« 通勤地獄 座りたがる青少年 | トップページ | 16ブロック »

2006年11月 1日 (水)

幸福のスイッチ

★★★★

 この映画、ネットではかなり好評だし、東京ではテアトル新宿だけの単館上映なので、かなり混雑すると思っていた。ところが意外や意外、館内は約3分の1程度の閑散状態なのだ。

Scan10144  そして観客は中高年ばかりで、若い人の姿が見つからない。そんなにつまらない作品なのかと、ちょっと不安になってしまった。
 ところが、やはり期待通りの素晴らしい作品でホット一安心!。もしかして、田舎の小さな電気店での地味なストーリーを、若者達が敬遠したのだろうか。
 まぁ多少ユルイかもしれないが、とても心暖まるお話なので、若者にこそ観てもらいたかったのだが、とても残念である。
 お話のほうは、母を亡くした、父1人・娘3人の田舎の電気店から始まる。母親代わりの長女・瞳(本上まなみ)は、辛抱強く優しくて、絵に描いたような親孝行娘。三女・香(中村静香)はしっかり者で天真爛漫な商売上手。ところが上野樹里扮する次女の怜だけは、無愛想でいつも不機嫌な顔ばかり・・。そのうえ父親が大嫌いで、イラストレーターを志し東京で働いている。
 そんな次女のところに、三女から「長女が緊急入院したので、1ヵ月間だけ店を手伝ってくれ」という、切符入りの手紙が来る。ちょうど上司と喧嘩をして、会社を辞めてしまった怜は、渋々ながらも3年ぶりに故郷の土を踏むのだった。
 すでに田舎にも大手量販店が進出し、価格では小さな電気店は対抗出来ない。そして次々と倒産してゆく・・。そんな環境下で、沢田研二扮する父は、地元に密着した草の根活動を続け、なんとか生き残っていた。
 先に述べたように、三姉妹それぞれが特徴ある役柄をこなして、観る者を飽きさせない。ことに上野樹里は、いつもと全く逆の暗くてイヤミな役を見事に演じ、大女優への道を歩み始めたようだ。
 三姉妹たちの表現方法は全く異なっていたが、みな心の中では父を慕っている感じがして微笑ましかった。久しぶりに映画出演した沢田研二も、アイドル・ジュリーの看板を捨てて、関西弁の小太りお父さんに徹して頑張っていたよね。
 この映画の良いところは、淡々とゆったり時が流れ、地元の人間関係を大切に生きてゆく人々を、個性的に楽しく描いていることだろう。
 そして自然な形で、観る者の涙を誘うことに成功していた。ラストもあっさりしていたし、強引に泣かせようとしないところが実に爽やかだ。

 最近のレトロブームは、きっとあくせくと急ぎ続ける社会に疲れた人々が、ゆったり感のある癒しを求めている証であろう。もうこれ以上の経済成長は、しなくてもよいはずだ。誰もがそう感じているのだが、追い上げる者がいる限り、猛スピードで逃げ続けざるを得ないのだろうか・・。
 さて『大手量販店に負けない生き残り術』だが、まず電化製品を売り放しにせず、一生涯アフターサービスを怠らない。ということが大前提である。
 例えばマッサージ機の移動なども無償で行う。また顧客台帳を大切にし、困ったことはないかと、ときどき顧客に声をかけて回わる。また店内を開放して、老人達のコミュニケーションの場とし、人間関係を大事にすることも必要だ。
 究極は、停電の多い台風シーズンには、必ず店で待機して、顧客の依頼があれば、大雨・大風の中でもスッ飛んで行く。まるで宮沢賢治の有名な詩のようである。
 このような涙ぐましい努力があってこそ、初めて固定顧客を得られるのであり、これが零細・中小企業の厳しい現実なのだ。
 しかしこれは老人が多く、人情味の残っている田舎だから通じる技なのかもしれないね。実は僕の家の近くにも、似たような電気店がある。便利で親切なので、最初はよく利用していたのだが、いつの間にか使わなくなってしまった。
 実は、大手量販店5軒による過激な価格戦争が始まり、さらに追い討ちをかけるように、ホームセンターや大手スーパーなどが乱立したのだ。もはや僕の住む町は、狂気の「激安価格地帯」となってしまった。
 さしもの僕も、とうとうその軍門に下り、その小さな電気店とは、疎遠になってしまったのだ。なにか裏切ったようで気が引けるのだが、電気店も察知したのか、巡回サービスにも来なくなってしまった。
 だが今もその電気店は潰れていない。きっと老人所帯や、大手量販店からの下請修理などで凌いでいるのかもしれないね・・。
 ごめんなさいね。矛盾するようだが、ガンバレ地元の〇X電気店!

↓応援クリック、お願いします。順位を上げてね。 

人気blogランキングへ

|

« 通勤地獄 座りたがる青少年 | トップページ | 16ブロック »

コメント

コメントとTBありがとうございます!
ほんわかいい映画でしたけど、
量販店と小売店についてマジで考え
させられる映画でしたね^^
東京はそんなに混んでませんでしたか?
大阪で見た時は地元が近いからか、
満席状態でした。上野樹里なんて月9のヒロインなのに、テレビ見る人と映画はイコールにならないんですねぇ

投稿: kazupon | 2006年11月 2日 (木) 20時02分

コメントありがとうございます。
なるほど、樹里とジュリーですね。樹里は今回新境地というよりは地?
これからも宜しくお願いします。

投稿: てきさす | 2006年11月 2日 (木) 22時45分

初めまして、達也です。
『幸福のスイッチ』いい映画でした。
父が田辺出身なので、
方言やロケーションがとっても懐かしかったです。
上野樹里ちゃんの映画は3本ほど連続で
観たのですが、この映画の彼女はとっても
自然体でいい感じです。
小説では高校時代を描いている様なので、
ぜひとも『高校時代』の続編を観たいものです。

P.S トラバさせてくださいね。

投稿: TATSUYA | 2006年12月 3日 (日) 11時11分

達也さんコメントありがとう
確かに、この映画の樹里ちゃんは、いつもと違っていましたね。あれが彼女の素顔なのでしょうかね。
続編なら僕も楽しみです。

投稿: ケント | 2006年12月 3日 (日) 19時09分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/21640/4031068

この記事へのトラックバック一覧です: 幸福のスイッチ:

» 『幸福のスイッチ』 試写会鑑賞 [映画な日々。読書な日々。]
小さな町の電器屋を支えるガンコ親父と三人姉妹が織りなす、おかしくてじんわりしみる家族の物語。 21歳の稲田怜は、東京のデザイン会社の新人イラストレーター。田舎の電器屋で儲けにもならない仕事ばかりを引き受ける父・誠一郎に反発して都会に出てきたが、満足いく仕事はなか... [続きを読む]

受信: 2006年11月 1日 (水) 19時58分

» 幸福のスイッチ [ようこそ劇場へ! Welcome to the Theatre!]
脚本・監督=安田真奈。 和歌山県田辺市の小さな電器店を舞台にした地域密着型のストーリー。地域の映画産業を活性化するシネマ・コミッションがサポートして、ローカル映画の佳作となった。 ☆☆☆★★★ [続きを読む]

受信: 2006年11月 1日 (水) 20時54分

» 感想/幸福のスイッチ(試写) [APRIL FOOLS]
上野樹里モノは全部観たい勢い。和歌山県田辺市を舞台に、小さな電気屋一家を描いたスモールストーリー。父に反発して上京するもうまくいかない娘の元に「父さんが倒れた!」という電話。慌てて帰って実家の電気屋を手伝うことに。親の心子知らず、をまんま描いた物語〜。『幸福のスイッチ』10月14日公開。 『幸福のスイッチ(しあわせのスイッチ)』公式サイト 今時考えられないくらいベタな話。田舎を飛び出す娘、すぐ怒鳴るガンコ親父、ステレオタイプな三姉妹、で母は他界、ってもろ定番家族モノじゃん! さらには量販店に... [続きを読む]

受信: 2006年11月 1日 (水) 23時02分

» 「幸福のスイッチ」 [てんびんthe LIFE]
「幸福のスイッチ」東商ホールで鑑賞 和歌山県田辺市での撮影で和歌山県は先行ロードショーしたみたいです。でも、どこが和歌山県田辺市なんだかわからない。景色の説明とかしてほしかったけど、その前にきれいな風景はわかりますが、そういうシーンきわめて少ないです。ご当地ムービーである意味があまり無いのがもったいないです。 田舎の電気屋さんの3姉妹と父親のファミリームービー。田辺市だから映画なのか、特別スケールが大きいわけでもなく、小さくこじんまりと作られた、2時間ドラマよりももっとちいさな作品。泣かせる... [続きを読む]

受信: 2006年11月 2日 (木) 07時44分

» 幸福のスイッチ [It's a Wonderful Life]
和歌山県・田辺市の町の小さな電気屋さんの物語。 安田真奈監督は10年くらい大手家電メーカーに勤務しながら 映画製作に携わるOL映画監督として話題になった事もあるとか。 映画って、現実に近いドラマを描いていても 別世界を見せてくれるものがほとんどだ...... [続きを読む]

受信: 2006年11月 2日 (木) 20時23分

» 幸福のスイッチ観ました。 [あきひろの部屋]
今、映画「幸福のスイッチ」を観ました。 1日だったので1000円で観られました。 ジストシネマで観たのですが、音声がエコーがかかりすぎていて聞えにくかったです。 セリフは、田辺人から言わしてもらうと、主演の上野樹里のイントネーションが若干違ってい... [続きを読む]

受信: 2006年11月 3日 (金) 02時20分

» 幸福(しあわせ)のスイッチ [とにかく、映画好きなもので。]
   家族の絆はスイッチによって、プラスにもマイナスにもなる。  そのスイッチを握るのはそれぞれの思いでもあり、隠された愛情でもあると思います。  和歌山県田辺市にある稲田電気店。略してイナデンは、儲けよりもお客様のために売った商品の事....... [続きを読む]

受信: 2006年11月 3日 (金) 10時37分

» 「幸福(しあわせ)のスイッチ」 [Mr.Bation]
このところ濃ゆーい映画ばかり見ていたので口直しに、柄でもない映画を見てみることにしました。{/kaeru_en4/} 高度成長が終わり、世の中、アフターサービスの良し悪しが決め手となる時代と言われ久しい。 しかしまだまだ修理は儲からない物という見方は多い。アフター部門はコストセンターなのか、プロフィット・センターなのか?最先端IT分野はアフターそのものが利益となる企業も多くなってき... [続きを読む]

受信: 2006年11月 4日 (土) 23時14分

» 幸福のスイッチ [八ちゃんの日常空間]
この映画に涙を誘うような悲しい場面などひとつもない。 日本の、邦画にありがちな「人情」を描いているのだ。 人が変わるきっかけなんて、意外とひょんな事だったりする。 「大人になる」とはそう言うことだ。... [続きを読む]

受信: 2006年11月 9日 (木) 23時53分

» 『幸福(しあわせ)のスイッチ』 [京の昼寝〜♪]
家族の絆はプラスとマイナス。くっ付いたり、離れたり。 ■監督・原案・脚本 安田真奈■キャスト 上野樹里、沢田研二、中村静香、本上まなみ、林剛史、笠原秀幸、石坂ちなみ、新屋英子、深浦加奈子 □オフィシャルサイト  『幸福(しあわせ)のスイッチ』 儲けは二の次という考えで電器店を営む父・誠一郎(沢田研二)に反発し、東京へと飛び出したイラストレーターの卵である次女の�... [続きを読む]

受信: 2006年11月10日 (金) 12時10分

» ええ仕事したな。~「幸福のスイッチ」~ [ペパーミントの魔術師]
自分がいくら書いても、 クライアントの要望どおりじゃなきゃ通らない、 間に入って交渉する身にもなってくれって言われても プライドが邪魔して譲れない。 ・・・かくして入社1年でけんかして会社やめた。 でも世間はそんなあたしに優しくなかった。 そんな折お父ちゃんが..... [続きを読む]

受信: 2006年11月10日 (金) 15時21分

» 「幸福のスイッチ」試写会レビュー ベベチオがんばれ(笑) [長江将史〜てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ]
幸福のスイッチ。あらためて映画を思い返すと、数々の幸福のスイッチが、オンになったんやなぁ〜と感じられる。そんな映画かな。 [続きを読む]

受信: 2006年11月10日 (金) 22時22分

» 【劇場鑑賞130】幸福のスイッチ(しあわせのスイッチ) [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
小さな電器屋イネデン。儲かってはいないけれど修理はうまい。 ところが、 父が入院! 長女・瞳・・・妊娠中 三女・香・・・学生 イナデンの危機に東京から次女が帰ってきた。 次女・怜・・・東京在住、父と家業が嫌い 初めて知った 父の大きさ 家....... [続きを読む]

受信: 2006年11月27日 (月) 21時28分

» 日本一の男が教える10分で「売る天才」になる方法 [失業保険に頼らない!脱サラ男の資産形成ブログ!]
「たった1通メールを出すと、収入が100万円増える男がいます。彼の名前は・・・」 [続きを読む]

受信: 2006年11月28日 (火) 21時18分

» 『幸福のスイッチ』 [Cinema雑感]
『幸福のスイッチ』★★★ (2006年 日本 105分) 監督:安田真奈 キャスト:上野樹里、本上まなみ、沢田研二、中村静香、林剛史、笠原秀幸、石坂ちなみ、新屋英子、深浦加奈子、田中要次、芦屋小雁 関西出身キャストによ... [続きを読む]

受信: 2006年12月 3日 (日) 22時44分

» 幸せ(しあわせ)のスイッチ [シネマ de ぽん!]
幸せ(しあわせ)のスイッチ公開中ストーリー ☆☆☆☆☆映画の作り方☆☆☆☆総合評 [続きを読む]

受信: 2006年12月10日 (日) 11時36分

» 幸福のスイッチ(映画館) [ひるめし。]
家族の絆はプラスとマイナス。くっ付いたり、離れたり。 [続きを読む]

受信: 2007年2月 3日 (土) 18時31分

» 映画『幸福のスイッチ』 [茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~]
あまりにもありふれたありのままの日常なのに、なぜこんなにも感動するのか、共感してしまうのか、それぞれに個性のある三姉妹と頑固親父の暖かな物語・・ 幸福のスイッチは、いつ何処で何がきっかけとなって入るのか、それは自分の過ちを認めて心を開いた時なのか・・母は他... [続きを読む]

受信: 2007年11月28日 (水) 01時49分

« 通勤地獄 座りたがる青少年 | トップページ | 16ブロック »