことが、返って裏目に出たような気がする。子供からも貧困に疲れた表情が全く読み取れないからである。ひしひし切羽詰まった演技をしていたのは、妻役のタンディ・ニュートンだけである。
 また全搬的に「心情」を描かずに、「事象」ばかりを追いかける作り方が、ジンと心に突き刺さってこないのだ。例えば主人公が顧客を獲得するシーンも、名刺交換だけでサラリと流しているだけであった。だから成功した時の歓びも共感し難いのだ。
 テーマとしては申し分のない作品だけに、脚本の物足りなさと、主役のミスキャストは残念である。

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2007年2月 7日 (水)

頭が良いという言葉~柳沢厚労相に捧ぐ~

 「あいつは頭が良いから」とよく言うが、この「頭の良い」という言葉には、いろいろな意味が込められているから曲者だよね。
 まず一番ポピュラーなのは、学業成績が良いという意味だろう。ただ学業成績が良い人には二通りあるのではなかろうか。
 一つは記憶力と集中力に長けている人。もちろん集中力があるからよく記憶出来るわけだがね。もう一方は生まれながらの天才と呼ばれる人だ。しかし私は今だかつてこの天才という人に巡り会ったことがない。一応皆さん影では、それなりに努力しているものである。ただ広い世界には必ず天才としか言いようのない人もいると信じている。

          Beee

 世の中には、いい年をして学業成績が良い人だけを「頭が良い人」と思い込んでいる人が少なくない。高級官僚や大銀行には、そうした世間の狭い人がいる。というよりは、自分自身の価値を誇りたいのだろうか。
 しかし「天才」はともかくとして、学業成績が良い人だけを「頭が良い人」という決めつけ主義には異を唱えたい。
 もはや一般の社会では、中学程度の知識があれば生活に困ることはないはずである。微分積分や英文法が何の役に立っているというのか。少なくとも普通高校の授業などほとんど意味がない。単に大学に行くための予行演習みたいなものである。
 だからひきこもりや勉強嫌いな子供が増えてしまうのだ。もっと社会で役に立つこと、あるいは自分の好きな分野に特化した教育制度を作れないのだろうか。
 と言ってここで教育論をブツつもりは全くないし、そんな大それた知識もないので、これ以上この話を広げることはやめよう。そもそも言いたいことは、現在の教育はある種のパズルであり、たまたまこのつまらないパズルが好きな子供が、一生懸命パズルを解こうと努力するから成績が良くなるに過ぎないのだということ。
 だからもし、自分の好きなこと、役に立つことが授業に取り入れられれば、誰でも成績は良くなるのである。例えばマンガ家になりたいと思う子供に、マンガの授業を作ってやれば、思い切り楽しくそして一生懸命熱中するはずである。また英文法をやめて、外人教師との英会語を授業に組み込んでも同様であろう。なにもNOVAに儲けさせることはないのだ。
 さてでは本題に戻って、学業成績が良い人以外で「頭が良い人」とは、どういう人なのかを書いておきたい。もちろん学業成績が最悪で、いつも0点ばかりの人は論外である。
 私の考える「真に頭の良い人」とは、創造力と応用力にすぐれ、それを上手に社会に生かすことが出来る人だと思う。この価値観からすると、学業成績が良い人は、逆に頭の悪い人になってしまう場合がある。
 その最たる良い例が「女性は子を産む機械」発言で、政治家運命が風前の灯にある柳沢厚労相だ。彼の妻がいみじくも、週刊朝日で「夫は勉強は出来るけど、バカなのよ」と告白しているではないか。
 それ見た事か、学業パズルの上手な奴なんてこの程度なのだ。もういい加減に風化した学業パズル至上主義は捨ててしまおう!と大声で叫んでみたところで、腐った価値観を修復するには、時間がかかるし社会全体の協力が不可欠なんだね。まず教育制度と企業の雇用ポリシーの変革がなければならない。全てはそこから始るのだ。ところがその鍵を握っている官僚達が、現状の学業パズル崇拝主義者なので、残念ながらまず実現不可能であろう。
 しかしそんな過去のしがらみに、いつまでもしがみついていれば、やがて日本は世界の異端児となり、取り残されてしまうことは眼に見えている。見えていながら自己保身に固まって、何も反論せず、戦わず、現状維持に血眼になっている我々にも、大いなる責任があるのだ。

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2007年2月 6日 (火)

通勤地獄 女性達よパンツをはきなさい

 通勤帰りの若い女性をみると、およそ70%がパンツルックであります。
 この現象をことさら騒ぎ立てる人は余りいませんが、これこそまさに戦後和服から洋服に変わったのに匹敵する位の出来事ではないでしょうか。

          Hikari

 つまり女性達は、見た目のファッションよりも、現実的な機能性を選択するようになったということなのです。
 当然スカートよりパンツのほうが、動き易いし、暖かいし、安いし、風でまくれることもないし、下から覗かれることもない。それに何といっても痴漢に襲われる可能性も低くなるでしょう。
 なぜこんな簡単な論理に今まで気付かなかったのか不思議ですが・・・
 実は気付かなかったのではなく、あえてパンツを選択しなかったのでしょうね。
 つまり女性はスカートをはくものだという固定観念に縛られていた事と、日本女性はスタイルが悪かったので、パンツをはくにはけなかったのではないかと推察しています。
 それが現代女性の価値感と体型の変貌により、自由にパンツをはける時代に突入したのだと思います。
 男性陣には一沫の淋しさが残りますが、女性にとっては、『めでたし、めでたし』ではありませんか。
 ところでこの追風にも、相変わらず『我観ぜず』の古い観念を持ち続けている『超・若い女性達』が、存在しているのを知っていますか。
 鋭い人は、既に気が付いたと思います・・・そうです『女子高校生』達です。彼女達は相変わらず超ミニスカートをはき、しかもどんな寒いときでも『生足』を貫き通しています。
 何故そうしているのかは、日本七不思議の一つですが、たぶん大した理由もなく『皆がそうしているから』という旧態然とした「ムラ」意識を、後生大事に背負っているのでしょう。
 そして当然の結果として、痴漢達の『格好の標的』となっているのが事実であります。
 そこで提案!「女子高校生の制服をパンツルックに変更しませんか」と、余計なお世話を考えている今日この頃です。

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2007年2月 4日 (日)

筆子・その愛-天使のピアノ-

★★★☆

 大森西友の中にある「キネ力大森」は、スクリーンが3つあるミニシネコンである。テアトル系の映画館には、西武グループとタイアップしたこのような映画館が多い。
 しかしここは、平日にいつ来てもガラガラなのである。大森自体が川崎と品川に囲まれて、さびれた街になってしまった。

     Fude

 今日も140席ある座席は、7つしか埋まっていないのだ。これでは閉鎖されるのも時間の問題だろう。せっかく静かな街で、良質の映画を提供してくれる映画館が出来たというのに・・・。
 とにかくこのミニシネコンの行き先が非常に心配である。もし大森を通って通勤している人がいたら、たまに途中下車してこの映画館を覗いてあげてね。
 さて肝腎の映画のほうであるが、実に真面目で地味な作品という印象である。主人公の石井筆子は、明治から昭和にかけて、その生涯を知的障害施設運営に従事した実在の人物である。名門の家に生まれ超美貌の彼女は、若い頃には鹿鳴館の名華と呼ばれ、大正皇后の教育にも携わったという。
 だが自から障害を持つ子供を三人生み、早期に亡くしてしまった。その悲しみを弔うためか、父の反対を押し切り、あえてお嬢様を捨て辛い道を選んだようだ。きっと彼女にとっては、施設の児童たちは皆我が子同様だったに違いない。
 この作品に出てくる子供たちのほとんどは、たぶん本物の知的障害者たちなのだろう。演技というよりは、自然な佇まいを感じた。
 所々で随分と泣かされたが、生涯侍女だったサトが、死を決意し筆子の再婚を反対する父親を諌めるシーンには参ってしまったね。それと障害を持つ筆子の長女が、べットの中で筆子に語りかけるシーンにも大泣きしてしまった。
 この作品は、良い映画とか素晴らしい映画というより、完璧にピュアな映画と言ったほうがいいだろう。また市原悦子の淡々としたナレーションと、いかにも文部省特選という映画の作り方。せっかく良いテーマなのだが、残念ながら商業べースには乗らないだろうな。
 だがたまにはこうした純真な映画を観て、心の洗濯をすることも必要だし、僕自身は決して嫌いではない。ただ主演の常盤貴子の演技だけは頂けないし、イメージも合わないよね。
 このとき創られた知的障害者の養護施設は、現在日本最古の施設『滝乃川学園』として、国立市で生まれ変わっている。

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2007年2月 3日 (土)

分身

分身 Book 分身

著者:東野 圭吾
販売元:集英社
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 東京と北海道で、双葉と鞠子という瓜二つの美女が現れる。だが二人は一度も逢ったことがないし、お互いの存在も知らない。

 双葉の章と鞠子の章を全15章に分割し、これを交互に差し込んで、ストーリーはパラレルに進んでゆく。初め二人は双子で、何らかの理由で別々の家庭で育てられたのだろうと思っていた。ところが、彼女達は二歳違いであり、双方とも母親に似ていないのである。では父親が浮気をして出来た異母姉妹かとも考えたのだが、父親にも全く似ていないのだ。

 それに二人は、性格は異なるものの、姿形は全く同一人物のような「そっくりさん」なんだね。あと考えられることは、一つしかない・・・。 そんなわけで出生の原理はすぐ判ったのだが、何故そうなったのかという原因が、全く不明のまま物語はどんどん進んでゆく。そして二人はいつも行き違い状況で、ナカナカ巡り逢えない。

 この『君の名は』状態に、かなりフラストレーションが溜まり、イライラさせられるのだが、「怖いもの見たさ」で夢中でページをめくってしまう。序盤は平易で素人のような文章であったが、後半の先進医学に関する記述は凄いよね。よくここまで調べあげたものだと感心するしかなかった。 

 もしかするとこの作品、映画化の話しがあるかもしれないな。たしかに映画向きの作品である。

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